052.幸福な結末
そうして幸せな生活を送っていると、数ヶ月後にはすぐに懐妊の兆しが見られ、しばらくは安静に、ということになった。
「ポーションを撒くのは、精霊達にやらせるから安心するにゃ!」
「魔法も使わず安静にするのにゃ!」と精霊王のラズロは聞かず、今ではアネスタとサウザン王国全体に撒いている万能薬の散布は精霊達の仕事になっている。
ポーション作りは日課になっていて、ずっと作って溜めておいた甲斐があったというものだ。
そうしてようやく安定する時期がやってくると、再び彼が行為はなくともベッドくらいは共にと求めてくるようになってくる。
「おなかの形状が変わってくるのも愛おしい」
そう言って、おなかに直に耳を押し当ててみたり、そのなだらかな二人の愛の証の丘を撫でみたりしては、私の体を優しく愛でる。
「これが、私達の愛の結晶なのね」
「ああ、確かにここに実っている」
薄い夜着の上に、冷えるからとガウンを肩からかけさせてもらい、私は背中からユリシーズに抱かれている。
私達の愛の結晶が眠っている場所に、互いの手を重ねて。
「愛しているわ」
「愛しているよ。今までも、これからも。永遠に」
私は首を後ろに振り向かせ、彼の首筋に手を滑らせて、ねだるように唇を寄せる。
「……おねだりも、上手になってきて、可愛いよ」
そうして、優しくキスをくれる。
激しいことは、この子が生まれてくるまではお預け。
それでも。
ただ、互いがいるだけで。
そして、その愛が結実した証がここにあるだけで幸せで……。
さらに深く愛おしさが増すだなんて知らなかった。
私達は、今、最高に幸せだ。
了
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