3勇者 京也
私、なんだか凄いかも。
私がこんななんだから、京也は一体なんなんだろう。
「俺は勇者だそうです。」
このセリフだけ聴いたら、凄く間抜けな感じだし、厨二病ですか?恥ずかしくないですかあ?って言いたくなるし、自分で言うか?何イキってんの?って感じだけど、この場合仕方ないよね。
勇者かあ。
まあ京也だったらそうだよね。農民とか、兵士とかって無さそう。
ふうん、って思いながら、改めて京也を見る。
偶々だけど、ライブ中に召喚?召喚でいいんだよね、死んで無いし、転生だと赤ちゃんからだよね?知らんけど、どう見てもさっきまでステージに立って歌ったり踊ったりしていた京也そのままの顔で見た目で、そもそもさっきまで着てたステージ衣装だもん。なんかさあ、キラキラでマントも付いてるから勇者っぽい。マントは私に掛けてもらってたから今は身につけてないけど。
ふう、勇者かあ。
なるほど。
ちょっとかっこいいかも。うふふ。
とか思って、ちょっと目を細めて京也を見た。
んんっ?
またまた透明なプラスチックのプレートみたいのが京也の前に現れて透けて見える。
なんか書いてあるし。
:属性 勇者
まあ、そうだよね。本人そう言ってるんだし。
:レベル1
:攻撃力13
:防御力12
:攻撃魔法8
:防御魔法7
:獲得スキル
え?良く分からないけど、何となくレベル低くないか?
始まりの街でスライム倒すにも苦戦しそうなレベルのような、そんな気がするんだけど。
これって
どういう事?
《 スキル鑑定を取得しました。》
《 スキル鑑定レベル99 》
《 スキル鑑定からスキル考察にスキル進化します。》
《 スキル考察取得しました。》
え?え?ちょっと待って。
今京也を見ただけだよね?見てスキルを覗いちゃった感じ?
勝手に見てごめんねって感じだけど。
見て、そして、失礼だけど
レベル低い?って思っただけだけど
スキル考察とか言うのにアップグレードされた感じ?
わわわ。なんかちょっと意味がわからない。
いや、多分だけだけどスキルとやらは高い方がいいんだろうし、たくさんスキルあった方がいいんだろうけど。
それにしても。
ううん。
それに
わからないけど、多分京也からは私のスキル見えて無さそうな気がする。魔道士かな?とか言ってたし。
私、属性 聖女ってステータスバーみたいなのに出てたし。
《 ステータスバーで合っています。》
《 また、下位のステータスの方にはステータス、スキルとも鑑定される事はありません。》
《 しかし情報を開示したい場合は開示する事が可能です。》
なるほど。
なんとなくこの件について、京也には言わない方が良さそうな気がした。
自慢みたいなものになってしまうのも嫌だし、マウント取ってるって感じになりそうな気がする。何となくなんだが。それに元の世界でのアイドルとファンという関係性を考えると私の方がスキルが高いとかステータスが高いとかって彼にはイメージわかないと思うし、精神的なダメージが大きくならないだろうか。彼がこの状況をどう思っているのかはわからないが、東京ドームでライブ中になんだかわからないゲームみたいな異世界に召喚されたらしい、とかっていきなりなったらどんな精神状態に陥るのか私には計り知れないし、やったね!って気分ではないのは確実だよなあと思う。
私は楽しみがヘブンズゲイト関係のヲタク活動しかなくて、ブラック企業で働いてて私生活も微妙な状態だったから、この状況はむしろ、やったね!に近い気がする。夢なら覚めてほしくないくらいのものだ。だけどさ、京也は違うと思うんだよね。
それに、隠せるというのがこのステータスの利点ならわざわざ人に見せるものではないのではないのだろうか。ということくらいは理解した。
それに私は男はたてるタイプの女なのだ。
学校の成績が男子よりいいってことが色々妬みとかろくでもないってことを学校生活で知っていたからなんとなく、自分の方がスキルとか上かもとかって言わない方がいいんだろうなあと、このとき思ったのだった。
それにしても私の名前を知っていた?もしくは知ることができたのは勇者のスキルかなんかなんだろう。色々と便利なことがあるのかもしれない。
この世界はやはり夢とかでなく、実際微妙な頭痛もあるわけだし、現実なんだ、
頭が混乱しているけどしっかりしなくてはならない。
勇者のスキルがあんなに低いということは私がしっかりしなくてはならないということなんではないだろうか。
そんなことを漠然と考えていた。