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Piero and Cats  作者: よた
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 月曜日になるとジャックは、生きるためのお仕事へ向かう。彼の生きるためのお仕事は、工場でケーキをつくるお仕事だった。


 彼はお菓子が大好きだったけど、工場のケーキはあまりすきじゃなかった。工場のケーキはあまくておいしいけど、大事なものがはいっていなかった。大事なものがなにか、ジャックには分からなかったが、それが入っていないということだけわかるのだった。


 ジャックは真っ白い衣裳に着替えて、風がビュンビュン吹いている部屋に入って、体に着いたばっちいものを吹っ飛ばす。目に見えないばっちいものを吹っ飛ばす。


 きれいで真っ白な工場には、真っ白い人がいっぱいいる。彼らはコンベアーに乗ってやってくる型に生地を流し込んで、焼きあがった生地にクリーミーなクリームをぬりたくる。これはジャックにとってとても難しいお仕事だった。クリーミーなクリームは早くしないと溶けていき、ケーキがクリーミーではなくなってしまうのだ。クリーミーじゃないケーキは、ケーキじゃなかった。クリーミーじゃないケーキは、ばっちいものと一緒だった。ばっちいケーキは大きなバケツの中に捨てて、さらにばっちいものになる。


 その日ジャックは、二つもばっちいケーキを作ってしまった。ジャックはもったいなかったので、ひとつばっちいケーキを箱にしまって持って帰ることにした。でも、食べきれなかったので、彼はわたしの家にやってきて、ばっちいケーキを分けてくれた。わたしは彼にお礼を言ったが、彼には聞こえてはいないようだった。すぐにおばあちゃんがやってきて、彼からばっちいケーキを受け取ると、何度かわたしの代わりにお礼を言ってくれた。おばあちゃんはケーキを小さく切り分けて、わたしの家の子供たちに分け与えた。子供たちは、もうすこし食べたさそうだったけど、とても喜んでいた。


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