036.再びの特級品
そうして、また別の日。
恒例の、「特級品」作りをしてみることにした。
「液化」、「気化」
私の聖なる魔力を存分に注いでいくと、亜鉛が溶けて虹色の液体になり、完成した亜鉛華(?)は、白をベースにはしているものの、細かな七色の輝きを持っていて、まるで前世でいう高級ブランドのフェースパウダーの効果でも持たせたような出来だった。
「やっぱりエリスのは特級品になるんだにゃ」
一連の実験を見学していたラズロとマリアが「やっぱり」といった様子で笑っていたのだった。
「私もやっぱりお化粧をした方が魅力的になれるかしら?」
そう思って、作り終えた化粧品をマリアに持ってきてもらって、自室で化粧をしてみる。
まずは湯浴み。
隅から隅まで、バラのオイルの石けんで体を洗う。それはしっとりと肌を包み、柔らかく泡で撫でれば、白魚のような白い肌を傷めることもない。
顔など、特に気になる部分はスクラブで丁寧に優しく磨く。
タオルで全身を拭ってもらって、下着を着付けてもらい、その上から、私の目の色に合わせたドレスを着せてもらう。
次に鏡台に場所を移す。
そうして、つるりと仕上がった肌の上に特級品の化粧水をパシャパシャとふんだんに載せれば、しっとりもっちりとした質感の肌になる。
肌に、さっと刷毛でおしろいを刷けば、肌はワントーン白く、そしてパール状に艶やかになる。チークを頬に刷き、口紅を載せる。
銀の髪に、アメジストの瞳。
ドレスは瞳にあわせた菫色。七分丈の袖からは、レースが二段重ねで縫い付けられていて。デコルテの辺りにちょうど位置があうように作ってもらったチェーンには、ユリウスから贈られたアクセサリーをペンダントトップとして飾った。
肌はまるで全身にパールのパウダーを散らしたかのように光り輝いている。そうして、さらに艶やかになった私が、鏡の中にいたのだった。
――この姿をユリウスに見せられる日が来たら良いのに。
それはどんなときだろう?
この恋心が実るとき?
ああ、そんな日が来たら、どんなに嬉しいのかしら!




