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エターナル・ワールド・ストーリー  作者: 蒼雲騎龍
K編
7/222

K特別編 セカンド 4

K特別編:理由




10、真夜中の訪問者




深夜、もう商業区ですら地下の飲み屋以外は明かりを落とし。 街を安全に照らす街灯すらも油が切れて火が落ちた。


月が“下弦”を更に過ぎた弓形の姿を見せる夜空の下。 汚れた幌を揺らす馬車が一台。 貴族地区に入って、馬蹄の音を響かせてレンガ道路を行く。 随分とゆっくりと・・。


馬車は、見回りの僧兵が居ない頃合いを見計らって、地区の中心部にある邸宅の一つ。 ブルーローズの屋敷に到着した。


御者の隣に座る者が、薔薇の大輪を象った正門に向かって、4メートル近い門をフワリと飛び越えた。


ジュリアが起こされたのは、その直ぐ後だ。


「ジュリア様、ジュリア様っ」


ジュリアの私室の外で、入り口から老人の声が。


青いシルクの掛け布一枚に身を包んでいたジュリア、ハッとして飛び起きた。


「爺っ、彼が来たのか?」


扉の外から老人の声は返して。


「はい、それが・・・幾分、お客が多い様ですぞ」


何事かと驚いて、ジュリアは起きた。 透ける青い下着一枚だったジュリアだ。 赤いガウンローブを羽織り。 剣だけを腰に据えて部屋を出た。


夜も遅くの深夜、一部の廊下にランプが急に灯され。 ジュリアとKが昨日逢った本館の入り口は、礼服の男性二人と庭師の男性がランプを掲げる中で明るく成った。


ジュリアは、生まれる前から仕える執事の老人を携えて扉を潜って外の玄関前に出ると。 階段下に立っている包帯男・Kを見る。


「おぉ、来たか」


幌馬車の横に立つKの足元には、もがく男が3人。 馬車の馬の方に、御者なのか背の低い身体のローブ姿の何者かと、そのローブの人物よりも背の低い皺枯れた黒い服の老婆の姿が。


もがく男達をジュリアは見下ろして。


「襲った犯人も捕まえたのか? どれ、僧兵役人を呼ぼうか」


言ったジュリアを、Kは階段下から見上げて。


「待った。 それは、まだだ」


ジュリアの両脇に控える、ランプを掲げる黒い礼服の男性の若い方が、Kに。


「何か、不味い事でも?」


ゴルドフの飼い犬であるサンチョスを、Kは見下ろして。


「コイツの雇い主は、侯爵のゴルドフだ」


「なっ、なんだとっ?!! あの・・ゴルドフ・・・バレンシェタイン卿が・・」


剣の腕ではそれと云われる侯爵のゴルドフは、ジュリアも顔を含めて知っている。


Kは、サンチョスの脇に屈み。


「問題なのは、あのゴルドフは兵士のトップなんだろう?。 下手に役人に引き渡して、取調べしている間に口封じされたら困る」


Kの話を聞くに、ジュリアも在り得ない話では無いと解る。


「では、どうする?」


Kは、ジュリアを見上げて。


「ああ、明日さ。 俺が一緒に行って、昼過ぎに教皇庁の知り合いに掛け合う。 その後、直接引き渡したい」


教皇庁に知り合いが居ると聞いては、聖騎士ジュリアも驚きだ。


「お主・・・誰と知り合いなのだ?」


「あ? ハルフロンだ」


簡単に言ったK。


絶句したのは、ジュリア以下その場の全員だろう。 “ハルフロン”と云う名前は教皇庁に勤める大勢の職員の中でも一人しか居ない。 大司祭にして法務大臣ハルフロンその人。 ハルフロン大司祭が、法務大臣のトップと云う意味は、聖騎士、僧兵、兵士長、兵士のトップであると云う事でも有る。 K達と、ジュリア達兵士が協力して退治した山賊。 その報告をジュリアが教皇王にした時に、その脇居たあの男性なのだ。 教皇王の右腕であり、厳格にして情け深い男性だ。


