私に出来ること
それからも、2人は、変わらない日常を、過ごしていた。
学校では、他人のように。
外では、親友のように。
最近、美優は、
(親友ってこう言うもんなんだろうな)
と、感じるようになっていた。
仲のいい友達は、今までも、沢山いたけれど、それともまた違う、もっと深い仲のような…。
まだ、はっきりは、分かっていないけれど、何となく、そんな気がしていた。
そんなことを、思うようになっていた、ある日、
美優は、学校が終わり、今日も神社の秘密基地に行こうと、帰りの準備をして、教室を出る時、ふと、ゴミ箱が、目に入った。
そこには、体育の時に被る帽子が、捨ててあった。
(間違って、誰か捨てたのかなぁ?)
そう思った美優は、何気なく、帽子を拾い上げた。
(別に破れたりしてないし…体育の時、使うから、捨てたりしないと思うけど…)
そう思いながら、名前を確認して、固まってしまった。
そこには『木崎 晴風』と、書かれていた。
一瞬で、色々な想像が、美優の頭の中を、駆け巡った。
恐らく、晴風は、帽子を捨てていない。
この帽子を捨てたのは………鮫川さん達だろう。
でも、捨てられてるのは、帽子だけ?
今日が初めて?
きっと違う、初めてではない、と思う。
他にも、盗られたり、捨てられてるものはない?
ゴミ箱から拾い上げた帽子を、見つめながら、気が付いたら、美優の目からは、涙が溢れていた。
悔しい。
親友だと思える子が、こんなことをされているのが、悔しくて仕方なかった。
涙を拭い、違う教室のゴミ箱を、覗いて回った。
見つかったのは、この帽子だけだった。
秘密基地まで、持って行こうか、とも思ったけれど、
あそこで渡すと、帽子が捨てられていた事に、気づいてしまうかもしれない。
そう思った美優は、こっそり、晴風の教室に入り、晴風の机の中にしまった。
何もなかったかのように、晴風が悲しい思いを、少しでもしなくて済むように。
美優が、学校を出る頃には、太陽は傾き始め、夕方の気配がしていた。
(暗くなるの、早くなったな…
もうすぐ冬休みだもんな〜)
そんなことを、思いながら、神社まで、急いだ。
末社の階段を降りて、中に入ると、晴風が待っていて、美優を見るなり、
「みーちゃん、遅かったね。
今日はもう、来ないのかと思ったよ。」
安堵した表情で、言った。
「遅くなって、ごめんね。
ちょっと学校で用事があってさ。
さすがに学校では、スマホ使えないし、連絡出来なかった。」
「確かに、学校ではスマホは無理だね。
良かった、事故とかじゃなくて。」
本当に、晴風は、優しい子だと思う。
何でこんな子が、虐めに合わなきゃいけないんだろう。
そう思うと、今日あったことも思い出されて、悔しくて、悲しくなってくる。
そして、助けることも出来ない自分が、情けなくて、もどかしい。
何も出来ないなりに、少しでも、彼女の負担を減らせるように、自分に出来ることをしようと、拳をギュッと握り締め、心に誓ったのだった。




