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エターナル・ワールド・ストーリー  作者: 蒼雲騎龍
K編
161/222

K特別編 秘宝伝説を追って 第二部 ⑫

           K長編・秘宝伝説を追い求めて~オリヴェッティの奉げる詩~第二幕




                ≪終わらない旅と、終わらない続き・・・≫





アンディを拘束して、彼の仲間でも在る女性二人から離したクラウザー。 この展開では、そうした方がいいと思った。


また、魔法爆弾を手にするガウ団長は、その形の麗しさや、透明な中身で滞留する炎の魔力を見つめ。


「良い出来の爆弾だ。 イシュラムのバカ者が・・、こんな才能が在るのに」


錬金魔法のエリートとして、精霊魔術と魔想魔術を扱えていた息子のイシュラム。 素直に育てば、学院でも大臣は確実だと云えた。 嘗ては、一族でも秀才として、魔法の修錬生を2・3年で卒業したガウ。 そんな自分を目標に、魔法を習うと生意気を言っていた幼少期のイシュラムが、ガウの脳裏に残る一番可愛い息子の姿だった。


(此処まで来て、解らなくなった。 この仕事に、意味は在る。 だが・・、あの子がそれを解らなかったのは、ワシの所為ではなかったか。 先々の地位の事を諦めさせてでも、この仕事を継がせる為に傍に置くべきだったかも知れぬ)


親として、どうあるべきだったか。 ガウは、魔法爆弾を見て、その側面に映る自分に問うた。


さて、


丸い円を、線としてやや歪に描き。 その線状の円の中心に、燃ゆる炎を纏った球体が在り。 その球体から、円を描く線を貫く様にして、四方八方に光を現した傍線が延びる。 ・・太陽を模ったその石像の前に、一足先に行ったKとリュリュが居て。 リュリュは祈りの真似事をしていた。 後から追い付いたオリヴェッティは、石像の周囲を見ているKに近寄った。


「ケイさん。 どうですか、何か手掛かりは在りましたか?」


すると、Kは石像の周りを指差した。


「見ろ。 この周りだけ、妙に埃の様な物が体積してる」


言われて見れば・・で、オリヴェッティもそれが解り。 脇に来たルヴィアを見てから、


「確かに・・」


と、肯定した。


周りを見て、また石像の周りを見るKは、その場所に屈み込み。 そして、その塵を指で触った。


「・・、なるほど。 この手触り、相当に細かい塵だ。 祈りの間の地面の土とも全く違うし、化石化した昆虫も埋れてる。 こりゃ・・草とか花だ」


中腰に成って、Kの脇に顔を出すルヴィア。 その石像の周囲を見て、


「生えていたのが・・枯れて分解された成れの果て。 そんな感じか?」


Kは、そこで塵を一気に底から退かすと。


「違う。 地面は、硬い黄土だ。 この場所を隠したのは、超魔法時代の誰かかも知れないが。 それ以前に、此処に花を手向けていた誰かが居たのだろう。 隠された事で、風も入り込まない密閉状態と成り。 腐って塵に成ったと思う」


「ほう・・なるほど」


「もし、仮にこの場所を見守っていたのが海旅族なら、神殿と同じ領域で神聖な場所と捉えただろう。 祈ったり、供物を捧げたりしても全く不思議じゃない」


この時、ウォルターが石像の後ろに回り込んでいて。


「友よ。 そうなると、目の島で見た神殿同様、石像の裏が怪しいのぉ」


Kも、また。


「あぁ」


石像の後ろを見回したウォルターは、其処に置かれた或る物を見つける。


「フム。 何か在るな」


オリヴェッティやルヴィアは、何が在るのかとウォルターの方に。


石像の裏に回って、壁側に嵌め込まれた物を取り出すウォルター。 美女二人の前にウォルターが持ち出したのは、白銀色をした何かのオブジェだ。


ルヴィアは、その面にも裏にも、何も描かれてない金属のゴツゴツとしたものを見て。


「不自然な・・。 形は、何かを模った感じがするのだが・・、表も、裏も、何も描かれていない。 フムゥ・・」


同じ意見のオリヴェッティで。


「見ても、何の感じもしませんわ」


ウォルターは、それをオリヴェッティに渡すと。


「確かに。 では、ワシも祈りを捧げようかな。 古代の先人を偲ぶのに、これほどの場所は無い。 年を重ねると、何とも情緒的に成るものだわぇ」


ウォルターを見送るオリヴェッティは、その金属板を観察した。


(やや右斜めに傾いた長い四角。 右の側面だけ、波を打つ様に加工されていますわ。 それにして、コレ・・。 前にも似た様なものを見た事在る様な・・・・)


