K特別編 セカンド 2
K特別編:理由
4:故郷に帰る人・・と、故郷の人に戻った心
アンジェラの家は、丘をず~っと下った所の農家の一軒家だ。 住宅区を更に南下して、青々とした農地が見えて広がると。 林や農地の一部に隣接する様に農家が家を建てていた。 どの庭先にも、秋物の野菜が色々育っている。
土の通りの曲がり角、低い石塀を越えた庭の中を鶏が雛を連れ立って歩く。 石垣の柵で出来た小屋には、牛が数頭、ヤギも何頭か居るか鳴き声がする。 アンジェラの家は、地べたの上に半円のドーム型の石をボコンと置いた感じで。 ドーム型の石は大小4つが隣り合う様にくっついている。
石のドームの一番大きい手前の見えやすい所に、石壁に埋まる様に取り付けられた木のドアをアンジェラが開いて。
「ただいま」
と、声を出して中に入っていった。
セシルが中を覗けば、石階段が中に5段ほど降っている。 見下ろす床もレンガで出来ていた。 どうやら、床を掘り下げられて広さと高さを確保している建て方である。
「ン? 誰だ~い」
右のドアの無い部屋を繋ぐ仕切り枠から、ヒョイと年配の女性が顔を見せる。
「お母さん、ただいま」
笑顔のアンジェラを見るなり、女性は驚いた顔で。
「おぉ・・・アン・・アンかい」
「うん、クリアフロレンスに仲間と戻って来たの。 顔見せに来ました」
農家の人が良く着る厚手の布着に、白いエプロンをした50代を超えたと思われる年配女性がアンジェラの元に。 二人、抱き合って無事を確かめ合った。
母親は、アンジェラを涙目で見上げて。
「3年ぶりかい・・・また綺麗になったね~」
「ありがとう、お母さん。 今回、少しお金持って来たの。 ケーマやヨシュアの生活費になればって思って・・」
「ああ・・」
頷く母親は、セシル達に気付いて。
「あら」
「あ、紹介するわ。 今、仲間を組んでいるセシルさん、ステュアートさん、オーファーさんに、エルレーンさん。 凄く腕のいい人達よ」
中に入る順に紹介され。 母親に挨拶する一同。
母親は、女性が多くて賑やかそうなチーム仲間にホッとした顔で。
「ま~ま、皆さん。 こんなむさ苦しい所へ・・。 とにかく奥に、バター茶を煎れますから」
セシル、アンジェラのお母さんの顔に長い苦労を見た気がする。 もう、肌が黒く日焼けして皺が多い。 手も、大人の男の手よりもゴツゴツしている。
(結構貧しいんだね。 アタシの我儘母上よりずっと落ち着いてる)
通された部屋の床には、赤い民族模様の入った絨毯が敷かれ。 上にどっしりとした大型のテーブルが置かれていた。 椅子が足らないので、物置に成っていた古いソファーも引きずり出す。
「お父さんは、まだ畑?」
「うん、御義父さんと野菜の収穫に行ってるよ。 昼頃には帰って来ると思うけど」
家の周りの畑とは別に、離れた広大な農地で小麦の畑も持っているそうな。 アンジェラは、Kから貰った大きなチーズの塊と、少し値の張る短剣、そして僅かに身銭を残して3000シフォンをテーブルに置いた。
「御土産、少ないけど・・・」
「何言ってるんだい・・・。 ありがとう、アン。 今、ケーマが卒業間近で大変だったんだ。 これで、二人の事は心配要らないよ」
セシルは隣の席のアンジュラに寄り小声で。
「兄妹?」
「はい、弟です。 二人とも、フラストマド王国の上級学校に入学してるの。 上のケーマは、大学学術院に行ってるわ」
「ひえ~」
セシルが本気で驚いた顔に変わる。
ステュアートとエルレーンは意味が解らない。
オーファーがこっそりと二人に。
「教育を学ぶための学校です。 一般の教育学校とは違いましてね。 8歳から入学出来る段階別のエリート育成学術学校ですよ。 大學・上級・下級と有りまして。 上級高等科を卒業するなら、何処の国の役所にでも務められます。 大學科は、より専門的な経済や法律を学べる所で、成績優秀なら行く末は大臣にも成れる可能性が・・・。 大學学術施設は、世界でもフラストマド王国にしか無いんですよ」
二人、なんか凄い事なんだと解って本気で驚き。
「うおおおおおおーーっ」
「凄い~、エリートじゃん」
貴族でも無い者が、上級高等科の教育を受けれるのは稀である。 ましてや、大學科など夢の様な話だ。
オーファーも父親が魔法学院カクトノーズの大臣職であり、幼い頃から下級・上級の学校には行かされていた。 オーファーは、その卒業が19砕まで掛かってしまい。 17歳で魔術の修行は終えていたが、冒険者に成ったのは20歳前と云う。 かなり専門的な知識も学ぶ為に、魔術の勉強と両立するのは相当の苦労が必要だ。 つまり、オーファーも在る意味エリートなのである。
