次の日
翌日の学校は、一日中、落ち着かなかった。
放課後のことを、考えると、ソワソワしてしまう。
仲良しの、杏奈ちゃんと香織ちゃんとのお喋りも、なんだか、上の空で、
「美優ちゃん、聞いてる?
大丈夫?」
と、何度も、聞かれてしまった。
その度に、美優は、
「うん、大丈夫!
ちょっと、寝不足で、ぼーっとしてるだけ」
と、言って、やり過ごした。
寝不足なのは、本当だ。
色々考えて、今日が楽しみで、あまり眠れなかった。
昨日のことは、仲がよい友達だけど、言う気には、なれなかった。
信じてもらえる気もしないし、
なぜだろう。
話そうとも、思えなかった。
そうこうしている内に、学校が終わり、美優は、
「一緒に帰ろう。」と言う、杏奈ちゃんや香織ちゃんに、
「ごめん、用事あるから急いでて。先に帰るね」と言って、神社まで、走って行った。
走るのは、得意ではないけど、
あの場所へ行けるかも、と思ったら、ワクワクした気持ちで、自然と、走り出していた。
神社に着くと、ゆっくり、辺りを、見渡した。
昨日のような、キラキラした感じではないけど、
紅葉が色付き、秋を思わせる景色は、とても綺麗だった。
昨日は、夢中で、すっかり、忘れてしまっていたけれど、
今日は、まず本殿に、お詣りをして、隣の末社へ行った。
よく見ると、末社の横には、2匹の狐の像があった。
(だから、狐なのかなー)
なんて思いながら、末社に近付き、お詣りをしてから、中を覗くと、昨日と同じように、鍵があった。
美優は、昨日のように、鍵に手を伸ばした。
昨日よりは、落ち着いている。
鍵を開けて、中に入ると、そこには、階段があった。
(やっぱり、夢じゃなかったんだ‼︎)
そう思いながら、ゆっくり階段を降りていった。
光の先に見えたのは…
美優が期待した景色ではなかった。
お城も、歌う花も、ティーパーティも、変わった色の猫も、いなかった。
ただ、そこは、だだっ広い草原のような所だった。
優しい風が吹いていて、とても心地よい。
美優は、昨日の、テーマパークのような所を、想像していただけに、少しだけガッカリしたけれど、
ここはここで、とても居心地のよい所で、気に入っていた。
昨日と同じように、狐が入り口の所に居たので、
「こんにちは、狐さん。
昨日とは、違うのね。」
なんて、挨拶をして、この草原の中に入った。
狐は、相変わらず、何も言わない。
じっと美優を見ているだけだった。
柔らかい草を踏み、暖かな風を浴びながら、歩いてみるけれど、奥の方も、草原がずっと続いているだけで、何もない。
迷子にでもなったら大変と、入り口近くで、横になってみた。
草の青々とした香りが、鼻をくすぐる。
柔らかな草が、布団のように、美優の身体を包み、
暖かい日差しを浴びながら、目を閉じてみた。
風が気持ちいい。
気がつくと美優は、ウトウト、眠ってしまっていた。