その金属板を見るKは、オリヴェッティとルヴィアに。


「簡単な謎解きだが、魔法学院に行くまでは云わないで置こう。 その板に隠された情報を、お前達で開けて見るといい」


こう言っては立ち上がり、そのままこの広間を調べる事に向かって行く。


金属板とKを交互に見た二人の美女は、何を言い出すのかと驚き。 先にルヴィアが。


「おいっ、解る事は此処で明かせ。 魔法学院に行くまでなどと・・そんな悠長なっ」


と、云い。


オリヴェッティも。


「ケイさん、何が隠されているんです?」


と・・。


黄土の床、茶褐色の壁、何か描かれたりしてないかと見回るKは、そんな二人に。


「ガウのオッサンが、俺達に仕事を頼みたいそうだ。 あの悪魔が出た島の様子を込めた記憶の石と、オッサンの書簡を学院政府に届けて欲しいとさ。 此処まで関わった以上、この仕事は遣るべきだろう。 そうなれば、それまで猶予が有る。 少しは、頭を使ってみるのもいいだろう」


二人は、Kがこう成ると云った事を為すと解ってくる。 預けると云ったら預けるし、出来ると云ったら遣る人間だ。 何をどう言おうが、先ず知らぬ存ぜぬを通すだろう。


「おいおい、こんな金属の板をどうしろと・・。 何か、何か書かれてないのか?」


裏表や側面を見るルヴィアだが。 オリヴェッティは、眉を寄せてKを見る。


(ガウさんから、その打診が在りましたのね? 確かに、此処までの展開に成っては、私達にも責任が御座います。 請けない訳には・・)


しかし、何故に魔法学院に行くまでなのかが解らない。 魔法学院に行けば、この金属板の謎は聞いて解る様な簡単なものなのか。 それをKに聞いても答えてくれるとは思えないし、オリヴェッティも不可解であった。


さて。


この祈りの間の壁や床に刻まれたのは、必死に祈る人の姿を描いた絵と。 大きく、繰り返し繰り返しに神へ助けを求める文字だった。 その絵や文字を見つめるだけで、どれだけ必死に成っていたか解る気がする。 大きく絵を描いたのも、女性や子供を多く描いたのも、神の助けを求めるが故の浅知恵だろう。 何度も、何度も・・、同じ祈りの言葉を刻んだのも、それ以外にもう刻む言葉が無かったからであろうし。 途中で途切れそうな言葉が、再びまた同じ強さの線に戻るのもまた、当時の者の心の現われなのかも知れない。


(アンディじゃないが・・、何で助けたのか。 この世界が悪魔に支配されるのが嫌だったのか、それとも神の長も同情したからなのか。 神が降りた以上、それを黙認か、必要悪と認めた長が居る。 今はもう非干渉の神だが、加護だけは残された。 この場所に、未だ精霊の力が残るのも、その名残………。 この神々しい地場は、確かに神が降りた証だ。 そして・・、また神が降りる日が在るのか、な)


Kの脇には、嬉しそうにするリュリュが居る。 神の生み出した生き物で、在る意味の監視者。 精霊を護る最後の砦でも在る神竜は、世界に命が在る事を示す物差と云えよう。 降臨した神々ではなく、神竜は長の産物。 それが残るのだから、その意味は何なのか。


昆虫の死骸が化石と為ったものを見つけたKは、それを見つめただけで。


「さて。 どうする? 朝まで待つもいいし、戻るのもいい。 今、戻るなら、モンスターは俺が受け持つが?」


ガウは、オリヴェッティに。


「オリヴェッティよ。 悪いが、このまま戻れないか? アンディを、明日には街へ護送したい」


金属板を見ていたオリヴェッティだが、アンディの一件は由々しき事だ。 確かに、ダラダラする訳にも行かないだろう。


「・・解りました。 では、戻りましょう。 此処は、私達が長居して踏み汚す場所では在りませんものね」


決めると、Kは早い。 リュリュに風の魔法で全員を外に出して。 最後に、一人で石像に黙祷を捧げてから、この広間の入り口を塞いだ。 Kが外に出た後に、魔法床陣が昇ってきた穴自体が消えていた。


