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エターナル・ワールド・ストーリー  作者: 蒼雲騎龍
K編
190/222

ウィリアム編・Ⅳ―2

                 冒険者探偵ウィリアム Ⅳ―2


               森の奥深くに広がるは、隔絶された神秘



                 ≪モンスターとのバトル・・バトル≫




南西の方から聞こえる奇妙に甲高い奇声が、新たなる危機の到来を告げていた。


「リネットさん、ラングドンさん。 ロイムとハレーザックさんが孤立しないよう、俺と前に。 ジョン君を護って、クローリアさんは皆さんと木の陰に隠れて、我々を追ってください。 絶対に、最低ラインに立つ自分やラングドンさんから離れない様に」


昼を回った空を見上げながら、ウィリアムは指示を。


「何だ、急に指示か」


疲労や森の民を過剰意識してか。 前のアクトルやスティールを自由にさせているウィリアムに反発したいらしいエメだが。 ウィリアムを知るクローリアは。


「ウィリアムさんは、いざと成ったら私達のチームの中でも一番強いですよ。 その戦いを見る感覚や勘も鋭いので、文句を言う暇は無いです」


云われてムッとするエメだが・・。


「来たっ!!!」


と、声を出した後。 ロイムとハレーザックの背後を見守る為にリネットに、走り出しながら手で前に行き過ぎるなの合図を出したウィリアム。


ハレーザックの前に、赤・黒・黄色・緑の迷彩の色を持つ二足歩行の恐竜が現れた。 背丈は、背が高い方のハレーザックと同等で、胸に短い前足を持つ首長の恐竜。 この盆地の乾燥地帯にだけ生息し、モンスターとしては集団で来る怖いヤツ。 その名前は、キロン。


ハレーザックの近くへと走ったウィリアムは、パッとロイムに目掛けて木陰から出て来たキロンの首筋をカタールダガーで斬り裂いて。


「ロイムっ、引いてジョン達を護って」


“あっ”とした顔のままに驚いて声も出なかったロイム。


「岩よ、その力を貸したまえ」


俊敏なキロンを見たラングドンは、護りに使えるストーン・ヘリンジの魔法を遣う。


群れてハンティングをするキロスは、一匹を見て10匹来ると思えと云われる教訓を持ったモンスター。 次々と現れて、獲物を包囲するのが得意なのだ。


素早い動きで、自分の前に現れたキロスを痛めつけるハレーザックだが、その後方に二匹のキロスを早くも背負い込んでいる。 ロイムが退く事で、彼は孤立しかけた。


だが。


魔法の衝撃波でキロスを木にぶつけて、動かなくなったのを見ずに振り返るハレーザック。


「・・ほう」


長い首筋から血を流し、2匹のキロスが横たわっていた。 そのキロスの傍らに屈み、斬られた傷口を見るハレーザック。


(なんて美しい傷口だ。 無理やりに切れた感じがまるで・・)


その時、近くでキロスの奇声が上がる。


「はっ、向うか」


立ち上がって、木の向こう側へと行こうとするハレーザック。


だが、其処に。


「こりゃぁぁ~~~っ!!!!」


と、老人の声が。


「?」


ハレーザックがラングドンの方に向くと。


「そっちはウィリアムがいっとる!!! 戦えない者が包囲されないように、ワシ等の視界の中で待ち構えんかっ!」


と、老人の叱咤が飛んできた。


ハレーザックが回りを見回すと、直ぐにウィリアムが戻り。


「こっちからキロスはもう来ません。 我々も先行した仲間を追いますよ」


と、誘導に入る。


一方、グゥアバンダを追ってゆくギルディやスティール達は、逃げたグゥアバンダの血の臭いに集まって来た大型の蝸牛のモンスターと戦うハメに。


死骸や深手を負ったモンスターをも襲うこの蝸牛は、シュレッダーワーム。 黄色や蒼と云ったカビの色を背中の渦巻き貝状の宿に付着させ。 腐臭や異臭を纏いながら、モゾモゾと動く。 見た目は、スティールの腹ぐらいの高さしかないのだが。 腐った胃液を吐き、鋭いキザキザの歯を有した顔の部分が、ビロ~~~ンと延びる。 甘く見てはいけないモンスターの中では、集まって来る数が多いらしく。 体力を使うイヤな相手であった。


だが。


「ギルディっ!!! コイツの相手は気をつけろ。 吐く胃液は強酸の類で、しかも顔が伸びるし、その背中の宿の中も体液が満ちてる。 体液や胃液には当るな。 宿を壊すときは、少しでも遠くに離れる様にしろ」