オーファーも子供の頃を思い出すに、入学試験が非常に難しいのを覚えている。 この貧しい家を見るだけに。
「弟さん達は、随分と賢いようだ・・」
褒めて貰ってアンジェラは、オーファーに笑って少し嬉しげに。
「そうね。 私の子供の頃に受けていた此処の国の下級学科の勉強が、二人には絵本代わりだったから。 全部、ソコームの叔父さんの影響ね」
其処に母親が、アツアツのバター茶を運んで来て。
「ソコームは、私の実の弟で。 貴族のお嬢さんと結婚したの。 元、冒険者で学者だったわ。 ウチに居候してた時に、息子達にアンの教科書を読んで聞かせてたの」
と、笑顔でバター茶を配りながら教えてくれる。
セシルはその現実的成果に目をパチパチさせて。
「英才教育だわ~。 アタシも、親に強引に行かせられて教わったモン」
エルレーン・ステュアート・オーファー、バター茶を飲みながら。
(強引か・・・。 だから、学が染み付いていない訳だ・・・)
急に黙る3人をセシルは見て。 何やら非常に静かな刺を感じ。
「何? なんか文句有る訳?」
目を細めたセシルの凶暴な視線に3人、顔をブルンブルンと激しく振った。
「フン、これでも入学の試験はパーフェクトだったんだぞ~」
仲間一同、セシルを怒らせない様に拍手する。 問題は、今現在である。
アンジェラのお母さんが、採り立ての野菜と干し肉などで料理を振舞うと言い。 皆は只では悪いと、家畜の世話や掃除をすることに。
その頃Kは、市内の西南西部の入り口から西側一体に広がる下町来ていた。
スラム地区は、昔ながら特有の赤茶けたレンガとの土壁で。 木の骨組みにレンガと赤い泥土を塗り固めて壁を作る昔様式の建物が多く。 商業区などでは別名で“レッドチーパス”と呼ぶ。 訳すと“赤い安物”と言うらしい。
だが、離れて見るスラム地区は、夕日や朝日などで以外に美しく見えるし。 住み心地が悪い訳では決してない。
スラム近くに来ると、広大な斜面に赤いレンガ造りの家が犇く様に丘の上に向かって伸びてゆく光景が見える。 どの国にスラム街は在ると言ってもいいだろうが。 貧困層が集まるこのクリアフロレンスのスラム地区は、窮屈に建てられた建物の間を縫う細いレンガ道が網の目の様で。 時間の止まった哀愁の古都の様な味わいがある。
地区の中に入って家々を見ると、明確に隣との境を壁や垣根などで区切られた家はどれも小さく、大抵は何世帯も住める長屋風である。
洗濯物を干す紐が、途切れ途切れの裏通りに伸びていて。 表の細い小道は迷路の様に入り組み、走り回る子供達が時折急に現れたりするのだった。 どの家も長屋も、所々に点在する井戸を中心に作られている。 家の向きで、井戸の在る方角が解る。
この地区は、昼間は明るいので長閑だが。 夜に成ると少し物騒に成る一角だった。 時折、物取りや危ない人物がうろついている。 夜に成ると、住んでる人が多いのに以外なまでにひっそりとする所と有名だ。
その貧困街の丘の中腹に当る一番の建物の密集地で、殆どが長屋の集まりみたいな建物ばかりが乱立する中で、井戸の傍にある一軒家の前に来た。
色の剥げ掛かったオレンジ色で、斜面の形をした三角屋根を持った小さいながらに部屋割りも出来ている家だ。
(此処か。 居るといいんだが・・・)
汚れた白い壁に貼り付けたような枠の狭いドアをノックする。 壁に色を塗っているなど珍しい家だ。
「済まない、誰か居るか?」
もう一度、ノックした。
その時だ。 気配がしていた家の裏手から、何者かがやってくる。
「どなたですか・・・」
皺枯れた声で、家の外の脇から腰の曲がった老女が現れた。 少ない髪を束ねて後ろに流し、杖をついている。 黒い上下の動きやすい服を着ていた。
「失礼。 俺は冒険者で、名前はケイだ。 貴女は、ジョージの母親殿か?」
その言葉に、老女は子供の様な背丈の身体を出来うる限り起こして。
「はい・・そうですが・・・」
「ジョージがら言伝を受けて来た。 だが、話していいと言われたのは貴女だけ。 もし、人気が無いなら屋内で話が出来ないか?」
老女は、静かに身体を元に戻し。
「はい、そこからどうぞ」
「失礼する」
と、Kは我から玄関のドアを開けて中に入った。
「・・・」
