探検③
休憩もそこそこに、2人はまた歩き出した。
景色が、あまり変わらないので、どこを、どの位、歩いたのか、よく分からない。
真っ直ぐ、歩けているのか、
斜めに歩いているのか、
ちゃんと、出口に、帰れるのか。
ただ、どんなに景色が変わらなくても、終わらないお喋りで、全く退屈しなかった。
「はるちゃん、さっき何の本、読んでたの?」
「あー…来た時に、読んでた本?
色んな国の事が、書いてある本だよ。」
「世界のこと?面白いの?」
「うん、面白いよ。
知らない国のこと、知れるのが楽しい。
ここに、来るように、なってからかな。
いつか、色んな国で、働いてみたいって、思うようになったんだ。」
晴風は目をキラキラさせながら、まっすぐな眼差しで言った。
「そうなんだ。素敵な夢だね。」
「みーちゃんは、なんか夢、ある?」
「えっ?私?
んー、、、特に無いんだよね。
なりたいものとか、将来の夢とか、何になれるのかも、よく分からない。」
「そっかー」
「だから、はるちゃんみたいに、なりたいものがあるの、すごく羨ましい。
そうやって、ハッキリ、やりたい事言える、はるちゃん、かっこいいって思うよ。」
「そんなことないよ〜。
漠然と、海外で働けたらな、くらいだもん。」
照れて、困った表情の晴風が、言った。
「みーちゃんも、夢、見つかるといいね。」
「うん。なんか夢、見つかるといいな。」
「大丈夫だよ、見つかるよ。」
「うん。」
和やかに、話しながら、歩いていると、
少し遠くに、今までとは、全く違う、景色が見えてきた。
目を見合わせてから、二人は、そこまで、走って行った。
そこにあったのは………
大きな鳥居だった。
今まで、見たこともないほど、大きな鳥居は、
石でできていて、それに合わせて作られているしめ縄も、太くて大きい。
しめ縄には、紙垂とふさが、ぶら下がっている。
そして、その鳥居の奥には、鬱蒼とした森が広がっていた。
樹齢何百、何千年もあろう、大木が沢山ある。
厳かな、神聖な雰囲気が、遠くからも伝わったくるような、森だった。
今までの、草原の景色から、急に、厳かな森の景色に変わって、2人は、言葉を失っていた。
「な、何これ…」
腰を抜かしそうな、美優が言った。
「す、すごいね。こんなものがあるなんて…。」
晴風も、うまく言葉が出て来ないようだった。
「行ってみる?」
晴風が聞いてきたけれど、美優は戸惑ってしまう。
「どうしよう。帰って来られるかなぁ。」
「ね、どうしよう。気にはなるけどね。」
そう言うと、2人は、大きな鳥居を目の前に、立ち尽くしていた。
「私、行ってみようかな。
みーちゃん、ここで待ってて。
分からなくなったら、電話するから。」
「え、でも…。」
晴風は、鳥居の方に、歩き出した。
「すぐ戻るから…心配しないで。」
そして、鳥居を潜ろうとした、その時、、、
何処からともなく、狐が現れて、言った。
「そこは、お前たちが、入れる場所ではない。」
それは、はっきりと、威厳のある声だった。
美優も、晴風も、狐の方を見た。
今まで居なかった狐に、驚き、目を見開いている。
「狐さん、今、なんて…。」
驚きながらも、美優が、狐に、話しかけた。
「お前たちが、行っていい場所ではない。
出口まで案内してやる。
着いてこい。」
そう言うと、狐は背を向けて、歩き出した。
「狐さん、ここは、どう言う所なの?
行ってはいけない場所って、何?」
晴風が、狐に話しかけるが、狐からの返事はなかった。
狐は歩みを止めて、振り返り、着いて来ているかを、確認して、
「早く着いてこい。
夕暮れに、なるぞ。」
と、言った。
2人は見合わせて、頷き合い、狐に着いていくことにした。




