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エターナル・ワールド・ストーリー  作者: 蒼雲騎龍
K編
154/222

K特別編 秘宝伝説を追って 第二部 ⑤

         K長編・秘宝伝説を追い求めて~オリヴェッティの奉げる詩~第二幕



                ≪そして、島々を巡る日々≫





ガウ船長が空けた一日は、休息にもってこいだった。


石で出来た立派な砦と、数隻の船を停泊させられる夜営拠点ン・バロソノ。 島の名前がそのままなのだが。 宿屋が二つに、飲食を行える大きく平屋の店が一つしかない所だ。 島民は、20人。 島で店を営む3家族のみである。


部屋の広い宿に泊まったオリヴェッティ達だが、二人部屋と、三人部屋の組み合わせで在る。


一夜が開け、昼頃まで寝ていたオリヴェッティは、目覚めと共にリュリュに抱き付かれた。


「オリヴェッティおね~さ~んが、起きたっ。 起きたぁ~」


急に抱き付かれて何事かと思うオリヴェッティだが。 見回す部屋の其処には、ルヴィアやビハインツにニュノニースなども居る。 簡素な煉瓦作りの部屋で、暖炉に火が見え。 外の冷め冷めしい空気、此処にはは無い。


ベットの上に座ったオリヴェッティは、


「まぁ、皆さん」


と、声を出せば。 何か温かい飲み物を持って椅子に座って飲んでいるメルリーフが、オリヴェッティにカップを持ち上げて挨拶を遣すのが奥に在った。


「目が覚めたか。 良かった」


ベットの脇に座ったルヴィアが、安堵の顔を浮かべてオリヴェッティを見て言う。 昨夜から、全く起きないオリヴェッティを心配していたのは事実である。


ベットに寝た記憶が無いので、昨日の夕方の事を思い出すオリヴェッティ。 島で、地割れの魔法を遣った事を思い出せば・・。


「あ・・私、あんな高度な魔法を・・・」


と、自分で自分に困った様子を窺わせた。 そして、一つ大きな溜め息をつき。


「はぁ~。 思いつきであれでは、まだまだケイさんに認めて貰えるリーダーでは在りませんわね」


と、心情を吐露する。


ルヴィアは、少し顔を曇らせ。


「無理をするな。 直ぐにそんな強くは成れぬ」


だが、顔を左右に振ったオリヴェッティだ。


ルヴィアの言う事がもっともだと思うビハインツ。 だから、オリヴェッティが何を考えているのかが知りたく。


「? 何が違うんだ?」


俯いたままのオリヴェッティは、じゃれ付いて来るリュリュを見ながら言った。


「ケイさんは、御自分のすべきことを全て解っています。 その上で、我々にそれ以外の事を任せてくれてます。 斡旋所でどう仕事を請け、その請け方の事は此方に任せて下さいました。 私達は、最低限・・出来る事はしかっりしなければいけません。 ケイさんと旅をするなら、いずれはケイさんの実力が嫌でもチームの力に加味されてしまいます。 そう成らない内に、覚悟を持って全てに望んで行けるチームに成らなくては・・・」


ルヴィアとビハインツは、返す言葉が見当たらなく黙る。 そんな直ぐに強くなれるとは思えない。 大体、メルリーフも言ったが、“覚悟”とはなんなのだろうと思う。


リュリュを撫でるオリヴェッティは、あの夕方の戦いを思い出しながら。


「あんな魔法を遣わなくても、倒せるモンスターでした。 ビハインツさんが襲われた事で、相当に焦って慌ててしまいましたわ」


と、感想を云った後に。


「・・あ、処で。 誰か御怪我をされた方は居ませんでしたか?」


近くの暖炉前に座るニュノニースが。


「私達の知り合いで、一緒に来てたボルグが軽く。 怪我は僧侶の方に治して貰ったけど・・包帯を巻いたあの人には嫌悪し出してます。 何で、あの時は助けなかったのか~って」


「・・そうですか。 でも、仕方ありませんわ。 全て助けられたら、居無い時が困ります。 初日の午前中の様に、ケイさんやリュリュ君が強いモンスターに向かう事態に成ったら。 何らかの理由で離れる必要が出来たら、我々だけで対処をしなければなりません」


これには、メルリーフが頷き。


「そうだ。 想定出来ない場合も、色々出て来ると思う」


オリヴェッティは、更に思い当たる処が在る。


「それに、私はケイさんが昨日、私達チームにあのモンスターを任せたのが解ります。 一番危険な場合を想定すると、我々チームだけで戦わなければいけない時も在りましょうから・・」


ビハインツは、眉間にシワを寄せて。


「どうゆう事だ?」


と、ルヴィアとも見合う。


ビハインツとルヴィアを見るオリヴェッティは、言って置かなければ成らない事かも知れないと思うので。


「いいですか、御二人とも。 私達は、自分達の事情から協力の形です。 ハンターの方や、薬師の方に直接雇われたアンディさん達とは、少し違う契約です。 もし、島の方々が望んだら、我々は島の冒険者の方々とは別行動。 若しくは、協力を得られない場合も出て来るんです。 その時は、ケイさんやリュリュ君が傍に居るとは限りません。 斡旋所の主さんに我儘を言うと云う事は、その辺の責任も自分達で追う必要が出て来るんです」


