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イフルート  作者: 如月りょう
19/28

ルート1 五関 絢③


 神と家の前で会ってから3日が経ち、今日は花火大会当日。

 もう辺りは薄暗くなってきており、五関との待ち合わせ場所である第一公園の前に来ていた。

 地元の花火大会はなかなか規模がでかく、他の街から来る人も多い。そのため普段の閑散とした様子とは違い、辺り一帯浴衣姿の人で賑わっていた。


 浴衣姿の人たちをぼんやりと眺めながら、俺は神に質問した内容を振り返る。

 質問したことにより、攻略対象は7人ということはわかった。ただ、二条さんを除いた他5人の候補をこの3日間考えていたが、結局答えは出なかった。そもそも五関が違う可能性もまだあるし……。

 考えるだけ沼になると思い、俺は自分のスマホに目を落とす。

 【五関絢】の最新のトークには 『ごめん! 10分遅れる!』 というメッセージが来ていた。

 そのメッセージに俺は 『了解』 とだけ返信してスマホをポケットに戻す。


 メッセージが送られてきたのは8分前だったのでもう直に来るだろうと俺は心の準備を始める。

 最後に五関と会ったのは実は昨日。バイトでシフトが被っていた。その時の五関の様子はいつもと変わらないように感じた。

 そんなことを考えていると、カツカツと下駄の音がこちらに近づいてくる音がした。


「ごめん、遅れて! 準備に時間かかっちゃって」


 顔を上げる。そこには赤と黄色が綺麗に混ざった浴衣を身にまとった五関の姿があった。

 髪型もいつものツインテールとは違い、ハーフアップにしていた。

 少しの間見惚れていると、五関の顔が赤くなっていくのに気づいた。


「ねぇ……じっと見られると照れるよ……。……似合ってる?」


 恥ずかしいのか、顔を少し伏せながらくるりとその場で一周回った。浴衣の袖が綺麗に舞う。


「あ、ああ……。似合ってるし、か、可愛い……よ」

「……っ! 嬉しい! ありがと!」


 いつもの五関らしく、わーいと喜んでいる姿を見て、俺も少し落ち着きを取り戻した。


「よし! この先ちょっと進んだ所に花火がよく見える場所があるからそこまで移動しよう」

「はい、隊長!」


 敬礼のポーズを取り、なぜか突然始まった軍隊ごっこにお互い顔を見合わせて笑った。






 目的の場所は神社の境内。ここは毎年花火大会の日に全域を特別に開放される。ここで友達と毎年見ていたのだが、今年は女の子と見るなんて思ってもみなかった。


「人が多くなってきたね」

「そうだな」


 目的地に近づくにつれてさらに人で賑わってきた。この人の多さは毎年のことだが、やはり慣れない。地元だが別の場所に来たのでは? と錯覚さえしてしまう。

 隣りにいる五関の手をちらりと見て、緊張している自分の手をギュッと握り直して覚悟を決める。


「あー、あのさ。手……繋がないか?」

「えっ……?」

「いや、別に深い意味があるわけじゃなくて、ただ人が多いからはぐれないように手を繋いだほうが良いかなって思っただけであって決して手を繋ぎたいだけなんてことはないから」


 キョトンとしている五関に慌てて早口で言い訳のようなことを言ってしまった。五関の顔を見るのも恥ずかしい……と思い下を向いていると五関の笑い声が聞こえてきた。とっさに五関の方を見る。


「あはは! なにそれ……ふふ。そんな早口で言わなくてもわかってるよ。……じゃあ、はい。手……繋いで?」


 そう言って手を伸ばしてきた五関の表情は笑っていたが、頬は赤く染まっていた。

 俺はそんな五関の手を取って歩き出した。さすがに恋人繋ぎはしなかったが、それでも十分なほどドキドキしてしまう。

 周りの喧騒を打ち消すほどの鼓動の音が鳴り響く。相手に聞こえそうでさらにドキドキする。

 目的地まであと少し。花火はまだ始まらない。

今年最初の投稿ですが、最後まで読んで頂きありがとうございます。

宜しければブックマーク登録、評価、感想、レビューお待ちしております!

今年もよろしくお願い致します。

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