「おっ・・お主っ、ハルフロン大司祭様に・・顔が・・・?」


ジュリアの驚きを見るKは、頷き。


「ああ、今の教皇王とハルフロンには、4・5年近く前にな。 ま~、一介の冒険者だから、ノコノコ会いに行くのもどうかと思ってたが。 今回は、非常時だ」


ジュリアは、話が大きくなったので直ぐに若い礼服の男に向いて。


「今直ぐ、地下牢に奴等を入れて閉じ込めろ」


「ハッ」


礼服姿の男が二人で動き出す。 Kの元にまで降りて、縛られているサンチョス達を地下牢に連行する為に、3人の身を起こした。


Kは、ジュリアの言葉に捕らえたサンチョスや冒険者から離れ。 老いた老婆を案内して階段を上がり、ジュリアの前に連れてくる。


「ジュリア、この方がジョージの母親だ。 20年前に死んだ、エリザベートの母親でもある」


ジュリアには、それは衝撃的過ぎる。 グッと老婆を見て、


「な・・何だと? では・・・ゴルドフは・・このお母上を狙ったと申すのか?」


Kの脇で、ジョージの母親は頭を下げる。


ジュリアは驚き、片膝を地に着いた。


「頭を上げられよ・・。 私の兄は・・・20年前に、貴女の娘様であられるエリザベート様に言い寄ったのだ」


ジュリアは、一旦Kを見てから、また老婆を見て。


「ああ、これもフィリアーナ様の思し召しか。 あの時の罪を、罪滅ぼし出きる機会が来るとは・・」


その時、地下牢に連れて行かれる男達を廊下で見るレイチェルが、何が何だか解らない顔をして本館の面玄関にやって来た。 白い就寝用の女性ローブ姿である。


「お・・御姉様、これは一体・・・」


来たレイチェルに、ジュリアは向いて。


「レイチェル、爺とこの女性を客室にお連れして欲しい。 もう遅い故に、休んで頂くのだ」


「ああ・・・」


済まなさからか、老婆はジュリアを見下げて遠慮の声を洩らして手を振って見せる。


だが、ジュリアはその老婆を見返し。


「只でさえ悪党に狙われて在す御老母を、このまま助けねば家名に恥じます・・・。 いえ、まして・・まして・・ジュージ殿とエリザベート様の御母上と聞いた上は。 このブルーローズ家の聖騎士ジュリア、命に代えてお護りせねば一生に悔やみまする・・・」


ジュリアの瞳に、真摯な涙が溢れた。 この偶然は・・・丸で天命如き偶然であった。 


ジュリアは、事件直後にこのジョージとエリザベートの母親に会いたかった。 だが、スラムの内部は知る者でないと誰が誰だか解らない。 しかも、ジョージも行方不明に成って、ジュリアの兄が半ば強引に犯人に決め付けられて。 その事件の記録は、誰も閲覧出来ない封印文書にされた。 だからジュリアは、この母親を含めたジョージとエリザベートの家族がどうなっていたのかサッパリ解らなかった。


だが、今。 その運命の糸が・・・、Kによって手繰り寄せられた。 


ジュリアを見下ろすKは、爵位を持つ一族の高潔な誇りを垣間見た気がする。


(ま~ったく、イイ女でやんの。 早く、ダンナ見つけて幸せ掴めよ)


