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048.ヴィンセントの落胆

「全く、父といい、兄といい馬鹿ばかりだ! 私がせっかく計画して進言したものも、パァじゃないか」


 ヴィンセントは、その一部始終を見て、無謀にも竜に戦争を仕掛けようとして、竜の息(ドラゴンブレス)の前に、みっともない敗退を見せた姿も。


 それを止めなかった父に対してもあきれかえっていた。


 そもそも、本来は穏便にエリスを手に入れるはずだったのだ。それを、父王は国王のプライドというどうでもいいもののために台無しにした。


 ――それと、もうこの国の行く先も見えている。


 この国のこの先。


 それは、ゆっくりとした衰退と退廃だろう。


 ゆくゆくは立国するであろうアネスタとも、そして、サウザン王国とも国交を結ぶのは難しいだろう。


 まして、あの兄が王になり、あの(ミリア)が王妃となれば、国費を散財するのは目に見えている。そして、アルフォンスはアルフォンスで、ろくな統治も行えないだろう。


 そんな中、自分が王弟になったとて、諫めようにも諫められるような人達ではないことは、今回のことでよくわかってしまった。


 第二王子、ゆくゆくは王弟として補佐するにしても、無理がある。


 そもそも、自分が欲しかったのは、あの、エリス姫だ。


 ――ああ、我が愛しきエリス姫。


 けれど、それが永遠に得られない今、この国にいる意味も無いような気がした。


 胸に、空虚さが押し寄せる。


 ヴィンセントは荷物をまとめた。


 もう、この国に残る意味は無い。


 そして、そっと誰にも気付かれることもなく、行方をくらませたのだった。

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