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神々の依頼、面倒なんですけどっ!  作者: はなを
第2章 ポーショントラブル
30/172

心配されるみたいです

平和な時間が1週間経ち、破裂草も十分に育った。アベルから鉄丸も出来たと連絡もあり、破裂丸を作ってみることにした。いつまでも小石では心もとないと思ったからだった。ハジメは鑑定で確認しながら破裂草を潰し始めて10分程で火薬のようになってきた。鑑定によると乾燥させて初めて破裂するらしいからまだ爆発などが起こる可能性は低い。


ハジメは中心部に鉄丸を5つ入れ団子を作っていく。10分程で1個完成させることができた。2時間少々の時間で20個の破裂丸を作り上げていた。ハジメはアベルに500個の鉄丸を追加依頼すると「簡単だから今日中に出来るぞ」と言われた。ハジメは出来たら店に連絡してもらうように伝えると、


「弟子が納品しに行くからな。お前は店も開店させているんだから、店番2人なんだろ。近所だし気にするな。あ、もし鉄とか見つけたら持ってこいよ。お礼として受け取るからな」


とがははと笑っていた。「湿地帯に向かう予定だから鉄は取れないと思うんですが」と言うと「冗談だから真に受けるな」と言われた。ありがたいことだ。


ハジメは破裂丸の効果を確かめるために街の外に向かった。

イブの街は西に行くと森と池が、東に行くと海岸が広がっており海岸にそって北に進むと火山があり、温泉が湧いている。南に下がると沼地が広がっていた。ハジメは温泉にひかれつつも近い湿地帯を目指してみることにした。


 東に向かい2時間ほど歩くと海岸線が近くなるからか潮の香りがう。この湿地帯を抜ければ海岸線に出るのだ。肌に(まと)わりつくような懐かしい感じがハジメを包む。ハジメの出身は山と海に囲まれたところであった。そう離島だったのである。


湿地帯までの中間位置まで来ると眼前に小麦の海が広がっていた。ハジメが歩いていた道は3方向へ伸びている。そこをまっすぐ行けば湿地帯へと続いている。因みに北へ向かうと火山帯や南へ向かうと沼地へと続く。街からここまでくて南北へ進むと遠回りになる。小麦の穂が風に揺れている様子はちょっとした本の一節を思い出すかのような光景であった。ハジメはその道をまっすぐ進んでいくと30分ほどで小麦の海は終わり、木々が増え、足元は草に覆われ、地面はぬかるんできた。


「「「「「ちゅー」」」」」


と言う声がし、草むらが揺れるとハジメの膝辺りまであるネズミが5匹出てきた。ハジメは慌ててアイテムボックスから破裂丸と小石を取り出す。


ネズミはその間に距離を縮め2匹はハジメの上半身目掛けてジャンプし、残り3匹のうち2匹が左足に噛みついた。1匹は指揮を執っているかように様子を見ている。ハジメは両手でジャンプしてきた2匹を払い、左足をめちゃくちゃに動かしなんとか引き剥がすとネズミたちはすぐに集まり再度5匹でフォーメーションを取った。見た目に騙されてはいけないくらい賢い。


ハジメは再度攻撃態勢を整えているネズミたちに向かい破裂丸を投げた。その場に丁度あった石に当たったような音がしたかと思うと、バーンと爆竹をならしたような音が響いた。その瞬間2匹のネズミが後ろに飛ばされて光に包まれた。その一瞬を逃さずハジメは小石を2つ投げる。狙いは指揮を執っているネズミにした。組織的に攻撃されると厳しいと判断したのだった。小石は狙いたがわず指揮官ネズミの頭部を打ち抜き、光に包まれた。


残りのネズミは2匹になっている。戸惑っているような様子を見せているためここで畳みかけることにした。ハジメは破裂丸を2匹の間に投げたがそこにあった水たまりに落ちポスっという頼りない音しかしなかった。


「もしかして湿った場所では破裂しないってことか」


とハジメは舌打ちをした。小石を出そうするが1匹のネズミがハジメの顔目掛けて鋭い前歯で襲い掛かる。ハジメは慌てて取り出した小石をネズミの口の中に向かって投げた#つもり__・__#だった。飲み込まれた瞬間、ボンという音が響きハジメの真横をすれすれで鉄丸が通り過ぎ地面の奥まで刺さっていったのが見えた。当たれば軽症では済まなかったであろう。ハジメが頭を上げると丁度ネズミは光に包まれ、消えていくところだった。最後の1匹はいつの間にかその場から立ち去っていた。


