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エターナル・ワールド・ストーリー  作者: 蒼雲騎龍
K編
174/222

二人の紡ぐ物語~セイルとユリアの冒険~4

                セイルとユリアの大冒険 4 第二章―1部



             ≪剣への出会いと、別れの時。 そして・・珍事?≫





リーチェから仕事に纏わる事件の事を聞いたセイル達。 その後は夜までは、外で過ごそうと宿を出た。


先ずは~~~~っと。 衣服から武具・防具まで買い取る様々な店が並ぶ場所に行き、ロザリーの船長として着ていた服を売った。 明日の午前には、彼女が船長としての最後の仕事をする為に、一着だけ黒いドレスを残しただけ。 毛皮のコートだ、派手な刺繍と艶かしいデザインのシルク地のドレスなどは、宝石なども使われているから意外にも高値で引き取られ。 ロザリーに戻った金は、28000近く。


それから、父親から譲り受けたスティールソードなども壊し、唯一損傷の少ない軍剣仕様の曲剣を直しに出したのだが。 武器屋を幾つ回れど、先々で言われるのはもう新しいのを買った方が早いと。 愛着の在る剣は一つくらい残したいと思うロザリーだから、少々値が張ってっも直したいと思う処。 


しかし。 ロザリーの気に入る剣を探しながら、一同の話は直ぐに地下迷宮のことばかりに移る。


「もうそろそろ、夕方に為ろうかな」


傾き始めた陽の光を、細めた目で建物群の向こうに見るクラーク。 今の時期、太陽が堕ちるのは、街の遠くに姿を見せる霊峰の片側。 早い頃合いで日が暮れる訳で、荷物の運び込み、運び出しが街の至る所で見える。 飲食店街が花咲く夜だが、真逆に運搬の仕事は日暮れ前に多く終わらせないといけないので。 街の賑わいの目的が入れ替わる頃合いだった。


通りに影が増える夕映えに、肩に乗る精霊が風の精霊であるテングに替わったユリアが。


「うき~~~、想像してもラチ明かないよ。 おし、明日にでもその副長とか言う所に乗り込もう。 セイルが居ればだいじょぶっしょ」


と。


苦笑いのセイルは、ユリアに。


「うそぉ・・、マジで?」


「おう、マジ」


「いやだぁ~~~」


渋るセイルに、もう決めたと言うユリアが。


「だって、アタシ達より強い冒険者居無いなら、あの仕事の参加はもう決定に近いんじゃないの? それとも、あの仕事請けないで、イガなんとか~って島に行ける? もし、とんでもない被害が出ても、セイルは知らん振りして行けるんですかい。 え? えっ?」


「あ・あひぃぃ・・」


セイルを遣り込むユリアも、その気が無いならリーチェにセイルがあんな事を聞かない事ぐらいは解る。 だが、セイルが何かを隠していて、それでどうするかを決めかねているらしい。 面倒な事は、スッパリと片付けてしまいたいのがユリアの本音だった。


セイルとユリアの様子を見ていたロザリーは、アンソニーに近付き。


「なぁ、セイルは何処かの商人の子供なのか?」


聞かれたアンソニーは、女性に甘いのと一緒の仲間に成ったのだから・・と。


「実は・・・」


部分的に掻い摘みながら、セイルと自分の身分を教える事に・・。


「い゛っ!!!!!!!」


聞けば腰が抜けそうになる程にロザリー。 ロザリーの様な者でも、世界で最も商業力を持つマーケット・ハーナスの3大商人の事は知っている。 オートネイル家は、あの二大剣士の一人であるエルオレウが今も実権を握ったままで、商業界に怪物並みの影響力を持つと噂だった。 その孫セイルが、また祖父の域に届きそうな天稟を秘め。 こうして旅をしていると云うのだから・・驚きだ。


「あ・・あのセイルが・・・」


驚くロザリーだが、今のフラストマド大王国の王が認めているんだからと云われては否定など・・。


その驚くロザリーに、アンソニーは続けて。


「それに・・クラーク殿も・・」


と、また内緒を教えてしまう。


「・・・」


ロザリーの真偽を確かめる様な疑惑の眼が、武人然としたクラークに注がれた。


(オートネイル家の孫に、過去の王子・・。 クラークが公爵家の皇族で、ユリアは天が稀代の一人に与える力の持ち主? 嗚呼・・私は、なんというチームに・・)


一人、このチームの素性にショックを受けているが。 道なりに歩いていい店を探したセイルやユリアは、ロザリーを剣だけに絞った個人商店の様な店に誘った。 他の店で、ちょっと凝った剣を色々と扱う店はないかと聞いて、鍛冶屋が営む修理・個人創作の店が有ると教えられたのだ。 正しく、その情報に、目を付けた店が当て嵌まった。