「あ・・、そうか。 なるほど・・、あぁ・・なるほどなぁ」


ビハインツは、漸くその意味を理解し始めた。


メルリーフは、カップの中身に目を落としながら、指をテーブルの上に乗せてトントンとリズムを持って叩き。


「気ぃ~つけなよ。 地元のハンター等は、隙や弱みを直ぐ握ろうとするし。 それこそ、使えないと判断したら、即行で掌を返す。 モンスターを前にして危ないと感じたら、アンタ等を見捨ててでもアタシ達に護衛を強要して、逃げ出す事だって平気なんだ。 正直、昨日のアンタ達は不味かった。 砂浜では活躍して見せたけど、磯では失態と云っても良かった」


ビハインツは、あのモンスターは然程に弱くないと思っただけに。


「印象として、そんなに弱いモンスターでも無かったがな・・」


カップに口を付けたメルリーフは、オリヴェッティの分の紅茶を作るニュノニースを見てから。


「ハンターにモンスターの強さなんて解る訳が無い。 問題は、使えるのか、腕の達つか・・、それだけだよ」


モンスターに押し倒されたビハインツは、非常に顔を渋いものに変えた。


「・・・そうか」


「何より、アンタ達も、ウチの方も包帯男ケイに期待してた匂いが在った。 アレが頗る悪い。 アンタ達の中で、包帯男とその若いコが居ればイイと思われたら最悪だよ? 少し梃子摺るのは仕方ないにしても、“倒せ”と云われて先制しなかったり、危ないからとケイを見ちゃダメだ。 本当に危ないなら、もうケイが倒してる。 任せられている間は、ケイやその若いコを視野に入れないで向かわないと」


ニュノニースは、甘い紅茶に焼いたパンを添えて。


「はい。 昨日から寝っ放しでしょ?」


と、オリヴェッティに出す。


「あぁ、有難う。 チョット、お手洗いに行ってきます」


すると・・。


「じゃ、私が案内するわ」


と、オリヴェッティの寝ていたベット脇の台の上に、ニュノニースは紅茶とパンを乗せたトレイを置きながら云った。


「あ、僕もいく~」


と、リュリュも手を上げる。


「リュリュ君、ちゃ~んと男の子の方に入るのよ?」


「解ってるよぉ」


オリヴェッティは、リュリュと姉弟の様な様子を見せながら、手編みの毛糸で出来た上着を羽織って廊下に出て行く。


残された3人は、昨日の今日で気まずい。 特に、ビハインツとルヴィアの方が、だ。


だが、生真面目なルヴィアは、心に湧く思いにまかせ。


「だがしかし、ケイもチームの一員だぞ。 あの目の前、傍に居る状況で頼るのが悪いのか?」


すると、メルリーフは冷めた表情に成りながら。


「アンタ等は、それでいいかも知れない。 だが、見ている方は違う。 全力で魔法を撃ったオリヴェッティや、あの老人。 後ろから斬り込んだ老人にしても、戦う事に専念して、戦い抜く覚悟が見えた。 それに比べてアンタ等二人は、襲われた様に見えたよ。 出て来ても武器を構えて戦う様子が見えず、襲われて窮地に陥るし。 立ち上がったとしても、仲間を救う為に向かうよりケイを見た。 あんなの見せられたら、何はともあれアンタ等二人は要らない。 使えないって思う」


「・・・」


「・・・」


ルヴィアも、ビハインツも、こう云われては返す言葉が出ない。


紅茶を飲みきるメルリーフは、カップをテーブルに置くと。


「今回のこの調査船の運航は、船に乗る全員を守れる冒険者チームが居たと云う事が大前提に在る。 それを盾に船を出させたのは、その大前提と成ったお前達だぞ。 あんな覚悟の無い戦い様を見せてどうする? ひょっとして、お前達二人は遊びで来たのか?」


メルリーフがこう云った時、ビハインツも、ルヴィアも。


“悪かった”


と、思った。


メルリーフは、リュリュの笑い声が聞こえてきたので。


「お前達のリーダーも、あのケイも、お前達には勿体無い」


と、だけ云うと。


ドアを開けて入って来たニュノニースを見るなり。


「ニース、腹が減ったよ。 何か食べに出ないか? 外の店で、肉の塊を売ってたな」


と、声掛ける。


すると、肉に反応するリュリュが。


「え゛っ、オニクの塊ぃ~? 僕も欲しいっ」


と、当たり前の様に言い出した。


そして、せがまれるオリヴェッティである。 何処かお姉さんらしく。


「リュリュ君、買うのはいいけれど、一杯買ってあげれないわよ。 二つぐらいでいい?」


「うんっ。 いいよぉ~」


そう答えるリュリュに笑顔を返すオリヴェッティは、リュリュがあの時に加勢しない事にも全く不満はなさそうな様子。


見ているルヴィアとビハインツは、考える時間が欲しくて部屋に篭ると云った。




それから・・。 1日空けた、調査3日目。




午前中。 あのキュラウブロールフと戦った島に再上陸する。 ハンターの手下の一部は、もう行かなくて良いと陰口をたたく者も出たが。 その採取は、島の隅々まで行くものだ。 寒い地域なのに、丈の高い木々や草花が森を作り。 密林に近い状態を生み出している。 


