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エターナル・ワールド・ストーリー  作者: 蒼雲騎龍
K編
94/222

超不定期特別で奇跡な座談会?(ウソです) 2

エターナルの外伝的な座談会。 今回は、Kさんが主人公です。 パラレルワールドならではのおバカ劇をお楽しみ下さい。(作者)




東京都内の某所喫茶店にて、知人からバイトを頼まれたKさん。


そこに訪れる“きゃらくた~”との他愛ない会話。


物語は、K編3部の終わった直後。 場所は、都内某所。





登場人物



作者ゴミレベルのアホ


ポリア


システィアナ


ジュリア


匿名係


エロールロバンナ


何処かのおじ~さん


ゴルドフ


他、数名。





喫茶店“えろ~る”。


如何わしい宗教信者のエロールロバンナは、東京都内に店を構えていた。 新興宗教団体“ケ●の穴”に入信している変わり者である。


“ケイちゃぁ~ん。 チョット会合で二・三日店空ける事に為ったのぉ~。 ね、バイトしていってよぉ~。 売り上げあげるからぁ~”


カラダを左右にクネらせるエロールロバンナに頼まれ、仕方なく店に立つ事にしたK。


「いらっしゃい」


包帯を巻いた顔はそのままに、衣服はカジュアルシャツに黒いジーンズ、黒いエプロンをしてやる気の無さそうなマスターを演じていた。


(ったくよぉ。 作者のBK、最近違う性癖にでも目覚めやがったか? エロールが、思いっきりカマじゃないか・・・。 気色の悪い・・・)


入って来た客に声を掛けながら、一昨日に貞操の危機を覚えた事を思い出すK。


先月、作者を伴って銀行に突入した御蔭で、銀行強盗と間違えられた。 ま、警察沙汰は半歩手前で未遂に終ったものの。 精神に大ダメージを受けた作者は、


“伊豆へ行く・・・”


と、言葉を残して姿を消したまま音沙汰が無い。


コーヒーを煎れるKは、目の前のカウンターに座った老人の客に。


「何にしますか?」


と、聞くと。


黒い部分が殆ど失せた白髪の髪を、四方八方へと爆発させた様に乱す老人は、Kの背後に在る棚に並べられた世界各種のコーヒー豆を見ながら。


「うぅ~ん、そぉ~ねぇ~・・・アタシに似合いそうな“ぐぅあてマラ”を」


「はい、では少々お待ちを」


サイフォンを使ってコーヒーを作ろうとするKは、


(来る客も変わってる・・・。 何処が似合うのか解らんが、何で“マラ”だけ巻き舌なんだよ)


だが、その老人の客にコーヒーを出す頃。


「済みません。 失礼します」


と、真面目な口調の誰かが扉を開き。


「杉○さん、お店に入るのに挨拶要ります?」


と、若い雰囲気の男性の声がした。


「いらっしゃい」


Kが向けば、オールバックに眼鏡をした小柄な中年・・いや、もう少し上とも見受けれる男性と。 真ん中で前髪を分け、化粧をした様に白い肌の30そこそこと思える男性が、共にスーツ姿で立っていた。


Kを見て、眼鏡を掛けた男性の方が目を大きくさせ。


「あ、神○クン。 マスターが変わってますね」


と、Kに人差し指を向ける。


二人を見たKは。


「エロールなら数日居ないゼ。 会合だって言ってたな」


眼鏡をした男性は、どこかはにかむ笑顔で、左手を前に出し。


「あっ、そうですか。 いえ、毎日此処のコーヒーを飲むのが、私の日課でしてね~」


Kは、どうでもイイとばかりに。


「そ。 で? 飲むの? 飲まないの?」


「あ、コレは失礼。 コーヒー、レギュラーとブルーマウンテンで」


「解った。 好きな席に掛けて~クダサイ」


新たに豆を挽く作業に入ったKだが、其処に別の客が。


「あら、本当に居たわ」


少し低めの通りの良い女性の声である。


「いらっしゃい・・・、て。 何だ、ジュリアか」


白いバンツスーツに身を包み。 胸元だけ谷間が見える所までブラウスを開き、輝くダイヤペンダントが眩しく見える。 顔の美貌も然る事ながら、そのスタイルの良さもまた素晴らしい美女である。