「ロザリーさん、此処で見てみようよ」


「あ? あっ、あぁ・・そうだな」


ユリアに押される様に、薄暗い店内へと入るロザリー。


一方、店先の展示する台に括り付けられた剣を見るセイルとクラークは、じっくりと一本一本を見つめ。


「ほう・・剣の先だけがアクスの様に成っているマチェッタントソードだの。 刃の磨かれ具合は、中々に良い」


「クラークさん、修理は此処に頼むのも手ですかね」


「セイル殿、あのモンスターとの戦いで、刃毀れなどは?」


「いえ、それは無かったです」


「魔力を纏わせる事で、緩衝の役割が掛かるみたいですな。 羨ましい」


「クラークさんの槍は?」


「えぇ、自分で磨けば治る程度でした。 ま、更に悪い時は、此処に出してみましょうか」


武器を扱う二人が、店先の武器を見てそう話し合う。 他の暗器(隠し武器・短剣等のサブウェポン)を見るアンソニーは、二人ほど武器の良し悪しが解る訳では無い。 だが、他店の大量生産される既製品とは、確かにこの店の武器は違うと思えた。


(既製品にも作り手によって良し悪し在るみたいだけど・・。 私にはどうも判別出来なかったが、ふむ。 こっちの武器は何となく解り易い。 無骨な感じで、顔が有るみたいだ)


形様々な武器を見るアンソニーは、その武器の造りを見る事に入り込み掛けた・・。


其処に。


「あん? 軍剣仕様のカタールかシミターだぁ? それは、北方地方の部族が作る特注だ。 似たような武器を探すって云うなら、長剣とスティールソードの間を取ったファインディンか。 曲線の刃を持たせたファルシオンソードしか無いぞ」


「オジサン、それって何処に在るの?」


「あ~っと、数日前に打って仕上げた力作のファルシオンが、こっちの列の真ん中に。 古い型のファインディンを打ち直したのが・・、此処に在る」


店のオヤジとユリアの声がしてきた。


セイルは、聴いた事の無い剣の名前に。


「“ファインディン”?」


と、クラークを見て。


“はて?”


と、首を傾げたクラークも。


「ファルシオンは解りますが・・」


アンソニーは、新しい事を知れるとフードの陰で微笑み。


「知らないなら、中に入ってみませんか」


と、二人に言った。


・・・で。


もう店仕舞いしかけた店のオヤジは、剣を見に来たセイル達男3人も含めて店の奥に案内した。 ランプを点けた裏の部屋で、壊れたロザリーの剣を下取りで買い取るを条件に、一番いい剣を二振りばかり出してくれた。


埃も見える木の台の上に、草を編んで作られた包みの上に乗せて一振りの剣が見せられる。 刀身が、柄の付け根から真ん中ほどまでが銀色、その先から少し広がりゆく部分が金色の光沢に光っている。


「いいか、ご一同。 これが、ファルシオンソードだ。  柄の付け根から、刃の中ほどまでは長剣の様に厚みのあるやや細身の真っ直ぐな刀身で。 この先から、刃先に掛けてやや反りが入る様に刃幅が広がり鋭さを増す。 この剣は、大量生産が出来ない程に良い鉄などを使う分、刃先のデザインは作り主に委ねられる。 ま、オラっちのファルシオンは、刃先の先端が縦に二股に為っている。 イメージは、刀身の峰側に在る刃先が槍の先の様に、その下に来る刃は切れ味重視の剣みたいなモンさ」


その長剣よりやや全体の刃幅が広がった剣に、買う本人であるロザリーは目を奪われた。


(良い造りだ・・。 我が一族と仲が良い鍛冶屋に劣らぬ・・)


紹介をする店のオヤジが、そもそも鍛冶屋らしい。 40・・いや、50に届いていそうな年頃の大柄な人物だが。 鍛冶屋と云うだけあって、その腕や首は太く筋肉がしっかりしている。 タフそうで、腕力もあるだろう。 鍛冶仕事で鍛え抜かれた身体と見て良い。 そう見えるから、尚更独特な雰囲気の剣が素晴らしく見えるロザリーだった。


だが、その次に出て来たのが・・。


「さて。 こっちがワシお奨めのファインディンソードだ。 普通のファインディンソードってのは、波状って言うか、半円の刃がノコギリの刃みたいに並ぶ・・。 まぁ~、大剣のフランベルジェの姉妹品なんだがよ。 俺のこの創作剣は、付けるなら別名を“さざなみの剣”と云うかな。 ま、見てみろ」