元気を取り戻したオリヴェッティは、アンディを道案内として、森の中に分け入った。


所々の場所で採取を行うが、モンスターとの遭遇は少なかった。 前の上陸で、大分に駆逐した所為だろうが・・・。


島を一通り巡った後、昼を過ぎて引き上げる事にした直後だ。 大木の根元に、ポッカリと大きな自然洞が在ったのだが。 そこから、“ロロブー”と云う大型の牛に似た生き物が現れた。 相手は縄張りに入られたので、此方を追い出そうと云うのだろう。 結局、その群れと戦う事に成る。


この時、ハンターは云った。


「アンディ!!!! お前達は、俺達が雇った冒険者だろう?! そっちに加担しなくていいからっ、俺達を守れっ!!!」


戦う事をオリヴェッティが決断してから、ハンター達は急に言い出した。 一緒に戦う気だったメルリーフやニュノニースは、その命令に文句を言うのだが・・。


「仕方ないな。 島で加わった冒険者は、下がって貰う」


と、ガウ団長は冷静に判断を下した。


前の戦いで、ガウ団長もハンターも思った。 強いのは、Kとリュリュだけではないか。 この一緒にくっ付いてる冒険者は、自分達を守る上で力不足ではないか・・と。 もしそうなら、アンディ達を一緒にさせて怪我されては、この先逃げるに困る。 オリヴェッティ達が死んでも、強い冒険者だけが生き残ればいい。 そう、オリヴェッティ達への配慮は、約束した調査協力であり。 彼等の心配では無い。 


真っ先にロロブーと渡り合おうとしたビハインツやルヴィアは、その言葉に驚く。 昨日に想定した最悪のケースが、もう此処で出るのかと。


だが、オリヴェッティは全く動じず。


「皆さん、倒しますよ」


と、戦う覚悟を再度示した。


リュリュをまた抑え、脇で見物するKは・・。


「オリヴェッティ、俺達はどうする?」


と、敢てオリヴェッティに問う。


オリヴェッティは、相手が7匹以上であるが。 戦う気合いを見せたのは、ビハインツに向かったロロブーと、ルヴィアやクラウザーと体面する2頭だと判断。


「いえ、いきり立つ2頭を倒して、判断します」


こうKに返した。


それを聞くKは、口元に笑みを出し。


「なら、任せる」


と。


「はいっ」


返事を返したオリヴェッティは、旋風を巻き起こす魔法を遣うとしながら。


「3人で、一方を直ぐにっ」


と、命令を仲間に出した。


この戦いは、実に短かった。 旋風に巻き込まれたロロブーは、ひっくり返され立派な角を折られる事に成り。 クラウザー、ビハインツ、ルヴィアの3人に斬られたロロブーは、大怪我をして逃げ出す。 相次いで二匹が逃げ出せば、自然洞の入り口に出て来たロロブー達は戦わずして引き下がる。


更に。


島に採取で分け入った事で、モンスターが人を捜して動いていた。 ムササビのモンスター数匹に、森に潜むワームのモンスターが連戦と云う形で襲ってくる。


「うわぁぁぁっ!!! こっちにも現れたぁぁーーーーーっ!!!!」


ハンター達の背後から来たので、一部でパニックが起きそうだったが。


「アンディさん達は、そのまま皆さんを守って左にっ」


オリヴェッティは、Kとリュリュの居る方に一般人を退けさせ。 そのまま取って返す太刀筋の如く戦うとして。


「ウォルター様、私と一緒に木々を飛び回るモンスターを。 武器を手にした皆さんは、地中から這い出るワームを倒して下さいっ」


と、直ぐに出来うる決断をした。


ウォルターは、オリヴェッティがワームの這い出る場所を予測し、教えながら魔法を放つので。 彼女にムササビのモンスターを倒す事より、教える方を優先させる様な魔法の遣い方をした。 多くの剣を生み出し、一つ一つを狙い済まして撃ち込んでゆく。


地中から出て来るワームを相手にするのは、ルヴィアやビハインツも初めての事。 しかし、オリヴェッティが這い出る場所を感知してくれた為に、慌てて戦う様は見せなかった。


その様子をしっかりと見ていたKは、一度だけダガーを投げたのだが。


「ま、これだけ変われば、上出来だ」


と、戦いが終わった直後に云った。


また、同じく見ていたハンターやガウ団長も、確かにオリヴェッティ達には実力が在るんだと見た。


その存在を常に示して行くのは、リーダーを含めたチーム全員の役目だ。 実力や気構えを見せる事は、冒険者に求められる本質の一つなのだ。 Kとリュリュが必要なのは、もはや論ずるに在らず。 だが、他はどうか。 アンディに然り、メルリーフやニュノニースも、街では出来る方だ。 ボルグも、ウォードも、腕を買われて雇われた。 では、持ちかけたオリヴェッティ達は? ・・、その答えを、覚悟と行動で示す。 これが、冒険者の真の姿である。


さて。 モンスターにその後は襲われる事も無く、船に戻った一同。 太陽紋の中心の島に向かうため、第二の島を昼過ぎに離れた。


メルリーフやニュノニースは、オリヴェッティに済まないと云ったが。 ウォードやボルグは言わない。 雇われた形が違うのだから、あの形は想定内の出来事なのだろう。 特にボルグは、一人だけ怪我をして動けなくなったのが恥ずかしかったらしい。 島で一番の腕っ節だった彼が、最初に立てなく成ったのは、戦わなかったKの所為だと思っていた。


