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推しと異世界召喚    作者: 安寿
7/77

5森の中で

うーむ、ここは森の中。

多分夢じゃないっぽい。

例え夢だったとしても、問題がある。

まず、森だとして、安全な場所か分からない。今何時なんだろうとか、夜があるとしたら危ないんじゃないかとか。

そもそもなんか異世界召喚かなあとか厨二病みたいな事思ったけど、

ただのワープかも知れない。

意外と日本の中でちょっと移動しただけかも知れないし、見た感じ普通の森ってものがあるとしたら普通の森だった。森なんか地方都市で育って今は都会にいる私にはあまり馴染みがないから良く分からないのだ。

大体森林というものも誰かの所有する山だったりするし、あまり立ち入った事もないし。


どうしようか。ずっとここでこうしているわけにもいかないし。


「腹減ったな。」

ポツリと京也が言った。

途端にグゥーっと鳴る私のお腹。

そう言えば、朝から何も食べてないや。なんやかんやあったし、緊急診療所行ったり。バタバタしてて移動したりしてたら割にギリギリでライブ会場着いたからなんか食べる時間とかなかったんだった。

そう言えば京也ってライブ前は何も口にしないって言ってたなあ。お腹に物が入った状態で動けないとか何とか。他のメンバーがケータリングを色々食べたりしてても京也はライブ終わってからしか食べないって何がで話してたような。

今日はライブだったんだから京也も朝から何も食べてないのか。

今何時なのか一体時間経過とかどうなってるのか分からないけど、お腹減るよね。私より先に目覚めてたみたいだし。

「歩けますか?」

手を差し出してくる。

私京也の事触った事ないんだった。

CD購入特典の握手会とか応募したりしたけど外れてばかりだし、握手すらした事ないんだ。

それが、手を差し出してくれてる。

私は京也の手を取った。

温かい。柔らかな大きな手で包まれると、胸がいっぱいになる。

そっと立たせてくれた。

やはり夢なんだろうか。血圧高いから気をつけてねとか疲れてるから安静にとか、目眩の発作起こしてるからって目眩止めと吐き気止めの頓服もらったから飲んだけど、ライブ中に倒れちゃった感じ?なんだろうか。もしかして倒れたときに頭打って植物人間になっていい夢でも見てるの?自分に都合の良い夢を。


にしては、周り一帯の景色カラーでリアルだし、森の草の匂いも京也の匂い、巷では有名な王宮の宮殿の香りとかお花みたいなフローラルな香りとかバニラっぽい甘い香りとか色々京也関係の香りに対する情報は多い。芸能界でも京也が来るってのはちょっと離れたところからでも匂いで分かるとか、いい匂いがエレベーターの中にも残ってるとか色々な噂というか評判というかがある。なんとなく香害くさいような気もする噂だけど、その香りを嗅いでみたいとヲタクはみんな思ってるし、何の香水を使っているんだろうというのも考察対象であった。

結局みんな分からないみたいで、同じ香水欲しいなと思っているけど未だ特定に至っていないので購入できていない。が本当に宮殿とかあったらこんな感じ?っていうような高貴な香りで、フローラルだし、バニラっぽいような気もするのだ。噂は本当であった。と思うくらい京也の匂いもするし、ちょっと頭痛いし、それに、お腹減ってるし。夢にしてはリアルであると思う、が、これって私の持っている前情報から作成されているような。ってことはやはり夢?


ま、いっか。夢だとしても夢じゃないとしても。とにかく動いてみなくては。


「ここがどこか分かりますか?」京也が言うけど。

首を横に振る私。分かるわけない。

私だって知らんわ。


森らしき場所にいるって事しか。


「なんか食べられるものとかないか探してみるしかないようだな、」京也がぽつりと呟く。

「少し歩いて辺りを確認したり食べられるものがないか探しに行きたいのですが歩けますか?俺一人で探しに行ってもいいけど、早瀬さんを一人にしておくのも危険な気がするので。何がいるか分からないし危険な敵とか居るかもしれないから。」

私だって一人になんかなりたくない。むしろ、一緒にいたい。危なくなくてもくっついて歩きたい。

「大丈夫、歩けます。」

立ち上がってみたら眩暈とかは起こしそうで起こさないで済んだのでちょっとだけホッとした。ここで眩暈起こした方一人で休んで待ってますとかは嫌だった。お腹が減ってるから貧血を起こす可能性もあったし、何か口に入れられるものを探すのはこの状況では最優先事項に思える。


2人でとぼとぼ歩いて食べられそうな物を探す事にした。


しばらく歩くと、りんごみたいな果実の付いた木を見つけた。


食べられるかな、これ。

見つめると、


《 【フォレストアップル】

:食べられる植物です。味は糖度16度。甘くて美味しい果実です。》


りんごらしい。謎の声さんが鑑定してくれた。有難い。毒とかあったらヤバいし何でも口にするってわけにはいかないから非常に助かります。ありがとうございます。


「りんごみたいなものらしいです。食べられるみたい。」


私より背が高いから、ひょいと手を伸ばして取ってくれた。

自分の分と私の分と。

喉も渇いていた。


木の下に座って、並んでりんごを食べた。フォレストアップルとやら、中々に甘酸っぱくて、水気があって果汁たっぷりで美味しい。

だけどなんか、サンフジとかいつも食べてるりんごよりちょっと小さいし、野生的なら味がするような気がする。フォレストアップルって言うだけある。


《【フォレストアップル】はHP、MP共に回復する事が出来る果実です。》


謎の声さんの鑑定が入る。


確かにちょっと元気になった気がする。


のんびりとりんごを食べていると

「ところで、今の状況と、お互いの自己紹介でもしますか。

 俺は、神崎 京也。さっきまでドームでライブ中だった。なんか眩しいなって思ったら、知らないうちにここで倒れてた。」




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