襲撃
カイル、先希、谷山は鉄の塊から外に出た。そこは辺り一面荒野が広がっておりはるか遠くに移動してきたことが分かった。
「この近くに私の隠れ家がある。」
谷山は先導する。よろよろと歩く先希を支えながらカイルは尋ねる。
「こんな不思議な乗り物まで使えるなんて、あなたは何者ですか?」
「私は世界を牛耳る秘密結社Zに敗北し英雄になれなかったものだ。君たちは英雄になる見込みがある。実際見て確信した。」
谷山は突然立ち止まる。宙に浮いた黒い物体が現れる。その物体は鋭い刃物のようなものを纏っていた。
「造反者を補足。消去開始。」
音声とともに谷山が切り刻まれる。谷山は悲鳴を上げその場に倒れる。
「もう少し君たちを助けたかった。」
カイルにはこの状況をうまく理解はできなかった。しかし、感情のない機械に一方的に虐殺される谷山を目の当たりにして裏にいるであろう卑劣な存在に怒りを覚えた。その怒りから膨大な魔分が生成され黒い物体を焼き尽くす。
「未知のエネルギー確認。解析不能。データ送信。」
音声とともに黒い物体はチリとなった。魔分で触れたことによりその物体のことが何となくわかった。
ただのガラクタに知性が付与されたようなものであった。直接手を汚さずに殺害を可能にする、人が到達してはいけない領域の技術の結晶である。
そしてカイルもまた、人が到達してはいけない領域に達していた。刻まれた谷山を魔分に包みつなぎ合わせる。谷山が息を吹き返すのを確認しカイルは安堵する。




