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神々の依頼、面倒なんですけどっ!  作者: はなを
第1章 旅立つ
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冒険者ギルドに行くみたいです

あれから1時間周囲を探索していたハジメは城壁を見つけそちらに向かって歩いていた。


ようやく城門のような場所が大きく肉眼で見えるようになってきた。それに伴い道も歩きやすい道へと変わってきている。30分ほど歩くと城門の前まで着いたがそこには入るために並んでいる列があった。どうやら一人ひとり誰何(すいか)しているようである。仕方なく列を作っている最後尾に並び待つ。

2時間ほど待つとハジメの2つ前の人間が呼ばれた。男が鎧に身を包んだ兵士2人に近づくと


「ギルドカードを出せ。このイブに来た目的は?」


と誰何されていた。男は


「冒険者になるために来ました。まだギルドには所属していません」


と話した。近くにあったラッパのようなものに向かって一言二言呟くと兵士が1人詰め所から出てきた。


「冒険者ギルドに連れていけ。犯罪者であれば拘束せよ」


と命令を下した。

冒険者の町イブ。世界の中央付近に位置する街で様々な種族が集まる場所であった。世界の4隅にある種族の島よりは種族に対して寛容である島の中心の街であった。

ハジメはほっとしていた。ギルドカードは持っておらず、最悪拘束されるか街に入ることを拒否されると思っていたがなんとかなりそうである。


「次の者っ」


遂にハジメの順番が来た。前に出ると先ほどの男と同じように誰何された。


「冒険者ギルドに登録するために来ました」


と話すと兵士はラッパに


「冒険者ギルドに連れていけ」


と呟く。どうやらラッパではなく伝音管(でんおんかん)のようだった。

直ぐに皮鎧に身を包んだ男が出てきた。髪は錆色のような赤で瞳は澄んだ青い色をしていた。胸部は皮鎧で覆われているがその発達した大胸筋は隠しきれていない。腰には抜身の剣が刺さっている。男前であるが、その身長はハジメの腰程度までしかなかった。ハジメは、ハーフグラスかな?と思った。


シャムラには主となる4つの種族が存在する。ヒト・ハーフ・エルフ・ドワーフ種がメインとなり治めている。ヒト・エルフ・ドワーフは有名であるので省くが、ハーフについて説明しておく。

基本的にそれぞれの種族は同種族同士で結ばれることが多く、子を成す。ハーフとはその名の通り冒険者同士が種族を超えて子を成し生まれた者をいう。ハーフグラスは小人族であるグラスと子を成したということである。

グラスとどの種族が子を成したかはわからないが。身長がハジメの腰ほどあるため、ドワーフではなさそうであったが。


 男2人で10分ほど歩くと剣と杖の交差した看板の大きな建物の前に着いた。

ちょっとした宿くらいはある大きさで木枠の窓があるが鉄で強化ガラスのように保護されていた。まるで牢獄のようである。


「ここが冒険者ギルドだ。入るぞ」


ハーフグラスの男が割と渋い声で言い、ドアを開けた。昼をかなり過ぎているため中は落ち着いていた。小説によるとこの時間は依頼を実行しているため落ち着いているとの記載を思い出した。2人で空いている男性のいる窓口へ向かった。


「冒険者の登録ですね。まずこの箱の中に手を入れていただけますか?」


と箱をハジメの前に出してきた。真四角の箱で中央に真実の口のような穴が開いている。その下にATMのカード挿入口のような穴があった。広い方の穴に右手を突っ込む。白い箱が青く光り、カードが出てきた。

その瞬間にハーフグラスの男は踵を返しギルドから出て行った。ハジメが目でその姿を追うと受付の男は


「箱が青く光るということはこの町に対して危害が及ばないということです。それを確認して行ったのですよ」


と話した。続けて


「ハジメ・クラタさんですね。レベルは1と」


男がそう話しながら始にカードを渡してきた。

カードの表面には名前とレベルのみが記載されていた。


「依頼はあそこにある用紙を受付へお持ちください。依頼後は依頼物品と用紙を一緒にお渡しください。それで依頼達成となります」


ハジメは男に聞いてみる。


「貼られている依頼に制限はありますか?」


男は小さい紙をテーブルに置き答える。


「1回に1つにしてくだされば大丈夫ですよ。あとはあなたの自己責任となりますので。さて、登録料が1000Sシードとなります。」


と準備した小さな紙を始の前に出して笑顔になった。

この世界の通貨は1シードが最小単位となる。

半銅貨1枚が1S

 銅貨1枚が100S

半銀貨1枚が500S

 銀貨1枚が1000S

半金貨1枚が5000S

 金貨1枚が10,000S

半白金1枚が5,000,000S

 白金1枚が10,000,000S

となる。価値的には現在日本と同様である。


「あの。お金がないので、戦利品を売りたいのですが」


とおずおずと申し出てみた。


「わかりました。ではこちらに」


と男は立ち上がり左側を腕で示した。カウンター越しに付いて言った。

カウンターは建物の端から端までつながっており、中に入ることはできないがカウンターが広くなっているところがあった。そこまで来ると


「この上にどうぞ」


と銀色のトレーのようなものを男は出してきたのでラビットの鞣革を3枚乗せる。


「鞣革3枚ですね。では1500Sですので、500Sお渡ししますね」


と半銀貨1枚を始めに渡した。


「他に聞きたいことはありますか?」


と男が聞く。


「もしよろしければ1番安い宿と価格を教えて欲しいのですが」


と尋ねた。これから生活するにあたって絶対稼がなくていけない費用である。その把握は重要であった。


「わかりました。ギルドを出て左に行きますとベッドの絵のある看板があります。そこが『白兎』という宿です。1泊1食ついて3500Sです。もう少し安いところもありますが、自己責任でお願いします。白兎はある程度安くて安全であるということです」


と答えがあった。


「ありがとうございます、えっと・・・・」


と始が戸惑っていると


「あぁ、私はセバスチャンと申します」


と答えた。


「ありがとうございます、セバスチャンさん」


と始は笑顔を作り頭を下げ、セバスチャンに背を向け依頼を受けるために移動した。


「今晩泊まれないな。仕事しなきゃな・・・・」

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