後からオリヴェッティが聞けば、この蓋と為っているモニュメントには、魔法の迷路機能が付いていて。 Kは力でその機能を消滅させたが。 今度入る者は、その迷路を突破しなければ成らないらしい。 つまり、何処に本当の入り口が在るのかは、Kしか知らないのだ。


“誰かが此処に来て、不自然な穴だ扉だと見たら、それは迷路の入り口だ。 心配するな”


魔法の産物たるマジックモニュメントは、その本当の姿は解かなければ判らない。 初期のものは、魔力やオーラでカギを開ける事が出来るらしく。 以前にウィリアムの経験したものは、劇的に進化した形なのだ。 もし、次に誰かが入ろうとしたなら・・・。


さて。


縦穴の上に風で上がった一同は、悪魔の片鱗をまた見る事に成る。 力を出したKに、この島のモンスターが束に成ったぐらいでは脅威に成らない。 モンスターが、Kに脅えて遠巻きに此方を見るだけと為った時。 在る意味で此処に神か、悪魔が居たのだろうか。


夜更けの入り、季節外れの様に感じる生暖かい風が強めに吹く。 ビハインツが不用意にモンスターを刺激した辺りに差し掛かった頃。 歩くだけでモンスターを散らすそのKを見るウォルターが、徐に何を言い出すかと思えば・・。


「我が友は、どうやら斬りたく無かった様だな」


ウォルターと肩を並べて歩き。 ガウの連れるアンディを、脇目で見張るクラウザーも。


「その様ですな」


と、云わんとする意味が解った。 Kが戦う姿を見ているアンディに、クラウザーは云う。


「アンディ・・、誰よりも君を疑いたく無かったのは、あの男かも知れんぞ」


「ジジィ二人で、俺をからかってるの?」


アンディは、そんな訳無いと思う。


だが、ウォルターが先に。


「我が友は、今はああだが。 その少し前は、恐ろしい男でな。 自分を裏切る者、悪しき者には容赦無く。 悪党集団を死滅させたり平気でしてきた男なのだ。 御主が爆弾を持った時点で、今に思えばその手を斬り落すぐらいは出来た。 だが、何もしなかった・・」


クラウザーも、また。


「此処に来る少し前、俺の弟子も助けられたが・・。 汚れきった悪党は、半殺しか・・この世に居無い。 それに比べたら、君には手出しをしなかった。 どうやら、気に入られていたみたいだな」


二人に言われ、横に向いたアンディ。


「それは、光栄だね。 俺は、何も認めてくれって云ってないケド」


すると、ガウが。


「御二人、もう宜しい。 このバカに、その様な諭しは判らない。 街の裁判官は、非常に冒険者とか言う者を嫌う頑固者。 こやつは、どの道に死罪を免れん」


「へぇ、俺が死罪ね。 じゃ、アンタは安泰だね。 イシュラムも居無いし、反逆した者が居るなんて中央には伝わらないから」


ガウの役職と家族の足元を見て、彼を言葉で揺さぶって動揺させようとしたアンディだったが。 ガウは、前だけを見ながら。


「それは、中央の沙汰次第だ。 オリヴェッティに託す書状には、包み隠さず全てを書く。 ワシの落ち度が大きいと判断されれば、ワシも罷免されような」


「ケッ。 書くんかよ」


「当たり前だ。 こんな事、隠せる訳が無い。 謹慎を受けたが、イシュラムとて役職を受けた身ぞ。 その身で、暗黒魔法を会得してゲートを開くなど・・。 罪は罪。 されど、ワシも親じゃ。 生きてあのバカのした事の尻拭いをせねば為らん」


親として、人として、覚悟を持ったガウの前に、アンディは何も言えなくなった。 普段はいい加減で世話焼きの暇人団長と思っていたのに・・。


船に戻ったガウは、船室などで寝ていた魔術師達を叩き起した。 そして、強引にン・バロソノへと引き返させたのである。


船に乗って尚、Kが無言でモンスターを相手にする様子に、リュリュも自然と合わせていた。 オリヴェッティやウォルターが魔法を遣おうが。 警戒に仲間が加わろうが、何一言も発しなかったK。