船の中で、Kと擦れ違うボルグが。


「おれ・・もうお前達を助けない」


と、云った。


すると、それを聞いたKは不敵な笑みを浮かべ。


「そうかい。 なら、精々頑張れ。 俺も、お前が食われても助けない。 俺達の守るべきは、船と乗客のみだ。 契約では、乗る調査団と採取する住民までと云う事で、その雇われたお前達までは含まれてない。 オリヴェッティが助けろと云ったら助けるが、それが無いなら見捨てる。 正直、俺は悪魔って良く言われる。 口先だけなんて思うなよ」


と、手を振って甲板に向かうK。 マネをして、思いっきり手を振りながら後を行くリュリュ。


そんな姿を見送ったボルグからするなら、脅しとカマを掛ける意味でもっと注目と云うか配慮を引き出すつもりだったが。 全く気にされず、逆に見捨てられた感じを見る様で。


「う・・バカにしてる」


と、思わざる得ない。 アンディは、K無しでは絶対にこの調査は成功しないと心酔してるし、ボルグが何処かしっかりしてないと怒るメルリーフ。 恥を掻かされたと思うボルグにしてみると、Kの態度は困りものであった。


さて。


サニー・オクボー諸島の中心の島は、小高い丘と草原しか無い島だった。


夕方に差し掛かり始めた頃合い。 船着場から島に渡り、島を巡り歩く事にしたオリヴェッティ達。


「はぁ・・、此処が曽祖父の目指したかった場所なのね」


海鳥が歩いている草原の光景を目の当たりにしながら、秘宝を追い求めた数々の先祖・・そして曽祖父以後。 祖父・・父と見てきたオリヴェッティには、来れただけでも感動的である。 何度も船着場から歩き出しながら、周囲を見回した。


一番先を行くK。 そして、彼の左右を行くは、老人二人で。


先ず、クラウザーが。


「あの丘の上の先が、確か湖だったな」


と、指を指した。


小高い丘を見るKは、


「あの湖の右回り。 東南東ら辺に窪んだ遺跡跡が在る」


ウォルターは、何度かこの地を訪れているので。


「はて・・、窪地のぉ」


見物にと、一緒に降りて来たガウ団長は、オリヴェッティにこの地に来たいという気持ちをまた詳しく聞こうとしていた。


一番最後で降りて来たアンディ、ニュノニース、メルリーフは、ガウ団長が何を気にしているのかと呆れながら。


ニュノニースが、アンディへ。


「ねぇ、アンデル。 結局、あの人たちって、何しに来たのかしらね」


「さぁ。 案外、お宝探しかもよ」


「え? アンデルの御爺さんみたいに?」


メルリーフは、もう化石の様な噂話だと思い。


「そんなヨタ話を信じて来たとは思えないがな」


さて、一同が丘の上に辿り着けば・・・。


「うわぁ~~~~」


辺りを見て感嘆とするリュリュの気持ちが解る。 丘から島を見れば、斜めに下る斜面の先には、透明度の高い蒼の色をした湖が在った。 “目の島”と云う意味が、その湖が碧眼の様で。 何となく解る気がする。


更に、海を見れば。 遠近見渡す限り、隣の島が何処に立っても見える。 もう夕方の近付いた頃合いで、少し雲も出て来たが。 雲から色づく陽の光が降り注いでいたりして、何とも心洗われる想いのする場所だ。


Kを先頭に、右回りで湖を見下ろしながら丘の上を行く。


オリヴェッティは、Kの横について。


「ケイさん、遺跡は在ったんですか?」


すると、ガウ団長が大笑いをし始めた。


「うははははは、何を言うんだ。 遺跡ぃ~? そんなもの、此処には無い。 サニー・オクボー諸島の何処を捜しても、遺跡など在りはしないさ。 あはははははは」


しかし、一番後ろを着いて来たアンディは、半目の疑い深い顔をして見せて。


「そんなの、調べてみないと解らないじゃないかっ。 自治政府は、無いって頭ごなしに決めて来たけど。 一度だって真っ当に調査出来た試しが無い」


ガウ団長は、アンディを見返し。


「お前ぇっ、わし等をバカにするのかっ?!」


と、怒るのだが。


しれぇ~っとしたアンディは、更に付け加え。


「ホントの事じゃんか。 モンスターが怖い~、大雨・大嵐が怖いぃ~。 ロクに調査せずに帰って来て、良く運営費用がカクトノーズから出るよね? 先々月なんか、旅の踊り子の綺麗所集めて、舞踊会だなんて開いちゃってさぁ~」