だが、Kは一瞥しただけで、コーヒーを作る作業に目を戻す。


「何だとは、随分と釣れないな。 そなたが来てくれないから、ベットの隙間が淋しいのだ。 エロールからメールを貰って、此処に居ると云うから逢いに来た」


と、Kのまん前の席に向かうジュリア。


「あ、そ。 つ~か、エロール何処に行ったんだ?」


ストゥールに腰を下ろし掛けたジュリアは、怪訝な面持ちで。


「え? 知らぬのか?」


豆を挽くKは、知らされてないので。


「おう、会合に行くとか何とか・・・」


ジュリアは、腰を下ろすと。


「見合いだ」


その一言に、Kはピタリと手を止め。


「カマが見合いぃ~? 桜のバイトとかか?」


「いやいや、その・・・同じ趣味同士のホットな見合そうだ・・」


Kは、周りを見て恥ずかしそうに云うジュリアの、“ホット”と云う言葉に、凄まじく卑猥な響きを感じ。


「あんのアホウ、帰って来るなっ」


と、エロールに対して苦虫を噛む顔に為る。


ジュリアは、少し顔を赤らめながらも汚い話だと云う雰囲気で。


「何でも、ヘルダーから紹介して貰ったとか」


「はぁ?。 ヘルダーって、新宿で焼肉風俗店を経営してるアイツ?」


「らしい」


「ジュリア、お前さん警察官だろ? 付き合う仲間、少しは選べよ」


すると、ジュリアはジトっとした目をKに向け。


「そなたが傍に居らぬから、こんな店に知り合い求めて通うのだ。 ケイ、生活の面倒は見る故、私のマンションに来ぬか?」


ブルーマウンテンの豆を挽くKは、呆れた笑いで。


「おいおい、俺はヒモに成るのかよ」


「ヒモでも縄でもロープでも良い。 私の傍に縛られてくれるなら」


ジュリアを視界から外したKは、奇妙な寒気を覚え。


(縄だのロープだのが違う響きに聞こえるのは、俺だけか?)


その様子を見ていた眼鏡をしやや小柄のスーツ姿の男性は。 テーブルで向かい合う化粧をした様なスーツに男性に、密やかな小声で。


(神○クン、痴情の縺れですかねぇ。 事件の予感がします)


(杉○さん、他人の事ですよ)


(スイマセンねぇ~、細かい事が気に成ってしまう。 僕の悪いクセですねぇ~)


と、云う眼鏡を掛けたスーツ姿の男性の目が。 何故かエロ目に成るのか。


(全く、好きですね)


一緒の化粧をしている様な男性は、呆れて水をコップに注いだ。


さて。


Kが、二人のスーツ姿の男性にコーヒーを作り終えた直後である。


「えぐっ・・えぐぅぅ」


泣きながら入店する客が現れ、Kがその客を見ると・・・。


「あ? 作者・・ってアンタっ! 何でトランクスにランニング一枚なんだよっ!!! 今日は、東京でも気温5℃とかの真冬だぞっ?」


デブでチビでイカ臭くて、うだつが上がらないオタクな作者が泣きながら入って来た。


「うえぇぇ~ん、お茶ぁ~」


Kは、呆れた様子で。


「おいおい、此処はコーヒー専門だってよ・・」


「びええええーん。 お客なのにぃぃぃっ!!!」


一気に喚き泣き叫ぶ作者。


Kは、その丸裸一歩手前の姿をみて。


「ってか、アンタ何で全身土で汚れてるんだ? 見るからに金も持って無さそうだし、客じゃねぇ~だろうが。 あ?」


作者のその弛み切った身体の情けなさに、ジュリアは他所を向き。


(醜い・・・、見たくない)


