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神々の依頼、面倒なんですけどっ!  作者: はなを
第2章 ポーショントラブル
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片付けをするみたいです

「くそっ。人間風情が何をするんだっ。離せっ!」


とエルフのアランが髪の毛を振り乱しながら叫ぶ。


「エ、エルフ・・・・。町長を呼んでくるんだっ」


警備隊の隊長らしい人物が叫ぶ。それを近くに居た夫婦が指さし


「こいつよ。火を放ったの」


と言うと警備隊隊長は大きくため息を吐きながら


「冒険者ならまだいいんだが・・・」


と小さく呟いたがアベルは


「残念だが、こいつは冒険者じゃないぜ」


と追い打ちを掛けた。



数分後、町長のウォールが慌てた様子でやってきた。そしてアランを睨むと警備隊へと


「冒険者ギルドへ連れて行ってください。ギルド長には既に話が通っています」


と冷たく言い放つ。アランに向かい、


「久々に私の()()()を使わなければならないようですね。せいぜい首を洗って待っていなさい」


と言うと警備隊によって引っ張られていった。それを冷たい視線で見送ると


「本当に住民の皆さんすみません。ご迷惑をおかけしました。こちらの件は私が責任を持って対応いたします。子細が判明次第ご報告させていただきます」

言った後ハジメたちに向かい再度頭を下げる。


「ハジメさんにはご迷惑ばかりかけてしまって・・・・。リナリーさんとコウ君には危ない目に合わせてしまい本当に申し訳ありません。お怪我は大丈夫ですか?」


と心配そうに2人を見る。2人がウォールの冷たい目に恐れながら頷くのを見るとそこでようやく安堵したような表情を浮かべる。


「もし、体調の変化があれば何でもすぐに私へ知らせてくださいね。馬鹿エルフどもに制裁加えますから」


目が、目が絶対零度のような冷たさを湛えている。いつもウォールは温厚な表情をしている印象が強かったが、やはり温厚な人を怒らせると危険ということを改めて思った。


「取り調べでどうやって街に侵入したのか調べるようにいたします。ハジメさんには被害の報告をお願いしたいのです。多く見積もってください。全てあいつらに弁償させますので。それと家が建つまでは宿にお泊り下さい。その費用は不要ですので」


と言い、再度頭を下げてその場を後にした。


「おぉー。久々の『氷情(ひょうじょう)の拷問師』登場だな。あの顔は俺でもおっかないわ」


「・・・氷情の拷問師・・・?」


とやや呑気そうに呟くアベルに向かって問う。


「・・・あぁ。ハジメは知らなかったか。町長の異名『氷情の拷問師』って言うんだ。あいつが町長に就任してすぐの頃に大火事がこの街であってな。1か月かけてなんとか犯人を確保したんだがなかなか犯行を認めなかったんだ。そこで表情を凍らせて淡々と拷問を行いたった2日で犯人の心を折り、自供させたことがあってな。その冷たい表情とかなりな拷問の仕方で、その場にいた人々によってそう呼ばれるようになったんだ。因みにその場にいた人は拷問方法は言いたがらないんだよ・・・。それからこの街では新しく建つ家は建物同士を10m離すことになったんだよ」