「ブッ・バァッカもんっ!! あれはっ、異国の文化を知る知識人の嗜みじゃいっ!!!」


ニュノニースは、その丹精な顔立ちを歪め。


「男って、だから嫌い」


と、零す。


すると、Kが。


「仕方ないだろう? 男が貪欲に女を欲さなくなったら、子孫が繁栄しない。 それに男なんてな、大抵偉そうな奴ほど女好きさ」


その話を受けて、殆どの視線がガウ団長に向いたのは当然か。


リュリュなど、思いっきりガウ団長に指を向けて。


「えらそーえらそー、キャッキャ」


と、大喜び。


メルリーフは、その無邪気でズケズケした様子に失笑し。


「フッ・・フフ・・・フフフ・・」


と、肩を揺らす。


アンディに至っては、横を向いて腹を抱える始末。


ガウ団長は、顔を真っ赤にして。


「ウルサイっ!!!!」


と、リュリュに怒鳴った。


湖を左眼に出来る様にしてから、楕円を描く湖と平行に少し歩いた。 船着場から見て、島右側の奥の隅に遣ってきた。


「此処か?」


と、クラウザーは辺りを見回すが・・。 周りは足元ぐらいに生える草と、岩がむき出しになっている草原ばかりで。 地形は、凸凹した斜面が海側と湖側に下っているだけ。 


ガウ団長は、そんな風景美しかない場所にて、夕日を望んでは片足を岩に置き。


「遺跡など、此処には無い。 在るのは、この絶景のみだ」


と、夕日を拝む。


だが。


「ふむ・・、じゃが変だ。 この辺り、妙な感じがする」


と、カバンに乗らずに浮かせたままのウォルターは、石が肌をだしている場所を見回して云った。


同じく、リュリュと手を繋いで来たオリヴェッティは、目を大きくして。


「まぁ・・、どうしてでしょうか」


と。


ルヴィアやメルリーフも近寄って来て、


「どうした?」


「何か?」


その場に屈むオリヴェッティは、埋まって石の肌だけが露出する場所を触りながら。


「変ですわ。 此処だけ、真下から大地のオーラが弱まって感じられますの。 え? この下は、空洞?」


オリヴェッティの周りに、皆が集まり出す。


動かないのは、Kだけ。


此処で、何がどうだ。 あ~でもない、こ~でもないと云う話が交わされる。


埒が明かないという処で、クラウザーが。


「おい、カラス。 そろそろ謎解きをしろよ」


すると、湖側と海側に下る斜面の頂上に当る場所で、しゃがんでいたKは云う。


「見ろ、周りを。 此処だけ不自然に丘が盛り上がって、標高が少し高い。 そして・・、オリヴェッティの云う通り。 その下は空洞だ。 其処が、海旅族の遺跡跡・・。 いや、遺跡の入り口だった場所なんだよ」


その言葉を受け。


「まぁっ」


と、口に手を当てて驚くオリヴェッティ。


一方で、ガウ団長は血相を変えた感じで怒り。


「貴様っ、その様な嘘を言うなぁっ!!」


徐むろな動きで立ち上がるKは、皆の方に斜面を下りながら。


「海旅族は、自然崇拝の民だったが。 特に、海・太陽・月、そして大地を信仰の基準にしていた。 太陽の神殿は、高く・・高みに。 月の神殿は、月を拝むに一番良い軌道上で、一年で一番朝が長い月と短い月に合わせた場所。 だが、何故か海と大地の神殿は、一緒に・・。 しかも、地下に築いた。 その答えは、海の水が地下に入り込む岸壁洞窟の在る場所さ」


と、皆の前に来る。


ウォルターは、古い知識を頭の奥底から思い出させながら。


「一説に因ると、確か水と大地の神が夫婦と云う信仰形態は、古い古い民が行っていたと云うな」


頷いたKは、皆を左右に引かせる。


「大体、この石を見てみろ。 これは切り出された石で、天然の石がこんなに綺麗に岩肌を真っ直ぐに並べたかの様に見せる訳が無い」


と、短剣の一番長いものを抜き出し、その剥き出した石の上に立った。


(どうするのだろう)


と、メルリーフがニュノニースに聞けば。


(さぁ、まさか剣で穴を掘る訳じゃないでしょうけど・・・)


と、二人が小声の会話を交わす時。


「あ・・」


一同の中から、小さな驚きが上がる。 Kが短剣の切っ先を、いとも容易く石に刺したからだ。 石に剣を刺すなど、よほどの力と勢いが必要なのだが・・。 まるで、紙切れに刃物を通す様に、緩慢にして無駄なくしてのける。


そして。


「さぁ、道を開こう」


喋ったKは、差し込んだ剣を緩やかに捻る。


すると・・・。


「わっ!!!」


「きゃっ!!!」


「うぉぉぉぉぉーーーーっ!!!!!!」


いきなりの事で、皆の中で声が上がるのも無理は無い。 Kが剣を捻れば、其処から石が地中へと沈む様に消えてゆくではないか。 Kは、自分の足元の石が落ちる前に、直前で前に歩いて行く。 そして、剣を持ったままにKが斜面を湖側に登ると同時に、消えた石の周囲から土が草を伴って落ち込んで行く。


ードサァ!!!!ー


人一人が寝転ぶぐらいの範囲が空洞と化した直後。 Kが振り返るに合わせる様に、一定の土が落下した。


「・・・」


無言で落ち込みが収まった場所に向かう者在らば。


「あ・・な?」


「の・・様だ」


と、言葉を交わして近付く者も在り。


そう。 荷馬車一つが丸々落ちそうな穴が、其処に現れた。


周りから皆が覗き込もうとする中で、ガウ団長はKを凝らした目で見つめる。


「おま・・お前、まさかっ」


口元にニヤリとした笑みを浮かべるKは、そんなガウ団長を見返して。


「宝も、神殿も、誰の物でもない。 漠然と解ってる曖昧を隠して、今更どぉ~するよ」


「だがっ!!」


いきなり、口論が始まりそうな展開で。


ウォルターは、片目を凝らし、片目を大きくすると。


「やはり、あの噂は本当か・・」


横に居たオリヴェッティは、風が吹き上げてくる穴を前にして。


「ウォルター様。 “あの噂”とは、何です?」


洒落る為だけに持つステッキを持ち上げ、オリヴェッティに持ち手を向けるウォルターで。


「大昔から、様々な秘宝や伝説が囁かれた。 じゃが、魔法学院はその秘密を暴かれない様に、自身の納める地域にはサーベランサー。 即ち、監視を置いたと。 誰も近寄せず、モンスターを敢て排除せずに置いたと・・な」