前に戦った事のあるスティールとアクトルは、四方から赤土を歩いてくるシュレッダーワームを物ともせずに戦う。


アクトルは、


「スティール。 前と同じで行くぞ。 顔を仕損じるなよ」


と、斧を構えては、シュレッダーワームの側面に回り込む。 顔の伸びる方向は、ワームの顔の向きの放射状なので、側面や後ろに回ると顔が伸びる心配がグッと減るのである。 そして、アクトルは思い切りの振り上げで、砂地に斧を入れる覚悟でワームの歩く下部を打つ。 倒したり転がしてしまうと、このワームは非常に慌てるからだ。


転がるワームは、身体を起こそうと先ずは宿に身体を収めようとする。 しかし、伸びたり週報したりするこの海綿体の様な身体は、その事を早く出来ない。 顔は相手を警戒しながら、先ずは足から収めて行くのだ。


ま、このチャンスをスティールが逃す訳も無く。


「あらよっ、それっ、さいならっと」


アクトルが転がすワームへ次々に近付き、顔を態と伸ばしたり、死角から迫ってその首を落す。


一方。


「情報も対処も・・・、解れば我に敵は無い」


ズンズンとワームに歩き近付くギルディは、その素早い動きで伸びてくるワームの顔を叩き落とす。 唯の武器ではないスタークィンダーである。 当った瞬間に衝撃波を受けるワームは、それだけで失神したり顔が千切れる。


スティールが、別のワームの顔を斬り落とした直後に。


「コイツの顔は、再生する。 顔の部分は、延びる辺りから潰しちまえっ!!!」


と、来れば。


「承知っ」


と、その相手にしたワームの顔を再度に殴る。 スタークィンダーで再度に殴るのだ。 赤土を爆煙の如く巻上げたり、衝撃波の勢いをそのままに。 大地の地面を滑って木に激突するワームも在る。 ギルディの破壊的な戦いは、“魔物殺し”と云う異名確かに恐ろしいと感じれる様子だった。


さて、ウィリアム達後方の者も追いつき、戦いが一段落して。


スティールは、思わぬ連戦をしたと。


「前よりすげぇ~~頻度の遭遇率だな。 しかも、次から次ととよぉ」


だが、モンスターの死体を見回るウィリアムは・・。


「それだけでしょうか。 何か、この乾いた森自体が騒がしい気がするんですがね」


すると、アクトルも。


「俺も同意だ。 モンスターが、最初から沸き立ってた気がする」


ギルディも。


「ワシもそれには・・。 ワシ達の他にも、この地へ踏み込んだ誰かが居たのかも知れん」


そんな男達へ、一人怪訝なエメは、


「はぁ? モンスターが人を襲うのは当然。 何を云ってるのよ」


と。


だが、父親の後ろに隠れているジョンが。


「山から出て、直ぐに遭遇しましたね。 普通、動物って縄張りが在りますから、餌を狙うならハンティングされると思うんです。 でも、あの最初に遭遇したモンスターには、バッタリ出遭った感じがしました。 見回りでもしてたんですかね」


ウィリアムは、生き物の状態を推測するのに冷静なジョンを見て。


「いい見立てだよ」


と、だけ云ってから。


「これは、もしかすると街まで野営など抜きで行かないといけないかも知れません。 疲れていると思いますが、皆さん気を引き締めて」


こう皆に云って歩き出した。


エメは勿論だが、この危険な乾燥地帯は北方にまで延びていて。 スタムスト自治国の外側を沿って、街に向かう街道も在る。 スティールやアクトルは、ウィリアムと組む前は金に事欠く貧乏冒険者だったので。 通行料がかかる有料な道を通れず、危ない道を数知れず通っていた。 この道の危険さは知っていて、尚且つモンスターの事もそれなりに知っていたのだ。


同じく歩き出すスティールは、ウィリアムと肩を並べ。


「ウィリアム。 お前の情報だと、あのグゥアバンダも、ハエのヤツも、この地帯では待ち伏せ型のモンスターだ。 こんなにも攻撃的なのは、ちぃ~とおかしい。 襲われるのは仕方ないが、やられ方が問題だな」


無言で考え込むウィリアムだったが・・。 その後も、臭いから嗅ぎ付けて来たハイエナのモンスターであるボッチバーンの群れや。 キロスに縄張りに入られていきり立つ肉食の赤いスライムの集団の揉め事に巻き込まれたり。


戦い疲れる一同だが、この地帯の何処で野営しても危険極まりないので。 歩き通しそのまま、夜に成り。 木の上に上って、やや長時間の休憩を取った。




                         ★




朝まで休憩しようと思う矢先、一行は夜の大地を徘徊する吸血蛾に襲われる。 眠くて苛立つラングドンが、夜のやや強い風を利用した中級魔法で一掃。 だが、夜も歩いて、明日の午前中には街へ入ろうというウィリアムの提案で、一行は木を降りて歩き始めた。