とアベルはウォールが去っていた場所を眺める。


「マジか・・・」


とハジメは思わず呟く。この街の長と付く人たちってなんでこんなに濃いんだろう・・・と思わずにはいられなかった。


「・・・ハジメ、こりゃ見事に焼けたな・・・」


とアーヴィン夫妻がやってきた。木材を扱っているアーヴィンは火の粉が降るのが終わるのを待って手伝うために来たとのことだった。


「アーヴィンさん、シラトさん。なんとか皆さんのおかげで」


と言い、消火を手伝ってくれた人にポーション(改)2種と傷クリーム(改)を一人各1個づつ手渡し頭を下げ感謝を伝える。


「リナリーちゃんもコウちゃんも服を着替えないとね。うちにいらっしゃい。何着かあるから」


と裁縫師のシラトが2人に告げる。ハジメはシラトにお礼を言ってお金を渡そうとしたが、拒否される。


「こんな時はいいのよ。私たちは店に材木があるからすぐに来れなかったからお手伝いも出来なかったし。これから建て直すのにもお金必要よ」


と笑顔で言う。ハジメは感謝し2人をお願いしますと伝えリナリーとコウはシラトの家に一緒に向かった。現場に残ったハジメに皆は片付けを手伝うよと言ってくれたが、畑や精霊、調剤室のこともあるので、今日の所は確認作業に徹するということを伝えると、皆


「明日から手伝うよ」


と言ってくれた。本当に感謝しかないと思った。ハジメは急いで裏庭に向かう。裏庭へ続く柱と扉だけ不自然に綺麗なままである。ハジメが扉を開けると前で精霊たちが息を切らしながら座り込んでいる。


「「「ハジメー」」」


3人の精霊がハジメに抱きついてくる。


「ごめんね、畑を守るだけしかできなかったの・・・力が弱くてごめんなさい」


と言う。


「大丈夫だよ。3人は家族だから無事ならいいんだよ。無理しないようにね。危なかったら絶対に逃げるんだよ」


と3人の精霊の頭を撫でながら優しく話す。水の精霊の藍は畑を火から守る為に水の膜を張り、風の精霊の舞は火が回りに着かないように風で保護し、土の精霊の航は土中の熱が畑に移らないように守ってくれいた。それにより畑は無害であったのだ。ハジメは3人を抱き抱え、頑張ってくれたことに感謝を伝え、ゆっくり休むように言う。3人は疲れたようでハジメにだっこされながら眠りについたので、3人のお気に入りの精霊の木の下まで運ぶとそっと草のベッドに寝かせ、もう一度頭を優しく撫でる。


「3人の部屋も作ってあげないとな」


その後家に戻り焼けた部分を見回るが火種は無いようだった。2階部分は全て焼け落ちており、1階からは青空が覗いている。次に調剤室への階段は石で出来ていることもあり、焦げてはいるが問題はなさそうであった。調剤室も熱くはあるものの特に問題はなかったが棚と調剤机は熱で炭化しており、交換が必要のようだ。

その他はほぼ焼け落ちており使えそうなものはなかった。薬草や水など大切なものは持ち歩くというハジメの癖でアイテムボックスにほぼ入っており無傷であったことは幸いである。


リナリーとコウはまだ帰ってこないであろう。ハジメは取りあえず燃えカスなどのゴミを集めておくことにする。


塵収集(ギャザベイジ)


と範囲を家があった場所を範囲と指定すると、焼け落ちた破片などがハジメから1mほど離れた場所に集まり、山を形成した。ところどころ焼け残った床があるが7割方地面が見えている。そして地面に2つのサイドアイテムボックスが無傷で残っていた。神様がくれたものだしそりゃ無傷だよなと思い、2人に返すためにアイテムボックスに仕舞っておく。


「しかし、まぁ、こうも地面が露出するなんてなぁ。こりゃ土台から建て直しだな。どうせ建つまで店は出来ないから何しようかなぁ」


そういいつつ集まったゴミの山に向かい


塵破棄(ディスベイジ)


と唱えるとすとんと落ちるようにゴミが消えそこにはブラックホールのような黒い穴が開いていた、ゴミが消えると一瞬で穴は消えていった。


「建築屋さんって知らないんだよなぁ・・・アーヴィンさんにリナリーとコウを迎えに行く(ついで)に教えて貰おうかな」


と独り言を言い、アーヴィンの家具屋へと向かった。その後2人を連れ宿屋に泊まる。次の日元家があったところまでくると近所の人が手伝いに来てくれておりハジメたちは夕方までかかりなんとか解体を終了させることできた。


そして次の日建築屋にて新たな家の依頼をした。家の土台として石を使用することにしてお風呂を一回り広くして貰う以外は以前と同様の作りにした。

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