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エターナル・ワールド・ストーリー  作者: 蒼雲騎龍
K編
136/222

ウィリアム編・Ⅳ

                      冒険者探偵ウィリアム


                  それは、街角の知らぬ間に潜む悪意 10



                  ≪短いながらも、長い嵐の一夜 【後】≫



殺された老婆の部屋で、地下に向かう階段が発見された。 その仕掛けはウィリアムが見つけておいたもので、ハイドゥン卿やフラックターはウィリアムの眼力の鋭さに感服しきった。


さて。 また雨足が強まり、強風がゴーゴーと音を立てる中だ。


ハイドゥン卿は兵士を二人部屋に残し、残りの者で地下に降りる事を決める。


役人では、マッジオスとフラックターが行く代わりに、ジャンダムが残る。 万が一、キキル刑事官の部下が様子見に来たら、誰かは判断の出来る者が必要だと云う意味でである。


簡易的なカンテラを一つ持つウィリアムは、スティールと二人で先に入る事にし。 ハイドゥン卿も、それを許可した。


地震などで罅割れも見える石の階段だが。 その頑丈な造りからして、まだまだ安心の出来る物だった。


ウィリアムとスティールが二人して階段を降りると。 今度は、フラックターとマッジオスの二人がそれに続き。 ハイドゥン卿やその従者二人を含む兵士は、殿しんがりに為る。


階段を降りるウィリアムへ、スティールが。


「下から風が来てるなぁ。 しかも、カビ臭く無いぜ」


すると、ウィリアムは慎重に降りながら。


「先程、外で井戸を見ましたでしょ? 井戸に、嵐の風が吹き込んでいるのだと思います」


「あ~、それでか」


階段を降りていると、直ぐに水の流れる音が聞こえ始めた。 30段ほど降りれば、底に着く。 小石と土を踏み固めた様な足場だが、空気に湿気を含む場所だった。


「スゲェ水の音」


そう言って暗い奥を見たスティールに、その奥の方へと歩き出すウィリアムで。


「恐らく、地下水道の音ですよ。 街の各地域に有る井戸を巡る水の通り道ですね」


ウィリアムとスティールが、ザーザーと云う水の音の間際に向かえば。 其処は一段大きく下がって、水が流れる水路に成っていた。


「お~い、此処はぁっとっと」


「おい、足元ぐらいは気にしろ」


フラックターとマッジオスの声がする。


ウィリアムは、水路と平行に左右を見ると、左側に水路の縁を行く細い通路を見つけ。


「皆さん、自分のカンテラの光が向かう方に。 水路沿いで、通路が在ります」


後続にこう声だけ掛け、その通路の方に向かった。


水量を増して、急な流れで走る水。 その水の水面まで、手を伸ばせば届きそうな一段下がった通路を行くウィリアムとスティール。 程なく行った所で、左手に開けた場所が在り。 其処に上がった。