と、ボヤく。


すると、作者は泣きながら。


「わかぁったぁぁ~。 んじゃ~歩いて帰るぅぅ」


Kは、またこの格好で外に出るのかと驚き。


「うぉーいっ!! お前の実家って千葉の片田舎だろっ?!! その格好で行く気かぁっ?!!」


「うえぇぇぇ~ん。 だぁってぇ~」


Kは、仕方無さそうに濡れた手ぬぐいを用意し出しながら。


「い~から、此処座れ」


と、ジュリアの一つ席を空けた隣に招く。


「あい・・・」


30半ば目前のオッサンが、オヤジ狩りにでも遭ったのかと云う感じの無残な様子。


Kは、濡れたタオルをカウンターに置いて。


「伊豆に行ったんじゃ無かったのか? ホラ、身体拭け」


「えぐ・えっぐ・・・、ありまと」


「“ありがとう”だろが。 んで? 一体何が有ったんだ?」


身体を拭く作者は、トランクスの中にまでタオルを入れ。 それを見たジュリアが驚き、Kの用意した御絞りを投げ付ける。


「バカっ!! 汚い事するなっ!!」


鼻水を垂らす作者は、痣も見える顔を俯け。


「いいんだぁ~、どーせ僕なんか」


ジュリアは、半ケツ出して身体を拭く作者から顔を赤らめそっぽを向き。


「そうゆう問題じゃ無いわよっ!!! セクハラじゃないっ!!」


と、女性口調に戻って怒鳴るのだが。


Kは、ジュリアに。


「俺等の作者って、存在自体がセクハラだから意味無いぞ。 セクハラの上塗りしたって、いい所の公然猥褻罪ぐらいだろ?」


ジュリアは、赤く為った顔でKを見て。


「芸能人だって逮捕されるのだぞっ!!」


Kは、怒るジュリアから目を逸らし。 情けない姿の作者を見る。


「んで? 作者、一体どうした?」


身体を拭く作者は、愚図る鼻声で。


「伊豆に・・行ってましたら。 峠で・えぐ・山賊に・・・」


Kは、ガックリ肩を崩し。


「今時に、“山賊”だぁ? 居るかよ、そんなの」


「居ましたよぉぉぉ。 ゴルドフとぉ~・・・」


その名前を聞いたジュリアは、顔を引き締め携帯を取り出しながら。


「あの賊めがっ!! 今もその様な真似を・・・、捕まえて無期だっ!!」


と、吼える。


そんなジュリアを薄目で見るKは、完全に呆け。


(ハァ、前に下着ドロ専門のゴルドフに、買ったばっかりのおニューの勝負下着持って行かれたの根に持ってるなぁぁ~)


