探検②
どこまでも、草原が、続いている。
遠くに、山並みや、小川が見える。
ここに、ゲルがあって、羊がいたら、モンゴルの様だな、と美優は思っていた。
「なんか、モンゴルみたいだね。」
晴風が、歩きながら、話しかけてきた。
美優も、同じことを、思っていたので、驚いて
「私も今、ちょうど、同じこと、考えてた!」
晴風も、美優の方を見て、驚いて、目を見開いた。
「でも、本当に不思議なとこだよね。
みーちゃんは、ここ、どういうところだと思う?」
「どうって…」
美優もずっと、考えていた。
ここが、どういう場所なのか。
「現実の…例えば、あそこの神社の下から、モンゴルにつながってて、実は今、私たちモンゴルに来てるとか…」
「私もそれ、考えたんだけど…
不思議の国のアリスの世界は、この世界ではないと、思うんだよね。」
「確かに…世界中の何処かに、アリスのテーマパークが、あるのかな?」
「でも、花は歌わないと思う。」
「未来に、タイムスリップ?」
「未来では、花も歌うように、進化するかー。
そんな未来なら、楽しいだろうね。
花が喋るなら…動物も話したり。」
二人は見合わせて、人差し指を立てて、
『狐‼︎』
と、声が重なって、思わず、笑った。
「有り得るのかも、しれないね。」
晴風が言った。
しかし、美優は違う世界を、考えていた。
いつも学校では、なかなか本音が言えなかったけれど、何故だか、晴風の前では、話してみようと思えた。
「私が考えたのは…」
「うん?」
晴風は、興味津々で、こちらを見ている。
「絵本とか本の世界なのかなって思ってた。」
「アリスだから?」
「それもあるし、ここのモンゴルみたいな景色も、本に出てきそうな気がして。
絵本と言うよりかは、写真集みたいな…。」
「なるほどね〜
本の世界に入ってるなんて、素敵だね。」
優しい笑顔を浮かべた晴風が言った。
「今流行りの、異世界に来ちゃったってのも、あり得るかな?
ゲームの世界とか。」
普段、落ち着いている晴風が、今日は、楽しそうに、はしゃいでいるのが、とても可愛かった。
「ゲームの世界なら、私たち、クリア出来てるのかなー。」
「どうだろ?クリアする毎に、景色が変わってるんじゃない?」
こんなある事、ない事を、話しているのも、楽しかった。
喋りながら、歩いていたので、いつの間にか、かなりの距離を、歩いていたのだろう。
景色は、あまり変わらないので、どの位、歩いたかは、はっきり分からないけれど、足が疲れている。
2人は、休憩する事にした。
持ってきた、ピクニックシートに、お菓子とお茶を並べた。
美優は、大好きなチョコレートと、クッキーを持ってきた。
お茶は、お母さんのアールグレイティーを、こっそり水筒に入れて、持ってきた。
晴風は、手作りのガトーショコラと、同じく紅茶を持って来ていた。
「はるちゃん、手作り!?
すごいね!!」
「口に合えば、いいんだけど…。
家に居ることが、多くなって、お菓子作りが趣味になったんだ。」
きっと、虐めに合うように、なってからだろう。
そう思うと、美優の心が、ギュッと締め付けられた。
「私、ガトーショコラ、大好きだよ!!
作ってきてくれて、ありがとう。」
虐めの事には、触れられなかった。
学校のことを、思い出させて、晴風の気持ちが沈んでしまわないか、心配だった。
今日は、普段の事を忘れて、2人で探検を楽しみたかった。
晴風が作ってきてくれた、ガトーショコラは、しっとりしていて、甘くて、とても美味しかった。
「はるちゃん、めちゃくちゃ美味しい!
お店のみたい!!」
「みーちゃん、大袈裟。
でも、嬉しい。ありがとう。」
晴風の作るガトーショコラは、美優の大好物になった。




