共闘
カイルは事の始まりを象徴する人物Nと対峙していた。Nは光輝く剣を構え、こちらの動きを伺っている。
「こちらは奴の能力のおかげでろくな力が使えねえ。おれは一撃に全てをかける。奴に隙を作ってくれ。」
ケイトは小刀を構える。カイルから見るに接近戦に関して言えばケイトは特別格上とまでは言えないような気がした。
カイルはケイトの言動からするに自分がNと直接戦うことを期待しているようであることように思えた。
カイルはどの道互いの手の内を晒していないケイトと完全な共闘をすることはできないと思っていたのでとにかくNと戦うため感覚を研ぎ澄ます。もう、銃撃で受けた傷の影響は感じられなかった。
カイルはNの呼吸の乱れを察知し、全速力で飛び掛かる。最高速度は音速を遥かに超え、最早静止した世界にいるかの様であった。カイルは獣化により発達した爪でNを切り裂こうとしたが、Nは剣先をずらし、こちらの攻撃を受け流す。
カイルは慌てて翻り、追撃で体当たりをするがそれもよけられる。そして、Nの剣撃を、まともに受けてしまう。剣撃はカイルの身にまとっている鱗を貫通し、激しい痛みを与える。
カイルは怯みそうになるが意地で攻撃を続ける。もう力不足で何かを失いたくないという一心で動き続ける。
Nはいくら訓練を積んでいるとは言っても生身の人間であり。獣化のスピードに合わせて続けることは不可能であった。後から能力や魔法を使う余裕もない。
Nはいつの間にケイトが背後にいることに気付いたが時すでに遅く小刀の餌食となった。




