同族
カイルは圧倒的な力に挑み続けた。徐々に能力を開放していき理不尽な力に対抗するすべを身に着けていった。彼が記憶をもとに世界干渉系能力大地吹命を再現するころにはもう日が沈みかけていた。
カイルの魔分が大地と共鳴し、アリアをマグマが取り囲む。しかし、アリアがマグマに触れるとそれは瞬時に活力を失った。
「長かったけどようやくたどり着いたのかしら。まだスタート地点だけど。」
アリアは自身の世界干渉系能力世界の破滅を展開する。
カイル固有の特性は熱あるものに活力を与えることであった。カイルはこの世界が一瞬で虚無で埋め尽くされ、なすすべがなかったことに絶望した。こんな力があっていいわけがない。
形あるものはカイルも含めてすべてなくなった。意識だけがアリアの力で保たれている。
「これをやってもこの世界は意外に大丈夫なんだよね。」
アリアが気を抜くとあっという間にもとの景色が取り戻された。
カイルももとの状態を取り戻したが膝をついたままうなだれる。
「さすがに壊れちゃったかしら。残念。」
アリアは自宅に帰ろうとする。
「待って、私たちはまだ負けてない。」
突然白衣を着た少女が現れた。
「先希。なぜここに。」
「当たり前だけど知ってるようね。私は本物であるあなたを超える。」
カイルは我に返った。




