最悪な一日
鮫川さんとの一件で、朝からグッタリした気分の美優は、トボトボと教室へ向かった。
幸い、鮫川さんとは、クラスが違う。
晴風ちゃんとも、違うクラスだ。
鮫川さんと晴風ちゃんは、同じクラスだった。
晴風ちゃんは、朝から刃のような言葉を浴びせられ、更に同じクラスに、鮫川さんがいると思うと、胸が締め付けられる思いがした。
背後から、
「みゆー、おはよー」
と、ご機嫌な杏奈ちゃんの声が、聞こえた。
杏奈ちゃんは、小学校は違うけど、中学一年生の時から、同じクラスで、その時からの仲良しだ。
「美優、おはよ。
なんか…疲れてる?」
落ち着いた声で、話しかけて来たのは、香織ちゃんだ。
香織ちゃんは、今年初めて、同じクラスになって、席が近かったことから、仲良くなった。
教室では、大体3人で居ることが、多い。
「おはよー。ちょっとね…。色々あってさ
朝から疲れたよー」
「なになにー?何があったよ?」
杏奈ちゃんが、興味津々で聞いてくる。
美優は躊躇いながら、小声で話した。
「今日、途中から、鮫川さんと、学校来たんだけど」
「うん、うん」
「気使い過ぎて、疲れちゃったって話」
「なーんだ、そゆことね」
もっと面白いことが、聞けると思ったのだろう。
杏奈ちゃんが、ガッカリしているのが、よく分かった。
「なるほどね〜、確かにちょっと緊張しちゃうかも。」
香織ちゃんが、同意してくれた。
でも、これ以上のことは、言えなかった。
本当は、話した方が良いかな、って思ったけれど、もし鮫川さんの耳に入ったら、と思うと、仲の良い友達にも、本音が言えなかった。
仲良しなのに、どこかで、壁を作ってしまう自分も嫌になって、更にモヤモヤしてしまう。
チャイムが鳴り、2人は自分の席に戻って行った。
ついてない日と言うのは、本当に、ついてない事が、たくさん起こる。
美優にとって、今日は、そんな日だった。
やったはずの宿題は、忘れる。
ボーッとしていて、当てられた問題が解らず、怒られる。
給食には、苦手な食べ物が出る。
掃除の時間に、男子が遊んで投げていた、雑巾が飛んできて、顔に当たった。
挙句の果てに、帰りの下駄箱で、鮫川さん達が、何かしているのを、見てしまった。
美優は、鮫川さんご一行が、いなくなってから、何かをしていた下駄箱を、覗いてしまった。
そこは、晴風ちゃんの下駄箱で、何やら手紙が入っていた。
晴風ちゃんの靴は、もうない。
手紙の中は見なかったけれど、きっと、ロクなこと書いてないだろうな、と思うと、また気分は落ち込んだ。
それでも何もできない自分に、更に自己嫌悪に陥ってしまった。
(あー…なんか今日は、本当にいい事ないな)
そう思うと、重い溜め息を吐いた。
(こんな日は、秘密基地でゆっくりしてから帰ろう。)
靴を履き替え、重い気持ちのまま、いつもの神社を目指して、一人歩いて行った。




