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神々の依頼、面倒なんですけどっ!  作者: はなを
第3章 航路
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ギャップ萎えするみたいです

「そうじゃ、海賊どもが襲ってきても安心の設備や。窓が2つ並んでおるやろ?片方からシールドの魔法で防御を固めて、もういつの窓から攻撃魔法をぶっ放すという仕組みやな」


がははとモーリーは笑う。


「か、海賊がいるんですか?」


確かに生前の世界でも海賊はいた。あらゆるモノから身を隠すには陸地に居る盗賊よりも、海賊の方が適していると言われている。無人島もあるし、海だと自由自在に動け逃げることが出来るのである。そして国の利害関係により海賊を奨励していた時代さえある。それは知っていたが、エルフ国との貿易が終了しているからは海賊を続ける旨味は激減しているであろうから砲台を作るまで必要なのかハジメには分からなかった。


「そうやな。最近は減っては来ているが、用心に越したことはないやろ。噂だがエルフの国が雇っていたって噂もあるくらいや。売って、回収して、もう一度売るみたいなな。まぁあくまで噂やけどな」


とモーリーは言う。


「でももうエルフ国はないですし、それこそ赤字でしょうに・・・」


「まぁ、そうやけどなー。港町も廃れてきてるようやし。でもな、最初に船を全部沈めてから略奪して、海に逃げたら終わりって言うわけやから減りはするやろうが、無くなりはしないやろうなぁ。それに陸に上がっても仕事はないしなぁ。捕まりでもして元海賊ってバレたらそれこそ処刑やしな」


とハジメの問いにモーリーが答える。


「なるほど・・・」


「まぁ、そんなことは置いといて。どうやこれ?なんか追加で注文あったら聞くで。経費的にはまだ少し使えるけど?」


とモーリーがハジメを見て言う。


「あの、この船の連絡ってどうやってやるんです?あと動力は?」


「船の連絡?」


とモーリーはハジメの質問が分からないのか繰り返す。


「えぇ、船長からの攻撃開始の指示とか」


と追加でハジメが言うと


「あぁ、連絡は船長が『伝達(トランスミッション)』でするから問題ないで。動力は青と緑の魔石やな。帆には向かいたい方向に緑の魔石で風を送って、船尾からは青の魔石で水を送るんや。それでスイスイ進むで」


「という事は必要な人材は船長と乗組員が30名くらい?」


とハジメが呟くと、


「あぁ、そんなもんやろ。あと魔術師を左右4人ずつの8人やな。攻撃担当とシールド担当がそれぞれ4人やな。あと、船首像はどうすんや?」


「船首像はこちらで準備しますね。いつまでに準備したらいいでしょうか?」


「そうやなー。今から造船するからあと半月後に出来とったらええわ。大きさは高さが5m、縦2m、横2mくらいまでなら大丈夫やで」


と言い、「これから作ってくるわ」と言い首都へ帰っていった。



皆が寝静まった夜、ハジメは(わたる)が取ってきた光の石を地下の調剤室に敷いた絨毯の上に置いていた。天井には太陽光(サンライト)を浮かべており明るくなっている。光の石は1つ1つはとても小さいが、その量は多くあった。手始めに片手山盛り1杯の光の石を机に置く。


モノづくりの手メニューファクショリングハンド造形(モデリング)


ハジメが錬金術師になってから覚えた魔法で、器用さを上げ、物の形を変えることが出来る。すでに同じ事を1週間ほどしているが、満足のいく結果は出ていない。だが成果はあった。1日目は夢中になり徹夜をし、2日目も日を跨いだ頃魔力操作1Lvを取得したのである。そして今日に至る。


そもそもこの世界の魔法はイメージが主であり、呪文はイメージを術者が固定しやすいようにする付属品でしかない。基本的な四属魔法は1レベルが全てあり、それ以降のレベルはMPと1レベル魔法の応用の目安ようなものである。


1レベルは基本魔法、2レベルでは<追尾(リモート)>、3レベルでは<巨大化(ヒュージ)>、4レベルでは<分裂(デビジョン)>、5レベルでは<転移(トランスファー)>、6レベルでは<爆発(エクスプロージョン)>、7レベルでは<圧縮(コンプレーション)>、8レベルでは<回旋(スピン)>、9レベルで<

刺突(ピアース)>、最終の10レベルでは<思考読み取り(ソーリーディング)>。それらを自由に魔法に加えていくという形である。


例えば火属性の基本魔法は<灯火(リルファイ)>であるが、2レベルで追尾でき、3レベルで火球が大きくなり、4レベルでは火球を分裂させることができ、5レベルになると目の前の火球を打ち出すのでなく、相手の背後などに瞬間移動させることが出来るようになる。6レベルになると単に燃やすだけだったものが爆発させることが出来るようになり、衝撃波を生み出せるようになり、7レベルでは火球を小さく圧縮しその威力をためることが出来る。8レベルでは火球に回転を加えることができ、当たるとかなりの攻撃力をほこれるになる。9になるとその殺傷力は上がり、敵に突き刺さり、内部から燃やし尽くす。10になると術者の考えを即座に反映させることができるようになり、炎の形も自在となる。


10レベルになると<巨大火(リルファイヒュージ)>と思わせておいて、転移で敵の背後に火球を生み出し圧縮した火矢として360°へ打ち出し敵のみをターゲットにしてリモートで確実に当て、刺さったままの状態を維持し爆発させる。といった方法も取れる。