オリヴェッティは、ガウ団長を見る。


ガウ団長は、Kを見据え。 その右手の指を穴に差し向け。


「これが・・目的か?」


するとKは、悪魔の笑みを絶やさずに。


「さぁ。 何がどう繋がるか、それが何を呼び覚ますのか・・・。 自由でいいじゃないか。 お前達に、国の都合を持ち出されて封印される謎もバカらしい。 どうせ、何時かはバレる事さ」


と、穴に向かう。


「おいっ、どうする気なんだっ?」


と、うろたえるガウ団長を他所に。 Kは、リュリュの背中を軽く叩き。


「行くぞ、エロガキ」


「うぅ~ん、僕は“エロガキ”じゃなぁ~い」


と、リュリュが云った次の瞬間。


「あ゛っ!!!!!」


穴を覗き込んでいた数名が、また驚きの声を上げた。 Kとリュリュが、何の躊躇も無く穴に飛び込んだのだ。


「ヤッホォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」


リュリュのはしゃぐ声が、洞窟内で異様に木霊する。


だが、それから程なくして。


「おいっ、団長を落せ。 大して深くない」


と、Kの声がする。


皆は、驚きのままに口を空けたガウ団長を見る。


クラウザーが。


「どうしてだ?」


と、問えば。


「俺達だけ降りて、船を出されちゃ面倒だ。 大体、テメェで封印した物が何かも知らんバカには、冒険はいいシゲキさ」


メルリーフ、ルヴィア、アンディが声を揃え。


「あ~あ、なるほど」


と、云った直後。 アンディやメルリーフは、ニヤニヤしながらガウ団長に近付いた。


そして・・。


「おいっ、コラぁぁっ!!! やめ・や・・やめんかぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


ガウ団長が落とされる。 悲鳴を上げて落ちたガウ団長だが、さして落ちた様子も無く。


「あ~~~あ、あ~~~あ、ああ?」


と。


何が起こってるのかと思う皆に、Kの声で。


「リュリュが魔法で風のクッションを作ってる。 落ちても死にゃしないさ」


Kは、光の小石に込められた魔法を発動させ、横の地面に転がったガウ団長を見る。


「オッサンどうせだ、このまま付き合えよ。 街に帰る前に、冒険者の楽しみを分けてやる」


少し長い髪を土だらけにしたガウ団長は、立ち上がってKを睨み。


「お前ぇぇっ!!」


と、怒るのだが。


「わっひょ~~い」


と、落ちてきたアンディに突き飛ばされ、前の土壁にまたぶつかる。


「おぶっ」


・・。


全員が降りた処で、Kは言う。


「この先は、人工の遺跡だ。 大声を出すと、共鳴で罠が発動するかも知れん。 死ぬ時は、一人で死ねよ」


と。


ウォルターも、指輪に光の魔法を宿す。 ガウ団長も、自分の事は自分ですると杖に魔法の光を宿した。


落ちた洞穴の一方には、洞窟が続いていた。 踏み込めば其処は、綺麗なアーチを描く天井をした通路の様な物で。 明らかに人為的な掘削と施しが入っている。


蜘蛛の巣を破りながら、埃の体積したその通路を、幾らか歩いた。


Kの直ぐ後ろに着いたガウ団長は、


「おいっ、夜に成れば・・」


と、心配を口にすると。


「もう目の前だ。 此処の先が、海旅族の海と大地の神殿さ」


Kがそう言うと・・。 遠くから何かゴウゴウと云う音が聞こえて来る。


「なんか・・ワクワクしてきたよ。 ニース、アンタは?」


メルリーフに問われるニュノニースは、鎧の上から胸を押えて。


「私なんか、落ちる前からドキドキしてます」


そうこうする内に、急に開けた場所に出て。 更に、仄かに視界も良好と成る。 ゴウゴウとする音は更に大きく聴こえ、水の湿り気を空気に感じた一同。


「な・・なんじゃぁ? 此処は、一体」


クラウザーがKの脇にまで足早に出て、前面より先に途方も無く広がっていそうな空間を見渡すにそう言う。


一方で、ウォルターやガウ団長が、直ぐ傍の岸壁を辿る様な視線で見上げると・・。 青白い、仄紅い、薄黄色、淡い緑・・。 そんな色合いに光る花が、周囲の断崖に小さく咲いているし。 他には、岩から生えたキノコが、薄く金色に点滅して光っていたり。 真っ赤な花が、岩場で逆さに大きく、長く咲いているのも見えた。


ビハインツの目の前では、青白い光で出来た虫が、つがいで飛んでいたり。 メルリーフの三つ編みにされた髪に銀色のトンボが止まり掛け、アンディの動きで断崖の方に飛んでゆく。


