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神々の依頼、面倒なんですけどっ!  作者: はなを
第1章 旅立つ
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戦うみたいです

ふと目をあけるとそこには森が広がっていた。正面の見える範囲に草原らしきものが見える。そこまで深くない場所のようであった。


始の後ろには澄んだ池があった。始がいる池の畔の対岸に小さな祠があった。池の神を祀っているのであろう。お供えであろう花と団子が見える。古い祠であったが綺麗に整えられている様子が分かった。


 上を見上げると雲のない青空が広がり、木々の間より小鳥たちの声が聞こえてくる。木漏れ日がなんとも言えず気持ちいい。そのような静かな時間が支配していた。


「取りあえずアーシラト様はステータスを見ろって言ってたけど、まずは魔法だな」


と。周囲に危険がない訳ではないし、その安全を確保する名目もあったが、中二病全開であった。魔法が使えるということがわかっているのであれば誰しも先に使いたいという衝動に負けるであろう。始はそう思っていた。


<周囲探査(ソナー)>


ポーンという音が一つ始の耳に聞こえたかと思うとその反響音が脳に届く。

凄まじい情報量が始の脳を襲った。


「うが。頭割れる・・・・これ無理・・・・・」


<周囲探査(ソナー)停止>


始の最初の魔法は頭痛と共に終了した。


「いきなりの失伝魔法(しつでんまほう)は無茶すぎたか。取りあえず近くに何か居そうな感じではなさそうだから、言われた通りにしよう・・・・」


シャムラの世界には魔法がある。といっても呪文があるわけではない。イメージと物理学、それに魔力を使い、その希望した効果を出現させるのである。従って、魔法は使う人によりその発生事象が多少異なるのである。

始の場合火をつけるのであれば、魔力で摩擦を起こし火種を作成。火種が出来ればそこに空気を送り込み希望する大きさまで拡張させるといった風である。


始の使ったソナーは水と風に働きかけ、水分と空気を細かに振動させその反射、消失により物体の位置を把握するための魔法であった。この世界には音波などの知識が消失しているために使われていなかったようだ。特殊魔法の本の失伝魔法として載っていた。


30分ほど頭痛に悩まされて立ち直った始は、


「ステータス」


と呟いた。目の前にある池の水にそれは写っていた。


名前:ハジメ

種族:人

職種:道具師 Lv.1

年齢:18歳(↓down)

性別:男

体力:Lv.1

耐久:Lv.1

敏捷:Lv.1

器用:Lv.3

魔力:Lv.2

魔抗:Lv.2

幸運:Lv.1


スキル:言語理解 Lv.∞ 

    四百四病(しひゃくしびょう)耐性 Lv.5 

    魔法全属性 Lv.3 

    道具投擲 Lv.10 

    匠石運斤(しょうせきうんきん) Lv.2

    アイテムボックス(1/99999 固定)  


称号:神々の代行者


「18歳?そんなに若返っているのか・・・。実年齢からだと25歳ほど若返ってるなぁ。18の頃ってこんなに体軽いのか・・・・。若さすげーな。ステータスは高いのか低いのかわからないな。称号は神様の強制依頼を受けたからだよなぁ」


そう思っているとポーンと音がなり、アイテムボックスよりハンドブックが始の手の中に納まった。


「開けろってことかな」


と始は表紙を開けた。1ページ目1段目に

『ステータスを見よう!』Clear! と出ていた。

2段目には

『枯れ木に魔法(火)を使ってみよう!』

と書かれていた。

始はしゃがんで小枝を拾う。


<灯火(リルファイ)>


始がつぶやくと人差し指から小さな火の玉がでて小枝に優しく当たると小枝は燃え始めた。するとClear!となった。


30分後


10個にわたった最初のページのクエストは終わった。走ったり、木に登ったり泳いだりと体を動かした。それも5分くらいづつ行えばそれぞれの単語の文字が灰色から白になった。どうやらクリアになるらしい。魔法は水の玉や土の玉、風の玉を作ったりした。11段目には報酬:鑑定と書かれていた。周囲に有った落ちている小石を拾い鑑定を使ってみる。

 

 小石:どこにでもある岩の破片。投げることでダメージを与えることが出来る。握って殴るとダメージを多く与えることが出来る。


 と出た。始はもとから最初の武器は石を投げようと思っていたため周辺の小石を拾い集めていた。


「これでよし。これだけあればなんとかなるかな」


 アイテムボックスには小石200個と記載されカウントが2/99999となっていた。どうやら同種のものは100個で1つのまとまりになるようだ。


「とういうことは1枠100個で999999種類がアイテムボックスに入るってことか。同じものなら99999900個持てるってこと・・・?もうチートじゃない?」


ハジメは思わず呟いていた。


次の項にはスライムを倒そうとあったためどうしても戦いはあるのだ。それよりも始はスライムっているのか、ようやくファンタジーって感じだなと思っていた。そろそろ移動しないといけないと考えた始は立ち上がった。


「スライムってどっちかだよなぁ。打撃に強くて弱くないか、弱いか。中間がないよなー」


 立ち上がると木の裏からぽよーんとした緑色のまん丸が飛び出してきた。


「気持ち作った途端に初バトルか。神様ありがと」


 とあきれ気味に呟き右手に石を握った。


「とりあえず、石投げてみるかなぁ。弾かれたら魔法にしてみよう」


右手に握った石をスライムに向かって思いっきり投げてみる。ビシャッと石が水面に落ちたかのような音を立てスライムの中にめり込んだ。瞬間ブルッとスライムが震え白い光に包まれ消えていった。残ったのは投げた石と緑色の小さいスライムのようなプヨプヨしたものであった。