一方。 作者は、チっさいミニのアレと丸いのをハミチンしながらジュリアに向き。


「是非・・是非に逮捕して下さい・・・」


ジュリアは、真っ赤な顔で作者に指を向け。


「貴様っ!!! その情けなく使い物に成らないイチモツを仕舞わぬかっ!!! さもないと、ゴルドフと一緒に務所ブッ込むぞっ!!!」


「はぁ~い」


作者は、ゴソゴソと手で仕舞う。


Kは、お茶を作りながら。


「作者、手は拭け・・・。 んで?  奪われた物は?」


「はい・・、全財産が入った財布と・・・身包みと・・筵?」


カップに急須を傾ける手を止めたKは。


「む・筵? 何だ、何に使ってたんだ?」


「え?」


手を拭く作者は、平然と。


「何って、寝袋に決まってるじゃ有りませんか」


ジュリアとKが、ピクリとも動かなくなり。


作者は、しみじみと。


「うぅ・・。 宿代無いから、浜辺でオーシャンビュー気取って寝ようと思ったのに・・。 筵奪われたら、寒くて寝れないッスよぉ~・・・」


だが、Kはそれ以前の問題だと。


「お前ぇぇッ! Bkの最終進化系かっ?!! あんな物を身体に巻いて浜辺で寝てたら、土左ェ衛門オリジナルじゃないかっ!!! 人が見たらソッコー警察呼ぶわっ!!」


すると。 其処に、先ほど入って来た二人組みが来て。 眼鏡を掛けた小柄な男性が。


「あの、今、“警察”と仰いましたか?」


Kは、いきなりの割り込みに気が抜け。


「あ? ああ・・、言ったが?」


すると、眼鏡の男性と化粧をした様な男性は身を正し。 眼鏡の男性が、懐から何かを取り出すと。


「私、警視庁“匿名係”の“杉○ 右キョー”と申します」


化粧をした様な男性もライセンスを見せ。


「同じく、“神○ 損”と言います」


Kは、首だけクルリとジュリアに向け。


「こちら、何処の詐欺師さんだ?」


だが、ジュリアはテーブルに頭を抱えて凭れ込み。


「あぁ・・・、警視庁の生ゴミだ」


「生ゴミ?」


「そうだ。 匿名で捜査して、犯人だけ捕まえてくるドあほ」


「犯人だけ捕まえて来る? その間の経緯は?」


「秘密だ・・・」


「おいおい、そんなんでど~やって起訴するんだ? 起訴状処か、証拠資料の調書作れないだろう?」


「ん。 だがら、いっつも裁判が長引く。 検挙率№1だが、不起訴・無罪に成る確率もぶっちぎりの№1。 正直、警察の信用を失墜させる諸悪の根源だな・・・」


Kとジュリアの会話に、杉○は割り込み。


「おやおや、それはお言葉が悪いですね~。 我々は、ただ一生懸命に仕事に励んでいるつもりなんですがねぇ~」


Kは、お茶を作者に出し。


「とにかく下がれ、黙ってコーヒー飲んでろ」


二人は、同じ動作で頭を下げ。


「失礼します」


と、席に戻る。


ジュリアは、作者に向いて。


「それで? 被害の金額は?」


熱そうにお茶を一口啜った作者は。


「2円」


ジュリアは、思わず腰に装着しているコルトパイソンに手を掛け。


Kは、恐ろしく貧粗な値段にせせら笑いすら浮かべて。


「フ・・フフフ」


と。


作者は、そんな二人を見ずに会話を続け。


「片道分の切符買ったらお金無くなってしまいました。 帰りは、自分のおでこに、クロイヌ大和の輸送シートでも貼って。 料金は着払いにすれば、何とかなるかなぁ~と思ってました」


Kとジュリアは、フツフツと沸く怒りを抑えながら。 Kが、


「身包みも奪われたんだったな。 上下か?」


作者は、何の気無さそうにKを見て。


「いえ、トレンチコートをイメージした雨合羽を奪われまずだ」


一瞬、時間が止まった様なKとジュリア。 辛うじて口を動かすKが。


「おま…。 お前、雨合羽の下が…その今の格好か?」


作者は、腹が減って居るのか、砂糖の入った瓶を引き寄せながら。


「そです。 あれこれ着ると洗濯面倒なんで」


ジュリアが…コルトパイソンを抜く。


Kは、目で構え様とするジュリアに。


(店の中だっ、止めいっ!!)


と、制し。


「なぁ、作者。 ゴルドフもおバカじゃ無い。 そんなきったない物狙うか?」


「だって」


“オイ作者っ!! 乞食王のマルフェイス様と、その御子息で王子様のマリック様に出演料は無いのかぁっ?!!!!!!”


「って言われまして。 作者自体が貧民なのに、高額な出演料なんて…って言ったら、身包み剥がされました。 トランクスとランニングは、臭くてショボいから要らないって…」


Kは、ジュリアへ。


「スワットだ。 スワット向かわせろよ」


ジュリアは、Kに小難しい顔を向け。


「御主、蚊の2・3匹にバズーカを使う気か」


「だって、全然活躍して無いだろうが。 少しは働けよ税金ドロ」


「しかし、あんな部隊を投入する相手には成らぬ」


「テロ組織エロカイダとか名前付けて、爆破予告来たって通報しようぜ」


ジュリアは、コルトパイソンを仕舞いながら。


「まぁ~面白ろそうだがのぉ…。 一公務員としては、気が引ける」


其処に。


あの“匿名係”の二人がでしゃばり。


「スミマセン。 犯人の逮捕は、この我々が」


Kは、ニコニコと前に出て来た二人を見て。


「要らん。 コーヒーでもシバいてろ」


杉○と神○の二人は、素直に一礼して下がりながら。


(杉○さん、僕達要らないみたいですね)


(神○君、今日に限った事では有りませんよ)


(ですかね)



