秘密基地
どのくらい、眠っていたのだろう。
はっ、と気づいた時には、何だか、よく眠った気がして、もう夜なんじゃないかと、焦った。
急いでカバンを持って、出口に向かう。
辺りは変わらず、草原のままだったけれど、来た時は、入り口に居た、狐はいなくなっていた。
(いない時もあるんだな)
と思いながら、階段を上がり、神社に出ると、日暮れが近いのか、辺りは夕方の色を、纏っていた。
急ぎ足で、神社を出て、家へ向かった。
家に着いた時には、まだお母さんも、帰って来ていなくて、ホッとした気持ちで、自分の部屋へ入った。
部屋の時計を見ると、1時間くらい眠っていたようだ。
末社の中の、不思議な世界で、寝てしまったので、
何も調べることは、出来なかったけれど、
あそこに、別世界があることは、本当だった、と思ったら、嬉しい気持ちになった。
何であんな所に、別世界が出来たのか?
昨日と今日は、違う景色だったけど、違うところなのか?
昨日の疑問とは、また違う疑問が、出て来たけれど、美優は誰も知らない、あの世界に行けることが、なんだか嬉しくて、誇らしい気持ちにも、なっていた。
それからも時々、学校帰りや、休みの日に、末社の中の別世界にお邪魔しては、のんびりと、1人の時間を、楽しんだ。
慣れてくると、ちょっと、お菓子を持って行って、ゆっくりと本を読んだり、昼寝をしたり、テスト前には、テスト勉強もした。
静かで、穏やかなこの場所は、とても落ち着いた気持ちになる。
大体ここに来ると、学校での嫌なことや、悩みも、(ま、いっか)と思えてしまう。
美優はこの別世界を、1人だけの秘密基地として、誰にも言わず、楽しんでいた。