ロイムと交替交替で光の魔法を出すハレーザックは、右手の発動体である指輪から魔法を出し。


「全く、夜にモンスターで叩き起されるとは・・な」


と、やや不機嫌に言えば。


スティールも、眠い目をしながら。


「まぁ~ったくだぜ。 どうせ襲われるなら、可愛いオネ~チャン辺りにして欲しいぜ」


すると、ハレーザックも。


「同意だ。 出来れば、薄着の」


と、云うと。


もうそうゆう事も含めてどうでもいいウィリアムは、話を流す様に。


「胸も大きい方がいいですかねぇ~~」


ジョンとロイムが急に顔を赤らめ。 フランクとギルディにアクトルも加わって苦笑い。 リネットとクローリアは、“不潔”だと云わんばかりに横を向くのだが。


もう疲れからヤケに近いスティールは、ややマジに。


「揉みしだきてぇぇぇ」


ハレーザックも。


「溺れるのも一興」


エメがいい加減にしろと思う時、ウィリアムが先を奪って。


「しかし、この轍はなんですかね。 街に向かって付いてる様ですが・・・」


と、本題に入った。


すると、スティールが。


「やっぱ、これって馬車の車輪の跡だったのか・・。 でも、なんでや~~~」


ハレーザックも。


「この乾いた赤土の地面に、しっかり残るのだ。 まだ新しいし、相当に重いものを運んでいた・・?」


ウィリアムは、ロファンソマの街で聞いたあれこれを思い出しながら。


「そういえば・・、こっちの山岳に鉱山の発掘現場が在るとか聞きました」


「ほう、鉱山とな」


これには、ジョンも加われると。


「西の鉱山地帯のジャンパノーだと思うよ。 良質な鉄鉱石が取れるみたい。 村からも、冬には出稼ぎに行く人が居るもん」


スティールは、ウィリアムとの間にジョンを入れて。


「運ぶのに、この危険な地帯を通るのか?」


「え? 違うでしょ。 鉱山には、正規の街道が延びてるよ」


これには、スティールが直ぐに横へ顔を向けて。


「フランクのおっさん。 まさか、そこの鉱山で“カントツ”が有るんじゃあるめぇ~な?」


と、話を振った。


「はぁ? カントツ?」


フランクは、その耳慣れない言葉に戸惑う。


彼の近くを歩くアクトルが。


「これは鉱山関係の隠語だ。 “カントツ”とは、鉱山で採れた鉱物の横流しする抜け荷出し行為の不正を指す」


意味を理解したフランクは、その辺には全く知識が無いので。


「いいいっいやっ、そんな事は・・・私には解らない」


すると、スティールは非常に不機嫌そうになり。


「ケッ。 カントツは、現場作業員の不正でも一番に罰則の厳しい行為だ。 一部以外が知らなくても、発覚したら連帯責任で働き手全員が裁かれる事も有る。 ウィリアムが・・アノ~~何だ。 御偉いジサマを潰したのはいいが、下のヤツラが気ぃー抜いてバカし腐ったとかじゃないだろうなぁ」


ウィリアムも、其処は更に冷めた口調で。


「さぁ、どうでしょうかね」


「ウィリアム、鉱山の鉱夫を出す輩なんざ、何処の街かの黒いヤツだ。 ま、黒くても透明なヤツならイイが、くすんで見えないぐれぇに汚いやつも居る。 嫌な予感がしてきたゼ」


すると、ウィリアム。


「奇遇ですね。 俺も、この轍を見てから嫌な気がしてます。 面倒なのは、イヤですね」


そう言ったウィリアムを、スティールはジョンに見上げられながらも突っ突く。


「つったて、事件は人の怒りや憎しみや我儘から起こるんだろう? モンスターみたいに、倒せば終わりの方が楽かもな」


憂さの気配を嫌うウィリアムは、


「では、そのモンスターをやり過ごしますか。 左手から、ヒトヒトと足音がします。 多分、キロスの群れですね」


と、親指を向ける。


身構える者も居る中で、スティールは剣を抜き。


「しつこいなぁ」


すると、ウィリアムが。


「女性だと思えば、結構楽では?」


「ウルセェ。 あんな首の長いの、女に見えるかっ」


先行して、キロスを迎え撃つウィリアムとスティールは、スッと闇に消える。


エメは、闇に溶ける様に視界から消えたウィリアムに驚く。


「なっ・・、足音も無く消えた?」


それを見たギルディは、自分と似た大男のアクトルへ。


「そこもと達のリーダーは、実に有能過ぎる。 被る迷惑も多いんだろうな?」


云われてアクトルは、しきりにその通りと頷き。


「あぁ、その通りだ。 助けを求められるし、しくじらなくても結果が良くなきゃ憂さ晴らしの対象にされる。 アイツを見てて、何とも遣り切れない事も多い。 ま、奇跡的な逆転も見れるから、どうしても頼りたくなるんだよな」