朝方までまだと云う真夜中に、ン・バロソノに戻り。 昼前に街に戻る為に出港するとして、宿に皆が戻った。


男達が部屋に戻ると、ビハインツが凄い鼾をして寝ていて。


Kが、


「ウルセェな」


と、言えば。


「・・煩いの」


と、クラウザーが彼を見る。


「モガ・・」


同じく煩いと思うリュリュが、ビハインツの鼻を摘んでしまった。


一方、同じ頃。


もう一人の留守番をしていたウォードは、意識が朦朧としていて歩ける状況ではない。 明けた昼前まで待っても、それは無理だ。


ニュノニースとメルリーフは、アンディの事を話せる状態では無いと休む事に。


・・・。


明けた次の日は、重々しい曇りだった。


眠そうに、陽が上がった頃から魔術師達が出港の準備をする。 朝になれば、船の甲板に転がるモンスターの死骸なども見え、彼らは随分と嫌そうな顔をしていた。


ガウは、早い頃合いからアンディを縛ったままにデッキへと連れ、逃げれない様に縛り付けて固定する。


出港ギリギリと為って、メルリーフとニュノニースに肩を担がれ乗り込ませられるウォードは、もう鎧も脱ぎ捨てたヨレヨレの状態で。 アンディの事を聞いて、泣きながら運ばれている。


「おぉぉ・・、アンディがぁ・アンディがぁ・・か。 誰か・誰か嘘と云ってくれぇぇぇ」


弱弱しい言葉ながら、そう泣き咽ぶウォードの姿は目に痛い。 後から乗り込むオリヴェッティ達だが、棒を杖にして乗り込むビハインツの方が随分と元気そうだった。


ノズルドの街に戻ると、直ぐにアンディは役人に引き渡された。


オリヴェッティは、仲間を連れて斡旋所に報告へ行く。 パンジャーとか云う主は、報告を受けて。


「ホォ~ホホホ、あのアンディがねぇ。 若造のクセに、随分とド豪い事をしたもんだ。 だが、死人が出たのは痛いねぇ~。 報酬は、半額しか出さないよ」


と、犠牲を盾に言ってくる。


オリヴェッティは、それも仕方ないと。


「構いません。 事実ですから」


だが、此処でKが口を開いた。


「マスター、アンタも精々首を洗って待っとけよ」


黒いフードを深く被った主の女性は、Kに向かって何事かと。


「ウヒヒヒヒ、アタシが何で首を洗って待つ必要が在るんだい?」


すると、ニタリと微笑んだKは、出口に向かい。 出口の扉を開いては、一足先に出ようとする手前で脇目を向いて。


「・・アンディから聞くに、アンタ……私服を肥やすのが上手いらしいね」


と、だけ残して出て行く。


Kが出て行った後、誰も何も言えない。


只、オリヴェッティは・・。


「主さん、報酬をお願いします」


と、淡々と言った。





                        ★




それから、二日後。


「では、書簡を頼む」


「解りました。 必ず、届けさせて頂きます」


冷め冷めしいノズルドの港での事。 中型客船に乗り込むオリヴェッティを、ガウが見送りに来ていた。 魔法学院行きの旅客船で、5日から7日も有れば到着するだろう。 書簡を手にするオリヴェッティは、ガウに誓いを立てて船に乗り込んだ。


昼前の曇り空の下で、風が強く寒く吹いている。


オリヴェッティ達の乗り込んだ船を見送るべく港に立ち尽くすガウの顔は、悲壮感に満ちていた。 アンディの一件で、ノズルドの街を統括する幹部がピリピリし出していて。 働かない役人達が、珍しく街を走り回っていた。 アンディは、今回以前にも幾つかの事件に関与していたと自供。 それは、街のゴロツキ相手だったり。 斡旋所の主が回した仕事だとか・・。


斡旋所の主とは、身体の半分がくっついたままで生まれた双子の魔法遣いリドル・リドリンで。 胸から上が二人で分かれているのだが。 その命を延命させる特殊な手段として、数日を入れ替わりで過ごすという生き方をしていた。


この姉妹、奇形の姿ながらその生活はもっと変わっていた。 姉のリドルは、穏やかで知的な性格をしていて、その人当りは悪くない。 只、身体が妹に強く取られている手前、3日起きたら、5日は寝ないといけないらしい。 代わって妹のリドリンは、狡猾で不気味な喋り方をする。 魔力も妹の方が強く、姉が眠っている間は彼女が仕切っている。 主として雇われたのは、姉なのだが。 最近は、もう妹が支配していたと言って良かった。


この秘密を知っていたアンディは、祖父の暴力から小さい頃に斡旋所へ逃げていた為に知っていたらしく。 姉のリドルからは、弟の様に思われ。 妹のリドリンからは、小間使いの様な存在だったと・・。

 

