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イフルート  作者: 如月りょう
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ルート1 リスタート


 目を開ける。先程までの真っ白ではなく、見慣れた自分の部屋に安堵を覚える。

 今回はどうやら目覚ましよりも早く起きたようだ。起き上がってアラームを解除する。時刻はアナログ表記で 『8:47』 となっている。


「そういえば未遂とはいえ堤に告白まがいのことをしたんだよな……。気まずい……」


 神の間に行く前のことを思い出す。これから堤とシフトが被るたびに気まずい思いをするし、させてしまう。もう少し考えてから告白すればよかった……と、あのときはベストだと思ったことを今更ながら後悔した。

 しばらくベッドの上で頭を抱えていると、ひとつの疑問に行き着く。


(誰がここまで運んでくれたんだ?)


 俺の記憶では告白の途中に倒れたのが最後だ。普通に考えたら側にいた堤か、警察や救急隊員等が家まで運んでくれたと思うが、あまりにも自分が覚えていないことに違和感があった。


「とりあえず昨日のことも含めて堤に連絡するか」


 俺はスマホを手に取り、画面を見て言葉を失う。


「え……あれ……? なんで……7月22日……?」


 スマホの画面にはハッキリと7月22日と表記されていた。

 慌ててトーク履歴を確認する。

 そこには昨日確かに送った店長への連絡がなかった。


 少し冷静になって考える。1番自然に考えられるのは、この世界は事故のあった7月21日の次の日である7月22日を起点としている、ということ。そして有り難いことにゲームオーバー前にした行動などはリセットされているようだ。ただ、トークが無くなっただけで俺と同じように記憶には残っている可能性はゼロではない。確かめてみるか。


「前回、このあと起こったことは……」


 たしかベッドの上でジタバタしていたら京香が俺の部屋に注意しに来たんだったな。


「よし、京香の部屋に行こう」


 思い立ったが即行動。先程それで後悔していたことは俺の頭からは綺麗に消え去っていた。






「京香ー。ちょっと入るぞ」


 俺は京香の部屋である隣のドアをノックして返事を待たずにドアを開ける。


「なに? なんか用?」


 ベッドにうつ伏せの状態で足をゆっくりパタパタさせている京香が真っ先に目に入る。Tシャツに短パンといういかにも部屋着という格好だが、肌色の面積が多くて思わず目を逸らしてしまう。京香はそんな俺の視線に気づくことなくスマホに意識を向けているようだ。

 目を逸らした結果部屋を一望してしまい、自分の部屋とは違う女の子の部屋に、妹の部屋だとわかっていても少しドキドキしてしまう。そんなドキドキを振り払うように俺は声を振り絞った。


「ちょっと聞きたいことがあるんだけど。昨日……ていうか今日、俺の部屋からなんか物音とか聞こえた?」


 パタパタさせていた足がピタリと止まり、スマホを見ていた視線が俺の方に向く。


「なんも聞こえてこなかったけど……。なに、もしかして変なことでもしてたの?」

「変なことなんて1ミリもしてねぇよ! 神に誓う!」


 神に誓う! であいつの顔が浮かんできたが速攻でかき消した。

「ふーん」 とジト目で俺を見て言う京香に、別にやましいことはないのに冷や汗が頬を伝うのを感じた。


「用はもうない? 私今から部活行く準備するから」


 シッシッと手で払われる仕草をされる。京香は陸上部に入っているが、陸上部は漫研と違って夏休み初日から活動があるのか、と感心する。……漫研が活動しなさすぎなだけだが。


「急に悪かったな。ありがと。部活がんばれよ」


 俺は部屋のドアを閉めた。閉める直前、京香が何か言いたそうな顔をしていたが、また小言を言われると思った俺は気づかないふりをして自分の部屋に戻った。






 部屋についた俺はベッドに腰掛ける。知りたいことは知れた。やはり俺以外は記憶も全てリセットされる。対して俺は起こった出来事を全て覚えている。これはかなり優位に働きそうだ。

 もっとも、前回は神も言っていたようにすぐにゲームオーバーになったから全て覚えているだけで、仮に1年以上この世界にいた場合、序盤の記憶は忘れるだろう。なるべく突拍子もない事よりも計画的に攻略を進めていくべきか……。

 とりあえず今日は特に攻略とか考えず、外の探索も兼ねて神を探してみるか。それに、無事に7月23日を迎えるのかどうかも知りたい。


 よし! イフルート、リスタートだ!

 気持ち新たに俺は高鳴る気持ちと不安を胸に家を飛び出した。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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よろしくお願い致します。

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