スティールは、足の感触から。


「階段の下に広がってる間と同じだなぁ~」


一方のウィリアムは、闇の奥に指を向け。


「今、向こうに何か見えました。 ドアらしきものでしょうか」


「おっ、核心に近付くかぁ~?」


「だといいですね」


ランタンを手に二人が近付いていくのを、開けた場所に上がる所で見るフラックターとマッジオス。


「あの二人、サッサと行きおってからに」


と、マッジオスが苛立ちを見せるも。 フラックターは、何も文句が出ない。


処が。


「ハイドゥン様」


水路沿いの通路を歩くハイドゥン卿に、護衛を務めるスミニクが声掛ける。


「ん? 何か見えたのか?」


と、問い返すハイドゥン卿へ、スミニクは続け。


「いえ。 只、先に行かせた冒険者二人とは、そこまで信用の出来る者達なのですか?」


此処まで来て、いきなりの一言で在った。 ハイドゥン卿は、フラックターとマッジオスの持つ灯りが消えて行くのを見て。


「それは、何れ解ろう。 何故、そのような事を聞くのだ?」


問い返されたスミニクは、前を見ながら。


「いえ。 金で仕事を請ける冒険者が、信用出来るのかどうか些か気に成りましての次第で」


ハイドゥン卿は、細かい事をこの二人の護衛用人に言って無いらしい。 少しだけ、彼は言葉を鋭くして。


「信用が出来ぬなら、こうなる前に金を要求する。 この場所は、我々では気付くのに大分掛かった。 スミニク、無用な詮索をするでない」


言われたスミニクと云う中年の剣士は、軽く頭を垂れ。


「出過ぎた真似をして済みません」


「うむ。 どうやら、別の開けた場所に上がる様だな」


ハイドゥン卿は、見えた段差にそう感想を述べた。


さて。 ハイドゥン卿達がドアの方に見えるランタンの灯りを頼りに、開かれっ放しの木のドアの元にたどり着いた。


すると、入口に立っていたフラックターがハイドゥン卿の到着に合わせて振り返り。


「ハイドゥン卿。 どうやら、ウィリアムさんの予想が大当りです」


フラックターの言葉に、ハイドゥン卿は何か収穫が在ったと感じ。


「ほう。 何が有る」


と、スミニクやラディオンの前に出た。


半身に成り、部屋と成っていた倉庫らしき中に顔を向けるフラックターで。


「老婆の住まいに見えなかった他の借金者の帳簿や、多額の金。 それに、担保として取った証文や物品などが、此処に」


ハイドゥン卿は、正に“出来した”と思い。


「流石に、フラックター殿の信用する彼だ。 あれよあれよと云う間に、事件が解決しそうじゃな」


と。


処が。


部屋の中からウィリアムの声で。


「すんなり解決出来ますかどうか…。 こんな物、担保にする馬鹿の顔が見たいですね」


「ん? “こんな物”・・とな?」


ハイドゥン卿は、ウィリアムの声に導かれる様に部屋の中に。 行くとき、“そこで待て”と云う仕草を見せ、スミニク達を動かさなかった。


フラックターとハイドゥン卿が入る場所は、奥行きの広い昔風の古い倉庫と見えた。 灯りの光が届く範囲で、天井には蜘蛛の巣が古びて垂れ下がるのも見える。 中に入れば、入った右手に机替わりに置かれた木の板が、何かのずた袋の上に置かれて有る。


さて。


「たっ大変ですぞっ」


入った二人の前に、マッジオスがやって来た。 処が、やって来た彼は、ランタンの灯りでも解る程に顔色が悪い。 緊張に慌てや焦りが混じり、そう見えるのだろう。


ハイドゥン卿は、ちょっと見ない間にまるで変わった雰囲気のマッジオスを見るので。


「どうした?」


だが、もう気が動転し始めたマッジオスは、言葉もろくに出ないままに。


「とととっ・・」


と、紙の編まれた書状の様な物を差し出す。


「?」


その書状を手に取ると、ハイドゥン卿も目を見張った。


「これはっ」


真っ白な上質紙に金の塗料で描かれたモノは、フラストマド大王国の印字と王家の家紋が捺印と云う形で押されたものだった。 これは、王命直々の密命書か、命令・任命の時のみに遣わされる重要書簡である。


「何故、この様な物が……」


包みを開いて印字の裏に記される宛先を見れば、侯爵・ロチェスター宛と王と貴族のみが遣う事の許される文字で書かれている。 その包の中に封された書簡は、未開封のままである。


これを見たハイドゥン卿は、即座にキキルのしでかした事を理解する。


(うぬぬぬ…、あの貴族の恥曝しめがぁっ!!!!!)


この書簡の取り扱いには、非常に厳密な規定が存在している。 もし、この書簡をキキルの弟である当主が見たなら、直ちに内容だけを残して処分した筈である。 直ぐに処分しなくとも、命じられた事や処理が終われば人知れずに闇へ葬った筈なのだ。 つまり、殆ど手付かずの様なこの書状が存在すると云う事は、だ。 少なくとも逃亡したキキルの弟で在る地方都市統括のジョエナブル・ルートヴィッヒ・ロチェスター卿(略がジョエル)は、この書状の中身を知らない事に為る。


同じく、何処までかは解らないが。 一大事と云う事は理解出来るマッジオス。


二人の表情が理解出来ないフラックターの見る前で、手紙に釘付けと成る二人が見る見ると険しく切羽詰ったものに為る。


マッジオスは、他に言葉が見つからず。


「どう・・しますか?」


問われたハイドゥン卿だが、直ぐに返答は出来ずに困った。


本当に命令等の内容が書かれた手紙は、厚紙の黒い上質紙に包まれ開封された後が無い。 金の封蝋で、しっかりと綴じられている。 監査をする者としては、どんな理由で有れ。 王侯貴族の乱れは見逃したく無い。 もはや手柄云々では無く。 オグリ公爵の一連の事件が明るみに成っている中で、王都からはグランベルナード王から。 アハメイルからは、リオン王子の名前でこの書状と似た様な物が、軍部・貴族・政治中枢を担う者に届けられている。 内容は、


“大掃除は、一向に構わぬ”


詰まりは、貴族で有ろうが、位の高い者で有ろうが、不正に繋がる様なら立件して構わぬと云う意味である。


ハイドゥン卿は、王の命令書を心に想い留めながら決意をする。


「マッジオス殿・・、これはもはや私事や個人感情では裁決出来ぬ」


「と、もう・・申しますと?」


頭一つ低いマッジオスを、睨み付ける様な目で見たハイドゥン卿で。


「良いか。 先に届けられた密命書で、軍部や統括管理を預かる者に王命が在った。 不正は、直ちに掃除せよとな。 アハメイルの総司令であらせられるリオン王子殿下からも、同様の書状が在った」