ジュリアの言葉で、少し事情が飲み込めたレイチェルが、執事の老人とジョージの母親に寄って、手を取り案内に回る。


ジュリアに一礼し、その身を任せる老婆。


老母の連れられて行く姿を立ち上がって見送るジュリアは、Kの手前で涙を拭いた。


「済まない、取り乱した」


「いいんでないか? 事情がジジョ~だし。 但し、あの老婆を君に任せたのには、それなりに訳があるがな」


今まで解らなかった事が少し理解出来て、ジュリアは頷く。


「少し解ってきた。 20年前、ゴルドフの弟が謎の出奔をした・・。 あの事件の直後に。 そして、ジョージ殿もまた・・・。 その辺に関係が在るのだろう?」


Kは、カクカク頷いて。


「ビミョーに近い事線ですなぁ」


ジュリアは、その言い方が奇妙な言い回しだと思いながら、Kを見回して怪我も無いのを見て確かめてから。


「しかし、そなたも流石だの」


「ん?」


「あの鎧だの纏っていた男二人、かなり剣を遣う相手だ。 無傷で捕らえるとはな」


ジュリアも、伊達に聖騎士などやってはいない。 テイラーとダイソンの力量を姿見て看破し。 Kの強さを思い計ったのだ。


しかし、Kはのろ~んとした受け答えで。


「さあ~な、一人ソロで戦えば、君でも十分に勝てる相手だ」


その言い方。 “1対1ならば”と云うKの推察は、誠に双方の力量を見抜いているとジュリアは感心した。


「確かに・・・」


プライドで怒る訳でもなく頷いているジュリアの横顔を見て、Kは続ける。


「ジュリア、実はな・・」


「ん?」


声に横を振り返ったジュリア、包帯の隙間に見えるKの目に視線が吸い込まれた。 自分の全てを見抜かれてしまいそうな程に、穏やかで澄んだ眼だったからだ。


「ジョージとエリザベートの母親であるあの老母、ただのお人じゃないんだ」


今日の昼過ぎにマリックへあの啖呵を切ったジュリアには、Kへの心持ちが在っての事。 思わず見惚れた自分に、秘かに話し掛けたKの言葉が耳を掠めてハッとする。


「あっ・・ああ・・。 ん、どうゆう意味?」


少し緊張と興奮からか、気が緩んで言葉尻が女に変わる。


Kは、レイチェルが行った先を向いて。


「こう云えば、誰か解るだろうな。 “ロザリア”」


名前を聞いてジュリアは、記憶を手繰り始めながら。


「ロ・・ザリ・ア?」


「ああ、“シスター・ロザリア”。 有名な言い方をするなら、“マ・ドンナ・リュ・ロザリア”」


ジュリアの切れ長の眼が、その名称にギョッと全開に見開いた。


「ま・・まさか・・・。 あっ、あああの? “ロ・・ザリア”様なの?」


ジュリアを見つめて、Kは大きく頷く。


「そうだ。 もし、殺されたとしたら・・・教皇王の悲しみは、如何程か・・」


ジュリアを見て、Kは少し声を正し続けて。


「だから、全ての意味を踏まえて。 君が護れ。 事実が解れば、世の誤解も解ける。 君も、あの妹さんも十分に苦しんだ・・・。 そろそろ、日の目見てもいいだろう」


と、Kは云い終えぬ内に階段を降り始める。


この事実は、ジュリアには衝撃的過ぎる。 そして、今までに居なかった男Kの存在。 ジュリアは、もう思わず縋る様に。


「ケイっ」


階段を降り掛かったK、呼ばれて立ち止まり。


「んあ? 何だ?」


ジュリアは、この心の言葉は自分の今までに無いモノだと感じながらも・・。


「何処に行くの?」


「あ~、ゴルドフを見張る。 野郎、事が上手く行ったのか、行かないのか解らずに慌てるだろう。 動向を探って、野郎を引きずり出すやり方を模索しまんがな。 ま、後は昼前にまた顔を出す。 それまで、あの悪党共を預かってくれ」


ジュリアは・・、言うKの言葉を遮り。


“今夜は・・・此処に”


と、言いたかった。 だが、軽く手を挙げて背を見せる包帯男を止めて、我儘を言う自分を悪く思われたらと躊躇いが同時に湧いてしまった。


「・・・」


女らしい事も、何も言えず。 ジュリアは、包帯男を見送った。





11、近づく、その理由




一夜が明けて、朝が来た。 昨日までの快晴が嘘の様に雲が空を覆い出していた。 少し風も強く、肌寒い。 


ジュリアは、この日は休みであり。 レイチェルに服でも買おうかと思っていたが。 包帯男・Kの訪れで、全てが一変した。


遅めに朝食を迎えた、ジュリア、レイチェル、そして・・・ロザリアと云う名前の老婆。


メイドの支給で、食事を始めてジュリアは思う。


(この方・・・やはり、只のスラム生まれでは無い・・・)


老婆は、ゆっくりの動きながら、テーブルマナーから食事の仕方まで心得ていた。 ワインを断るマナーも、支給するメイドに対する仕草も。


ジュリアの記憶に、人伝で聞いた偉人の話が思い出された。


“グランドマザー・ロザリア”・“マ・ドンナ・リュ・ロザリア”と異名を取ったのは、今の教皇王の実の姉であり。 慈悲の奉仕に生きたシスターだ。 


公爵家・フューリナム”。 公爵の最下位に序列しているものの、慈善活動に生きる人が多い一族だ。 その、80年以上前の当主が長女に生まれたロザリアは、魔力が非常に強く、また優愛・博愛の精神に溢れた小柄な女性だったとか。


ロザリアは、魔法学院・カクトノーズで15歳の若さで魔法習得を終えて。 またこの生まれ故郷に帰った。 


だが。


当時、この国では伝染病が流行って、スラムで大量の死者を出したらしい。 その救済に、教皇庁ですら手を差し伸べるのを戸惑った程に酷い状況だったらしい。 スラム全域は、魔法で作られた壁に隔離され、行き来には厳しい調べを受ける状況だった。


しかし、ロザリアは有ろう事か。 なんと、その身を冒険者に落としたのだ。 そして、疫病が蔓延するスラムに薬を届け。 冒険者として稼いでは、それを繰り返した。 一族からも、爵位の有る各枢機卿達からも敬遠された。


しかし、その献身的な姿勢を見た市民が、教皇庁を次第に責め始め。 ロザリアに寄付を申し出て行く。 商人・文化人・知識人の応援の元、遂に10年で病気は沈静化。 スラムの住人の全滅を待たずして、スラム地区を封鎖していた壁が取り払われた。


そしてロザリアは、動物園などが近い場所に孤児院を設けて。 スラムの身寄りの無い子供達を引き取り、教育して世に送り出す礎を築いた。 その施設は、“大いなる母(グランドマザー)の腕”として今でも存在し。 寄付と、子供達が作る作物の収益で運営されている。 今では公爵を始めに、爵位の有る者で心有る者は寄付をしている。 無論、ジュリアも。


