何故
神社まで歩いている時、美優は、晴風のことを考えていた。
小学校の時は、目立つ方では、なかったけれど、仲のいい友達と、毎日楽しそうにしていた。
どちらかと言うと大人しくて、眼鏡を掛けている。
会うと、笑顔で「みーちゃん」と声を掛けてくれたり、話すととても優しいことが、よく分かる。
頭が良くて、勉強を教えてもらったこともあった。
とても親切で、穏やかな子だった。
虐められるような子では、決してなかった。
(なんで鮫川さんは、晴風ちゃんを虐めるんだろう。)
何か、鮫川さんの、気に触ることを、晴風ちゃんがしたのだろうか。
でも晴風ちゃんは、人が嫌がることを、するような子ではない。
色々なことに気が付いて、困ってる子を助けたり出来る。
むしろ好かれるタイプの子だ。
(どんな理由であれ、やっぱり虐めていいなんてことは絶対ないのに…)
それでも、何も出来ないでいる自分にも、辟易してしまう。
(はるちゃん、朝の私の態度に、絶対、幻滅したよな…)
もう、合わせる顔がない。
そんな気持ちだった。
トボトボ歩きながら、神社に着くと、いつも通り、本殿と末社に、お参りをして、いつもの様に、鍵を開けて、秘密基地に、入って行った。
階段を降りて、中を覗くと…
いつもとは違う光景が、美優の目に映った。
夕方の森に、迷い込んだかのような景色だった。
森といっても、冬の葉っぱのない、枝だけの木が、立ち並んでいる。
目を見開いて、パチパチと瞬きをした。
少し肌寒い。
外が冬になり、寒いせいかとも思った。
この場所も季節によって、変わるのかと。
いつもの暖かく、心地よい、草原のような所を、想像していただけに、拍子抜けしてしまう。
この枝ばかりの森では、ゆっくり寛ぐことは、出来なさそうだ。
入り口の狐に、挨拶をして、とりあえず中に入った。
せっかく来たので、今日は、森の中を、歩いてみることにした。
森は、どこまでも、続いて、どこまでも、殺風景で、淋しさを感じさせる。
(やっぱり冬だから、こんな所になっちゃったのかな)
そう思いながら、歩いて行くと、人影が見えた。
今まで、誰にも会ったことがなかった。
美優は、ビックリと同時に、ドキドキしていた。
ゆっくり人影に近付いていくと、気が付いたのか、人影もこちらを、振り返った。
「えっ…」
二人の言葉が、重なった。