粗末な造りの店の裏部屋だが。 その薄く蒼い刀身の剣が出されると、セイル達は目を丸くした。


特に、目の前に出されたロザリーとユリアで。


「うわぁ~、なぁ~~~~に、これっ!」


その剣の麗しさに、思わず声を上げるのユリア。 だが、他の者も剣の見事さに驚きと珍しさを顔に浮かべて見ている。


その美しい蒼の剣は、刃が凹凸を持つキザキザの物だ。 ただ、その刃のデザインは、“漣”の名前の通りである。 ノコギリの様に規則正しい刃でもなく。 別名のまま、白浜に波打ち上げる海水の不規則さを芸術的なセンスで再現したかのような物だった。


ロザリーは、その剣を見つめながら。


「主よ、これは高いのだろう?」


「そうさなぁ~、12000なら手を打つ」


買える額が出た事で、ロザリーは思わず顔を上げて。


「本気で・・その額か?」


店のオヤジは、その剣を手にして。


「いやぁ~な。 この剣のこの色合いを出す鉱石は、このコンコース島では非常に有り触れた石だ。 他国に持っていくと、ちょっと値は上がるがな。 この剣の美しさは、俺が遊び心を初めて強く持ったから出来たってだけで。 それこそ装飾剣には良くある」


と、此処まで言った処で皆を見て。


「あ、いや。 耐久性も切れ味も補償するぞ。 俺は、お飾りなんざぁ~作りたくないからな。 ただ、先々月に孫の娘が生まれて、その遊び道具作る傍らでその・・やってみたくなっただけよ」


自分から素直に話す髭面のオヤジを見て、ユリアが。


「オジサン、素直だね」


と。


すると、店主が顔を紅くして。


「うるせぇ、可愛いンだから仕方ないだろ」


其処に、ロザリーは自分の剣を取り出し。


「12000で、これを買った。 代わりに、これはもう壊れたから約束通りに置いて行く」


と、愛用だった一振りの軍剣仕様の剣を置いた。 サーベルの様な細身の直刃に、やや緩やかな曲みを持たせたカタールとシミターソードの間の剣で、この剣も見る人が見れば頷くに足りる一品だ。


店のオヤジは、その置かれた剣を手にして見て。


「おっ、やっぱりだ。 ほほぉ~、本当に北部の部族が作った型ダゼ。 柄を見て解ったんだ・・、ん? あぁ~刃はめちゃめちゃだな」


珍しいものを見るとオヤジが剣を手にし、じっくりと舐め回す様に見定め始める。


金を出すロザリーは、


「父が鉱石を買い集め、山の部族の鍛冶屋に頼んだのだ。 あ・・、嵩張ってもいいか? 嫌なら、金貨を混じる」


と、言うと。


パッと剣から目を離したオヤジは、目を丸くして。


「んっ、き・金貨。 金有るな」


「いや、古着などを持ち込んだ店が、嵩張るからと金貨を出してきた」


「ほぅ。 ま・・、任せる」


こう云った店主だが、直ぐに剣に向き。


「しかし、この剣は・・良く鉄を鉱物を溶かして無理に冷やさず手間を掛けたヤツだ。 こりゃ~鍛冶屋が苦労して作ってる証だ。 大陸の方となると、俺みたいな腕のヤツがゴロゴロしてやがんのかね」


剣をこねる様に見て、感想を吐くオヤジの眼はマジである。


セイルは、同じ剣士相手ならお互いを見て似たことをすると思うし。 槍の使い手であるクラークも、また同じだった。


アンソニーにしては、見ただけで武器を作る工程を思い浮かべられるこの主が凄いと感心。


だが、オヤジが剣の刃が酷く欠けている部分を注視すると・・。


「ん? 壊れた刃の下に、もう一つ層が見えてるじゃねぇ~か。 まさかコイツは・・、“被せ造り”か?」


その奇妙な独り言に、ユリアは興味津々で。


「ね、被せって、なぁに?」


「ん? あ・あぁ。 武器を作る時に、刀身や刃の中まで鉱物がしっかり詰まってないと脆くなる。 市販の既製品は、遣う鉄鉱物の重さを均等にして、一本の値段を安くして安定価格ってヤツを生み出してる。 だが、それだと溶かした鉄鉱物の量が均一な分、余分って言うか・・過分に足さないから冷やすと細く締まるんだよ」