しかしロザリアは、突如として姿を消した。 置手紙を残して・・。


憶測が飛び交ったらしい。 攫われたとか、死んだなどと。 だが、こんな足元に居たなんて、ジュリアには信じられない。 


現・教皇王エロールロバンナは、ロザリアの実の弟であり。 偉人としての姉、ロザリアを深く深く敬愛している。 その思いの強さから、常日頃ロザリアの消息を知りたいと願っている。  


しかしジュリアは、手柄云々でこの老婆を教皇王に差し出すつもりは毛頭も無い。


ただ、理由は知りたかった。


一同食事を終えて、老婆の手を取り二階の客間に戻したジュリア。 


広い客間である。 この一間で、スラムに在った老婆の小さい家と一緒の大きさだ。 有名画が壁に掛けられ、大きな暖炉や、ゆったり座れる椅子やソファーが配置されている。 床は、白い絨毯が真綿の様に。


ジュリアは、老婆を連れると使用人を人払いし、レイチェルと二人残る。 曇りのカーテンで、外から薄暗く日の光が滲む室内の窓辺にて。 静かに切り出した。


「御母上、御一つだけ、お尋ねしても宜しいですか?」


椅子に座った老母は、静かに頷く。


ジュリアは、妹をやや後ろに下がらせて。 自分は、老母の傍らに片膝を付いて、


「ケイから窺いましたが・・・、貴女様が、シスター・ロザリアなのですか?」


その問いに、老母の身体が微かに震えた。 そして、少しの沈黙を置いて・・。


「はい・・・」


後ろに控えたレイチェルですら、その名前は知っている。 良く、教皇王エロールロバンナが逢いたいと願う姉の名前だからだ。


ジュリアは、俄に驚きうろたえる妹に目で、


“落ち着きなさい”


と、目配せしてから。


「やはり・・・。 どうして・・・どうして行方を? 何か、理由でも有りましたか?」


老母は、行方を消して50年以上の時が過ぎたのを思い。 話す気に成った。 恐らく、ジュリアを信頼出来ると思ったのだろう。


シスター・ロザリアは、“マ・ドンナ”=“聖女”の称号まで受けた女性だ。 だが、あろう事か、スラムに住まう男と愛し合ってしまった。 これだけでも、貴族や聖職社会に置いては大変な出来事だ。 ロザリアと愛し合った男性には、様々な方面から攻撃が来るだろう。 身分の違いも然る事ながら、聖女に手を出すなど有っては成らない話だ。


しかし、二人は秘かに、秘かに、関係を続けた。


そして、ロザリアは身篭った。


だが、問題なのは、その時期に合わせて一人の野心旺盛な伯爵貴族がロザリアに求婚を迫ってきた事だ。 何度断っても、しつこく食い下がる伯爵。 そして伯爵は、遂に、ロザリアの妊娠と男の存在に気付く。


伯爵は、有ろう事か。 その事をネタにしてロザリアに結婚を迫った。 お腹の子供を捨てる事も迫る。 この事実が巷に知れれば、ロザリアに集まった信頼が落ちて、孤児院もどうなるか解らない。 更に、ロザリアの実家である公爵家にも迷惑が掛かるだろう。


そして、事件は起った。 或る夜、言い争いからの揉み合いの末に、男が伯爵を殺害してしまったことなのだ。


この事実は、ロザリアには胸を裂く様な葛藤を呼んだ。 しかも、伯爵が引き金に成り。 他の爵位ある野心家も、家柄良く愛らしいロザリアならばと求婚に動く気配を見せていた。 ロザリアは、有名に成り過ぎたのだ。 そして、欲望の道具に見られた結果の出来事。


遂に、ある日の夜更け。 ロザリアは孤児院の運営を腹心の女性に託し、男と姿を消した。 役人すら来ないスラムに消えたのである。


「ああ・・なんと御労しや・・。 爵位整理に、結婚が悪用されるのが慣例化したばかりに・・・。 何時も、何時の時代も・・・」


ジュリアにも、その苦労は良く解る。 今、自分達が直面する問題だからだ。


「すみません・・・」


頭を下げたロザリアに、涙が出そうなジュリアは首を振った。


「ロザリア様、面をお上げ下さい。 それは、人としての運命の流れ・・、誰にも制する事など出来ますまい。 理解しました。 それを聞く聞かないで、私はロザリア様を何処へ差し出すとも致しません。 ただ、事が落ち着くまでは、此処に」