「はぁ・・はぁ」


生返事をしたマッジオスは、今一ハイドゥン卿が何を言いたいのかが解らない。


ハイドゥン卿は、奥で他の担保を調べるウィリアムとスティールを見て。


「今回の事件の犯人が、キキルで在るか否かより。 この様な書状の管理も出来ぬ統括では、街の政が心配だ。 幾らオールドエンブラー(最古に貴族の印字を譲り受けた者達の子孫)で在ろうが、見過ごせぬものが在る。 彼等の様な冒険者の目に行く場所に、この様な国家の重要書を置く貴族が居ては困る」


マッジオスは、ハイドゥン卿がこの事を公に捜査すると解った。


「そ・・そうですか。 では、ジョエル様も只では済みませんな」


と、俯く。


其処に、奥からウィリアムが。


「此方に在る物の中には、金を借りた貴族の方々が出した物品がチラホラ見えますよ」


スティールも。


「何か家紋の入った剣やらエンブレムが在るがよぉ。 これって、金借りる代物にしていいのかい?」


と、云った。


ハイドゥン卿は、今の居る人数では回収に時間が掛かり。 キキルの連絡筋からロチェスター家の息が掛かる都市統括警備兵でも来られて、押収の悶着が起こると不味いと思う。


「とにかく、此処はこのままで兵士に見張りさせる。 下級兵士を束ねるセトル=ガウと云う警備隊長を召集し、裁判部から差し押さえ命令を軍部に出して貰える様に計らう事にする。 嵐が続く今宵が勝負だから、早く方々に手を回した方が良いな」


ガウ隊長の名前が出た事で、ウィリアムがその手を止め。


「あ~、二・三日前だかに、東門の警備兵詰所に居た方ですね」


スティールも思い出し。


「おうおう、街道に出たモンスターの報告をしたあのオッサンだな」


ハイドゥン卿は、上がってきた報告書を知っていたので。


「何じゃ、街道に出た大型のモンスターを退治したのは、お前達か?」


近寄るウィリアムは、古い木箱の上に置いたランタンを手にして。


「ウチのチームには、つよぉ~い魔法を扱える方が二人居ますんでね」


一方のスティールは、腕組みでウィリアムに寄り。


「おいおい、俺のザンシンでカレーな活躍を忘れるなよ」


フラックターは、そんな二人に。


「凄いですね。 色々な武勇伝が一杯在る~」


と、羨ましい言い草だ。 ホローに雇われていた賊の強い者達を、ウィリアムとスティールが倒したのは彼でも知っている。


ハイドゥン卿は、これは心強いと。


「おぉ。 そうゆう事なら、正式にワシの密命で協力依頼を斡旋所に出そう。 そうすれば、仕事として金も出せる。 だが、済まないが多くは期待するな」


その話に、ウィリアムはスティールに向いて。


「報酬確定・・ですね」


「終わる頃には、嵐も去るかな。 懐が温ったまったら、俺はパブにサル~」


此処でスティールの軽口が出た。


苦笑いのウィリアムは、上手いと云えないのがホンネ。 似たような顔をしているのがフラックターで在る。


一方のマッジオスは、急に砕けた雰囲気を作るスティールを睨んだ。 このハイドゥン卿が持つ書簡の中身次第では、とんでもない事が起こると苛立ちを強めたからだ。


(高が冒険者風情めがっ。 これから起こる事が、どれほどの嵐か…。 今宵の嵐など、その比成らんのにっ・・)


ハイドゥン卿は、部屋の外に待機する兵士に見張りを頼もうと、ドアの境へと踵を返した。


ウィリアムとスティールに、フラックターが加わり。 その和気藹々とすら感じる雰囲気を嫌ったマッジオスは、ハイドゥン卿の後を行こうと振り返った。 事件の解明が、これで結果はどうあれ前進すると思える中で。


「それまで、そこで止まって下さいませ」


と、声が出た。




                        ★





嵐で眠れないのは、何もアクトル達だけでは無かった。


先ず。


(おい、あれが噂の・・か?)


