帰郷
カイルが扉の向こうにあったのは、はずれの村近くであった。本来ならばアリアの元にすぐさま転移して戦いを挑みたいところであるが奴の居場所を察知できなかった。村で情報収集したいことろであったがカイルは相変わらず話すことができなかった。はっきりとはわからないが治らないということは恐らく呪いの効果であろう。
「おい。この村の者ではないな。なにをしている。」
衛兵らしき者が声をかけてくる。
カイルは身振り手振りで怪しいものではないことを伝えようとするが無駄であった。
「この村はここの出身と許可された者以外侵入を認めていない。連行する。」
カイルは無茶苦茶であると思った。過去名声を得たものの隠居場所となっているのかと疑うほどの排他的な規則である。もちろんこの衛兵ごとき気の遠くなるような修練を受け、「究極」まで上り詰めたカイルにとって倒すことも逃げることも造作もないことであったがとりあえず従うことにする。
「そのものは私の知り合いだ。許可証を発行してくれ。」
その声は元勇者を名乗ったアランであった。
「アラン様。すぐさま許可証を発行します。」
衛兵らしき者は身に着けている機械を操作し、許可証を発行した。カイルはこの世界にあるはずのない技術を見て不思議に思う。
「「終末」を討伐して疲れているだろう。私の屋敷に来るがいい。」
アランにカイルはついていくことにした。