ロザリアは、ジュリアの言葉に頷いて・・頷いて。


「ありがとう御座います・・ありがとうございます・・」


と、繰り返すのだった。


さて、ジュリアの屋敷より南に下がった場所に。 黒い大きな館を庭の木々に囲まれた狭い庭しか持たない邸宅が有る。


その玄関ロビー、大理石の床が数メートル広がる薄暗い間にて。 


「なんだとっ?!!」


膝間付く兵士を前にして声を上げたのはゴルドフだ。 私服のガウンローブを纏ったままの井出達で、剣だけ持つゴルドフは、やって来た自分の配下の兵士の話に愕然としたのだ。


ロザリアの家に朝方通報が有ったと役人を手配し。 全ての罪を冒険者二人に擦り付けて、自分の裁量で抹殺する気だった。 しかし、役人が行けば家の中は蛻の殻。 血の跡も居間に僅か、遺体すらも無い。 更に、これを機に口封じに始末しようと思っていたサンチョスまで居ないと言う。


「ゴルドフ様、如何いたしましょうか」


兵士の言葉だが、ゴルドフには聞こえない。 何がどうなっているのか、さっぱり解らずに目の前が真っ暗に成った。


ゴルドフは、もう思うに当る人物はサンチョスと・・・あのサンチョスの話に在った包帯男だ。


「・・・・・探せ、探せッ!!! サンチョスと包帯男だっ!! 顔に包帯を巻いた男だっ!!!」


すると、兵士は膝間付く体勢で。


「ゴルドフ様」


言われたゴルドフは、怒りに狂う顔で兵士を睨み。


「何だッ!!! 早く探せっ!!!」


「はっ、ですが。 その包帯男は、ジュリア様に聞いた方が早いかと・・・」


ゴルドフは、いきなりの事に顔が歪む程に困惑して。


「なっ・なんだとっ?!! あの男・・ブルーローズ様の当主に縁が有るのかっ?!!!」


「はっ、この前、ジュリア様が御討伐された山賊の一件に加わった冒険者に・・・その様な者が居たとか」


「ほっ、本当かっ?!!!」


「はっ。 素晴らしい活躍で、ジュリア様の申し出で、近くチーム名の広報の礼を行うとか。 ジュリア様が、直々に出向くそうなので、ジュリア様にきい・・」


兵士が其処まで言い掛けた時、ゴルドフはもう怒り狂った顔で兵士に迫りながら。


「えええいっ!!! 喧しいっ!!!! あの凍眼のジュリアに悟られるわっ!!!! とにかく探せっ!!!!」


迫られた兵士は、ゴルドフに気圧されて、悲鳴染みた声を上げて探しに出て行った。 


その兵士の去った後、ゴルドフは薄暗いロビーで立ち尽くしたままに。


(あああっ!!! なんと云う事だっ!! あの・・・凍眼のジュリアの知り合いだとっ!!! 現・教皇王様の一番のお気に入りである聖騎士ジュリアの知人だとっ!!!! 何がなんでも抹殺せねばっ!!!!)


開かれっ放しの玄関を睨み、ゴルドフは崖っぷちに立たされた思いである。


ゴルドフは、昨日から妻と子供を使用人総出のお供でカジノ旅行に出していた。 10日ほど一人に成って、様々な問題を解決してしまおうと目論んでいだ。


今、屋敷にはゴルドフ以外には居らぬ。 なのに・・・。


「ほ~、いい造りの家だなぁ~」


突然、ゴルドフの後ろから声が・・。


「ぬっ!!」


振り返ったゴルドフは、ロビーから伸びた廊下が、階段で二階に行くのと、階段脇を通る廊下とに分かれる分岐点で。 階段へ向かう場の手摺りに、廊下側から寄り掛かる黒ずくめの包帯男を見た。


