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3.二人の関係は?

「こんにちわ」

「こんにちわっ…」


 ナーシャは私に気づくと笑顔で挨拶をしてくれた。

 私はそんなナーシャの眩しい笑顔にドキッとしながらも挨拶を返した。


 ヒロインが可愛いっていうのは分かっていたけど、現物を見るとそれ以上だった。

 こんな子が目の前に現れたら惚れない方がおかしい!

 私が男だったら一瞬で恋に落ちてしまうだろう。

 ヒロインの笑顔の破壊力、凄すぎる。


「ライラ嬢、この子がさっき話していた…、手伝いをしている子だよ」

「あ、そうなんですね。あまりの可愛さについ見惚れてしまいました…」


 我に返った私が本心をそのまま口に出してしまうと、ナーシャは顔を赤くして照れていた。

 そんな照れている姿のナーシャは、また一段と可愛かった。

 そんな私達のやり取りを見てルディスはクスクスと笑っていた。


「ナーシャ、彼女はライラ嬢。グロウのお姉さんだよ」

「え…!?そうなんですか?は、初めまして、私はナーシャ・ブラウスと言います。よろしくお願いします」

「ライラ・ローファンです。こちらこそよろしくお願いします。弟のグロウの事、知っているの?」


「はい、グロウ様とは同じクラスで、いつも良くしてもらっています!」

「そうなんだ」


 ナーシャの言葉を聞いて私は少しほっとした。

 グロウの事はちゃんと認識しているみたいだ。

 これで名前すら覚えられてない状態だったら、そこから教えなきゃならなかったので正直安心した。


 だけどルディスとナーシャが仲が良さそうなのが気になる。

 やっぱりナーシャもルディス狙いなのだろうか…。


 二人の関係を知りたいけど、いきなり『二人は恋人同士なんですか?』なんて聞くのも不躾だしなぁ…。

 結局、今日はそれ以上聞くことは出来なかった。


 私達はカフェに1時間程滞在して店を出た。


「ライラ嬢はこれからどうするの?」

「目的だったカフェにも寄れたので、私は屋敷に帰ろうと思います」


 帰って今後の作戦を立てなければならない。

 ルディスは間違いなく強敵だ。


「そうか。ライラ嬢、今日は一緒に過ごせて楽しかったよ。気を付けて帰ってね」

「こちらこそ、今日はありがとうございましたっ」


 ルディスに優しい表情を向けられて、不覚にもドキドキとしてしまった。


(ライバルにドキドキしちゃうなんて…。ルディス様は危険だわっ!)


 挨拶を終えてルディスと別れると、そのまま真直ぐ屋敷に帰った。

 そして、すぐさま弟のグロウの部屋に乗り込んだ。



 *****



 バンッ!

 勢いよく部屋のドアを開けると、その音に驚いて弟のグロウが振り返った。


「姉さん、どうしたの?」

「グロウ…作戦会議をしましょう!!」


「え…?」


 突然の事にグロウは動揺した表情を浮かべている。

 私はそんなことは気にせず、今日の出来事をグロウに伝えた。


「ちょっと待って…姉さん、ナーシャに会いに行ったの!?」

「思ってた以上にナーシャさんは可愛かったよ。グロウ、このままだとナーシャさんをルディス様に取られちゃうよ!そんなの嫌だよね?ねっ?」


「なんでルディス様が出て来るんだ?……ていうか、姉さんがなんでそんなに張り切ってるの?」


 私が迫るとグロウはきょとんとしていた。

 寧ろ少し呆れた表情をしていると言った方が正しいのかもしれない。


 友人だと思っていた人が実はライバルだったなんて知ってショックだったのかな…。

 グロウ、可哀そうに。

 だけど現実をちゃんと見ないと…ね。


「今日二人のやり取りを見てたら、ただならぬ関係なんだろうなって直感したの」

「それってナーシャとルディス様が…?」


「他に誰がいるの…?」


 私が深刻そうな表情で話すと、グロウは少し考えてる様子だった。


「でも、それはないと思う…。姉さんの勘違いじゃない?」

「グロウがルディス様と友人関係なのは知っているわ。ショックかもしれないけど…私は見たのっ!二人共、本当に仲が良さそうだった。信じたくない気持ちは分かるけど…」


 グロウは楽観的すぎるよ。

 相手はあのルディス様よ?

 そんなのんびりしていたら本当にルディス様にナーシャさんを取られてしまうわ…!


「……ナーシャがルディス様を好きになるのはあるかもしれないけど、ルディス様には他に思ってる人がいるからナーシャを好きになることはないと思うよ…」

「え!?そうなの?」


「うん、まぁ…」


 グロウの言葉に私は驚きのあまり固まってしまった。


 ルディスには他に好きな人がいる?

 うそ、そうなの!?

 それって、ヒロイン以外に好きな人がいるって事だよね…。

 相手は誰なんだろう…。


「何度も婚約を申し出ている様だけど、断られているみたい…」

「なんと!…そんな相手がいるんだ。そっか、そっか…」


 知らなかった。

 だけどそれって私たちにとっては好都合じゃない!


「姉さん…どうしてそんなに嬉しそうな顔をしてるの…?」


 先程まで神妙な面持ちだった私が突然嬉しそうな表情に変わったのを見て、グロウは怪訝そうな顔で私に言った。


「だって、それってグロウにもチャンスはあるってことじゃないっ!」

「僕なんか無理だよ。カエサル殿下もナーシャの事を気にかけているみたいだし…」


 グロウの口から出たカエサル殿下という名前を聞いて私はハッとした。


 カエサル・イル・モンテロード

 銀髪に碧い瞳で見るからに王子様。いや、本物の王子様だけど…。

 見た目だけで言うのならば、私が一番惹かれたのがこのカエサルだった。


 表向きは誰にでも優しそうに接して、普段からにこにこと胡散臭い笑顔を振りまいている。

 そして感情をあまり表には出さない…ヒロイン以外には。


 プレイした人にしかわからないと思うけど、この王太子の腹の中は真っ黒だった。

 ヒロインを好きになると執着しまくるし、独占欲が異様に強いし、腹黒でヤンデレ。

 こういうタイプが好きな人もいると思うけど、人を選ぶと思う。

 私だったら絶対無理。


 カエサルには悪いけど、これならグロウの方が全然マシだ。


(腹黒王子なんかにナーシャさんは渡さないわっ!!)

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