(あぁ。 確かに、凄い美少女だよな。 俺達には、それこそ高嶺の花だよ)


警察局部・軍部の医療施設と為る建物に、ジュリエットが居た。 怪我をして眠る親の面倒を診たいと、こっちに来てしまっていた。 今までは未亡人の被るベール帽子を被り、人目に素顔を晒さなかった噂の美少女が、此処に居る。 夜勤で詰める老人医師ともう配属されたラインレイド卿の部下が、完璧な警護と看護体勢で運ばれた患者と看護を許された家族を守っている。 だが、施設の外や、一階の常備警護は、一般兵の役目である。 チラりと見掛けた兵士の二人は、嵐の外に出ずにジュリエットの事や今回の事件の展望を話の種にしていた。


一方では…。


「漸く、静かに成りましたわね」


「うむ」


宿のベットで寝るクローリアとリネット。 隣から、妙に聞き取り難い大きさの会話が聴こえてきたので、寝るに寝られずの状態だった。


二人部屋に並んで寝る二人。


クローリアの方が、男性陣が寝る部屋に近く。 会話が聴こえていた方なので。


「はぁ。 多分、ウィリアムさんとスティールさんの心配ですわ」


すると、眼を開けていたリネットは、顔を動かさずに。


「クローリア・・聞いて良いか?」


クローリアは、不意に言われたので。


「あ・・はい?」


「リーダーは、あの軽薄極まりない男を、何で重要扱いするんだ?」


クローリアは、一番面倒な質問が来たと思った。


「それは………」


女性達の夜もまた、長い夜に成りそうな感じで在った。



処で。



警察局部の一部屋には、意外な人物も残って居た。 それは、アリマ長官その人である。


「アリマ様、御帰宅されないままで?」


秘書官の男性が、客用のソファーに寝る長官の脇に在るテーブルの上に、熱い紅茶の入ったカップを置いて云う。


昼間と同じ衣服のままに、眼を瞑るアリマ長官は神妙な抑えた声で。


「外は嵐じゃ。 こうゆう時は、動きが有るやもしれぬ。 今日・・明日は、此処に寝る」


30までゆくかどうかの秘書官は、アリマ長官を気遣う意味で。


「もうお年ですから、命令だけすれば良いのでは有りませんか?」


アリマ長官は、目も開かぬままに。


「このワシとてな、若い頃は捜査で徹夜続きを幾度と経験した方よ。 お前の様に、エリートで秘書官の様な事務に居た者とは、体も心も鍛え方が違う」


「…」


秘書官が黙ると、アリマ長官は更に加え。


「今、誰が味方で誰が敵か見極めねば成らん。 ラインレイドが謹慎の上は、腹からロチェスター家と渡り合ってでも仕事をする者が、何処に居るか・・な」


すると、秘書官の男性は、何故かそそくさと一礼して下がって行く。


一人に成ったアリマ長官で。


(アレも、いざとなったら逃げる。 昔からこの街に住まう最古の貴族ロチェスター家には、逆らおうとはせぬよな。 ワシとて、王からの任命でこの仕事をしないなら、同じだろうよのぉ…)


これからの成り行きを考えるに、穏便な筋道を通り抜けられるならそうしたいと思う。


アリマ長官は、今宵に動く気配を見せていたフラックター達の事を知り。 こうして老体に鞭打って残って居た。 もし、キキル刑事官でも捕まるなら、街の政治を預かるキキルの弟や他、様々な権力の圧力から刑事活動をする役人を守らなければ成らない。 その上でも、キキルや弟のジョエルの父親と親交が厚い自分が残って、いざという時の対応をしようと腹を括っていたのだ。


が。


勢い良くドアが開き、秘書官が戻ってきた。


「ちょっ・ちょちょちょ………」


余りの慌てようが伝わる声に、アリマ長官はグっと眼を開き。


「どうしたのじゃ?」


声を掛けて見る。


「あああ・・ちょっ・・その・・・・・」


アリマ長官が聞いた問いに対し、秘書官の云う言葉は返答に成って居ない。 アリマ長官は軽く身を起こしてドアの方を見れば、其処には秘書官を隠す様な立ち位置で大男が入る処で在った。 黒いマントに黒い鎧を着た大男を見て、アリマ長官は身を起こし。


「お前達何者じ…」


その誰かを問う声が、大男の後に入って来た鋭い眼の30そこそこと思える女性で止まる。 アリマ長官は、スクッと立ち上がった。


「どうして・・貴女が此処へ?」


鋭い眼の女性は、体にピッタリと這う黒い礼服調のドレスを着ていた。 体のラインが見える服装だが、馬手(利き手)の右手に細剣を持っている。 長い金髪を床に付きそうな程に伸ばしたその女性は、自分の後から入る衣服の上からでも筋骨隆々としたのが解る屈強な老人に顔を向け。