此処は、そんな不思議な光景を見上げるままに見渡せる。 地下空洞の中に作られた広間だった。


ゴウゴウと云う音を見に行くオリヴェッティは、広間の行き止まりまで行って見る。 すると、広間の下には・・・。 


「まぁ・・、こんな事が在るんでしょうか?」


其処は、海から引き込まれた海水が、奈落の様な穴の断崖へと落ちる光景が見下ろせる。


Kは、巨大な切り出した岩を、同じく突き出た大岩の上に置いて並べられた石橋の方に歩きながら。


「全く、スゲェ~よなぁ。 こんな場所に、神聖な神殿を築くなんてよぉ。 今じゃもう採り尽されたって言われる“明かり霞草”が岩場に残るし。 他の花や虫だって、もう地上では見られない。 此処自体が、在るがままに天然の博物館さ。 精霊の力が集まり、此処で強く強く蟠ってらぁ」


ガウ団長は、再度見上げる断崖の所々に、少しずつ咲いている光る花を見て。


「あれが・・伝説の花かっ?! バカなっ、貴族が求め乱獲され・・もう消え失せたとされる絶滅草なのだと・・。 いや、この目に映るアレは・・正しく」


と、混乱してしまう。


自然のエネルギーが溢れる場所なだけに、Kの横ではリュリュが鼻歌を歌って踊りながら歩く。


Kは、喜ぶリュリュを見てから。


「おう。 どうだ、守ってるものが見えると、尚更に真面目に成れるだろう?」


離れてゆくKの声を聞いたガウ団長は、生唾を飲んで無言と成った。 大したものはもう無いと思っていた感覚が崩壊して、この目の前に在るものに心が奪われてしまいそうな感覚に陥る。 生じ歴史的な知識が在っただけに、この受ける衝撃は普通じゃない。


(まさか・・、この先にもまだ何か在るのだろうか・・)


フラフラとKの行く先を見たガウ団長は、石橋を歩き始めた。


その前を行くのは、Kが行く後を遅れて追う老人二人。 ウォルターはカバンに乗る事も無く、クラウザーと並んで歩き見る。 その顔は、何時も以上に神妙な面持ちで。


「はぁ・・、この様な場所が・・・。 嗚呼、私ですら・・此処は恐れ多い」


と、ウォルターが呟けば。


クラウザーも、同じく頷いて。


「古代の民とは、自然の美を在りのままにして残せるのですな。 今の我々では、こんな場所を残せない。 感服だ・・、ただただ・・感服だ・・」


この場を作った先人達に、敬意を思うばかりだと。


一方で。 まだ広間に残る者も居て。


出た広間から近い場所に咲く花を見るニュノニースは、この場に溢れる精霊力に喜び。


「凄い・・なんて・・なんて神々しい場所・・。 自然の純度が高すぎて、涙が・・でちゃうわ」


と、目頭を熱くさせてしまった。 ダークエルフの種族の彼女だが、その純粋な精霊力を感じる事に喜ばない訳では無い。 三つ編みを震わせ、感動に心を震わせていた。


アンディは、そんなニュノニースへ。


「此処って、そんなに凄い場所なの?」


「えぇ。 自然の力が集まって、この場で滞留してるの。 ・・水、風、大地の力が・・・。 とても、・・とても素晴らしい場所よ」


「ふぅ~ん」


納得するアンディの視界に、メルリーフが見え。


(先に行くぞ)


と、前を指差して歩き出すのが見える。


「・・あ、ケイさんが行っちゃう。 僕達も行こう」


「うん・・」


アンディは、ニュノニースの手を持って、一緒に歩き出した。


メルリーフに追い越される形で、不思議な生き物も見えるこの空間を、ボンヤリと見る事に囚われながら歩き出すビハインツ。


(・・こんな場所・・今の有名なチームでも中々来れないよな・・。 俺って・・、この先ど~なるんだ?)


秘宝を探す旅と聞いていたが、こんな風に誰しも経験出来ない様な場所に来るとは思っても無かったビハインツ。 もっと、フツーに名勝の様な遺跡を見て周り、文献を調べまわる様な事を想像していただけに。 この見たことも無い様な地中の世界を見るなど、理解の範囲を超えてしまう。


(このまま行ったら・・、どうなるんだ?)


そんなビハインツを見てから、何故か立ち止まって隊列の殿に成ったルヴィア。 実は、歩くのが遅いオリヴェッティを見ていた。 顔を俯かせ、自ら自分を抱すくめる様にして肩を震わせていたのだ。


「どうした、泣いているのか?」


Kが先に行ってしまうので、堪らずに近寄って聞くと・・。


「はぁっ・・」


息を呑んで、涙を流す顔を隠そうとするオリヴェッティで。


「ごっ・ごめんなさい・・。 私・・、こんな素晴らしい場所に来れるなんて・・」


その感想を聞いたルヴィアも、世界の名勝の何処にも此処は勝ると思う。


「ふぅ・・、だな。 私も、正直な処で感動してる」


「祖父や・・父に見せたい。 此処だけでも、此処だけでも見つけたと云えるなら・・。 今まで着せられた汚名も、じゅ・十分に・・晴らせます」


「そうだな。 この場所だけでも、大発見と云えるな」


「嗚呼、この身体を突き抜ける素晴らしい精霊力が、わた・・・うぅ。 私には解る。 凄い・・此処は本当に・・ほんとうに・・・・・凄い」


今まで、どん底の中で喘いで来たオリヴェッティの一族。 それが、最後の生き残りと成った彼女がKと出逢って、遂にこんな場所に来た。 あの、“嘘吐き一族”、“ホラ吹き学者”と罵られた日々からするなら、この場所はもう・・・。