始は石をアイテムボックスから出して握り近づいてみた。ぷよぷよしたものは動かない。そっと右の人差し指でつついてみるとぷよんと素敵な感触であった。始は数分つついてその感触を味わった。


「・・・満足」


と呟くと左手にハンドブックが出現した。3項目を見るとやはりスライムを倒そうの横にClear!の文字が出ていた。

その下に『戦利品をアイテムボックスに入れよう』と出ていた。始はつついていたぷよよんを持つ。


「あ、鑑定使えば良かったのか・・・」


<鑑定(エクスピニオン)>


スライムゼリー:スライムの遺体。火に弱く溶けてしまう。冷めると固まる。冒険者ギルドに売ると100S 商人ギルドに売ると110S


「鑑定って便利なんだな。この価値っていつのものなんだろ。今現在なのか、それとも以前のものなのか良くわからないなぁ。街についたら確かめてみよう」


現在一人で行動しているため、独り言に歯止めがかかっていない始であった。

始はアイテムボックスにスライムゼリーを入れた。始は取りあえず目の前の草原を目指すことにした。人が住むのであれば水の近くで平坦な場所が選択されることが多い。これは地球の歴史上においても言えることである。エジプト・メソポタミア・インダス・黄河も河の近くに人々は住み歴史を作ってきた。

この池を水源とするならば近くに人が住んでいるはずであった。そこでまず目前の草原を目指すこととしたのである。


現在の時間は太陽の順行が地球と一緒であるならばおよそ昼前頃。昼食の準備が行われているのであれば料理中の煙も見える可能性がある。


「まぁ、1日3食ならの話だけどな。よくある話だと1日2食とか1食だと夕方近くにならないと目印にはならないだろうけど。どちらにしても売れるものを準備して行かないと。下手したら街の中入れないかもしれないしなぁ」


と呟いた。ネット小説の知識であった。


歩き出す直前に左の草むらが揺れる。そこから白いウサギが出てきたのである。敵は次々に出るようである。


<鑑定(エクスピニオン)>


バトルラビット:戦いになれた兎。後ろ足で立つことができ、格闘技を使用できる。


「取りあえず石投げてみるか」


と投げつけるとバトルラビットはすくっと立ち上がり右手で向かってきた石を殴った。石は軌道を変え木々の中に消えていった。


「・・・マジか・・・」


としか言えなかった。慌てて始は右人差し指をラビットに向ける。


<灯火(リルファイ)>


指先で野球の硬球程度の大きさの火を作り打ち出す。ラビットは再度右手を後ろに下げ火球に向かい正拳突きを放つ。右手は少し焦げたがラビットの前で火球は消えてしまった。


「・・・マジか・・・」


ハジメは2度同じ言葉を呟いた。

ラビットの口元が右に少し吊り上がった気がした。瞬間かなりのスピードで始に向って駆けてきた。距離を2/3詰めるとすぐに体を丸め始の腹部に体当たりをしてきた。


「ぐっ。ラビット強いじゃないか。初期魔物じゃないな」


体当たりにより後ろに下がり前屈みになった。ラビットの口元が再度開いた。また体当たりが来ると予想し直進してくる攻撃を把握し、なんとか回避した。ラビットが体勢を整えるまえに魔法を放つ。


<爆裂火(エクスプロファイ)>


 右人差し指に集まった火は野球の硬球程度の大きさになる。それを俺は打ち出す。ラビットは再び右手を後ろに下げ火球を迎える。目前に迫った火球に右手を打ち出す。インパクトした瞬間、赤い花を咲かせる。ウサギは白い毛を黒くしながら背後へ飛ばされ木に当たりその木元へ落ちた。

始は右手に石を握り近づく。まだ辛うじて息はあったがすぐに白い光に包まれその後に白い鞣革(なめしがわ)を残して消えた。始の荒れた息遣いが静かに響いていた。


<鑑定(エクスピニオン)>


ラビットの鞣革:ラビットの皮を鞣したもの。人々の服や冒険者の鎧として利用される。1枚では何も作れない。冒険者ギルドに売ると500S 商人ギルドに売ると550S


結局森を出るまでにスライム3匹、ラビット3匹を倒した。出発して2時間後森を後ろに草原に出たのであった。


「・・・生きる延びるって大変だな・・・」


草原の風が始の髪を掻き上げていた。


ハンドブック 1項目目


1-1.ステータスを見よう!:Clear!


1-2.枯れ木に魔法(火)を使ってみよう!:Clear!


1-3.体を動かしてみよう(歩く、走る、泳ぐ)!:Clear!


1-4.アイテムボックスに物を入れてみよう!:Clear!


1-5.アイテムボックスから物を取り出してみよう!:Clear!


1-6.池に魔法(水)を使ってみよう!:Clear!


1-7.地面に魔法(土)を使ってみよう!:Clear!


1-8.空に魔法(風)を使ってみよう!:Clear!


1-9.失伝魔法を使って後悔してみよう!:Clear!


1-10.スライムを倒そう:Clear!


1-11.報酬:鑑定

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