直ぐに理解できたのは、経験豊富なあクラークで。


「ご店主、それは縮まると言う事か?」


「おう、そうそう。 それよ。 だから、それを防ぐ為と、強度を安定させる為に硬くカッチンカッチンに固まる黒い泥を支柱にして作るんだ」


「では、安物の剣が折れると時折、鉄粉の様な土が拭くが・・・それが」


「おうだ、良く知ってるな」


「あ・いやいや」


恐縮したクラークだが、この主はクラークの名声など知らぬらしい。 知っているなら、“流石”と追加した処だろう。


ロザリーの剣を見る店主は、更に続け。


「ま、それは安物の話。 だが、その安物に遣ってる元の技術ってのは、腕の有る鍛冶屋が遣っていた技法のマネなのさ」


話に引き込まれたアンソニーは、武器より作る方が気に為り出し。


「では、元々にその・・支柱を入れる技法が有ったのですね?」


「そうさ。 その一つが、“被せ造り”よ。 強度の高い芯柱と云う中身と、刃の形状を自由に変えられる外側の上刃の二つに分けられる。 言わば、鞘の様な剣の刃と、その下に隠れて強度を保つ体が有るみたいなものさ。 だが・・、コイツは非常に難しい。 芯柱と上刃を重ねて火入れをするんだが。 火を入れすぎると二つが途中で溶けて癒着し、攻撃の際に打ち付けた振動に脆くなる。 また、火入れが弱いと、同じく衝撃で上刃と芯柱が剥離する。 火入れを完璧に出来る見定め、芯柱を差し込む上刃の穴の形状の構造。 そして、その技術を可能にする鉱物の選択・・。 どれを間違えても完璧な代物にはならねぇのさ」


自分から聞いた割りに、奥が深く難しい話だとユリアは困り。


「うわっ、なんかムズカシ~」


「当たり前よ。 長年やってるオラだって、被せの武器を作る時は家族を寄せ付けない。 無駄話なんかされたら、集中がじゃまされてイライラする」


其処に、非常な興味を持ったアンソニーが。


「今でも造られている・・。 どんな武器ですか?」


オヤジは、グッとクラークを指差し。


「ほれ、今でも良く遣うのは、その槍遣いさんが背負っとる槍なんかだよ。 剣の被せは、もう歳で疲れるからな。 楽ではないが、形状が造り易い槍で作る」


「なるほど」


頻りに頷くアンソニーへ、クラークは顔を寄せ。


「興味が御在りですか?」


「いやいや、奥が深いですね。 武器がどうやって作られるかなど、あまり気にして来ませんでしたから・・。 旅は、実にいいですね」


処が、オヤジはロザリーの剣を見て。


「だぁがよ、オラもこんなの見せられちゃ黙ってられねぇや。 一つ、コイツを調べて剣や斧の被せを造ってみるぜぇ。 いやいや、明日からは店はどうでもいい。 鉱物探しで、知り合いを当らないとな」


そう言って笑う店のオヤジに、金を出していたロザリーが。


「主よ。 ちなみに・・だが。 そっちのファルシオンソードとは、幾らするんだ?」


すると、オヤジはニヤついて。


「おいおい、欲張りさんか?」


「あ、いや。 明日、別れに餞別でもと思って・・」


「ん? 誰かにやるのか?」


「あぁ、今まで世話に為った叔父に・・な」


すると、いきなりオヤジは藁の包みごとロザリーの前に剣を押し出し。


「ん」


剣とオヤジを交互に見たロザリーは、くれると言うのかと思うままに。


「私に? ・・貰えるのか?」


オヤジは、壊れたロザリーの剣を持って。


「これが代金さ」


ロザリーを含めた一同は、そう言ってしまうオヤジを見つめるのみ。


ロザリーとオヤジが見つめ合う事少し。 すると、ニヤリと笑ったオヤジで。


「そのファインディンソードは、俺が無い絵心絞って、金持つ剣士にでも売ったろーと造っただけの剣。 何処に出しても文句ないだろうが・・、鉱物なんかの元手は100シフォンもしネェ。 俺が採取してきた鉱物で作ったんだからよ」


ユリアは、それを12000もとは高すぎと。


「え゛~、ならあの綺麗な剣がぼったくりぃ~」


ハッキリと云われてしまったオヤジは、大いに笑い。


「がはははは、そうさ。 ま、12000もあれば、今年の生活なんざ困りゃしねぇ。 それこそ、贅沢しても楽勝よ」


と、言ってから顔をマジメにし。


「金はさておき、だ。 大抵の鍛冶屋なんざよ、鉱物とそれを溶かす火を熾す方に金が掛かるのさ。 俺の店だって、5000シフォンを超える武器なんざ幾つも無い。 その一つが売れた上に、鍛冶屋魂に喝を入れる様なものも貰ったしな。 そのファルシオンの方は、おまけでくれてやる。 いい餞別に為るってんなら、造った方も気持ちがいい」