イシュラムとこの主が面識者だったのは、アンディだけではなくニュノニースや他の冒険者の証言も有って明らかだ。 この街にイシュラムが来ていたのには、女性と遊ぶ以外に錬金秘術に使う毒薬などを仕入れの為が有った。 錬金秘術は、魔法の言語で魔力をエネルギーに金属変化や物質融合を行うのだが。 このノズルドの街は、その監視が緩くイシュラムも薬を手に入れられ易かったらしい。 だが、その売り元が、この主なのである。


他の街に比べたら、この街の閉鎖感は格段。 今まで不審死でも、いい加減と云うか。 杜撰な体質から未捜査で自然死と片付けられてきたが。 ゲートが開かれそうになり、それをガウが中央に知らせると言ったから、それこそ鼻くそ穿って知らん振りしていた役人まで本気に成らなければ為らない事態に至った。


急に捜査だの、内部浄化を迫られた街の役人達で、それこそ手当たり次第に何でも遣ると言う様な慌て方だった。


だが、斡旋所の主にとって、この騒動は只事ではない。 Kは、この事を予見して、あのセリフを残したのかは不明だが。 確かに、主の姉妹を追い込む事に成って行く。


さて、船旅とまた為ってしまった一行だが。 その5日間の旅は、あまり会話が弾まなかった。


何より。 ビハインツは、一度治りかけた足の皮を剥される。 その治療に旅の僧侶の力を借りたが、流石のクラウザーでも見たくないと部屋を出た程。 毒にやられた皮を残すと、後で皮膚が動くだけで切れたりするのだと言うが。 麻酔らしい薬も無いので、短時間に一気にやるという事で。 剥されたビハインツは、途中で気を失い掛けていた。


また、ルヴィアとオリヴェッティは、ウォルターやクラウザーと金属板を見て調べるのだが。 裏表の表面を覆う白い銀色の金属は、白銀であると言う事ぐらいしか判らず。 この金属板に、何が隠されているのかが解らない。


リュリュは、


「魔法でいっぱぁぁっつっ!!!!」


と、怖い事しか言わず。


ルヴィアは、もうお手上げ。


明日には、交易都市マデューサザンに到着すると云う5日目の夕方には、オリヴェッティも参ってしまった。


船旅最後の食事時。 クラウザーが仲間一同を集め、テーブル一杯に持って来た食べ物を前にして。


「ま、とにかく食べよう」


と。 4日の航海の間、それぞれが二人や三人の塊でしかなく。 チームとしてはバラバラになっていた仲間で在ったが、今日はテーブル一つを占拠し。 それぞれに取り皿へと盛った食べ物を並べて、食事をする。


開放的な壁の無い吹き抜けの内部食堂の広間の中で、外から涼しげな風を感じつつ。 オリヴェッティは、Kに。


「あの・・、ケイさん」


と、声を掛ける。


ソーセージをフォークに刺したKは、


「貸せ。 石版」


と、手を差し出す。


食事が中断され、皆の視線が止まった。


石版を受け取るKは、


「この白銀で塗り固めるのは、古い隠蔽工作だ。 では、白銀は何に有効だ?」


と、皆に。


ウォルターは、それこそ当然だとばかりに。


「それは、不死や亡霊モンスターに加護が有りダメージが行くのだろう? あと、魔法を防ぐ効果が在るのは、当然だ」


「ソレだ」


Kは、ウォルターに此処で指を向けた。 そして、白銀の金属板を皆に見せて。


「魔法を防ぐのだから、魔法を掛けた物を包む事も出来る。 魔法が掛かっているのを誰にも知られたく無い時は、昔の人はこうした」


と、Kはその金属板の表面をダガーで削ぎ始めた。


「あ」


林檎の皮でも剥く様に、金属をスス~と剥くのが凄い。 剥かれた金属の薄い物を手にするクラウザーは、手触りに硬い金属の感触を得て。


(何と云う手練じゃ)


と、驚くばかり。


さて。 剥かれた金属の下には、青銅で出来た半分以下の石版が出て来る。 それを見たウォルターは、即座に。


「ミラージュの魔法が掛かっておるぞ」


オリヴェッティも、石版から魔法の波動を感じる。


(何度叩き割ろうを思いましたが・・。 やはり、意味が在ったのですね)