入って、もう居間らしき広間になる。 広間と云っても、屋敷からするなら小部屋に毛が生えた程度だ。 入って右手の暖炉の上には、フィリアーナの絵が飾ってある。
後から入って来る老女を迎え入れる形でドアを閉めた。 直ぐに窓とカーテンも閉めて、開いているドアの無い事を確かめる。 普通、他人がこんな事をしたら怪しむ物だが。 覚悟が有るのか、老女は静かに暖炉前の椅子に座った。
Kは外の人の気配を探ってから、老女の前に膝を曲げた。 どうも、この家に来てから急に人の監視の気配を感じたのだ。
「俺は、旅先でジョージに会った。 これから云う事は、どうかお母上のお気持ちに仕舞って欲しい」
そう言って密やかにKは老婆に話始めた。
Kが全てを語り終えたのは、然程の時間も取らなかっただろう。
だが、杖を付いて俯く老女の瞑れそうな目頭には、光るものが浮んでいた。
「ケイさんと申される方、母親として之ほどに有り難い使者は有りますまい。 息子の事、ありがとうございました」
老女は、座ったままながら深く全身を曲げられるだけ曲げてお礼を述べる。
「いや、これも冒険者同士の嗜みだ。 礼には及ばない。 だが、ご子息の意思は、確かに俺にも思うに当る。 どうか、このままに。 悟られないようにお願いしたい」
「はい・・・はい・・・解ってございます」
Kは老女の涙の渇きを待って、窓を開いた。
「いい風だ。 空も青い」
Kが言えば。
「此処は、住みやすさでは何処にも負けませんよ」
老女が笑顔で答えた。
“住めば都”
Kは過去の言葉を穏やかに頷く。
「確かに」
5動く者。
Kはスラム地区の細い道を抜けて、商業区に戻ろうとしていた。 バラックの様な長屋の間の通りを抜け、赤い壁を何も塗らないままに剥き出しにしている住宅の間を抜けた。
「・・・」
あの老婆の家から程に離れていない長屋の入り口の前を通った時、燕帽子を被るボロ着姿の長身の男に見られた。 Kは何も気付かないフリをしたが。 明らかに相手の男の目には注視の眼光が宿ったのを見逃すKでは無い。 日に焼けた肌、濃い無精髭、鋭い細目、太く鉤鼻だ。
(見たな・・)
黒いコートの裾を靡かせて行くK。 細い通りは風を集めやすく、緩い風も幾分強くなる。
(着けて来てる・・・)
真後ろでは無い。 洗濯物などが干されている裏通りを、あの自分を見た男が歩いている。 自分を見失わないように、長屋の切れ間や、窓越し、家の壁の隙間などを利用して、明らかに尾行してきている。 土地勘はかなり有るとの自信の表れだ。
Kにとってこの男を撒こうと思えば撒ける相手だ。 だが、何用かは気に成る所。 もし、何か危険な事なら、ステュアートを巻き添いにする可能性もある。 全然知らない土地ならいいが、アンジェラの家族はこの地。 下手な事になれば類が及ぶ。
(行きは居なかった。 帰りでか・・。 ジョージ絡みだな・・。 ならば、相手を確かめた方が得策か)
Kはそのまま賑やかな商業区に戻り。 “アダマンティアラン”に足を運んだ。 西南西の入り口から中に入り。 ゆっくりと歩いて二階のバザー市場へ。 東西の階段の有る外れの一角以外に、仕切りも無い吹き抜けの長く広いフロアが伸びる。 太い巨石の支柱が支えるフロアでは、あらゆる物が様々な形で売られている。
今朝取立てのトマトが、無造作に床に敷いた布の上に山積みにされていたり。 蒸かした芋にバターや野菜のジャムを付けて売っていたり。 切った肉、生きた子豚や雛なども籠で。
他に目をやれば、壊れた剣や杖を直して安く売っている。 Kの手に乗れば、こんな粗悪品でも使えた武器に変わるだろう。 美しく磨かれた装飾品を売る人も。 Kが見るに、使う鉱石が本物なのは3割程度。 だが、逆に本物と偽って高い値段を吹っ掛けている店も少ない。
変わったのでは。 薬師が、様々なポーションを売っていたり、異国の珍しい動物を籠で売っていたり。 宝石の原石や、火薬、薬の原料・生活用品・紙や筆なども・・。
人を避け、物を見ながら、走り回る子供達を叱っている母親に睨まれたりしながら、Kは男が何処までも尾行して来ているのを気配で確認し。 東西に長い2階を端から端まで歩いて、3階に向かう階段へと駆け上がった。
ボロを纏った燕帽の男も、Kの後を急いで追いかけた。
「?」
Kを尾行するボロを纏った中年男が、“く”の字階段を中2階踊り場経由で駆け上がると、そこは3階の踊り場。 左に3階フロアへ行く大きな出入り口。 右には、4階へ上がる階段。 正面は、トイレの男女に分かれた入り口の空いた壁。
(何処だっ?)