「だ・だが・・」


と、言いかけたロザリーへ。


「いいんだ。 それよか、もう外は夜。 早く孫の顔も拝みてぇし、代金で美味いもん買って産んだ娘にやりたいんだ」


と、主が被せる様に言う。


ロザリーの事なので、セイル達は何も口出せる事では無かったが・・。


慌てふためく様に急いで何かを・・と考えるロザリーは、何かを思い出した様に。


「あっ、ああっ! ままま待てっ。 なっ・なら・・こっ・これも一緒に置いて行く」


と、腰のベルト後ろに付けて在る小物入れに手を入れた。


店のオヤジは、一体何事かと思う処に。


「これっ、これだっ」


ロザリーが取り出したのは、やや色抜けした朱色の石だ。 透明感は有るのに、何処か色褪せている。


しかし、精霊遣いのユリアが、その石を見るなり直ぐに。


「何この石。 炎の力を感じる・・」


と、言うと。


取り出したロザリーも。


「炎に関係有るものらしい。 以前、無理を言う商人から荷物を受けて運んだ先で、高額で売れるものだから・・と代金の足りぬ分と貰ったのだが。 今になっても何がなんだか解らないものだった」


正体不明の物品を出され、オヤジはその石を手にすると・・。


「おっ、うほっ。 なんだ、ほんのり熱いゼ」


その一言を助けに、セイルがパッと思い出した。


「あ・・、それってもしかして・・」


オヤジは、セイルに石を見せ。


「知ってるのか?」


「はいっ、はいはいっ」


突然の事ながらセイルが興奮しだし、一同が石を見る。


「凄いっ、これってもしかすると“火竜琥燐”(かりゅうこりん)ですよっ!!!」


セイルが言うと、オアヤジも石を見て目を見張り。


「い゛ぃぃぃっ?! これが・・あの火竜琥燐だとぉっ?!!!!」


「でっ、ですよっ。 本で読んだのと感じが似てますっ!! 精霊遣いのユリアちゃんが、火の力を感じますしっ。 本物ですよぉぉぉぉ~~~」


この話に、ロザリーは意味が解らずキョトンとするが。 オヤジは掌に乗った石をロザリーに差し出し。


「おい・・、ホントに貰っていいのか? もしもコレが、こっちのボウズの云う通りに火竜琥燐だとしたらよぉぉ。 これだけの大きさでもよ、店で買ったらマジで50000でも買えないぞ」


こう云われてしまうのだが、石の価値など知らないロザリーで。 渡されたままの断熱の効果が有る石綿の包みに入れたまま、今まで持っていたのだ。


アンソニーは、その石の名前だけは知っていて。


「“火竜琥燐”・・。 たしか・・死した火竜の鱗や体が、長い年月を掛けて琥珀化した自然精霊石の一種だった様な・・」


セイルは、グッとアンソニーに指差し。


「それっ、それですっ!! 鍛冶屋では、強い炎が一時生み出せる最高の燃料と言われ。 武器の中には、この石を使って魔法の力を生み出すものも在ったとか」


「ほほう。 名前だけはしっていたけれど・・、これが・・・」


珍しい石が出たと、クラークも見識の為に石をまじまじ見て。


「これが・・。 以前に採取依頼で探したが、この石だけは見つからなかったものだ。 ふむ、火の竜の化石とは・・いやいや知らなかった」

 

話が盛り上がる中だが。 ロザリーは、もう一時は冒険者に成りきる気でいるものだから。


「構わないよ。 その石が遣えるなら、主も鍛冶屋として良い仕事が出来るだろう? 何か用が有る時は、また頼って寄らせて貰う」


こう云われた店のオヤジは、ロザリーの眼を見据え。


「・・おし。 なら、この島に居る間は、剣の事でなら我儘は全てオラに言え。 そん時オラは、あんた等なら徹底的に付き合ったる」


と、また不思議な石を見た。 その眼差しは、丸で何か勝負でもしているかの様な・・。


「では、代金だ」


と、ロザリーが金を積んで出すと。


「ん? おう。 んなら、お開きにしよか」


と、何処か流す様にオヤジが言う。


セイルは、横のクラークに。


(なんか・・、もう創作に入り込み掛けてる感じですね)


(ですな。 色々と試みが思い浮かぶのでは?)