ま、落としたぐらいでは、白銀部分が壊れる事も無いのだ。 大胆な行動が必要だったのは、この様子からしても言うまでも無い。


食べながら見ていたリュリュは、少し剥れた顔に変わり。


「ホラぁ~、魔法でバァ~ンが正解じゃん」


すると、隣のルヴィアが目くじらを立て。


「そなたの魔法でやったら、粉々に為ってしまうだろうがぁっ!!」


「あ、えへへ」


照れるリュリュに、ルヴィアは更に目を鋭くさせ。


「褒めてないっ!!」


二人を無視するK。 デ・スペルの魔法は基本魔法なので、Kも唱える事が出来る。 その青銅の石版に掛けられた幻影の魔法を解けば、下からはまた文字が・・。



“悠久なる時、我々を生かしたる精霊の御霊  その幾重にも集まりし力の結晶は、母なる蒼の水底に


    眠りし力は、我等が作る箱庭に収まり その姿は、あらゆる者の眼を掻い潜る 


     我等が一族が滅ぶ時が訪れたる時も その秘密は永劫に眠るだろう 


  一族の者で、その力を欲するので在るなら 時の地図を辿るが良い 新たな地 高みの地 興りし地


  新たな地の場所解れば 高みの地が解ろう 高みの地の場所が解れば 興りし地の場所が解ろう”




音読した後、再度内容を見ていたKは、次に石版を眺めながら側面や裏も見て。


「複雑に隠してるみたいだな。 こりゃ~うっとおしい」


そして、Kから石版を受け取るオリヴェッティは、リュリュとルヴィアに鋏まれながら古代文字を読む。


一方、クラウザーは、


「おい、カラス。 その“新たなる地”って、新しく手に入れた土地か?」


と。 海旅族に関わる資料は、僅かに残る石碑などだが。 これでもそうゆうものは、すべて見回っていたクラウザーだ。 何となく、言わんとする意味は解る気がする。


「んだ。 恐らく、無法地帯の真ん中に在る地下遺跡の事なんじゃ~ないかって思う」


「お前、あの地域にも行ってたのか」


フォークを手にしたKで。


「エグゼンドには、何度も。 ま、国境付近は、それこそ悪党やならず者や国を追われた変わり者など、人が集まって街を作ってる箇所が在るからな。 確かに無法地帯だ。 だが、その奥は物騒でもない。 亜種人が地下都市を気付いていたり、ダークエルフの里が在ったり。 それこそ海側に出っ張った半島の先端は、交易が盛んな都市自治国家が3つも在る。 あの辺は、クラウザーでも行った事が在るだろう?」


ウォルターは、実に興味深いと。


「クラウザー殿、本当かな?」


ワインを手にするクラウザーは、少し顔行きを曇らせながら。


「あ、はい。 エグゼンドの地は、西側に突き出た半島が開かれておりまして。 魔法自治領と国境付近には、海産物が豊富に取引される街のエルド・ラドンが。 半島の一番突き出た先端部分には、交易と鉱物資源や宝石の取引で国益を上げる街ナナ・スリナリン。 水の国との国境で在る南に下った処では、陸路交易と海路交易が交わる基点となっている街のソノホル・ボロンが在りまして。 この三つの地域は、互いに約束事を交わして不可侵の身を貫いてます」


「ほぉ・・。 では、荒くれ者の街と言われるのは、内側の国境を指す訳ですか」


「はぁ。 ですが、その三つの街に立ち寄ると、まぁまぁの停泊税を徴収されましてな。 我々の間では、用も無いのに行く場所では無いと言われております」


「そんなに法外な?」


「えぇ。 三つに停泊したら、世界を回って行商した儲けが半分に為るといわれます。 一回に取られる税が、30000シフォンだのとは、懐が痛い」


「ほほぉ・・、それはそれは」


「ですが、水の国から下に行くには、海賊が納めるパイレーツ・シャルムラルと云う諸島を迂回しなければいけません。 ですから、どうしてもその3拠点の何処かで補給を余儀なくされてしまうのですよ」


「おぉ、あの有名な海賊達が支配する諸島ですな」


「はい」


石版の中に秘められし謎が、また一つ明らかになった。 Kは、何故にすんなり謎解きをしたのかは解らないが。 これから、旅はまだまだ続く。

どうも、騎龍です^^


掲載が遅れましてすみません。 今回で魔法学院に到着させようと思いましたが。 内容が何時もの3倍になり。 面倒なので、後回しにしました。


次回は。3月13日に更新し。 その後、また予定を立てて行きます。


尚、不定期ですが、モバのエブリスタにおける過去作の掲載は、1・2回有ると思いますので。


それでは、私事ですが色々と忙しいので、10日と少し暇を空けます。


ご愛読、有難うございます^人^

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