つまり10レベルの魔術師が居ると軍隊など・・・いや国でさえ、簡単に堕とせるのである。


それに対して特殊魔法とか職業スキルと呼ばれるものはその職に就かなければ使えないものである、鍛冶スキルや建築魔法などがそれにあたる。魔法の適性があればほぼ全員その職に就けば使うことが出来るのである。言い換えれば、特殊魔法が使えたら1人前なのである。そしてそれらはレベルが上がるにつれて魔法やスキルと呼ばれるものが増えていくのである。


建築魔法なら1レベルが<指定(ポイント)>、<掘る(ディグ)>、<埋める(フィルイン)>、2レベルが<図面写し(ドローウィング)>、<石化(ミネラライゼイション)>3レベルが<枠組み建築(フェイムワーク)>といった感じである。なので建築家のエルムは3レベルまでの建築魔法が使えるので、一人前を通り越して達人レベルにあると言えるのである。


因みにハジメは錬金術の1レベルでモノづくりの手メニューファクショリングハンド精製(ピューファケイション)を、2レベルで造形(モデリング)付与(アサイメント)が使えるようになっている。



と言うわけで、ハジメは砂利の様な光の石を造形(モデリング)を使って1つの大きな塊にした。そして再度造形(モデリング)にて精霊王ユドルをイメージする。白い石がウネウネと動き30秒ほどすると手乗りのユドル像が完成した。初日と比べて雲泥の差である。一番初めはユドルではなく白い(いびつ)なスライム?のようなものであったが・・・。なんとも感慨深いものである。製作途中で魔力操作のレベルが2に上がったのも成功の要因であろう。


「よし、魔力も減ってないみたいだし、形も大丈夫そうだな」


と呟く。この造形(モデリング)というスキルは使用時間によって消費魔力が変わってくる。今回のような手乗りサイズであればハジメにとって大した魔力は必要ないのである。


ハジメは図工の成績はいつも5段階評価の2であり、先生からのコメントは独特な色使いと個性的な形をしていますと良く書かれていたため、自信はなかったのである。しかしこれがイメージだけならば、話は変わる。中二病を長らく患っていて他者よりも妄想力が秀でているハジメに最も適していると言っても過言ではなかった。現に、実物をリアルに縮小した像が出来ているのであるから・・・。


「さてと、そろそろナハル様の船首像を作るかな」


と呟き、ハジメの身長ほどある量の光の石の山を1塊にする。そしてその前に正座して思案し始める。


やっぱり船首像って言えば、どっかから水が海面に出てる方がいいなぁ・・・・。女神なら注いでいる瓶とかにするんだけど、幼い男神だからなぁ・・・」


「・・・旦那様、小便小僧はやめてくださいね」


不意に後ろから声が掛かる。(ひかり)の声である。ふと正気に戻り前にあった四角かった光の石の塊は小便小僧の態勢をしたナハル像があった。ちゃんと穴も開いていた・・・。


「妄想って怖い・・・・。でもさぁ、女神なら注ぐ水瓶から水が出るって風にイメージ出来るけど、ナハル様はどうしようかと思って・・・」


とハジメが言うと、


「そもそも船首像から水が出る必要はないと思うのですが?」


(ひかり)は真顔で言う。もっともな意見である。


「いや、船首像から水が出るのはロマンだよ、浪漫」


「はぁ・・・そんなものですか?」


と浪漫を力いっぱい押し付けるハジメに困惑した表情で(ひかり)は応える。


「どうしてもと言われるのならば、ナハル様の愛玩聖獣(あいがんせいじゅう)の口からっていうのはどうでしょうか?」


「愛玩聖獣ねぇ。いいね、そうしよう。それでその聖獣は何?ペンギン?イルカ?もしかしてクジラ?それともドラゴン??」


ナハルが(またが)っているイメージを膨らませる。


「いえいえ、ベヒモス様ですよ」


「え?」


「ですからベヒモス様です」


「え?うそでしょ?ベヒモスなの?せめてそこはリヴァイアサンでは?」


とハジメが言うと


「そもそもベヒモス様とリヴァイアサン様はご夫婦でした。ベヒモス様が海底を駆け巡り、リヴァイアサン様が目の届かない海中を守護するようにとナハル様が作られたのですが、ベヒモス様が海底を駆け巡ると陸地では津波が起こり、数個の大陸が沈んだそうで、海底も海中も見回れるリヴァイアサン様が海の守護者となり、ベヒモス様はナハル様の愛玩聖獣へとなったそうです」


(ひかり)が驚きの事実を話す。


「・・・でもベヒモスって見たことないからなぁ、出来るかなぁ。ここは海ってことでイルカでいいんじゃ・・・」


蜃気楼(ミラージ)


ハジメの言葉を遮って(ひかり)が唱えるとハジメの前に立体画像が現れる。


「これが、愛玩聖獣と呼ばれるベヒモス様です」


「・・・・・」


「旦那様?」


無言で立体映像を見るハジメに(ひかり)が声を掛ける。


「これってポメラニアンじゃ・・・・」


ハジメが指を差した場所にはふさふさ、ふわふわの青色の毛並みのポメラニアンが舌をだしてお座りしていた。



そして1時間後、ポメラニアンに跨ったナハルが杖を前に出している像が完成した。因みに杖の先から水が出る仕組みなっている。杖の先に青の魔石を組み込み、そこから水が出るようにしている。魔石のことを藍に相談したら、すぐに作ってくれたのだ。外にある水を出すという簡単仕様のため、一度魔力を通すと丸1日は稼働することが出来るようである。試作のつもりが完成してしまった。



「・・・旦那様、これが錬金術師なんでしょうか・・・」


「・・・(ひかり)それは言わないで」


ハンドブック 12項目目


12-7.錬金術師のスキルを使ってみよう:Clear!


12-8.魔石を使ってみよう:Clear!

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