店を出ると、店の鍵を閉めたのかも解らない勢いでオヤジは消えた。 何かをしたくてそわそわした様子で、夜の道の闇へと・・。


それを見送るロザリーは、剣を左右の腰に差し。


「少し重いな。 だが、良い剣が手に入った。 剣に見合う技量を身に付けねば」


ユリアは、ファルシオンソードを見て。


「こっちの剣って、あの叔父さんにあげるの?」


「あぁ。 餞別とは云うたが・・、決別の証だ」


セイルも、ユリアも、クラークやアンソニーも、ロザリーの覚悟の気持ちを此処に見た。




                     ★



次の日。


朝、全員で起き、軽い食事を済まそうと宿の中の中地下一階に有る飲食店に入った。 作り置く料理を、前金払って自由に取り皿へと取り分けるスタイル。 ロザリーが行う弔いの儀もある今日だし、始る前に行かなければ・・。


一同を下まで案内したリーチェは、洗物を持って下がった。 どうやらリーチェには、セイル達の世話に専念させる様な感じで。 あらゆる事も言い付けに従えとお達しが出ているらしい。 朝に、リーチェが恭しくセイルに接し、自分のする事に何か落ち度が無いか繰り返し聞いた。


ユリアの推理では、完全にセイルの身元が一部だけの人に解っていると思う。


そして・・。


「おはよう御座います。 皆様へ、当店からのおもてなしで御座います」


と、皆が食事を始める頃に、食べ易いパイが焼き立てで出された。


「あの・・頼んで・・」


セイルは云うが、白いシェフの格好をした中年男性は、御代は要らないと置いていった。


優雅に紅茶を飲むアンソニーは、ニヤリとして。


「ユリア君の予想は、どうやら確定に変わりましたね」


早速パイを食べるユリアも。


「んぐんぐ・・、だわね~。 あ、でもコレ美味しいぃ~」


甘い物好きなクラークは、その臭いに。


「良いリキュールを使っているからでしょうな。 私も頂こう」


と、なんだかんだとご満悦に食べる。


唯一、バレてるのが白けると、セイルはげんなり。


「面倒なのイヤだなぁ~~~」


昨夜に、ユリアから旅立ちを聞いたロザリーは、もう驚く事も無いと。


「覚悟しなよ。 ま、身代金を要求するにも、セイルの強さなら中々難しいだろうしさ。 旅は名前で出来ないし」


と、捌けたものであった。


食事を終えた一同は、一応に出来る一番礼節に欠けない服装をした。 リーチェに相談して、揃えてもらった。


朝陽も見上げる高さに上がる頃。 中央噴水公園の一角に有る海の神を祭る神殿にロザリーとファイラポン。 そして、その他の船員が集まった。


簡略した儀式だが、死亡した船員を弔う。


白い身動きのしやすいワンピースを着たユリアは、黒いドレスの涙目に為ったロザリーに寄る。


「ご遺体は・・どうするの?」


涙を指で拭うロザリーで。


「海族の儀式では、海で死した者は海に還せとある。 灰にしてあるから、・・海に撒く」


アンソニーの魔法で、二人の遺体はもう灰になっている。 姿なく葬儀をするのだ、寺院側も驚いただろう。 だが、灰からは微かな闇の力を感じる。 僧侶としても、それは解るから浄化と云う儀式は必要だと了解してくれたのだ。


この葬儀に遠目から参加するアンソニーは、紳士的衣服の上から、スカーフにも似た黒いベールの様な布を被っている。 太陽の光に当っても大丈夫だが、行動が鈍るのだ。


其処に。


「始ってたみたいね」


と、女性の声が。


「えぇ、先程から」


声でルメイルが来たと解るアンソニーは、言葉だけを。


イーサー達も、祈りだけは捧げようと来たのだが。 ルメイルは、一人離れているアンソニーの背中が寂しそうに見え、声を掛けたくなったのだ。 アンソニーと肩を並べる様に立ったルメイルは、チラりとアンソニーを脇目にして。


「いい仲間に出会えて、貴方幸せだわ。 全ての僧侶からは、憎まれるかもしれないけどね」


そう云われたアンソニーは、緩く口元を笑ませ。


「理解してます。 自分で自分を絶とうと、知人の持つ聖なる剣で・・。 だが、それは今の遠縁当る者に止められ、まだ道は有ると導かれた。 私に道を見せる仲間には、感謝以外にない。 それに、彼らになら倒されても構わないし・・。 何より・・、何よりこの身では・・・逢えぬ」


アンソニーを見るルメイルは、その儚げな男に哀愁を感じて仕方ない。


「誰に逢えないの?」


「・・私が、命を掛けて愛した女性ひとです。 もう、200年・・いや、もっと前の女性ですがね。 彼女を忘れられず、不死の魔法に手を染めた。 今の私は・・その成れの果てですよ」


「ふぅん・・。 で? 今は楽しいの?」


「えぇ。 不思議なことですが、この体に変わってからの方が楽しいですね。 旅を出来て、充実感が有る。 ・・死ぬ前に知っておけば・・・。 後のなんとやらですかね」


ルメイルは、自分に何か出来ないかと聞こうとするのだが。


「あ、終わった様ですね。 では、これで」


一足先にと、アンソニーが動いた。 振り返って此方に来るクラークと落ち合う為に。


(くっ・・)


