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イフルート  作者: 如月りょう
22/28

ルート1 五関 絢⑥


 自分でセットした目覚ましの音で目を覚ます。

 時刻は9時。

 約9時間寝たのにまだ少し眠たいと感じる自分が末恐ろしい。しかし今日は二度寝はしない。

 まだ完全に開いていない目を擦りながらゆっくりと上半身を起き上がらせた。

 スマホを確認すると1件のメッセージが届いていた。相手は五関で、その内容は昨日の返事で 『ありがとう! 会えるの楽しみにしてるね! おやすみ(。-ω-)』 と来ていた。

 連絡をくれた時間は俺が送信した5分後だった。この連絡に気づいていないということは、俺は本当に送ってすぐに眠りにつけたということか……。自分の才能の片鱗に気づいた瞬間であった。(特に意味なし)






「あー、緊張する……」


 あの後支度を終わらせた俺は五関の家の前に来ていた。

 五関の家のチャイムを押すのは小学生の時以来。あのときは緊張なんてしなかったのに、月日が立つとこんなにも変わるのか。

 スマホで時間を確認する。時刻は11時58分となっていた。

 今日は1日五関の家で過ごす。夜には両親が帰ってくると言っていたので、それまでには帰るつもりでいる。

 告白するのは帰る直前がベストだろう。早くに告白して断られたときの気まずさは計り知れない。かと言って告白するベストタイミングは俺にはわからない。告白した経験も前回の未遂で終わった一回しかないのだから……。

 そこまで考えてもう一度時間を確認すると12時になっていた。

 覚悟を決めてインターホンに手を伸ばす。あ、最初の挨拶なんて言おう。なんて考えていたら考えがまとまる前に勢い余って押してしまった。……幸先不安だ。

 インターホン越しから五関の 『はい』 という声が聞こえてきた。俺はキョドりながらも無難に 「須藤です」 とだけ応えて扉が開くのを待った。






 俺は今五関家のリビングにいる。てっきり最初から五関の部屋に行くと思っていたので、少しだけ緊張がほぐれる。

 なんでも、一緒にお昼ごはんを食べるためにリビングに通してくれたらしい。そのせいか、リビングに入ったとき確かにいい匂いがした。


「おまたせ! 今日は突然家に呼んじゃってごめんね? そのお礼にパスタを作りましたー! お口に合うかはわからないけど、よかったら食べてみて!」

「おぉ、すげー! ありがとう! めちゃくちゃ食べる!」


 子供みたいーと言いながら俺の前に出してくれたお皿には美味しそうな匂いをこれでもかと放つカルボナーラが盛られていた。


「これカルボナーラだよな? 五関って料理できるんだな。意外」

「あ、バカにしてるなー? 私だって少しはできるよ! でも家族以外に作ったことないから、味の保証はできないけど……」


 後半自信なく言っていたが、見た目と匂いは完璧だと思う。早速一口頂こうとフォークを手に取り、いただきますと口にして真ん中にある半熟卵を割る。


「すご、ちゃんと綺麗な半熟卵だ! この時点で俺にはできない!!」

「そこ別に自信満々に言うところじゃないよー」


 クスクスと笑う五関の視線を感じながら、割った半熟卵をかき混ぜて全体に絡める。いい感じに絡まった所でフォークを回転させすくい上げた。


「じゃ改めて、いただきまーす」


 パクッと口に頬張る。口に入れた瞬間に美味い! が口の中を支配した。チーズの風味と半熟卵のまろやかさ、そしてブラックペッパーのピリ辛さ、全てがマッチしていて抜群に美味しい。

 そんな俺の様子を見ていた五関が心配そうに 「どう……?」 と聞いてきた。


「正直……めっっっちゃ美味い! お店のと比べても遜色ないぐらい!」

「大げさだよー。……でもよかった……」


 先程まで少し強張っていた五関の表情が緩やかになったのを見て、本当に不安だったのだと感じ取った。


「ほら、五関も早く食べよう! 食べないなら俺が全部食べるからな!」

「えーそれは困る! じゃあ私もいただきます」


 五関もようやく食べ始めた。

 そういえばさっき五関は家族以外に作ったことがないと言っていたが、よく考えてみたら俺も家族以外の手料理を食べたことが無かった。

 初めて食べた家族以外の手料理がこのカルボナーラでよかったと心からそう思った。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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