ルート1 決意
あのあと解散した俺はまっすぐ家に帰った。
家についてからすぐにご飯を食べて風呂に入った。今は自分の部屋にいる。
今日1日を振り返る。色々考えるきっかけになったと思う。
考えを整理する―――
俺は二条さんが好きだ。
―――じゃあなんで五関に告白しようとしてる?
これはゲームで、生き返るには必要だから仕方なく。
―――じゃあなんで罪悪感を感じてる?
それは五関の悲しそうな顔を見たから。
―――本当にそれだけ?
………俺は……俺は……。
自分の頭を掻きむしる。今日、自分が感じたこと。
俺は五関のことを友達と思っていた。しかし、向こうはそれ以上の感情を持っていたであろうことは、周りの言葉や五関の今日の表情から察した。
このイフルートがなければそのことにも気づけなかった自分に腹が立つ。
これまでどれほど無意識に五関を傷つけてきたのだろう? もしかして違う高校に進学したのも、俺と二条さんが仲良くなる過程を見たくなかったから?
……いや、憶測で物事を決めつけるのは良くない。
(俺は決めたぞ……!)
この世界では二条さんのことは諦めよう。
割り切って考える。それがこの世界における最善だと思う。
問題の先送りかもしれないが、生き返ってから考えよう。二条さんのこと、五関のことを。
(俺はこの先、五関と付き合うまでは他の女の子のことは考えない。五関一筋で行く!)
決意を固めた俺の視界にひとつの紙袋が映った。
(あ、そういえば……)
お土産を楽しみにしていると言っていた京香の顔が思い浮かぶ。
京香の顔が脳裏に浮かんだとき、あることを思い付く。
―――イフルートのことを誰かに話すとどうなるか
ということを。
誰かに話して協力してもらえれば心強い! と考えるが、万が一話した瞬間ゲームオーバーになったら元も子もない。しかも、こんなぶっ飛んだ話信じてくれる人がいるのかも微妙だ。
良いことを思い付いたと思ったが、リスクの方がでかすぎる。この作戦は神に質問するまで保留することにした。
(京香が味方だと心強いんだけどな)
そう思いながら、俺は紙袋を手に取り、隣の京香の部屋に向かった。
「京香ー? 入るぞー」
軽くノックと許諾の言葉を投げかけてから京香の部屋に入る。
ベッドの上でくつろいでいる京香が目に入った。
「なに? また物音してたかどうか聞きに来たの?」
「いや、今日は違う。ほら、これ。言ってたお土産買ってきたぞ」
「ほんとに買ってきてくれたんだ。バカにぃのくせにたまにはやるじゃん!」
なになにー? と近寄ってくる京香。出かける前のような寂しげな様子がなくなっていたことに俺は心のなかで安堵する。
「えーと……ん? これってヘアピン?」
「そ、ヘアピン。ずっと同じのつけてるだろ? だから新しいの買ってきた」
京香は大小の星が連なったヘアピンを小学生の時から前髪につけている。年季が入っているが、しっかりとヘアピンとしての役割を果たしていることに密かに感心していた。
「……あー、そうだね。そろそろ新しいの買おうと思ってたから丁度良かった。ありがと」
「それはよかった。じゃ、あんまり夜更しすんなよー。おやすみ」
用が済んだので俺は部屋を出た。
ドアの向こうからバカにぃと聞こえた気がしたが、俺は自分の部屋へと帰っていった。
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