小声で横を向くルメイルは、アンソニーに心許せる仲間が居る事が悔しい。 彼女の心の中に恋心が芽生え、それが執着心と嫉妬心を引き連れていた。 不死のモンスターと云う忌むべき相手が、人の心を残したままで在る事が悩ましく。 自分からより、相手から言い寄られる事が殆どのルメイルは、そのプライドからしてもアンソニーへ素直な気持ちを出せない。 自分の心の摩擦が、持ってはいけない負の心を目覚めさせる様な感じがしていた。


さて。 クラークと合流したアンソニーは、海に灰を撒く散布まで付き合った。


修理する船はもうドックへと移されているので、撒くのは海岸の岩場付近に。 旅行客や住民の子供などが遊ぶ広い浅瀬の近くで、散布を終えたロザリーはサバサバとしていた。 黒いドレスに婦人用のベールを被った彼女は、叔父のファイラポンに昨日の武器屋で貰った創作性が強いファルシオンソードを放り渡し。


「叔父上、これは餞別だ。 部下を従えるにも、見てくれが使える時もあろうし。 剣の腕は悪く無い叔父上なら、それも遣えよう」


投げられた剣を受け取ってしまったファイラポンは、もう言い訳が出来ないと悟る。 海族では、決別と船を分かつ時に武器を贈り合う。 その儀式を、此処でいきなり遣られたのだ。


「皆も達者で。 剣の腕を磨きぬくまでは、私は冒険者として生きる。 何時かまた、会える時も有るだろう」


ロザリーは、昨日に出来た金の残りの殆どを、腹心に預けた。 壊れた船が修理され、また航海出来る様になるまでの足しにしろと・・。 長逗留させる客達の為にとだ。


温かい島特有の大きな草の下でロザリーを待つセイル一同の前に、


「待たせた。 では、着替えてしまおう」


と、ロザリーが戻った。


セイルは、予定していた事なので。


「では、着替えが終わったら副長の方を訪ねます。 もしかすると、またゆっくりするのはお預けに為るかもしれませんが・・」


そんなことは、ロザリーの方が願っている。


「いいぞ。 忙しくしてくれ。 その方が、一つの物事に没頭出来ていいよ」


「はい」


船員には威厳すら匂わせるロザリーだが、セイルには何かと素直である。 一行は、宿へ昼前に戻り。 着替えを済ました。


着替えを受け取りに来たリーチェに、アンソニーがセイルの代わりにチップを渡し。


「あ~~・・セイル君の事で、何か雇い主側から云われてますよね?」


こうサービスが過剰な処を突いてみる。


すると、もう大きくお辞儀をするリーチェで。


「は・はい。 何か粗相が有りましたら・・」


「いえいえ、無いです」


アンソニーが云った後に、上着を元に戻した処のセイルがベットの脇より。


「あの~、これからもメイドさんはリーチェさんでお願いします。 その迷宮の仕事を請けると決まりました。 他の方に代わられると困るんです。 僕たちがこの宿を去るまで、お願いします」


「あ・・はい」


身を上げたリーチェに、今度はトコトコと土の精霊ドライアッドと云う樹木の姿をした老人が近寄り。 彼女の足元にて、その足を突き。


「これこれ、エルフの娘さんや」


精霊を見る事も、会話も出来るリーチェは、ドライアッドに気付き。


「あ、これは土の精霊さん。 何か?」


と、屈む。


木の枝を腕の様に腰に回すドライアッドは、ニコやかに。


「うむ。 島の~中央にある~公園とやら。 じつに~自然豊富で~良かった~良かった。 処で、の。 外で食べるには~、何処がエエかと~ユリアが知りたがって~おる」


「あ・あら、はいはい」


ドライアッドを手で掬い拾い、着替えてるユリア達の方に向かうリーチェ。 ダークエルフながら、健気で献身的な実にいいメイドである。


ダークエルフに関して、いい印象は持って居なかったクラークだが。 知識としては、その悪用された歴史や、近年にその見方を学者達が変えたという事も知っていた。 そして、改めてリーチェの様な者に出遭うと。


(宿の差し入れたこの甘い菓子・・悪く無いの。 ・・・しかしながら、人間は何歳いくつになっても勉強だわい。 ダークエルフにも、この様な素直な者も居るのか・・。 迫害が人を変えるのはよくよく知って居るが、ダークエルフは長い間そうじゃったからなぁ。 理解し合うのも時間が必要だ。 それにしても、あのセイル殿とユリア殿の人当たりは、大人の固定観念も通用せん。 ワシもカタイ頭を柔かくせねば・・、うん、せねば・・な)