「き・・貴様・・・包帯を・・・貴様か・・・貴様がぁっ!!!!」


屋敷内を見回していたKは、ゴルドフに軽い動きで首を向けて。


「ゴルドフ、やり方きったねぇ~な。 昔の精算に人殺しか? しかも、雇った冒険者や、頭の悪いが忠実な飼い犬まで・・。 お腹の中、まあっ~くろさんだね」


戦慄くゴルドフは、手に持ったサーベルを引き抜き。


「喧しいわぁっ!!!! ノコノコと出て来たのを後悔させてやるっ!!!」


と、いきなりKに斬り掛かった。


だが、斬られる前にKは、右手一本で手摺りを側転に飛び越えて階段に立つ。


「ぐっ」


空振りに終わったゴルドフは、Kの動きの早さに躊躇いが生まれて睨み上げる。


余裕のKは、ゴルドフを見下ろして。


「アンタ、何でそんなに事を揉み消したがる? もう、事件は闇に葬り掛かってるのに・・・。 ん?」


ゴルドフは、体中に湧き上がる怒りに身を包んで。


「煩いわああああっ!!!!」


階段に踏み込んで、Kにサーベルを突き込み、避けられても何度も斬りかかり。 どんどん階段を上がる」


Kは、その怒り狂うゴルドフを見据えて、剣を避ける。 そして、ゴルドフがまた突き込みに転じた時だ。 一瞬早く飛び上がり、なんとゴルドフの突いた剣の上に乗った。


「う゛ぐっ」


ゴルドフの突いた剣は、階段の最上段の上で、Kの足と階段との挟みに合って動かなくなった。 押せども引けども、剣は少しも動かない。


汗を額に浮かべて躍起になるゴルドフを、涼やかな眼のKは見下ろして。


「ゴルドフ、あんたの弟がやったのは解ってる。 だが、何でアンタは弟の逃走を助け続けた? もう、20年。 しかもあれは、アンタとは無関係だろうに」


ゴルドフは、その云われる事すら嫌で仕方無い。


「うっ煩いっ!!! 黙れっ!!!」


だが、Kは構わずに続けて。


「おかしいだろう? ちゃんと話せば、アンタの家は下爵で取り潰しには成らない。 何せアンタの馬鹿弟は、爵位序列から排除された廃爵の男だ・・。 なのに、何で隠す」


Kの言葉は、丸で闇に隠れた真相の糸を手繰る様な響きだ。


ゴルドフにすれば、それは我慢の出来ない事なのだろう。 もう堪らずに、切羽詰まってKに掴み掛かろうと剣から手を離した。


瞬間。


Kの身体がフワリと舞った。


「うおわあああああーーーーーっ」


グルドフが掴み掛かったのに。 Kは掴る処か、その場で軽く宙返りしながらゴルドフの顎を右足の爪先で引っ掛けて諸共空中を一回転し。 ゴルドフを二階廊下に叩きつけて、自分は同じ場所に着地したのである。


「ぶぐっ!!! うごおお・・・」


強かに背中を強打したゴルドフは、呼吸もまともに出来ずして呻き苦しむ。 この時、ゴルドフの剣が支えを失って階段を滑り落ちる音が響く。 


咳き込むゴルドフのそれを、脇目にKは見ていたが・・・。


「おの・・れぇ・・・」


と、ゴルドフが自分を見上げた時だ。


「ゴルドフ・・・お前まさか・・・」


Kが、何かを察したようにゴルドフに向きを変えたのだ。


「!!!」


そのKの口調に、ゴルドフはハッとして・・首を左右に振り。


「おっ・・俺は何もっ!!!」


と、俄に慌てだした。


その、ゴルドフの慌て方。 Kには、納得が行った。


「お前ぇ・・そうか。 それじゃあ・・・裁かれて当然だなぁ・・・」


Kは、そのまま階段に向き直って降りる。


「あっ、まっ待てっ」


ゴルドフは、背中の痛みを動き出そうとして再認識して、立つに立てず。 這い蹲って、Kの後を追おうとする。


Kは、降ってロビーに近付きながら。


「ゴルドフ、本当に潔白と云うなら昼間に教皇庁に来い。 教皇王との謁見出来る、“聖謁の間”。 其処で、決着付けてやる。 ただ、覚悟だけ持って来い」


「まっ・・・ま・てえぃぃっ」


階段を転げそうに這いずるゴルドフの視界の中、Kはロビーに降り立って開きっ放しの玄関から外に。


Kは、何故にゴルドフを捕まえなかったのだろうか。





12、真相と過去が向き合い始めて。




その日の昼前、ジュリアの屋敷にKが戻って来た。 Kは、ジュリアに逢うと静かな口調のままに。


「行こうか。 教皇庁に」


と、告げて。 悪党達二人にサンチョスを加えた3人をジュリアの家の荷馬車に乗せて。 あの礼服姿の二人に護衛で行かせた。 ジュリアの馬車には、ロザリアも、レイチェルも乗せた。 レイチェルは、ロザリアを心配して姉の制止も聞かずに着いて来たのだ。


さて、昼過ぎ。 


中央大聖堂“ヴェルハラントモリナリス”の北側に位置する聖堂に、K以下全員が入った。 この聖堂は、許可無く入る事は禁じられている。 ジュリア姉妹と縛られた冒険者達を見た兵士が、驚くままに通し。 Kが、兵士にハルフロン大司祭の知人だと言って、事態は加速度的に進行し始めた。


ジュリアが前に、教皇王に報告の謁見をした時の壇上前の場所から、大きく後方に下がった所に。 呻く冒険者二人にサンチョスを床に放置し。 Kは、それを間近で見張る。


ロザリアに添うレイチェルとジュリアは、白い長椅子の連なる前方に座った。


そして、外の雲が厚みを増して、雨でも降りそうな昼下がり。 聖堂の壇上に右から灰色と蒼の色を基調とした神官礼服に身を包んだハルフロン大司祭が出て来た。 後ろからは、聖騎士の男が一人、兵士が5・6人続く。