ボロを纏った男は、突然にKを見失い驚いた。
「おい」
ボロを纏った男の背後、階段下から男の声が掛けられた。
「あ゛」
他の客が子供連れやカップルなどで階段を上っていたり、降りたりしている中で。 自分の追い掛けていた男が、後ろから来るとは・・・。
唖然としているボロ着男にKは階段を上がって近寄ると、周りで行き交う人の眼を気にしながらそっと近づいて耳打ちした。
(お前、何者だ?)
ボロを纏った男は、素知らぬ素振りで目を凝らすと・・。 知らないフリで立ち去ろうとする。
だが、Kはその男の腕を掴み。
(今度は、俺が尾行してやろう。 好きな所に行くがいい)
「!!」
ボロを纏った男は、驚いた様子でKを見る。
Kは男の腕から手を離して、3階に上がって左の広い吹き抜けのフロアに消えた。
「・・・・・グっ」
ボロを着た男は、何を思ったか走り出す。 2階へ・・。 そのまま1階まで走り降りて、北東の出入り口から市内に飛び出した。 擦れ違う人は、何も驚く事は無いのに必死に走る男を避けたり、道を譲ったりして見返し。 また、目的に動き始めた。
ボロを着た男は、顔色をかなり慌てさせて動物園に逃げ込んだ。 家族連れや子供達の中に紛れて、様子を窺うべく木陰のベンチに座る。
「・・・・」
警戒しながら・・・辺りの人を凝視しながら深く燕帽を被った。
が。
「何処に目が付いてるんだろうなぁ~」
いきなり、ベンチの横から声が。
「はっ・・げえっ?!!!」
隣の横に、Kがどっかりとベンチに座って左腕を背凭れに掛けて沿わせていた。
「うわわわっ!!!! どっどどどっ・・」
驚きで全身から慌てたボロを纏う男。 まともに声も発せられず、どもって喋りきれない。
「おいおい、周りが変なオッサン見るみたいで見とるど。 落ち着けよ」
包帯から覗ける口をKは動かして、せせら笑いすら浮かべて言う。
「ぎゃあああああっ!!!!」
いきなり湧き上がる男の悲鳴に、動物を見ている大勢の客が逆に驚いて顔を向ける。
「退けっ!!!! 退けえええええッ!!!!」
客の人ごみにボロを纏った男は慌てふためいて飛び込む。 子供を押し退け、年寄りを倒しそうになったりして、大迷惑だ。
Kにしてみれば見ていて詰まらない。 凡そ、逃げるのに人目を引いて態と注目させる手口だ。 人目に付けば、相手が凶行に及び難いからだろう。
「迷惑極まりない輩だな。 ありゃ~飼い主もバカそうだ」
と、ベンチをゆっくり立った・・・・消えた。
以前。 ガロンやゼクと言った冒険者や殺し屋を追い詰めるやり方だ。 不意討ちもいい所。 本人は、それなりに尾行や逃げる手段を持って自分に自信が有る。 その心を粉々にされるのだから堪ったものではない。
「ひぃっ!!! ひぃっ!!!」
全力で遊園地の脇の外回り道路をひた走る男は、燕帽を右手に鼻水まで流している。
(そんなバカなっ!!! そんなバカなああっ!!!!)