水差しからコップなどが置いてある壁付けの長テーブル付近にて。 甘い菓子を食べ終えたクラークは、近場に水を汲みに来たリーチェへ。


「私が食べていた丸い菓子、これはこの島の物かな」


「あ、はい。 ちょっと甘さが強いのですが、焼き菓子で日持ちします。 宿のお客様にも喜ばれて、もう何年もこの御菓子はご用意させて貰ってます」


「そうか。 小腹が空いた時に、丁度良い丁度良い」


「はい。 でしたら、常時御二つほど部屋置きのお菓子に入れて置きますね」


「おぉ、頼む頼む」


着替え終わったセイルは、剣だけを腰に差してこの二人の傍に来ると。


「リーチェさん。 荷物は、取られたくない物以外は置いて行きますんで。 夕方か、夜には帰ると思います」


と、乾燥させた花の蜜の飴に手を伸ばした。


「はい、畏まりました」


雑談に移る男達、リーチェも加わりなだらかな時が訪れた。 着替え終わった女性二人も出て来て、話を重ねながら部屋に置かれるバスケットの上の菓子を食べきった。


その後。 リーチェに後を頼み、一行が外へ出たのは昼過ぎ。 珍しくユリアの肩に出て来たドライアッドは、気分良く鼻歌を歌っていた。


さて。


街中を歩きつつ冒険者の格好に戻った一行は、悩みを抱えるセイルから説明を受ける。


「この島で商店共通の取り決めを任され、島の政府と税や輸出・輸入を取り締まる商業界会が有りますが。 その副長をしているクレメントスさんは、我が家の一族と血も混じる腹心幹部です。 今のクレメントスさんは、確か47代目のクレメントスで。 この島の長とは昵懇の間柄だと思います」


目を細めたユリアは、脇からズィっと顔を覗かせ。


「んで、お前の心配事はナンじゃ? 言うてみぃ」


と。


クラークも、アンソニーも、それが奇妙に脅しめいていると苦笑い。


ロザリーに至っては。


(ちと・・怖いな)


と、引き気味に。


だが、モジモジするセイルで。


「いやぁ~ね、その・・。 クレメントスさんの娘さんに、アリーナって居るんだけど。 一昨年に求婚されて、困ってるんだ。 正直・・顔を見られたくないんだよねぇ~~~」


呆れた話に、ユリアはガックリ。


「なぁ~んだ、そんな話か。 業つくでセイルに取り入ろうとするとか危険な方と思ったのに・・」


だが、セイルは急に脅えるままに。


「ユリアちゃんはされた事が無いから言えるんだよぉぉっ。 女の人に夜這いされるなんて、僕だって嫌だよっ」


“夜這い”・・。 街中の白昼で、堂々云う言葉では無い。 仲間一同、何の事かと目を丸くし。


「・・・へぇ?」


と、首を傾げたユリアを筆頭に、“夜這い”と来て理解に苦しむ他の皆。


クラークは、情報が少ないと。


「セっ・セイル殿。 その・・アリーナと云う女性は、お幾つなのだろうか・・」


「確か・・30歳は超えてると思う」


「ぶっ」


ユリアとクラークが、その年齢の高さに吹いた。


一方、アンソニーは笑いそうになる顔を、日除けに被る大きなスカーフを手で持って隠し。


「ぷ・・、いやいや。 恋愛に年齢は関係ないね」


何とか驚くだけに止めたロザリーが。


「セイル、その・・何だ。 バシっと、“好みじゃない”と云ってみては・・どうかな?」


すると、セイルは思い出しては脅え。


「そんなヤワな人じゃないんですよぉぉぉ。 ウチの後釜の実権を狙ってるみたいで、僕の寝室に忍び込むのも、見つからない様にと甲冑なんか着て使用人の眼をやり過ごしたんですよっ?!」


「・・・」


仲間一同、夜に警備巡回をする目を逃れ、甲冑で動く女性がどんな人物かと思うと背筋が寒くなる。


ユリアは、黙ってセイルの肩に手を置いてから。


「・・頑張って、行ってみようか」


「イヤだよっ!!」


何を頑張るのかも尋ねたくないセイルで、ユリアに泣きそうな顔で怒る。


面倒な事だが、確かに後々に尾を引き摺りそうな話でも在ると困惑の一同。 アンソニーは、一応・・と。


「では、周囲でお話を聞いてみるのは如何でしょうか。 その女性が、今も居るのかを・・」


「おお、それは先ずはとしてみるべきですな」


頷くクラークだが、セイルは聞くのも怖いと云って肩を自分で抱すくめた。

どうも、騎龍です^^


掲載が延び延びになってるみたいですみません。 ;人;



ご愛読、有難うございます^人^

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