回帰
無数の魔物に襲われながらカイルは何とか耐えていた。しかし、二人の魔分が尽きるのも時間の問題であった。
先希のかすかな声が聞こえる。
「私の回復を止めて。奴の防御系神技は全部解除したから。」
カイルは首を振る。そんなことしたら先希といえども3秒ももたない。
「どうせ私はもう長くない。今しかないの。」
カイルも先希が内側から大勢の悪意に蝕まれていることを察していた。恐らく自分を助けるために人が踏み込んではいけない領域に足を踏み入れているのであろう。自分に先希を救うだけの力がないことを悔やみながらも回復系能力を解除した。
「ようやく諦めましたか。」
氷室が気が緩んだ隙にカイルは究極ノ特技大地ノ鼓動を発動し、魔物を吹き飛ばし氷室に接近した。
氷室は神技を発動し身を守ろうとするがうまく起動しないことに気づき諦める。
「いいですよ。今回はあなたの勝ちです。どうせ何度でも復活するんで。」
カイルはアリアから天井人の特性を教えてもらい、それらに対する技を身に着けていた。
カイルは究極ノ特技万物回帰を発動し「終末」の理が積み上げてきた格を元に戻す。それと同時に現実の変動数をリセットした。
天井人として最下位に落ちてしまい神技をすべて失った氷室はその場に倒れこむ。
「終わらないことが一番理不尽だと思うんですけど。」