恐らくこれまでに、こう云った尾行を繰り返してきて。 彼もそれなりの行動には自身が有ったのだろう。 逃げる事に関しては、地理的にも詳しいのだからそう簡単には追い着かれない自負が有ったかもしれない。
だが、Kに尾行を見破られて、更には退路に先回りされていては堪らない。 その上、止めにベンチの隣に座っていたのさえ解らなかったのだ。 もう、全力で逃げ切るしかないと必死だった。 騒いだのも、咄嗟に何かされたらと思ってだ。
さて、Kも尾行を続けていた。 軽やかな足取りで、気配を消して人前なのに人に見られないままに男の気配を追って先回りしていた。
ボロを着た男は、そのまま後ろを気にしながら回り道したり、何処かに一度身を隠して様子を探ったりしながら北東の市街地の外側。 岩場が剥き出しで、広大な敷地の窪地で大勢の人が作業している所にやってきた。 辺りは、少し荒涼とした雰囲気の場所で。 風で土埃が舞い上がる。
此処は、宝石から貴金属の原石が豊富な発掘現場だ。 国営の発掘現場で、毎日数万の人々が働いている。 下働きで働く人は、皆が日雇い。 一日幾らで、来ても来なくてもいい。 発掘現場を見下ろす高台周りには、幾つもの櫓が有って、役人の監視員が常駐。 しかも、岩場の所々に、警備兵隊が馬に跨る隊長を主軸に監視していた。 この地は、大きく有刺鉄線の壁に囲まれている。
ボロを纏った男は、鉱石発掘現場に正規のゲート柵が設けられた入り口から入った。 この場で働く者なのか、もう昼はとうに過ぎて夕方前に近づく今頃に来ても、顔パスだった。
「ハア・・ハア・・ハ・・・・」
大汗を流し、土埃を上げて岩盤や固い黄土色の土を蹴って発掘作業現場に入って行った。 地下200メートル程まで深い所は掘られている現場は、所々に岩場を削った階段が設けてあるのだ。
ボロを纏った男は、作業している人の間を抜けたりして、監視をしている馬上の兵士に向かっていった。
「ハア・・ハア・・ゴ・・ゴルドフ・・様・・」
兵士3人を率いた黒い全身鎧を纏い、長さ2メートル以上の黒いランスを持った偉丈夫が馬上のその男。 歳は中年か、日に焼けている顔ながら、威厳と云うべきか、武人と云った雰囲気漂う男である。 頭の短めの髪に、幾分白い物が混じる処を見ると、40代だろうか。
「・・・サンチョス、どうした。 そんなに慌てて」
太い声の“ゴルドフ”と呼ばれた隊長兵士は、目の前に来て土上にへたり込んだボロを纏った男・・サンチョスを見下ろした。
もう息も絶え絶えにに近いサンチョスが、呼吸を貪りながら。
「あ・・はい・・・す・すみません・・。 あの・・ババアの家を・・見張って・・まして。 んく・・男が・・来ました・・」
ゴルドフは馬上より顔を動かして辺りを見回して。
「どうやら、少し何か有ったか。 どれ、話を聞こう。 こっちに来い」
と、馬の首を返す。
「は・・はい・・・」
サンチョスは、ゴルドフの後を追う為にヘナヘナ腰で立ち上がる。
それを見る作業者は、誰もが侮蔑を込めた目をしていた。
その様子を見るKは・・・。
(はあっ~、お役人繋がりかよ・・。 こりゃ~ちょいと・・な~)
高い櫓の真下、太い木枠の陰に隠れてそれを見ていた。 飼い主が役人となると、やはり事は一筋縄とは行かない様相を見せる。 夕日に成り掛けた太陽を見て、Kはスルリと消えた。
採掘現場の四方に置かれた林の中のログハウス小屋。 役人達の休憩場だろうか、外には石のイスと丸太を半分にして造ったテーブルがあり。 3人の役人がそれぞれに紅茶や水を飲んでいる。 基本装備武器のジャベリンを壁に立て掛けて。
ランスと呼ばれる部類の長い槍では無いジャベリンやスピアーは、持って戦え、イザと成れば投擲も容易に可能な武器だ。 各国の兵士の基本装備に採用する国が多いのも特徴の武器と云えよう。
さて、ログハウスの中では奥まった隊長控え室にて、サンチョスが木のテーブル前に立ち。 彼と対峙する形でイスに座るゴルドフが居る。
「・・・・と、云う訳なんです・・。 必死に逃げて来ました。 アレは、元は殺し屋ですよ」
必死に語るサンチョス。 Kの気配を消す技を知っている様な口ぶりだ。
聞くゴルドフは、腕組みでやや横柄に。
「ナルホドな。 とにかく、あのスラムのアノ家に来客が有ったのは確かか・・」
「はい」
ゴルドフ不可解なKの言動・存在に深く頷き考え込む。
「ゴルドフ様、いってえ何をお考えですか? あのスラムの家には、もう腰の曲がったババア一人ですぜ」
腕組みのゴルドフは、サンチョスを徐ろに見上げて。
「黒いコートで、包帯顔か・・・。 ジョージでは無い・・・そうだな?」