「破裂丸だったのか・・・。それにしても、凶悪な武器だな・・・・」


ハジメは破裂丸をまじまじと見つめていった。

体内に入ると凶悪なまでの破壊力を生み出すのだが、ただ近距離で使用するにはリスクが大きい。今回もたまたま当たらなかっただけで、下手をすれば大怪我を追うこともあり得たのだ。

ハジメは一息()くとネズミの落としたものを回収し始めた。前歯が2個と尻尾が2個を得てアイテムボックスに入れると立ち上がった。


帰ろうと思って踵を返すと正面に熊が居た。ばっちりと目があい、ハジメは倒れそうになるが熊は逃がそうとする気はないかのように、両足で立ち上がり大きな口を開け威嚇してきた。


「なんで湿地帯に熊が出るんだよっ」


とハジメは叫んでいた。しかし従業員2人を置いて死ぬわけにもいかないため、湿地帯を走り逃げつつ小石を投げていたが効果が分からない程だった。ハジメは追いかけてくる熊の真横に向かって破裂丸を投げる。バーンという音が上がると熊の足が止まった。偶然石に当たったらしい。ハジメは対峙すると熊はガーっと吠えた。その瞬間にハジメは熊の口の中へ破裂丸を投げた。ボンっと音がし熊はゆっくりと仰向けに倒れていった。ハジメは光に包まれるであろうと思い、ドロップ品を手に入れようと近づくと、熊は最後の力を振り絞ってハジメに向かい右手を下ろした。ハジメはバックステップで避けようとしたが、躱しきれず胸を爪が掠った。血がばっと飛び散り、激しい熱さがハジメを襲う。


「熱い、熱い・・・・」


ハジメが周囲を転げ回っているのを熊は見てにやりと笑ったような気がした。その瞬間光に包まれた。

ハジメは10分程転げ回り、ハジメが自分の死を認識したとき、ようやくアイテムボックスから体力ポーションを取り出せばいいことに気づいた。ポーションの半分を傷にかけるとシューッと音を立てながら痛みが引いていった。傷からの感染が怖かったハジメは残りを飲み干す。10分程経つと痛みと傷は嘘のように無くなっていた。服の傷が実際に危なかったことを現実としていた。


「この世界って本当に死が近い・・・・」


ハジメは夕方近くに街へと帰ってきていた。服が破れているため広場で服を買って家に帰った。


「ご主人様お帰りなさい・・・どうしたんですか、その服!」


とコウが出迎えてくれたが服の正面がボロボロになっているのに気づき近づいてきてハジメの上半身を露わにする。その声にリナリーにもエプロン姿で出てきて慌てて始めた。


「教会へ行きましょう。直ぐに!」


どうやらここでも例に漏れなく治療は教会の様だ。自前のポーションを使ったから傷は何もないし、痛みもないことを伝える。

丁度その時裏口を開け、鍛冶屋のアベルが入ってきた。


「・・・お前らは夕方から何をやっているだぁぁ!」


と大声で怒鳴った。ハジメが上半身裸でコウとリナリーは両手で胸に触れている状況であった。ぱっと見た感じ見間違うかもしれない。ハジメはアベルとコウ、リナリーに今日起こったことを話した。コウは


「危ないことはやめてください」


と言い、リナリーは


「ご主人様、私は今とても幸せなんです。盗賊とはいえ人を殺し、間違えて混乱して襲ってきた一般人を1人殺してしまいました。そんな私がご飯作ったりできる。何より笑えて、それをご主人様が喜んでくれる。人殺しの私には過ぎた幸せを感じているんです。だからどうかご自愛ください。」


と言い切りハジメに抱きつき泣き始めた。ハジメはリナリーの頭を撫でて、


「ありがとう」


と幸せな気分で呟いた。それを見ていたアベルは


「お前は自分のポーションについて知らないようだから、少し話してやろう」


と言いダイニングテーブルに腰を下ろした。


ハンドブック 7項目目


7-4.破裂草を採取しよう:Clear!


7-5.破裂丸を作ってみよう:Clear!


7-6.破裂丸を使ってみよう:Clear!


7-7.ネズミを倒してみよう:Clear!


7-8.熊を倒してみよう:Clear!


7-9.体力ポーションを使ってみよう:Clear!


7-10.熊のドロップ品を回収しよう:Clear!


7-11.報酬:サイドアイテムボックス2個

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