「サリバン、秘書官を外に出しなさい」


マントを背にし、黒い全身服に身を包む屈強そうな老人と見受けれる人物は、入った所で秘書官の腕を掴むと。


「悪いが、込み入った話し合いに成る。 此処から出て貰おう」


と、追い出しに掛かった。


「ちょっ・長官っ?!」


驚きながら非力な抵抗をして、アリマ長官に聞く秘書官だが。


「よ・・よい。 ワシが、此処で危害を受ける事は無い」


と、云うのだ。


鋭い眼の女性は、少し妖艶な仕草で腕組みをして見せて。


「物分りの良い方だ事」


と、アリマ長官の前に歩いてゆくのだった…。




                        ★




ロイムの予言は、当っていたのか。 それは、この異常事態を示唆したのか。


「うぐっ、スミニクっ! 何をするっ!!」


右手に剣を持つスミニクが、その切っ先をハイドゥン卿に向けていた。


老婆の隠し部屋の中から出ようとしたら、この有様だった。 スミニクの脇に居るラディオンも、それを止める気配が見えないし。 彼等の後ろでは、兵士が散開して、ハイドゥン卿に照準を合わせる形で槍を構える。


片手にカンテラを持つスミニクは、その眼を細めては微笑し。


「貴方の様な中央と此処を行き来する方には、私達の気持ちは解らぬかも知れませんが。 この街に住む者は、ロチェスター家に忠誠を誓っておりまする。 キキル様も、ジョエル様も、罪人にはさせませぬ」


ラディオンは、幾分済まなそうな面持ちで。


「ハイドゥン様、その見つけた証拠とやらを此方に。 我が主の口を封じるにしても、争って殺したくは在りませぬ。 どうか、服毒で自決をして頂きたい」


その話を聞くハイドゥン卿は、顔を歪め怒りの形相に変えた。


「このぉぉ・・不忠者めがぁぁぁぁっ!!!!!!」


喚く大声が、この開けた間に響く。


スミニクが何かを言い返そうとすると、ハイドゥン卿はスミニクに睨みを向け。


「黙れぃっ!!!!」


と、声で相手の口を封じる。


スミニクとラディオンを見るハイドゥン卿は、


「うぬら、その意味が解るのかっ?!!! 監査のワシを殺すはっ、軍部の元締で在る王家に楯突くのと一緒ぞっ!!!! このワシを殺して、中央が動かんとでも思って居るのか? お前達は知らぬだろうが、もう中央への密告の第一報は送っておるのだぞっ!!!!」


と、喚き散らした。


この話に、スミニクとラディオンの顔が急変した。 流石に、中央に監査から何かの書状が届けば、王命で大掛かりな捜査が行われるかも知れないからだ。


ハイドゥン卿は、その二人に追い打ちを掛けるが如く。


「あのリオン王子殿下に、このワシの自決を教えて引き下がる様な間抜けが有るかぁぁぁっ!!! 此処でキキルを正しく罪に問い、ジョエル様を反省と云う形で執り成しを仰がねば。 後々で事件が解決を見れば、凡ゆる妨害の責めはロチェスター様におっかぶさる事に成ると解らんのかっ?!!!!!」


漸く事態の流れを理解し始め、スミニクとラディオンの眼が迷う様に交錯した。


ハイドゥン卿は、この街に定期駐屯として居座る様に成ってから抱えた護衛用人二人を見て、時勢も理も理解出来ない事に腹立たしく思えた。


「何たる愚行っ・・何たる浅はかな無知じゃっ!! 街の民に多くの被害を出しながら、今までも見過ごして来ただけでも罪に成ると云うのに・・。 今回は、その罪の比に比べられぬ大罪を犯したキキルを、此の上庇ってまた罪を作るだとぉぉぉ・・。 情けない・・、忠義の意味を履き違えた最低の愚か者めがっ!!!!!!」


此処まで言われてももう引っ込みが付かないと思うスミニクは、そのハイドゥン卿の激しい叱咤を振り払う様に。


「煩いっ」


と、剣の切っ先を、更に深く突き付け様とした。


が。


「喧しいっ!!」


ハイドゥン卿はあの書簡をしっかりと懐に収めながら、左手だけで自身のサーベルを引き抜いて打ち払う。 甲高い音がして、スミニクの迷いが混じった剣は打ち払われ、槍を構えたラディオンも踏み込める間合いでは無かった。