「はい。 包帯男は、ババアにジョージって男の伝言がどうのこうのと・・・」
ゴルドフその言葉にギラリと目を細めた。
「そうか・・・。 解った・・、サンチョス」
いきなり名前を言われて。
「ああっ・・はっはい・・何でス?」
鋭い眼差しでゴルドフはサンチョスを見返すと。
「お前・・少し悪い奴に知り合いが居ると言ってたな。 冒険者か?」
「へい。 前に一緒に酒を飲んだ人で、旨い話なら少し危なくても乗るとか言ってやした人なら・・。 今も、何時もの飲み屋に顔を出すと思いやすよ。 時々、見かけますから」
「そうか、俺も会いたいんだがな・・・」
サンチョス少し驚いて、困る口調で探る様に。
「あ・・じゃ~・・・店に行きやすか?」
頭の回らないサンチョスに、ゴルドフは渋い表情をする。
「お前、私の家柄を知ってるだろう? コレでも、序列最下位だが、侯爵を賜っておる。 表だってその様な輩とは会えぬわ・・。 何処か、人気の無い場所がいいのだが・・」
サンチョスはそれならと手を打って。
「ならば、呼び出しましょう。 俺、スラム近くで人気の無い地下のバーを知ってますぜ。 旦那が、覆面すりゃ~まずは解らないかと・・。 ソレと解る御貴族様の服装や、役人風の服装でないなら大丈夫かと思いやす。 はい」
ゴルドフは少し笑って。
「ほう、それは妙案だな。 では、前金で2000渡しておく」
「い゛いっ!!! にっ・・2000もですか?」
日々、1数シフォンとかしか稼いでいないサンチョスだ。 50シフォン見るのも大金なのに・・・2000シフォンとは腰が抜ける。
「驚くな。 冒険者相手なら、それなりに金の在るところも見せねば成るまい。 金の世の中だからな。 ま、金蔓も在るし、コレ位は安いものだ」
「はあ~・・旦那って・・・すげえ~ですね」
ゴルドフは、サンチョスの感歎に不敵に鼻で笑って金の入った袋机の上に出すと。
「中の200は、お前の小遣いだ。 残り1800は、お近づきの金と渡せ。 会うのは、夜更けでいいな。 明日と明後日、休みを取ると教皇庁に申し出てくる。 別の隊長に頼んでくるから。 ゆっくり飲ませて安心させろ」
「へっ・・へい・・解りやしたあああ~・・・すげ~・・200も・・・恩に着ます・・」
サンチョスは何時でも手に出来ない大金に、抱え込む様にして両手に収まる位の金袋を抱いた。
(ほお~、キャネヅルが在りますかい。 でも、少しヤバイねえ~)
その話を窓の横に潜んで聞いているK。 ゴルドフと云う男、太っ腹の様に見せているが性格は激しそうだとKは読んだ。 何か、企んでいるのは間違いない。
6運命のうねり
「よう、お帰り」
パンやケーキを専門にした店先で、Kはステュアート達に見つけられて手を挙げた。
声に気付いて見たセシル、Kが紅茶だけ頼んで開放的なテーブルの前で飲んでいる姿が優雅に見え。
「アンタって、こんな建物中でも栄えるわね」
そう、此処はアダマンティアランの中にあるカフェバーだ。 斡旋所の2軒東側にあるフロア状で敷居も壁も無い開放ガーデン。 冒険者達や、若い女性連れがお腹を満たしている。 赤と白のチェックに床、赤い落ち着いた色合いの天井。 カウンターの有る奥では、油や紅茶の香りがしている。
Kの飲んでいる紅茶の香りに触発されて、オーファーも何か飲もうとカウンターへ。 セシルやアンジェラ等も向かう中で、Kはステュアートを指で呼ぶ。
「?」
ステュアートが仲間を見てから自分の横に来るとKは。
「俺、2・3日抜けるわ」
「え?」
「知り合いが体調悪くてな。 元気付けてくる。 代わりに、俺抜きで何か仕事を請けていいぞ」
話の内容にステュアートは笑顔で頷き。
「はい。 丁度、アンジェラさんの家とか数件がお金を出し合って、農作業の手伝いを募集したそうですから。 それ、残ってたら請けようかな~って」
Kはステュアートの笑顔に目と口元を穏やかにして。
「いい事だ。 働いて来い」
「はい。 あっ・・宿は?」
「ああ、向こうに泊まる。 また、用が済んだら此処の辺に居る。 言伝あるなら、斡旋所のオヤジにでも金払って言ってくれ」
「あいあいさ~」
ステュアート敬礼してオーファー達の元に行く。
「フッ・・・素直でいい冒険者なるがな、アイツ」
Kはそう小声で微笑み洩らし。 カップを空にして立ち上がり、人の往来がある館内横断通路に。
近づいて来るステュアートに気付くアンジェラが、振り返ってKを見たとき。
「まあ・・」
家族連れがKの歩く後ろを通り過ぎた瞬間、Kの姿が消えていたのである。
選ぶのに忙しいエルレーンは、甘いケーキを幾つ頼もうかと悩んでアンジェラに。
