逆探知
カイルは外に出ると小型の監視物体に意識を向ける。この世界を構成しているのは「監視」と「選民思想」である。このシステムの創始者は未来に存在する脅威に対し、この2つを答えとして導き出したようだ。
監視されているということは逆をたどれば元凶にたどりつけるのではないかとカイルは考えた。
カイルの扱える魔分の性質は「万能」である。本人が可能だと思えば障害がない限り不可能はない。
「お前か。」
カイルは「人外」の前に姿を現す。ちょうど元居た世界で見たことがある侵略者と同じ見た目をしている。とにかく黒くこちらからはその輪郭を認知することはできない。
「よそ者が。好き勝手しおる。」
「人外」はあらゆる監視物体に攻撃指令を送り、カイルを切り刻もうとする。カイルはどんなに切り刻まれようが分解されようがその原型を取り戻す。カイルは自分が認識していないモノからの攻撃は受け付けない。
カイルは黄白色の魔分で「人外」を焼き尽くす。
「無駄だ。われの意識はこの世界に浸透しておる。おとなしく従え。」
「人外」が睨みつけるがカイルはそれを気にもしない。
カイルは「人外」の意識のすべてをこの世界ごと塗り替えようとしたとき自分の時が停止したことを感じた。
「若者よ。それは早計過ぎる。私が代わりに対処しよう。」
どこからともなく声がする。