フラックターは、裏切りが起こった事で驚き。


「あわわ、やっ・槍か何か・・」


急に取立てられた矢先の彼で、身を護る術は役人時代に教えられた槍の訓練ぐらいだ。


マッジオスは、自身の剣に手を掛けながら。


「冒険者の二人っ、加勢を頼むっ」


と、二人を見ると…居なかった。


サーベルを構えるハイドゥン卿の肩に、人の手が掛かり。 スティールの声で・・。


「御偉いサン、此処は俺達が引き受けよう」


と。


ハイドゥン卿は、緊張と憤怒が残る顔でスティールを見る時。


「このお二方は、最初からこのつもりで来た訳ですよ。 事態の意味を理解為さって無い、ハイドゥン様の云う通りの愚か者ですね」


と、ハイドゥン卿の前からウィリアムの声がした。


「あ゛っ?!!!」


ハイドゥン卿も驚いたし、マッジオスも驚いた。 何より、ハイドゥン卿の左脇から抜ける様に出てきたウィリアムを、対峙する形で見るスミニクとラディオンも驚きである。


ハイドゥン卿が構えを緩める中で、半身の体勢からドアの外に出るスティール。


この間。 ウィリアムは、ラディオンとスミニクを見て。


「あの玄関ホールでの仕様は、芝居ですか? あの肥えた役人さんとは、お知り合いの様ですね」


と、言いながら。 ドア脇の壁に有るフックへ、ランタンを掛けた。


スミニクは、馬車の中で雑談に応じなかったウィリアムを思い出し。


「貴様・・見抜いて居たのかっ?!」


ウィリアムは、至って涼やかに。


「えぇ。 貴方がハイドゥン様の前に立ち、もう一方の方があの役人の方の前に立たれた。 役人の方を此方が面と向かって押し留める間、貴方は無言に口だけの動きでこう言いましたね」


“此処は、任せて欲しい”


「もう片方の其方は、皆が立ち去るまでの間。 無言で睨み合う芝居をしながらこう仰った」


“証拠は、我々が抑えます”


スミニクとラディオンは、驚く顔で。


「どうして・・」


「大きく口を動かして喋って無いのに・・何故解った?」


スティールが脇に来ると、そんな二人を見返してぞんざいな態度を示し。


「お前達、相手が悪かったなぁ。 コイツ、姿の映る床と白い柱に注目しててな。 お前達が喋るのを交互に変えて、片方があの太った役人を留めようと云う時に。 黙ってる方が、口だけを動かして伝える口伝こうでん術ってのを、ぜぇ~んぶ見てたとさ」


ラディオンは、自分の話に全く乗らなかったスティールを見て。


「見られてたのか? ・・見るだけで解るのか?」


「俺も、そっと話の内容を馬車に乗る直前に教えられて驚いたがなぁ。 ウチのリーダーは、そうゆう方の技術に関しては、相手も驚く程のプロなのよねぇ~。 ま、裏切りは此処で終いにしようや」


ウィリアムは、スティールに向かって。


「師匠、華を持たせますが・・。 どっちがいいですか?」


スティールは、既に抜刀しているスミニクを見て。


「オッサンの方で」


ウィリアムは、若いラディオンを見て。


「報酬出して頂けるなら、頑張りませんとね」


スミニクの視線を完全にハイドゥン卿に向かう線からずらす為、少しずつ左に動き出すスティールで。


自分にスティールが挑んで来ると思い、その場にランタンを置いたスミニク。 片手が塞がっている状態で、彼に勝てる気がしなかった。


緊張は一気に高まるのに、スティールは雑談を止めず。


「んだ。 オラの武勇伝の本でも作るには、それも必要だの」


代わってラディオンに一歩・・二歩と踏み込むウィリアムは、


「へぇ。 スティールさんて筆も達筆なんですか」


と。


この緊迫した状況に於いて、雑談を交わす二人が信じられないスミニクとラディオン。 スミニクは、急に目が鋭く成り、馬車に乗っていた時とは違う雰囲気に変わったスティールの動きに合わせてしまい。 一方のラディオンは、足音も立てずに余裕で踏み込んでくるウィリアムを強く警戒し、兵士居る所まで後退りを。


しかしスティールは、更に雑談を続け・・。


「んな訳無いだろうが。 書くとしたら、ナイスバディの秘書ちゃんか、弟子で見てきてるお前だべ」


ラディオンの後退を見ながら、呆れて笑むウィリアムで。


「辞退します。 嘘を書くのって、疲れますからね」


スティールは、自分の斜め脇から、兵士の一人が槍で突こうとするのが解り。


「なら・・見てる人の記憶に焼き付けるのみだなっ」


“ヤァー”と云う掛け声と共に、槍をスティールの胸元目掛けて突き込んだ兵士だが。 スティールは、その槍先から少し離れた木の柄辺りを掴み。 追撃の形で斬り込んで来たスミニクの剣を、槍先で受け止める様にして凌ぐ。


遂に、闘いの口火は切られた。 ウィリアムは、カンテラの灯りから離れて闇に紛れ始めながら。


「さて。 此方も始めましょうか」


と、自分を取り囲もうと集まってきた兵士の一人に走った。


夜の闇と比べ、部屋や閉鎖空間の暗闇は一味違う見えにくさが在る。 カンテラなど、弱い火が灯るだけなので、その灯りに頼れる視界など極狭い範囲であった。 闇に目が慣れぬラディオンは、闇に溶ける様に動き出したウィリアムを確認出来ず。


「君の様な出来た者がっ、無用な混乱を生むのだっ!!!」


と、ウィリアムの姿が有耶無耶に成った所に槍を突き込ませる。 刺し込む勢いで、先端部に隠れていた槍先がピュっと飛び出た。 特殊槍の一種で、刃の形状がやや渦を撒く様に成っている物が、隠れた状態から飛び出す仕組みに成っている。 武器のリーチを相手に見極めさせない仕様であった。 だが、その手に刺した手応えは無い。


(何ぃっ?! 居ないっ?)