「何事ですか。 この大聖堂は、許可無く立ち入られる所ではありませんぞ」


と、厳格な口調で言う。


やや皺が目じりに滲む、知的で人格が確かな面持ちのナイスミドルな紳士であるハルフロンは、立ち上がり臣下の礼をするレイチェルとジュリアを見た。


「ジュリア殿、これは一体・・」


訳が解らず、少し緊張しているハルフロン大司祭に、奥に立っていたKが。


「おい、ハルフロンさんよ。 事情も無くこんな来方しないぜ。 それより、アンタの出番だ」


ハルフロンは、その声に聞き覚えが有った。


「え? この声は・・・」


声の響きを頼りに見る先には、包帯をした男が立っている。


Kは、ハルフロン大司祭が気付いたのに合わせて。


「4・5年振りか。 お互いに、大事件の度に厄介になるな」


Kの語りに、ハルフロンは驚きの顔で。


「ま・・まさか・・・あっ、あの時の冒険者殿か?」


「ああ、ケイって呼んでくれ」


「おお・・・おおおおお・・・な・なんと云う恩人の訪問か・・・」


喜ぶハルフロンは、そこまで言ってから。 Kの言った事に気付き。


「ケイ殿、またも“大事件”とは・・・。 今は、我が国は平穏ですぞ」


と。 ハルフロンは、後から着いて来た兵士や、聖騎士を見ずして壇上からジュリアなどが座る長椅子が列を作る床に降りた。


ジュリアは、ハルフロン大司祭の様子から、Kとハルフロンの関係が浅いものでは無いと見た。 ハルフロンなどの大司祭・大臣が、態々あの壇上から下に降りるなど滅多に無いことなのだ。


