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15.小さな嫉妬

「はぁ…、疲れたぁ…」


 私は屋敷に戻るなり、直ぐにドレスを脱いで普段着へと着替えた。

 そしてベッドの上に仰向けになると、大の字で横になっていた。

 誰かに見られたら間違いなくはしたないと言われるだろうが、生憎この部屋には私一人しかない。


 私は深く息を吐き、体から力を抜く様にだらんとしていた。


(やっぱり社交界って苦手だな。特にダンスが…)


 こういう社交界の場に出る機会はこれからも何度か訪れるのだろう。

 その時の為にダンスの練習はしておいた方が良いと思うのだが、面倒だなぁ…と思ってしまう。

 ダンスの練習をする位なら、他の事に時間を使いたい。


(私、絶対令嬢ってタイプではないのよね…。前世の記憶があるから尚更なのかな…)


 そして、目を瞑りながら今日の出来事を思い返していた。

 今日は本当に色々な事があった。


 何故かカエサルには絡まれるし、王女様に初めて会って…。

 それからルディスから過去の話を聞かされて。


 イベント多すぎじゃない…?

 そもそも私ただのモブキャラなのに、どうしてこんなにも主要メンバーに絡まれてしまうのだろう。

 絶対おかしい。


 ヒロインのナーシャはグロウルートで間違いないだろう。

 私は前世ではカエサルルートしかプレイしたことが無かったのだが、グロウルートの場合はこんな展開になるのだろうか…。

 実際プレイしていない部分は分からないの、その可能性が無いとも言えない。


(会場でチラッとグロウ達を見かけたけど、なかなかお似合いだったなー…)


「上手くいったのかなぁ…」


「なにが…?」

「グロウとナーシャが……って、ちょっ…なんでここにいるの?!」


 私が慌てて起き上がると、グロウは平然とベッドの端に座っていた。


「一応何度か呼んだけど、姉さん全く反応が無かったから」

「き、気付かなかった」


「姉さんって考え込むと、周りの存在目に入らなくなるもんな」

「……っ…」


 図星だったから何も言えなかった。

 

 それにしても…、あの日から本当にグロウの態度が変わった。

 前までの可愛らしい雰囲気はなくなり、なんていうか意地悪になったと言うべきなのだろうか。

 私はそんなグロウをジト目で見つめていた。

 

 視線が合うとグロウは「なに?」と聞いて来たので私は「別に…」と言って視線を逸らした。

 しかし、グロウは私の方に顔を寄せてくると、覗き込んで来た。


「今日ルディス様と一緒に行ったはずなのに、どうしてカエサル殿下と仲良さそうにしてたの?」

「仲良くしていたって言うか、あれはちょっとした成り行きで…」

 

 グロウは口調からも表情からも不満そうな態度を見せて来た。

 そんな顔をされても困ってしまう。

 あれは私が望んでしたことではなく、本当に成り行きでああなってしまったのだから…。


「姉さんってほんと、流されやすいよな。やっぱり俺が一緒に行けば良かった…」

「そういうグロウはどうだったの?楽しめた…?」


 グロウに責められ苦笑すると、私は咄嗟に話を変えた。


「楽しかったって言ったら姉さんは喜んでくれるの?」

「何よ、その言い方…。楽しめたら良かったなって思うけど…」


 グロウの言い方に戸惑っていると、突然抱きしめられた。


「なっ、なにするの!?」

「何、動揺してるの?抱きしめるくらい、いつもしている事だろ?」


 確かに…、グロウの言う通り、今までは普通にスキンシップは良くして来た方だと思う。

 しかもそうしていたのは殆どが私の方からだった。

 可愛い弟をぎゅうっとしたくなる気持ちが抑えきれずに…。


 だけどあの時とは、何かが違う。

 抱きしめられグロウの熱を感じる度にドキドキしてしまう。


「もしかして、俺の事…意識してくれてるの?」

「ち、違うっ…」


 私が否定すると首元に温かいものが押し当てられ、チュッと耳元で小さく音が響いた。


「……っ…?!な、何してるの?」

「ただのスキンシップだよ。たまには俺からするのもいいかなって思ってさ…」


 私はグロウの胸板を思いっきり押し戻した。

 なんとか離れられたが、私の顔は自分でも分かる程に熱を持っていた。

 そんな私の姿を見てグロウは意地悪そうに笑った。


「可愛い反応。隙を見せた姉さんが悪い…。っていうか男の前で隙を見せ過ぎなんだよ…」

「私はそんな事まではしてないっ…!ただ、ぎゅってするだけでっ…」


 私が一人で言い訳を始めると、グロウは大人しく私の言葉を聞いていたが、それから暫くして立ち上がった。


「部屋に戻るの…?」

「何?もっと俺にここに居て欲しいの?」


 不意に立ち上がったグロウに思わず問いかけた。

 するとグロウはクスッと口端を上げて意地悪そうな顔で耳元で囁いて来た。


「ち、違うっ…」

「慌て過ぎ。いつまでもここにいたら姉さんの事、もっといじめたくなるからな」


 私は慌てて否定すると視線を逸らした。


「……っ…!!」

「姉さんも今日は疲れただろう…?だからゆっくり休んで。おやすみ、姉さん…」


 グロウは普段の声で優しく挨拶をして、そのまま部屋を出て行った。


(なんなのっ…。こんなの私の知ってるグロウじゃない…!)


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