見た目より伸びの在る刃で、完全にウィリアムを刺すか牽制は出来たとラディオンは思ったのだが。 それは、只の思い込みと成ってしまう。 そして、闇の支配に入る奥からは…。


「ギャぁっ!!!」


「うわっ! どどっ、どうしたっ?! ・・のごぉっ!!」


次々と二人の兵士が返り討ちに合う叫び声がする。 ウィリアムを、ランタンの灯りで辛うじて見ていた兵士は、闇の領域にてウィリアムを相手する時点で無謀な闘いだった。


二人の兵士の内の一人は、誰かが近付いたと思った瞬間、支給品の槍を持つ手を捕まれ、組み付かれた直後に腕の骨をどうにかされて倒される。 もう一方の兵士も、間近で何かが倒れる音がして更に悲鳴が聴こえたので、慌てて走り寄ると首を何かに引っ掛けたのか。 走る勢いを止められその場で仰向けに倒れる。 喉を抑えて身を起こす前に、彼もウィリアムに首筋を手刀で打たれて敢無く気絶と為る。 


(何が起こってるっ?!)


驚くラディオンは、カンテラの灯りから外れたウィリアムを追い、声の挙がった方へと向かう。


この間。


「手間掛けさすなよ~」


云うスティールは、兵士の槍を掴みながら持ち主へと辿ると、そこですかさず足蹴にして蹴り飛ばす。 更に。 槍を手放して、逆手に抜くままに剣の柄を兵士の顎へと当てた。


「うぶっ・・」


声も少なく、ガクっと膝を着く兵士。


その光景を、薄暗い中で鈍いながら確認出来たスミニク。 こんな薄暗い中で斬り合うなど訓練している訳でも無いから、対応が後手後手に回った。


「おのれっ!」


スティールに斬り掛かるスミニクだが、剣は鋭い太刀筋で打ち返される。 二の太刀を入れたいスミニクだが、スティールの構えを確認するのが遅く。


「おいおい、その程度じゃ持ってるイイ剣が泣くぞ」


スティールは、自分を判断出来かねるスミニクにそう声を掛けた。 スティールとて、スミニクが十分に見えている訳では無い。 だが、一度相手を見て、武器を見ると間合いが判ってくる。 その判断は、これまでに培ってきた経験や集中力に因る。


「うるさいっ!」


スミニクは、強引にまた迫ろうとするのだが、スティールが突き込むのに危ない反応で防ぐ事で留まることしか出来なかった。


この様子を、固唾を飲んで見る3人。


ハイドゥン卿を護る様に立つマッジオスが。


「良く見えませんが、助太刀に行った方がいいでしょうか?」


すると、ハイドゥン卿は・・。


「要らぬ」


と。


フラックターも。


「あのお二人は、ホント強いですからね。 リオン王子は、特にウィリアムさんを褒めてましたよ」


マッジオスは、剣の腕では世界に名が轟くリオン王子にそう言わせたのを知り。


「雑談は下らんが、実力は折り紙付きと云う事か」


と、納得を今更に述べた。


一方のハイドゥン卿は、完全に闇へ紛れてしまっているウィリアムが気に掛かり。


「フラックター殿、教えて欲しいのだが」


「はい?」


「あのウィリアムと云う青年は、得物を何としているのだ?」


「あぁ。 何でも、格闘術だそうです。 捕り物の現場で彼の闘いを見た役人仲間が云うには、一瞬動いたのが解らない凄技だとか」


「なる程な。 もう一方の剣士も、大分遣う腕前と見た。 同理で、何方もこの状況に於いても肝の据わり方が違うと思うた。 幾ら遣うスミニクとラディオンでも、あの二人が相手では不利だのう」


マッジオスは、ハイドゥン卿の護衛用人で在る二人の方が強く見えていたので。


「そんなものですか? 逆らうお二人は、ハイドゥン卿を護って来た遣い手とお見受けしましたが?」


「いやいや。 この視界の利かぬ中でも、あの冒険者二人は全く構い無しの様だ。 昼間に同じ稽古をするだけの、云うなら鍛える世界の狭い遣い手では、様々な環境で場数を踏んだ猛者には敵わんさ。 兵士や指揮官にも、同じ事が云える」