「アンジェラ、食べる?」
アンジェラも言われてハッと驚き。
「あっ?! えっ? なんです?」
と、慌てた様子を見せた。
「どうしたの?」
「いえ・・ケイさんが・・居なくなりまして・・」
「ハイ?」
見るエルレーンは、Kが席に居らず。
「あれま、マジだわ」
その二人に合流したステュアートは、事情を説明した。
事情を説明されてエルレーンとアンジェラは見合ってから。
「それなら仕方無いわね」
「ですね」
と、ケーキに向いた。
さて、夕暮れも暗くなる頃。 都市北西部、中央大聖堂の壁の外。 洗練されたチェック柄の建物や、教会風の家が庭園を持って幅広く集まる一角が在った。 此処が、族に言う貴族地区。 由緒正しき教皇王や大臣の子孫が住み暮らす場所。
クリアフロレンスでは、爵位の意味が他国と少し異なる。 公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵と云う並びは変わらないが。 公爵とは、王位と云う意味合いでは無く。 法王・教皇王を輩出した家に送られる称号だ。 教皇庁のトップ職や大臣などは、侯爵。 聖騎士、教皇庁重要職が伯爵、偉大な功績の僧侶や特別な任務に置ける成功者を子爵・男爵の称号となる。
そして、向こう150年で爵位整理が行われる。 全く落ちぶれた一族や、その称号に価しない家は称号を剥奪されて下級に落とされる。 特に、住民からの苦情の多い役人や、仕事にいい加減だったり。 跡継ぎが居ないなどがその対象者と成る。 国に貢献する一族が高い爵位を得て、仕事を円滑にするシステムとか。 その地位に、何時までも胡坐を掻いて居られない。 居たいなら国と民に尽くせと云う意味らしい。
そうゆう訳で。 爵位整理の近い頃に成ると、無名の僧侶や職員でも、将来が有望な人物は彼方此方から結婚の依頼が殺到する。 酷い場合は、公爵でも爵位剥奪まであるから、かなり露骨な権力闘争が起こるのだとか。
そうゆう意味では、歴代の法王・教皇王を幾人も輩出し。 間短くして大臣のどれかには必ず席を置いていた公爵家、“ブルーローズ”(蒼きバラ)の家柄は、クリアフロレンスでも最古の一族の一つだろう。
貴族地区のど真ん中、広い庭を囲う格子壁は鉄細工の薔薇が模様。 しかも、庭の内側周りは白・黄色・桃色・赤い薔薇の咲く垣根がグルリと囲む。 敷地の西北部に在る大きい鉄格子正門には、薔薇の大輪が施錠の形で画かれる。
その正門から伸びる敷地内の砂利通りの先には、手入れの行き届いた庭木と美しい芝生に囲まれた青い壁細工の教会風な館が2棟並ぶ。 公爵家筆頭、ブルーローズ家の館だった。
今、その敷地に馬車を引き込む為に正門が開かれた。
黒い礼服に身を包む腕に覚え有りそうな中年男性と、若い男が門を開いて馬車を出迎える。 白い馬3頭に引かせる馬車が、これまた真っ青の薔薇の模様入り。 パッカパッカと蹄鉄を付けた馬の足音が、硬く硬く固められた砂利通路を通って、右側の一回り大きい館の前に入り口に横付けした。
「当主、ジュリア様のお帰り~」
使用人の老人が声を出し、馬車を入り口を後から追ってきた門を開いた若い礼服姿の男が開いた。
「御帰りなさいませ」
馬車の扉を開いてから、その場に屈んで言う礼服の男。
「うむ、ご苦労」
白い礼服コートに、身に纏わり付く様な青いドレス姿のジュリアは、騎士の姿よりはずっと女らしく見える。 そう、Kと一緒に野党を退治した聖騎士ジュリアは、この公爵家の当主だった。
青い壁の一部に填まる合わせ扉が開き、その入り口に向かう階段を馬車から降りて上がろうとするジュリアを迎え入れる用意を使用人達が出迎える形で整えた。
雲が広がり、西の空に赤紫の夕暮れが見えた時だ。
「ほ~、流石は筆頭公爵家の家だな。 古いジュピター様式の館じゃないか」
と、突然に男の声が。
「えっ?!」
聞いたジュリア、その声に聞き覚えが有った。
「何者だっ!!!」
「此処をブルーローズ公爵家の私有地と知っての狼藉かっ!!!」
門を開けた礼服の男性二人の緊迫した誰何が飛ぶ。
パッと振り返ったジュリアの瞳に、庭や屋敷を見ながら馬車を仕舞う格納庫の方から歩いて来る包帯男・・・Kが見えた。
ジュリアを護るべく、馬車の前方に立った男二人に、ジュリアは。
「待て、私の知人だ。 無作法は辞めよ」
歩いて来ながらKは白い馬を見て、ジュリアを見ないままに。
「無作法は俺だろ? てか、その恰好の方が女らしいな。 聖騎士様とは思えないゼ」
ジュリア、幾分顔を微笑ませながら、呆れた口調で。
「聖騎士と思えなければ困るな。 身体は女だが、心は騎士のつもりで居る」