                         ★




さて、伊豆の何処かの山の森…。


ミカン箱を3段ほど積んだ上に胡座を掻く者が居る。 偉そうな態度で、何処かの社長の様な雰囲気で居る。


禿げた頭、小柄な体躯、キツい目、彼がマルフェイスだ。


その脇に、一段低いミカン箱の上には、垢じみた顔ながら、ちょっとイけた優男が居て。 マルフェイスに向かい、


「ねぇ~パパぁ~」


「ん? 何だ、息子よ」


どうやら、マルフェイスの脇に居るのが、息子のマリックの様だ。


「パパぁ~、何時になったら社長に返り咲いてくれるの~。 早くジュリアと結婚したぁ~い」


その話に成ると、苦虫を噛む渋い顔に成ったマルフェイスは。


「今暫く待てぇい。 円高のお陰で、偽造偽札が思う様に売れん。 バレ難い様に旧札使ってるが、どうも上手く売れないのだ」


マリックは、パソコンも無い自分達で偽札作りとは賢く凄いと思い。


「パパぁっ!! パソコンもプリンターも無いのに偽札作りって渋いね~」


「おう。 ゴルドフめに、記憶を頼りに旧1円札や10円札を、態々木型から彫らせた版画を墨で写し取って作らせておる。 原点に返ったやり方だ」


「凄い凄いっ!! ウンコチシンってヤツだねっ!!」


「息子よ。 それを言うなら“温故知新”だ」


「うぉっ!! パパぁって物知りぃ~」


マリックに褒められ、得意げのマルフェイスはふんぞり返る。


その直ぐ近くの森の中…。


夕方の日差しが木洩れ日に成る茂みの中。 筵の上に正坐し、江戸時代の浪人の様な人物がせっせと錆びた釘を動かす。


マルフェイスとマリックの会話が聞こえ、手を止めた浪人は。


(今日もお二人は、仲良くやっている様だ…)


彼が、ゴルドフ。 白髪混じりの髪を短くした頭に眼帯をしている。


「…」


木箱を机にして、ボロ木の板に何かを彫っていた。


そして、彼の周りの木々には、凡そ紙幣とは程遠い物品が紙に写し取られて乾かされている。 パッと見ては、解体した魚の魚拓の様な物だ。


(我が御家の再興の為には、今は我慢の時。 作者殿には悪かったが、マルフェイス様が欲しいと言われた故…)


程近い所から、小波の音がして来る。


(さて、そろそろ港や海岸を見回って来るか。 何かお二人の口に合う物でも落ちて居ると良いがのぉ…)


ゴルドフは、物拾いに出掛ける事にした。


港の漁港に行くと。


「おう、浪人さん。 今日は、貝が売れ残った。 食い切れないから持って行くかい?」


と、競り市の行われる漁業センターを掃除するおじさんが言って来る。


赤い夕日に照らされたゴルドフは、深深と一礼し。


かたじけない・・。 明日の漁業に成功と感謝を祈り捧げます」


丸で牧師か神父の様な事を言うゴルドフ。


笑う漁師は、


「この前は、海に落ちた子供助けて貰ったからな。 ま、恩返しだよ」


その頃。


マルフェイスの目の前に、黒いスーツを着て様変わりしたマリックがいる。


「パパ、んじゃ~行って来る」


「おう、息子。 そのホストなんたらと言う場所で稼いで来るのだな?」


「うん。 ボクって“破格”らしいんだよ」


「“破格”と付くとは凄いな、息子よ」


「うん。 皆、低い賃金の“万”らしいんだ。 でも、ボクだけ特別な“無償”なんだって」


「・・・“無償”?」


「うん。 後で纏めて辞める時にお金が貰えて。 スッゴクお得な給料ならしいんだ。 お店では、可愛い女性も偶に来るしね」


マルフェイスは、マリックが何か勘違いをしている様に思え。


「息子よ。 “無償”の意味を知っているのか?」


「うん。 多分、特別でしょ?」


マルフェイスは、何不自由無く最近まで育った息子に涙が出た。


(ううぅぅ・・息子よぉ~)