降りてくるハルフロン大司祭に向かい。 Kは、少々声を伝法にして。


「阿呆。 そんな上に居るから、末端の事件が見えないんだ。 今回、俺やジュリアが居なかったら、アンタ辞職物だぞ」


ハルフロン大司祭は、そこでピタリと足を止めて。


「ジュリア殿・・・レイチェルも・・・。 その、脇に居る老婆殿が・・何か?」


その時だ。 外から、兵士の喚き声がして。


「此処は大聖堂ですぞっ!! 侵入罪にッ!!!」


「うるさいっ!!!! 黙れっ!!!!」


俄に、緊迫した言い争う声が上がった。


パッと、ジュリアやハルフロン大司祭を含めてそっちを見る。


Kは、ただ不敵に笑って。


「犯人の御登場だな」


「え?」


ハルフロン大司祭がKの言葉に反応した瞬間。 開きっ放しのKの脇の入り口から、走る様子で何者かが飛び込んできた。


「ハア、ハア、ハア・・・」


その姿を見て。


「ゴルドフ殿・・」


と、ジュリアが呟く。


黒い鎧に身を包み。 血の付いた剣を片手にゴルドフが乱入してきたのだ。


ハルフロン大司祭は、その悪鬼の様な姿のゴルドフに驚き。


「ゴルドフ殿っ、此処は神聖なる大聖堂ですぞっ!!!!」


と、一喝する。


ゴルドフは、人の声に耳も貸さずに真っ先にKを見て。 足元ににサンチョスや冒険者二人が縛られているのを確認すると。


「いえ、曲者を退治に参った次第です」


と、Kに向かって剣を構える。


ジュリアは、その雰囲気に驚いて。


「戯言をっ!!! ゴルドフ殿っ、そなた・・罪も無い老母を殺そうとしたではないかっ!!!」


と、反論。


ゴルドフは驚き、ジュリア姉妹と一緒に、ジョージの母親らしき老母を見て。


「グッ、い・・生きていたのか・・」


と、汗に塗れた顔を険しくさせた。


聖騎士と兵士はハルフロンを囲み、


「大司祭様っ、どうかお下がりをっ!!!」


と、混乱するハルフロンを下げようとするのだが・・・。


Kは、その場で。


「ハルフロンも関係者だっ!!!!! 下がらせるなっ、馬鹿共がっ!!!!!」


と、大喝をした。


「うああっ」


「きゃああっ」


「ぬうっ」


その場の誰もが、Kの裂帛した気合の一喝に驚きたじろいでしまう。 余程の鍛え方でもしていなければ、到底出せる一喝では無い。


ゆっくりとした動きでKは、ゴルドフに向いて対峙すると。


「ゴルドフ、俺の手に在るのは、オールドアイテムの“記憶の水晶”だ」


と、ズボンのポケットから、6面体の立体水晶を取り出して見せる。


ゴルドフがやや慌て、そのKの手の水晶を見ると。


「だ・・だからどうしたっ!!!!」


Kは、その水晶を見て。


「この水晶には、ジョージの最後の記憶が入ってる。 お前の弟チャグリンと会い、決闘の末に知った事実と一緒にな」


ゴルドフ以下、全員が驚きの顔に成った。


Kは、その水晶を握り。


「ゴルドフ。 お前の弟は、ジョージに斬られる前に、お前に金の催促の便りを出してるな。 お前、今までず~っと弟に逃走資金を絞られて来た。 しかも、ジョージに語ったチャグリンの話からすると、お前に直々に会おうと旅立つ矢先でジョージに出会った。 だから、お前はチャグリンの死亡は知らない。 だからだろう。 お前は未だに、ジョージの母親の周りをコイツに探らせて、ジョージの消息を知ろうとしていたな?」


と、足元のサンチョスを軽く見る。


ゴルドフの顔色が、見る見る蒼褪めて行くのを全員が見た。


「し・・死んでいた。。チャグリンが・・・まっまさか・・・」


剣を構えていたゴルドフの手が降りた。


ハルフロンは、Kに思わず。


「ジョージ殿はっ?!」


その声に、Kは少しハルフロンの方に顔を動かし。


「死んだよ」


その一言に母親であるロザリアは、静かに俯いた。


ジョージを知っているジュリアは、あの大柄で豪腕の剣の腕からしてそうに簡単に死ぬ訳無いと。


「理由はっ?!! 何故に・・ジョージ殿は・・?」


Kは、眼を細めてジュリアを見る。


「いいか。 ジョージは、20年前の姉を死に追いやった犯人は、チャグリンと解っていた。 嫌、確信が無いだけだが、直ぐに逃亡しているし。 何度もエリザベートに言い寄り、薄汚い真似を仕出かそうとした下衆だ。 何か理由を知っていると、一人で仇討ちに出た。 だがな、仇討ちって言ったって。 流れの冒険者に落ちるんだ、そんな甘い生活など無い。 ・・・死病だった、俺が看取ったよ」


「そ・・・そんな・・」


「ジュリア、冒険者の流れなんて甘くないぜ。 金が無ければ平気で野宿しなければ成らないし。 絶えず相手を探して過酷な孤独旅をするんだ。 身も心も、次第に疲れ果てる。 疲れや悩みを酒で麻痺させ、不確かでもチャグリンの情報を知れば、悪天候でも旅立った事は一度や二度では無かったろう。 20年近くもそんな旅を続ければ、健康な人間でも身体を壊す」


Kは、愕然とするジュリアから目を外して。 弟の死に呆然としているゴルドフを見ると。


「ゴルドフ。 お前の弟は、顔のいい女性になら直ぐに不埒な言動をして、犯罪紛いの行いも平気だった。 だから、20年前の事件より前に爵位から除名される処置を受けていたハズだ。 なのに、何故に今まで助けた? チャグリンが、この水晶の中で言っていた事を思い返すと。 他に共犯が居たな。 だが、其処にお前の名前は無い。 寧ろ、訴え出て真相を明らかにした方が楽だろう。 なのに、お前は助け続けた・・・」


ハルフロンも、ジュリア等も見ている中で、ゴルドフの身体が次第に震えて行くのが見える。 虚空を見つめ、ワナワナと何かに怯えてさえ居るようだ。


Kは、そんなゴルドフに、ずばり。


「お前・・・エリザベートがチャグリンに拉致された後、一緒にチャグリンとエリザベートもてあそんだのか?」


「ハッ・・」


ゴルドフの顔が、バッとKに向き上がった。 そして、俄に首を左右に振り。


「ちっ・・違う・・違う違うっ!!!!」


Kは、怯えるゴルドフに更に詰め寄るように会話を繋ぎ。


「エリザベートは、確かに自分で舌を噛んだ・・・。 だが、それは結果論だ。 事実を言え、エリザベートの腹に居た子供の父親の前で。 全てを話せ、ゴルドフ」


ゴルドフは、Kの言葉にギョッとした。


「なっ・・と・・・な・・なんだ・・と?」


Kは、透かさずハルフロンを見る。


「美貌溢れるエリザベートが、静かに独り身を通していたのはな。 愛する人が居て。 その男が、一番昇進する大事な時だったからだ。 な?、ハルフロン」


聖騎士も含めた兵士、ジュリア達、縛られた冒険者達、そして・・・ゴルドフまでもが、俯いたハルフロンを見た。


其処には、俯いて瞑目している大司祭にして法務大臣ハルフロンが居た・・・。

次話、数日後に掲載予定


どうも、騎龍です^^


K編のセカンドもそろそろ終りです^^


今回は、ジュリアのKへの反応にどうしようか少し迷って苦労しましが^^;


ま、こんな感じにしました^^;


ご愛読、ありがとうございます^人^

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