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吾輩は神によって殺され悪魔の手によって過去に蘇った  作者: 赤い獅子舞のチャァ(実際の人物及び団体とは一切関係在りません)
大戦英雄記

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番外編 一知花

一知花ちゃんの番外編です。

番外編・一知花

-一知花-

5年前、私は攫われ、父によって救い出されました。

ですが、その父は、私を部下の方に委ね、決着を付けると言い残しこの世を去ってしまった。

私の所為で、父はこの世を去ってしまったのです。

私の大好きな父は、私が殺してしまったようなものだと思う様になり、あれ以来部屋に引き籠って居りました。

母は私の所為で父が居なくなったのだと私を責めました、私も十分に辛い思いをしましたが、父が帰らぬ人となってしまった所為で気を病んでしまった為でした。

お陰で母とは確執が生まれてしまいました。

幼い弟修輔は、私の事も母の事も懸命に励ましてくれましたが、私は、年端も行かない彼の懸命な姿もいたたまれず、母へも顔向けが出来なかった事も部屋へ籠る原因でした。

妹美樹が生まれた時も、私はこの部屋に籠りきりでした。

美樹は恐らく、私の顔も知らずに育った筈でした、しかしその美樹が、今日、私の部屋の戸を叩きました。

そして、お父様の残した手紙が見つかったと言い、戸の隙間よりその手紙を差し込んで行きました。

顔も見た事の無い姉の為にお父様より私への手紙を届けてくれるなんて、良い子に育ったようです。

あとひと月程で満11歳にもなろうと言う私がこのように引き籠って居るのはどうなのだろうと考えさせられました。

お父様の残された手紙が出て来るなんて、きっとお父様が見守って下さって居るのだろう、そう思い手紙を開封しました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

一知花へ

吾輩の娘よ、君がこの手紙を呼んで居ると言う事は、恐らく吾輩は既にこの世には居らぬのだろう。

だが気に病む事は無い、この手紙が出て来る、それは吾輩しか解らぬ所に隠した書斎や金庫の鍵が出て来たと言う事だ。

つまり、吾輩は新たな肉体へと転生を果たして居ると言う事だ。

〈え?どう言う事?お父様が新しい体に・・・とは?〉

この先に書かれた文章は、極一部の者以外には秘匿されて居るので他言してはならない。

その極一部とは、陸軍諜報部の服部 浩江殿、当家の執事ベル、アメリカ大統領ルーズベルト、金庫職人の浅尾(あざお) 盛隆(せいりゅう、空軍教育隊隊長の麻門(まもん) 一郎(いちろう)、第23機甲科師団の副長の猿賀(さるが) 多那助(たなすけ)、この六人は吾輩の古き友人で有り、同時にその正体は宝船神宮に祀られた七福神の内の六柱、それぞれ、大国天、恵比寿天、福禄寿、寿老神、布袋、毘沙門天なのだ、信じられぬかも知れんが吾輩は彼らの加護の為にこの世を去った後直ぐに親族の何れかへの転生を約束されて居ったと言う訳だ。

〈え、神様が古き友人? お父様も神様だとでも?〉

そして恐らく、吾輩も彼等の策略で、今頃既に宝船神宮に、何らかの神と同一化して祀られている可能性も有る。

(と言う事は私の知って居る当時のお父様は未だ神様では無いと言う事で合ってますわよね?)

つまり、君がこの手紙を見て居る頃には、吾輩も憑代を得て顕現した生き神と言う事になるのだろう、多分だが。

その上で敢えて、改めて謝罪をさせて欲しい、あの狂人の魔手より守り切れなくて済まなかった、レーニンは、吾輩と敵対する勢力によって生み出された転生者にして、今より数十年未来の世界大戦の渦中にその名を馳せた戦略政治家スターリンの参謀、狂人べリアを遡って転生させた云わば化け物であったのだ。

そう言う面では、吾輩も100年以上先の未来に生まれた科学者であったが、戦争の歴史を生産せよとの命を受け過去へと転生を果たして居るのである意味化け物なのかも知れん。

だが吾輩は愛しい娘である君の味方である故、智天使の加護を受けた超速思考により君とこの国の何方も助けようと幾度も計算を巡らせたのだが、君を無傷で助けるとこの国の国民一億数千万が犠牲になる結果しか見いだせなかった、吾輩の使命を果たす為にそれは出来なかったのだ、済まない。

どちらも救い出す為には、あれが最善としか言いようが無かったのだ、君を犠牲にしてしまい、傷付けさせてしまった、申し訳ない。

君の心の傷は相当な物であろうと思うし、吾輩にも計り知れない。

本当にすまなかった。

そして、君は、吾輩とは違い、神以外との繋がりが強いのでは無いかと思う、君の名は寺院にて姓名判断を頼んだ名である、もしかするとその時すでに神より仏との繋がりが強くなってしまったのでは無いだろうか。

もしそうで在るとしたら、神と同一化をした後であろうと、君の為に仏に祈り経を唱えても良いとさえ思って居る。

君がそれで救われるのならば、仏門に入り出家する道を君が選んだとしても吾輩は父として見守りたいと思う。

恐らく君は今、その深い心の傷によって自らの心に殻を作ってしまいその中へと閉じこもって居たのでは無いかと思うが、自分を信じて一歩踏み出して欲しい、それが父と道を違えようと、父はそれを見守って居ると思ってくれ。

父はいつも近くで君を見守ろう、転生を果たしたとしても、ずっとだ。

愛しているよ、我が娘一知花。

〈お父様・・・私は、一知花は、もう迷いません、そして恐らく、妹の美樹こそが、お父様の生まれ変わったお姿なのですね。〉

そして私は、自室の鍵をそっと開けた。

「お母様、今までご心配おかけして申し訳ありませんでした。」

「い・・・一知花・・・。」

私の姿を目視確認したお母様はさめざめと涙を流しました、親不孝をしてしまったようで申し訳が立たなかった私は、お母様を誘い大浴場で御背中をお流ししようと思った次第でした。

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