夕日で少し赤味掛かる黒いウェーブの絡まる髪は肩に掛かる程か。 白き肌、強い眼差し、薄い唇、アクセントとして完璧すぎる涙黒子、鎧を脱げば女性の魅力溢れる肉体のライン。 ジュリアは、この貴族地区でも指折りの美女だった。
Kは、自分を警戒を続ける礼服の男性の間を抜け。 白い馬に近寄って顔を可愛がる。
「しかし、ジュピター様式の古式建築なんざ~私有地では此処ぐらいだろう? 独特の瓦屋根、宝石の一種を砕いて水に溶かして塗りこむ壁・・・良くもまぁ今まで残したなぁ~。 毎回の修繕費用どんだけだよ」
と、ジュリアの入ろうとした建物を見る。
ジュリアは、包帯男の伝法ながら砕けた薀蓄が好きに成り始めていた。
「5年に壁は一度、屋根瓦は50年に一度だ。 費用は、まちまちだが・・・5万シフォン以下は無いな」
Kは手馴れる馬を見ながら軽く笑って。
「価値は在るが、職人不足だと大変だ」
「確かに・・。 処で、お一人でか?」
「ああ、チョット話が合って来た」
「お話・・・。 夜のお誘い?」
ジュリア、片足を階段に乗せたままに腕組みを。 突き出た形良い胸が良く解る。 足元まで伸びるドレスのスリットから、白い引き締まった生足が覗けていた。
ジュリアらしから言葉にKは薄く笑って。
「夜這いに来た訳じゃ無いぜ」
いきなりこの場で“夜這い”とは・・ジュリアは思わず笑う。 Kの両脇後ろに立つ礼服の男性二人は、ギョッとそた顔で見合った。 普段なら、ジュリアの最も嫌う会話である。 なのに、ジュリアが笑っているのだから・・。
「クスクス・・・確かに、そなたに迫られたら勝てぬ」
それにKは軽く笑う。 だが、“中へ”と仕草を見せるジュリアに今度は口元目元を済まし。
「いや、それには及ばない。 これから、少し用が在る。 それより、一つ頼みが在るんだ」
階段を上がり掛けたジュリアは、顔をKに戻して。
「何?」
「実は、もしかしたら・・・人一人を助ける事態に成るかもしれない」
「“なるかも”? まだ、決まっていないの?」
「ああ。 だが、その事態まで及ぶと、相手が厄介な地位に居るからな。 その辺の何処かに隠すのも難しい」
ジュリアにはKの云わんとしている意味が解り。
「ならば、此処に。 私が預かろう」
話の早い美女にKは口元を微笑ませて。
「助かるよ。 その手柄、君に上げるからな。 多分、昇進の足がかりには持って来いだ。 早く聖騎士団長に成って、家名に箔付けるのがいい」
突然の話の内容にジュリア、即座に反応して顔を真顔にする。
「我が家の内情を・・・」
馬を可愛がりながら、Kは頷いて自分を挟んで見ている礼服の男に目を向けたりしながら。
「確か、君の父親は枢機卿総括・教皇庁副総括だった・・。 だが、二十年前に、書官の女性が謎の死を遂げて。 その女性に表立って結婚の申し入れを再三に渡って言っていた君の兄が疑われて、連行されたのを受けて総括の椅子から失脚・・。 君のお兄さんは、責任を取って自ら獄中で生涯を終えた」
ブルーローズ家始まって依頼の辛い過去なだけに、ジュリアはギュっと唇を噛んで俯く。
使用人達も言葉を失った。 この家の、最大の禁句だった。
しかし、Kは口に戸も立てないで続ける。
「だがな、ジュリア。 君のお兄さんは、自分が彼女を追い込んだと思って自殺したが、アレは少し違う方向性を持っていてな」
Kの続ける話の内容が、奇妙に周知の事実と異なり始めたのにジュリアは包帯男をパッと見る。
「なっ・何だとっ?!!」
驚く顔のジュリアを見て、Kは只一つ頷き。
「ま、事がどう動くかに因っては、其処も蒸し返した話に変わる。 誰にも言うな。 腹に仕舞っとけ。 いずれ、動いたら知らせる。 君に、直々に手を下してもらおう」
「本当かっ? その言葉に嘘偽り無いな?」
急激に動揺し、顔色が曇るジュリア。
Kはジュリアを乗せた馬車の潜った正門の方に歩き出して。
「ああ。 ただ、どう転ぶかは未だ解らない。 その一番隅っこが動き出したから。 今のウチから、一枚噛むのに協力してって話さ」
ジュリアはKに只只驚くままに。
「どうしてっ、私の家の事情を知ってるのっ?!」
「ジョージ・・・」
歩みを止めないKは、ポツリとそう言って姿を消した。 木の陰に入った様に一瞬見えただけで・・・もう姿は庭先には無かった。
「ジョ・・ジョージ・・。 騎士学校の先輩の・・ジョージ?」
その“ジョージ”と云う名前にジュリア、まだ幼き子供の頃の自分を思い出した・・・。
次話、は数日後掲載予定です^^
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