ルヴィアは、先に行くKの小さな姿を見て。


「オリヴェッティ。 だが、此処が終点では無い様だ。 さ、先を行こう」


「はい・・」


涙を拭くオリヴェッティは、何度も何度も頷いた。


さて。


「おいっ、おいおいっ」


石橋を小走りに、Kの元に向かったガウ団長で。


「この先はっ、一体何だ? まさかっ・・秘宝がぁ?」


代わって、醒めた印象を受ける程にサッサと歩くKで。


「秘宝じゃないさ。 海旅族の神殿が在る。 其処には、この次に繋がる情報が在る」


「じっ・・情報?」


海水が真下を流れる大洞窟を渡る橋。 これを渡った先には、岩の中に続くぽっかりと門を模った入り口が在る。 その中に入れば、海の神で在る海流皇后や、大地の雄神などが石造として中央に安置され。 ヒカリゴケと水晶に閉じ込めた物を加工して、花園に見立てて作られた楽園が在った。


「えっ? えぇ? この水晶加工技術って・・今は失われた技術でしょ?」


魔法の歴史に明るいニュノニースは、そのヒカリゴケを閉じ込めた水晶を見て溜め息と感嘆ばかり。


ガウ団長も古代の原始的な神の彫刻に、もう釘付けと成る。


だがKは、その神の像の裏の壁に向かった。


チーム一同が揃い、その壁を見る。


「ほう・・、これは地図じゃな。 しかも・・サニー・オクボー諸島の地図の様じゃ」


と、ウォルターが壁画を見て言えば。


Kが。


「あ~あ、やぁ~っぱりだ」


と。


Kと地図を見比べるリュリュが。


「何がっ、何が何がぁ?」


地図を見て、鞘付きの短剣の一番長いものを手にするKは、中心の島を指し。


「目の島は、大きさで云うなら三番目。 二番目が一番目で、三番目が二番目に大きいんだ」


クラウザーは、その壁に描かれた地図を見て。


「本当だ・・。 だが、アンディの持っていた地図では、違っていたぞ」


此処で、目を鋭くするKで。


「恐らく、歴史の何処かで摩り替わった・・か。 摩り替えられたか・・。 この世界で、サニー・オクボー諸島の島では、目の島が一番大きいと云われてる」


ウォルターもまた、何かを推察する面持ちで。


「うむ。 在り得りそうな事じゃ。 しかも、この地図での一番目と二番目の島の名前が、何よりも気に成るのぉ」


古代語の民族語など解らないオリヴェッティは、Kに近付き。


(あの・・どうゆう事ですか)


と、小声で聞いた。 老人二人と、Kだけが別格の様になっているからだ。


「この、一番目に大きいとされる“ラァー・モディス”は、王の中の王。 二番目の“ニュクシズ=オーロン”は、“月影の夜”。 王の中の王とは、古代の言い方をするなら始祖王か、一番偉大な人物を指し。 月影の夜は、新月の時に生み出される鏡の中の紅い月。 詰りは、魔界へ通じる道の事だ」


此処まで説明を受ければ、学の無いビハインツでも引っ掛かる。 一同は、明日から行く島々に、更なる何か手掛かりが在るのではと感じた。


Kは、この祠の中に入る門を岸壁の裏手に周れば、抜け道で地上に出られる道を知っていた。 祠から出たKは、ガウ団長に。


「さて。 もう外は暗いだろう。 さっさと出るか」


と、声掛ける。


だが、ガウ団長は喰いかかる勢いで、


「きっさまぁぁ・・、他の島の神殿も荒らす気かぁ?」


Kは、あまりにもあっさりと。


「うんだ。 見張りに来るんだろう?」


「当たり前っ・・」


大声を出そうとした所で、アンディやビハインツに口を塞がれる。 此処まで来て、何か罠でも発動されたら情けない。


「もぐもふっ、ふももうい」


何を云ってるのか解らないガウ団長を見たKは、呆れた“フッ”を残して抜け道に向かう。


島の地上部に出るには、切立つ崖に沿うように作られた壁を登るしかない。 足場は確保されているが、海風が酷く。 おまけに・・。


島の断崖に出たKは、船の結界に守られた方に、結構な大きさのモンスターのオーラを感じ。


「お~お~、集まってるねぇ」


すると、リュリュが。


「ケイさぁ~んっ、今日はいいでしょっ?!!!」


Kも、自分で倒すのが面倒なので。


「おう。 おもっきし遣って来い。 ただし、船は沈めるなよ」


「やっほ~~い」


もう夕方も暮れかかった中、元気に宙へと飛び上がるリュリュ。


「今にして思うがっ、なっ・何で飛べる? 一体、ナニモンだぁっ?!」


と、言うガウ団長に。


「知ったら、アンタは平伏すゼ」


と、Kは言ってから。


「なら、先に上ってロープを下ろす。 使いたい奴は、使え」


と、絶壁に突き出る岩を、サッサと上って消えるK。


カバンに乗ったウォルターは、皆を見守りながら。


「何とも退屈しない日々じゃ。 こんな事なら、もっと早く冒険者に成ればよかったわい」


と、呟いた。

どうも、騎龍です^^


風邪で喉をヤられてます。 今年は、寒いデスね。


ご愛読、有難うございます^人^

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