クリスマス
それからは、美優は、毎日学校が終わると、学校中のゴミ箱を確認してから、神社に向かった。
最初の頃は、遅いことを、気にしていた、晴風だったが、だんだんと、何も言わなくなった。
暗くなるのが、早くなったので、あまり秘密基地で、ゆっくり出来ないのが、美優は寂しかった。
「うー寒い。遅くなってごめんね。」
遅れてきた美優は、いつもの様に、晴風の隣に座った。
「あっ、みーちゃん。お疲れさま。
今日、ほんっとに寒いよね。暗くなるのも、早くなったしね。」
「もうすぐ、冬休みだもんね〜。」
「あっ、そっか!もうすぐ冬休みだ!今年の紅白、誰出るんだろうな〜。」
「はるちゃんも、紅白見る派なんだね。」
「みーちゃんも?
うちは毎年恒例だから、見ないと、なんか年が明けた気が、しないんだよね。」
「あははっ、なんか分かる。うちも毎年、見てるよ。
はるちゃん、冬休み、どっか行くの?」
「私は、おばあちゃん家に、行くよ。みーちゃんは?」
「うちは、おばあちゃん達、雪深い所に住んでるから、こっちに来るんだ。3日くらい泊まっていくかな。」
「そうなんだ。おばあちゃんとこ行ったら、雪遊び出来るの、いいね。」
「うん。小さい頃は、行ってたんだけど、冬用のタイヤ着けなくなってから、来てもらうように、なったんだ〜。だから、低学年位までは、毎年、雪遊びが、楽しみだったよ。」
「この辺、雪少ないから、羨ましい。」
へへへっ、と笑いながら、美優が頷いた。
「あっ、そういえば、今週末、クリスマスだね!」
そう言ったのは、美優だった。
「あ、本当だ。」
「ねぇ、ここで、クリスマスパーティーしようよ‼︎」
「うん!やりたい!!クリスマスパーティー!」
晴風は、目を、キラキラさせながら、嬉しそうに言った。
「ねぇ、みーちゃん。私、ケーキ、作ってきてもいい?」
「えっ?いいの?」
「うん!私作りたい!」
「やった〜!はるちゃんのケーキ、楽しみだなぁ。
なら、私も、なんか食べるもの、持ってくるね。」
「みーちゃん、ありがとう。楽しみだなぁ〜。」
どうして、楽しいことを待つのは、長く感じるのだろう。
美優は、この週末になるまで、そんなことを、思いながら、過ごしていた。
当日は、お母さんにお願いして、近くのファストフード店まで、車で送ってもらって、ポテトとチキンナゲットを買った。
少しでも、クリスマス気分を、盛り上げる為に、サンタの帽子も、用意した。
それから、晴風へのクリスマスプレゼントも…。
待ち切れず、早く来てしまったが、やっぱり、晴風の方が、先に来ていた。
「また、はるちゃんに、負けたー。」
「あはは。私、楽しみ過ぎて、いっつも、早く来すぎちゃうんだよね。」
「私も、楽しみすぎたんだけどな〜。」
美優は、口を尖らせて、ちょっと拗ねてみた。
「みーちゃん、かわいい。」
そんな美優を見て、晴風が言うので、美優は、照れてしまった。
「さっ、始めよっか。
私、ポテトとナゲット持ってきたよー。
冷めちゃったかもだけど。」
「わざわざ、買いに行ってくれたの?ありがとう。」
「ううん、全然。はるちゃんと食べたかったし。
サンタの帽子も、持ってきた。」
「みーちゃんサンタだ!かわいい。
私は、トナカイ持って来た。」
そう言うと、晴風は、トナカイのカチューシャを着けて、笑った。
「はるちゃんトナカイもかわいい。写真撮ろうよ!」
「うん!撮ろう。」
2人は、スマホのカメラを覗き、笑顔でポーズを取った。
しかし、何回撮っても、背景は、白く写るばかりだった。
「んー…やっぱり、背景は写らないね。」
「でも、私たちは写ってるし、いいよ。
みーちゃん、後で、写真ちょうだい。」
「うん!後で送っとくね。」
それから、ポテトとナゲットを食べて、いよいよケーキだ。
「はるちゃんのケーキ、すごいね!
デコレーションもかわいいし。大変だったんじゃない?」
「ううん、作るの、楽しかったよ。
ずっと家族にしか、作ってなかったから、誰かと食べる為に作るの、なんかワクワクして、楽しかった。」
そう言うと、晴風は、満足そうに、はにかんだ。
「じゃあ、ジングルベル歌ってから、食べよう。」
「えっ?ジングルベル?時々、みーちゃん、面白いこと、言うよね。」
「へっ?そう?
だって、クリスマスはキリストの誕生日だけど、ハッピーバースデーじゃ変だし。
クリスマスと言ったら、ジングルベルかなって…。」
「ふふふっ。いいよ。なら、ジングルベル歌おう。」
歌詞が曖昧で、大笑いしながら、ジングルベルを歌い、ケーキを、半分に切って、食べた。
晴風のケーキは、丁度、2人で食べ切れるくらいのサイズで、生クリームとイチゴで、綺麗に、デコレーションされていた。
上には、サンタとトナカイが、手を繋いでいて、まるで、今日の2人のようだった。
味は、甘さ控えめで、甘酸っぱいイチゴとで、いくらでも食べられる、美味しさだった。
「私、はるちゃんにプレゼント持ってきたんだ〜。」
食べ終わった美優が、鞄から、プレゼントを出した。
可愛いクリスマス柄の小さな袋。
晴風が、目をパチパチさせながら、美優の方を見た。
「はるちゃん、メリークリスマス!!」
「ありがとう。ごめん、私、何も用意してなくて…」
「全然、気にしないで。」
「開けてみていい?」
「もちろん!」
そこには、かわいい髪留めが、入っていた。
秋祭りの日、バザーで買ったものだ。
2つのピンが、セットになって、売られていた。
小さめのリボンに、ビジューが散りばめられている。
「かわいい!みーちゃん、ありがとう。大事にするよ。」
「気に入ってもらえて、良かったー。
これ、私のとお揃いなんだ。」
美優は、ポケットから、髪留めを取り出した。
「ホントだ!お揃い、嬉しい!!」
晴風の目が、涙目になっている。
「学校には、着けて行けないけど、ここ来る時は、絶対着けるよ〜。
ありがとう、みーちゃん。宝物にするよー。」
「うん。私もここに来る時は、着けて来る。」
こうして、クリスマスパーティーは、笑顔で終わり、
翌日は、終業式で、冬休みに入った。




