ルート1 五関 絢⑦
「「ごちそうさまでした」」
2人同時に手を合わせて食べた食材に感謝と、俺は作ってくれた五関にも感謝の気持ちを込める。
よいしょっと席を立ち、自分の皿と俺の皿を持って台所に行こうとした五関を呼び止める。
「あ! 洗い物は俺がやるよ。作ってくれたし、今日誕生日の人に洗い物までお願いできないしさ」
「ありがとう! 気持ちだけで十分だよ! それに、れいやっちは今日お客さんだからもてなすのは当然だよ! だから先に私の部屋に行ってて。場所は覚えてるよね?」
「あ、ああ……わかった。ありがとう」
まくしたてるように言った五関に対抗できずに、厚意に甘えることにした。
そしてついに五関の部屋に行く。告白のときは刻一刻と近づいているのを感じながら、俺は五関の部屋がある2階へと足を運んだ。
五関の部屋は階段を登って突き当りの部屋。その扉を開く。開けた瞬間に甘い匂いがしてきて頭がくらくらした。
目に写った景色は、やはり小学生の時とは全然違っていて、全体的に女の子らしい部屋になっていた。唯一変わっていないなと思ったのは、ベッドの上を占拠しているぬいぐるみの数。当時の種類までは覚えていないが、昔もすごい数のぬいぐるみがあったことを覚えていた。
変わっていないことに安心して、俺はベッド近くに腰掛けて五関を待つことにした。
「おまたせー……って暑い! 冷房つけてくれてよかったのに」
洗い物を終えて部屋に戻ってきた五関はそう言いながら冷房のスイッチを入れる。
緊張のせいで冷房をつけるという発想すらなかったが、確かに言われてみれば暑かった……。
「ありがと。あと洗い物もしてくれてありがとう」
「どういたしまして! ……じゃあなにしよっか……?」
横に座った五関を横目で見つつ、俺はそうだなーと思考を研ぎ澄ます。
「……あ! 久しぶりに卒アルとか見たいかも!」
「おぉいいね! ちょいとお待ちを~」
俺の提案を受けてすぐに五関は卒アルをしまっているであろう本棚を探り始めた。
「はい、これが小学生の時でこっちが中学生! 私も見るの久しぶりだから楽しみだなー」
「ありがと。俺も楽しみだ。早速小学生の方から見よう」
そう言って俺は小学生の卒アルを開く。パラパラと捲っていき、運動会や遠足などの行事写真を振り返っていく。4年生までひと通り見て、5年生のページに突入した。
「林間学校! 懐かしい~。あれって5年生のときだったんだ。確かれいやっちは別のクラスだったよね」
「そんな気がする。てか林間学校で映ってる俺の顔全部暗くない? 4年生まで笑顔だったのに……。そんなに林間学校嫌だったのかな?」
「え……覚えてないの?」
「ん? なにを?」
林間学校の記憶が全くない俺とは違い、何か知っている様子の五関に聞いてみる。五関の表情がなぜか少し曇る。
「……いや、自分のことだから覚えてないの? って聞いただけだよー。深い意味はないからね?」
「そ、そうか? まぁ覚えてないってことはあんまり深い理由じゃないんだろうな」
「……それか忘れたい記憶だから……かな」
「? なにか言った?」
「うーん! あ、次は修学旅行のページだよ!」
小声で五関が何を言ったのか気になったが、そのまま続きを見始めた。
「やっぱり卒アルっていいね! 中学を卒業してまだ2年も経ってないけど、懐かしい気持ちになったよー」
「そうだな。あのときはまさか五関と違う高校に行くなんて思ってなかったけどな」
「……そうだね」
暑かった部屋もすっかり涼しくなり、小・中学時代の卒アルを見終わった俺達に少しの静寂が訪れる。なんだこの静寂は? 気まずい……。
「……ねぇ」
「うん? どうした?」
静寂を破ったのは五関。気まずかったので心から感謝して五関の続きの言葉を待つ。
「中学2年生のときのこと、覚えてる?」
「中2のとき? 卒アル見たばっかだからある程度は覚えてるけど……。あ、もしかしてあれか? 要だけ違うクラスになって休み時間になるたびに俺達の教室に遊びに来て―――」
「違う。それじゃなくて……ね?」
言い終わる前に言葉で静止される。五関は何を言いたいんだ?
「中学2年生のあの時から、またれいやっちの恋愛相談相手になったの……覚えてない?」
あっ、と言葉が詰まった。声にならない声が出る。……ん? 「また」 って言ったか? とそんな疑問を一刀両断するように五関は言葉を紡ぐ。
「覚えてるよね? 花火に誘ってくれたときも、なるみんのことを言ったら表情が曇ったもんね。……ねぇ、私の告白、聞いてくれる?」
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