そんな父親の悲しみを他所に。 マリックは、スキップしながら出勤していく。 




                       ★




さて。 夕方に為った喫茶エロ~ルでは・・・。


Kは、目の前に居るジュリアとポリアに向かい。


「お前達、何時間居んだよっ」


12杯目のお茶の御代わりを貰う作者は、マルヴェリータと共に座って居り。


「まぁ~まぁ~、いいじゃないですか」


Kは、ワナワナした口元を震わせ。


「“タダ茶”をシバくお前が言うかぁ?」


マルヴェリータは、静かにコーヒーを飲みながら。


「ケイ、少し短気に成ったんじゃない?」


マルヴェリータの真似をして、肉の厚みで合わせ切らない股を窄めた作者も。


「短気かしら」


Kは、歯軋りするままに不気味な笑みを浮かべ。


「作者、随分と横のおねーさんに飼い慣らされてるじゃないか」


すると、マルヴェリータは、一つ頷く。


「聞き分けはイイ人よ。 調教も順調だわ」


作者は、テーブルに伏せて。


「わん」


Kは、マルヴェリータに飼い慣らされている作者に呆れ、もう無視を決め込もうとする。


「所で、ケイ。 何時に成ったら返事が貰えるのだ」


と、退屈そうなジュリア。


昼前から遣って来たポリアは、ジュリアに鋭い目を向け。


「さっきから何回その回答を無視されてるのよ。 仕事サボってるしさぁ~」


「仕事のしてないプーに言われる筋合いは無いな」


白いワンピース風のチュニックに、水色のパンタロンジーンズを穿きこなすポリアは、ムカっとした顔になり。


「一応はモデルじゃいっ!! 忙しい刑事じゃケイの相手なんか出来る訳無いじゃん。 マリック辺りがお似合いじゃない?」


ジュリアは、鋭い視線をポリアに向け。


「言うてくれるな、小娘」


「年齢あんま変わらないだろ、ババァ娘」


Kの目の前で、不毛な戦いが始まろうとしている。


離れたテーブルでそれを見てる二人は、


(杉○さん、なんか女性同士の争いが始まりましたよ)


(神○君、中々見応え有りますね。 怪獣映画さながらですっ、最後まで見届けましょうか)


そんな中である。 突然に扉が開き。


「ポリア~、酒買って来たぁぁぁぁーっ!!!」


と、システィアナが入ってくる。


Kは、持ち込み禁止と書いてある店内に、酒の瓶や缶ビールなどを大量に買い込んで来たシスティアナを見て。


「おいおいおいおいぃぃぃぃっ!!!!! コーヒー店で酒なんかシバくなぁぁぁーーーーーっ!!!!!」


Kさんの苦労は続く・・。


それから2日後。


朝である。 店内の奥に備わる42型3Dテレビより、スーツを着て正装したスティールがニュースを読んでいた。


ー次のニュースです。


伊豆で無許可で風俗店を経営していた店主。 ホロー・オフグリ容疑者が逮捕されました。


尚、店の従業員で、率先して女性を誘惑していたと見られるマリックと云う男も逮捕されたそうです。


関係者に因りますと、このマリック容疑者は、近くの藪に住む浮浪者のマルフェイスと云う父親を持った人物で、払われる事の無い契約で社員となり、次々と・・・。      -


そのニュースを見ながらカップを拭くKは。


(エロール、早く帰って来いよ・・・。 あ~、アレから不思議と俺の不満で意気投合して、ジュリアのマンションに泊まりに行ったまんまポリアとシスティアナが帰って来ないなぁ~。 ジュリアに留置所でも入れられたか?)


そこに、更なるニュースが伝えられる。


ー続きまして。 同じく伊豆にて、大量の下着を盗んでいた男が逮捕されました。 


男は、自分の素性を“人の良い浪人”と云っており。


近隣の住民の話では、最近海で溺れた子供を助けたり、痴漢を捕まえるなどのヒーロー的存在だったという事です。


尚、先ほどのマリック容疑者とは主従関係である様で、警察では関係を調べて・・・-


Kは、ニュースを見て口元を引き攣らせた笑みを浮かべた。


(ドイツもコイツも好きだねぇ~)


そして、マルヴェリータに引き取られた作者も行方不明だった。


鎖に繋がれ、飼われる作者を想像したKは。


(ミニ豚と犬の中間に堕ちたかな~)


しかし、更に2日後のエロールが帰ってくるまで、消えたキャラの行方は不明のままだった。


タダ・・、今日も何故か。


「おはようございます。 杉○ 右キョーです」


「おはようございます。 神○ 損です」


Kが、貰ったバイト代で新たな旅をしようと新幹線乗り場に立つ時。 其処に、この二人が現れたのだった。


(俺・・・何したっけ?)


Kが頻りに首を傾げるままに乗車する。


Kと“匿名係”を乗せたリニア新幹線“萌え太郎”は、名古屋に向かうのだった・・・。

どうも、騎龍です^^


笑える一時を生み出せたら幸いです。


ご愛読、ありがとう御座います^人^

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