頻りに、しかもかみ締める様に頷くギルディで。 キロスの悲鳴を聞いてから、その腕組みを降ろし。


「同じ街に居る間は、ワシも知人として居たい。 アヤツに降りかかる火の粉を、少しは軽くしてやりたい。 仲間を助けられた恩返しも込めてな」


と、スタークィンダーを強く振る。 衝撃波を産む先端の六角の部分が、ギランと延びた。


ギルディを見るアクトルは、


「よし、俺が護りに残る。 リネットを連れて応援に行ってくれ」


と、任せる事に。


ギルディは、まだこのチームの仲間には腕が足りないと思うリネットへ。


「早く、リーダーを助けれる技量をを身に着けろ。 経験を拾いに、戦場へ来い」


と、黒いドラゴンの刺繍が入るマントを靡かせた。


リネットは、ギルディと自分の腕の差ぐらいは解るつもりである。


「強いアンタに、口答えはしないさ。 望むところ、一緒に行かせて貰う」


心配なクローリアは、無理をしないようにとリネットに強く言った。


そして、ロイムも光の魔法を生み出し。 ハレーザックを温存するべく自分が前に出る。


闇の中で、戦いが始った。 キロスの悲鳴を皮切りに、スティールの気合いの入った掛け声も上がり。 直に、スタークィンダーの生み出す衝撃波の音や、リネットの食い縛る様な怒号も響いた。 光の魔法を生み出したロイムは、飛礫の魔法を防御に用い。 リネットを補助して息長く戦いの中に居た。


それから、月がやや傾いて行く。 ラングドンが、戦場を見ながら幾度か心配をした。 生命波動で、リネットが弱まるのを感じたからだ。


モンスターの数が随分と少なくなって来た時に、ズルズルと音がして。 ジョンやフランクの居るハレーザックの魔法が照らす光の領域に、リネットを引き摺ってきたギルディが現れ。


「思った以上に、戦い抜いた。 ま、出発までに、傷を治して貰え」


と。 全身の鎧や武具を血に染め、リネットが気を失っていた。


「まぁっ、リネットさんっ!!」


驚いたクローリアがリネットに飛びついた。


踵を返したギルディは、また戦いの方に戻り出しながら。


「庇ってたスティールとウィリアムに、これ以上の負担は危険だ。 思った以上に、モンスターが凶暴だ。 どうしたのやら・・・」


と、闇に消えてゆく。


程なくして、魔法を遣い過ぎて疲れたロイムを背負うウィリアムと、腕や額にもう出血の止まった傷を持ったスティールがギルディと戻った。 ロイムも頬に掠り傷が有るし、ウィリアムもプロテクターに傷が有る。 どうやら、1匹2匹、1種2種のモンスターを相手にしてきた訳ではなさそうだった。


ロイムを下ろさずに、ウィリアムは。


「上って休めそうな木も見当たらないので、もう少し先へ進みましょう」


先行して歩き出すスティールは、首を傾げて。


「しっかし、あの遠くに見えてたキロスの遺体・・・。 俺達が倒したヤツじゃないだろう? 何だ、共食いか?」


並行するウィリアムは、慌てるクローリアや心配するジョンを他所に。


「違います。 闇の中でちょっと診ましたが、毒か病気とかで死んでました。 外傷が全く無かったですし、死んでから一日と経ってない感じでしたね」


「おいおい、この生存の厳しい環境で、死んだ遺体が食われないのかよ」


「さぁ・・。 スティールさん、食べてみます?」


「アホっ、モンスターは範囲外っ。 食えるかぁっ!!」


まだカラ元気は有りそうなスティール。 だが、ウィリアムと二人でリネットを護ろうとしたダメージは、何処かに蓄積しているだろう。


この後、二度の襲撃を退ける。 スティールが護りに残り、ヘバったロイムが魔法も使えないので、ハレーザックは前線に出れず。 炎の魔法を使い、ラングドンが連戦。 全てに出たウィリアムとギルディは、朝方には汗まみれであった。


