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8話 心の拠り所

僕らはお互い支え合える家族になれた。

婚約してから2年後妻のお腹に赤ちゃんが宿った。

「早く生まれてきて欲しいなぁ。そういえばずっとアパートで暮らしてきたけれどそろそろマイホームも考えないと狭くなるかもしれないね」

「それについてなんだがひとつお願いと言うと少し違うんだが、実は前居た家に戻りたいと思っていてな。ここに来る前、俺は両親を亡くして孤独で親戚にたらい回しにされて、虐待に怯える日々を過ごしていたんだ。ごめんね、突然だから何を言っているか分からないよね…」

「大丈夫よ?ゆっくりでいいから話して?」

「それで俺は死にかけていたんだけどその時、夜刀神っていう蛇神に助けられてからずっと夜刀神と一緒に暮らしてきたんだけど、都会に出る前に約束したんだ。遅くなっても絶対に家に戻るって。だから戻るというよりみんなでその家に住みたいと思ったんだが、信じれない話だよな…」

「私はあなたを愛してる。だからどんなことも信じるよ。私はその家に住むの賛成だよ?なんなら、そっちの方が楽しそう!」

僕は妻の言葉に驚いたが、驚きよりも嬉しさが上回っていた。

そして40週が経過し、無事妻は子供を出産した。

幸せな時間は早いもので、気がつく度に息子は成長して行った。

だけどひとつの心配事があった。

息子は小学校の帰路で蛇に襲われたのがきっかけに蛇がトラウマになってしまっていた。

それからしばらくして家に戻ることを決め、妻と息子と自分で、車で記憶を頼りに夜刀神の待つ家へ向かった。

途中の道で迷ったりしたが何とか無事に家の前に着いた。

20年近く夜刀神を待たせてしまった。

僕は夜刀神がまだ居てくれているのを信じ、玄関の扉を開けた。

部屋は埃まみれになっていた。

僕は名前を叫び探したが、どこにも夜刀神の姿はなかった。

自分のせいで夜刀神に嘘をつかせてしまったと思い膝から力が抜けた。

すると後ろから気配を感じ振り向くと何かが飛びついてきた。

僕は恐る恐る見ると夜刀神だった。

「大きくなったな。渉。おかえり」

「夜刀神…ごめんね、帰るの遅くなって…」

「大丈夫だ。こうしてまた会えたのだから」

「いっぱい話したいことがあるんだ」

すると妻が息子を抱きかかえて僕らを見つけた。

「あの人間達は…?」

「紹介するよ!僕の妻と息子だよ!」

「家族を築いたのか!?」

夜刀神は驚いて口が塞がらないようだった。

「初めまして。渉の妻です。夫から話しを聞いていたので大丈夫なのですが、それでも驚きが…これからよろしくお願いします」

「夜刀神だよろしく頼む…。」

それからは家族みんなで夜刀神に今までのことを話した。

「そうだったのだな。ひとつ気になっていたのだが、お前の息子、今は疲れて寝ているが何故あんなに怖がっていたんだ?我が目を合わせてもそっぽを向くのだが…」

「あぁ、実は…蛇に襲われてトラウマになってしまってるみたいなんだ。どうにかしてあげたいんだけどな…」

どうやら夜刀神はいい考えがあるようだった。

夜刀神は自分のそばで息子を寝かせていた。

すると息子は目が覚めて驚いて泣きそうになっていた。

「泣かなくても大丈夫だぞ?我はお前の父の家族だからな」

「蛇は嫌だ…。怖い!」

「聞いたぞ?蛇に襲われたって。その蛇は我が成敗してやる!だからもう大丈夫だぞ?」

「本当?蛇さんは僕のこと、攻撃しない?」

「当然だ。何かあれば我が守ってやるからな」

息子は安心したのか、肩から力が抜けて夜刀神を抱きしめてまた眠りについた。

僕と妻は暖かな笑顔で見とれていた。

「夜刀神、ありがとう。これで息子もきっと安心してこの家を好きになってくれるよ」

「困ったな…こんなすぐに気に入られるとは…」

息子は夜刀神を抱きしめたままぐっすり眠っていた。

「そういえば、今後はどうするつもりなんだ?」

「妻も息子もこの家を気に入ってくれたから、ここに住みたいなって思ってるよ。それにこの家は俺のおばあちゃんからお母さん、そして俺に託された家だから」

「我は一向に構わないぞ。お前がこの家を出ていった時から、今日まで何百年も生きていた我でも特に長く感じる20年だった。またこの家が賑やかになるのはとても嬉しい限りだ」

「そう思ってくれて俺も嬉しいよ」

僕と妻、それに息子と夜刀神の4人で幸せに暮らしたとさ。

そうして僕の壮絶で輝かしい人生の語りはここで終わりにした。

「もう…眠るのだな…」

「夜刀神、心の拠り所をありがとう…」

これにて「蛇神様は少年の拠り所」は完結となります!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

今後も色んな作品を作るのでお楽しみに!

宏吉より

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