此処で、激しく近付いて斬り結んだスティールとスミニクが縺れる。 噛み合わせての押し合いに成るのだが、此処でも経験の差が出る。 バカ正直に押そうとするスミニクに対し、態と剣をずらして力の入る鍔元に変えるスティール。 その流れる様な仕様で圧されるスミニクが、ググッと押されて必死に踏みとどまる事が精一杯に成った。 丁度スミニクが置いたカンテラの前で、二人は剣と剣、目と目を噛み合わせて居た。


薄暗く水の流れが響くこの場で、力んで踏ん張るスミニクを睨むスティール。


「アンタ。 こんな裏切りして、何に忠義立てるんだ? あっ?」


「う・うるさいっ。 じ・ゆうな…お前達にっ、この主持ちの気持ちが………」


その決まりきった言い草に、スティールはイラっとする。


「解らねぇっ!!!」


捩じ伏せる様に左へスミニクを振るったスティールで、大きくバランスを崩し後退したスミニク。


二人が対照的なのは、その後の動作を見ても明らかである。 スティールは、地面に置かれたカンテラの灯りを背に受ける様に、スミニクへと近付き。 慌てて体勢を立て直すスミニクは、後ろを振り返りマッジオスとハイドゥン卿を見て。 挟み撃ちをされるかも知れないと、体勢をろくに整える余裕も無いままにスティールへ相対す。


スティールは、自分やウィリアムの事を軽視して、意味が解らない忠義心から主を裏切る行為に出たスミニクが腹立たしい。


「ったくよ。 御宅からすりゃ~よ、殺された婆さんも含めて一般人は只のゴミかも知れねぇ。 でもな、お前等の飯を働いて生み出してるのは、フツーの人間だろうがっ!!!! その生活を護る法や役人を裏切って、その逆に寝返るなんざ俺等ゴミ以下だぜっ!!!」


「くっ、下等風情がぁっ」


心に余裕が消え失せた御陰で、こんな言葉しか出せないスミニク。


一気にスミニクへと走り、決着を着ける気に成ったスティール。 あがらうスミニクの剣撃を打ち返し、振り落とす格好で喉元に剣を付けた。


「強い・・」


見ていたマッジオスは、その早業に唸った。


しかし。 ハイドゥン卿は、少し虚しさを思い。


「情けなや。 冒険者の踏み込む速さに遅れを取り、むざむざと繕う様に剣を振るうとは、の。 腕前以前の問題だ。 あれでは、素人と同じではないか…」


彼の腕前を見極めた上で、ハイドゥン卿も護衛にしている。 心の動揺から、此処まで腕に劣りが出るとは思わなかったのだろう。


一方。


「何処だっ?!」


大声を上げ、水道間際で槍を振り回すラディオンが居る。 完全にウィリアムを見失い、もう兵士は呻くのみと成っている。 見えない事が、焦りから恐怖に変わり。 更なる動揺を招いて居る。


夜目の利くウィリアムは、完全にラディオンの姿を捉えていた。 動く彼の背後に回り、慌てる彼を観察する。


(夜の闇とは少し異質な闇ですから、流石に平常心が失われるとこうなりますかね。 スティールさんの方は、剣を撃ち合う等の音がしなくなりましたから・・決着が着いたかな)


無闇に暴れるラディオン。 訓練を怠ってない者がこうも乱れるのかと、少し見てしまったウィリアムだが。 そのままに放置も出来ないので、足音少なく背後に近寄った。


「何処だっ?! こっちかっ?!!!」


大きく右から左へとラディオンが槍を振るった時、その背後にピタリと着いたウィリアムで。


「終わりにしましょ」


と、声掛ける。


耳元に後ろから言われたラディオンは、大焦りで振り向く様に体を動かそうとするのだが。 パンと左足が後ろから蹴られて地面から離れた。 後ろにバランスを崩すのと堪えようとするのだが、何処をどうしたか後ろに投げ飛ばされた。


「うぐっ・・、う・腕がぁぁぁ」


両腕の関節をどうにかされたらしい。 ダラリとして力が入らないラディオンは、耳元に足音が有ったので。


「この・・薄汚い雇われめっ。 堂々と見える所で戦えないのかぁっ?!!!」


すると、冷めた目で見下ろすウィリアムは、実につまらなそうに。


「所で、此処でお亡くなりに成りますか? 自決するかどうかは、御自由に」


と、部屋の方に踵を返す。


痛みと見捨てられた様な格好で、直ぐ脇をゴウゴウと流れる水の音が返って恐怖を煽る。


「おいっ、どうするつもりだっ?! 答えろっ、おいっ!!」


ウィリアムに応える義務は無い。 さっさとハイドゥン卿の元に戻った。

どうも、騎龍です^^


一日遅れての掲載と成ります。


ご愛読、ありがとう御座います^人^

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