だが、ギルディは、ウィリアムとスティールとアクトルの相性を良しと見た。 ウィリアムが臨機応変なのは解るが、先行突撃型の様な義兄弟の二人は、ウィリアムが傍に居ると連携を強く意識する。 不備を補える点を基本に、実に良いコンビネーションをすると感じた。


明け方を過ぎて。


もう疲れた一行が、轍が残る道らしき感じの大地をダラダラと歩くと。


「あ」


ウィリアムは、眩しい朝陽を彼方の空にしながら、脇の向こうに何かが倒れているのを見た。


ハレーザックが、右手の先に生えた木のシルエットの下に、何か不思議な影が見えるので。


「あれかい?」


「えぇ、何かが横たわってますね」


「ふむぅ」


行って見れば、其処にはキロスが死んでいた。 ウィリアムは、そのキロスの口からロープが伸びているので。


「ロープが・・、人工的な何かが・・っと」


と、引き出してみる。


光を右手に宿すハレーザックは、胃液に浸かっていた肉の塊が引き摺り出されたのを見て。


「・・・うっ、き・きも・・・」


と、気持ち悪くなって光の魔法を消してしまう。


ギルディが。


「おい、消すな」


と、怒るのだが。 ロイムとクローリアも口を抑えて離れていった。 光が再度点灯するも、ハレーザックは見ない。


ナイフを片手に、ウィリアムは肉を解体。


「呼吸器に害を為す、強力な毒が浸み込んでいる様です。 どう見ても、人為的な作業ですね」


スティールは、


「何のためだ? 此処は、何処に行く道でもねぇぞ?」


と、云うと。


ウィリアムは、道の様に線を描く地面を指差し。


「アレが、その理由かも知れませんよ」


その指先に向かったスティールとアクトルは、轍の所に落ちている黒い小粒の塊を見つける。 黒い色は、まだ明けたばかりの朝陽では見え難い。 二人、しゃがんで手で探って解った。


「アーク・・コイツはっ?!」


「ん。 この肌触りは、鉄だ。 しかも、コレは純度が高い」


鉱山で働いていた二人は、その手の目利きは商人に負けない。 アクトルなど15の頃には、その鉱石の選別にまで関わっていた。 だから・・。


「確かに、コイツはこの地方で採れる鉱石だ。 割れ目の所に見える光沢は、純度の高さが覗える。 こんないい鉄、何処に持って行く気だったのか」


すると、エメが。


「そんなバカな。 鉄って言ったって、唯の石に混じってたのだろう?」


云われたアクトルは、しっかりと石を見回しながら。


「バカ云うな。 この小さな石ころだが、これは地面に眠る鉱石を砕いたものだ。 石ってのは、地面に出て来ると空気に触れて顔が変わる。 この石は、まだ出て来て数日のヤツだ。 何処で出したのかは解らんが、この砕き方を見るに何処かに持っていって、高炉で溶かすんだろうな。 だが、ロファンソマにデカい高炉が有るのか?」


「デカい高炉?」


「おう。 鉄は、有る程度の量で溶かし取ってやら無いと、何に使うにしても強度や純度に問題が出て来る。 世界的に鉄鋼業が有名な地には、見上げるような大きさの高炉が幾つも有る作業場が軒を連ねるんだそうな」


スティールも、アクトルに続き。


「俺達は、掘る現場を持った村に居たが。 村から鉄鋼業の街に移住していったやつも居た。 冒険者になってから逢ったが、スゲェ熱気の有る仕事場で働いてたゼ? 此処に、そんな所が在るのか?」


と、云いながらエメを見返す。


「・・いや、・・街中の工房にも、そこまで施設はない」


アクトルとスティールの顔は、非常に険しくなる。


ウィリアムは、見てしまったものは仕方ないと。


「早く街に帰って、然るべき方に預けましょう。 これは、我々の手に余る」


せっかくのいい旅なのに、こんな形で気分悪く終わるとは・・。


余裕がなくなってきた一行だが、そのまま午前中を歩いてロファンソマの街に戻った。 ウィリアムは、アクトルとスティールを連れて方々を回る為。 先ずはその帰った足でジョン親子とエメを村に戻し。 薬草を全て渡して、斡旋所への連絡を頼んだ。 明日、改めて出向くとして。


だが、ウィリアムが10日以上の間を空けていた間に、予想外の事態が起こっていた。 その見えぬ恐怖は、ジリジリと燻る焼けぼッ杭の様に再燃しようとしていた・・・。



=Ⅳ最終編に続く=

どうも、騎龍です^^


PCの不調が有ったので、携帯の方で手直ししたために、誤字脱字が多かったかも知れません。 すいませんでした。



ご愛読、有難うございます^人^



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