挑発
聖教会の総本山、そこには100人余りのこの世界では上級職である聖騎士が駐在していた。聖騎士を束ねる聖騎士長ラークは苦悩していた。
「魔女を放置していては教会の威信に関わる。なんとしても捕らえるのだ。」
「しかし、小隊は全滅。これ以上の派遣すると侵略者からの防衛に影響があります。」
「構わない。そんなものあとからどうにでもなる。」
ラークは魔女捕獲のためにすぐさま団長たちに指示を出す。魔女さえ手に入れることができれば魔界との戦力差は逆転し、教会の地位を確立できると信じていた。
ラークは一仕事終えると専用の書斎に入り、魔導書を読む。もう、魔女の力を取り出す算段はついており魔術の研究をしつつ吉報を待っていた。
ある時ラークは寒気を覚えたので暖炉に火をくべようとしたところ目の前に白衣を着た青白い髪の少女がいることに気付いた。
「誰だ。お前は。この部屋にはかぎがかけてあるはず。」
ラークは身に着けていた剣を取り出す。
「私は幻。さてあなたたちはどうすれば壊せるのかしら。」
先希は不敵な笑みを浮かべる。
「あたたを倒せばいいのかしら。それともこの建物を壊せばいいのかしら。それとも。」
ラークはよく磨かれた剣により一撃を繰り出すが手ごたえはなくすり抜ける。
「それともあなたたちの嘘をこの世に知らしめれば良いのかしら。」
ラークの頬から冷や汗が流れ落ちる。
幻が消えるとラークは全戦力に厳戒態勢を敷くように通達する。
魔女はこの建物内にいる。




