再転生
第二部、序章です、一寸 第一部最終話で納得の行かない所が有る方が居たと思いますが、ここに書くつもりだったので許してね、って言うか、本当は同時にアップするつもりで用意してたんですが手直しする所が何カ所か有ったもので遅れちゃいました。
後、一寸他の作品がもう少し力入れないとな状態なので少しの間更新お休みします。
今一つな作品なので今更どうこう出来るか不明ですが頑張ってみようと思ってるので・・・(汁
再転生
-長い眠り-
俺は、べリアを道連れに死を迎えた直後、次の転生の為の期間、ずっと夢を見て居た。
その夢は、あの六年間、睡眠を取る度に幾度も見せられていた夢と概ね同じ内容、俺が一知花を救えばべリアを殺せず日露戦争は激化してそのまま世界大戦に発展すると言う、ケルビムの未来予測によるシミュレーションに、思考加速をフル活用して幾度も抗う。
しかしある時は一知花が攫われないよう保護すると、べリアに逃げられ。
一知花を誘拐された直後に奪還すればべリアの尻尾すら掴めなかった。
またある時は、一知花が誘拐された直後に先回りをしてモスクワを壊滅させれば、救出が間に合わずモスクワに帰投した誘拐実行者と共にモスクワの汚染された空気に寄って一知花も死んでしまう。
生きたまま救出するとべリアは死なず、俺と言う最強開発者を失った日本は国力差で徐々に押し返され、結局最終的に各国に飛び火した戦火が大戦に発展する。
両立が不可能であった事実と、べリアをこの手で倒したい思いや日露戦争を終わらせたいと言う思いが強かったが為に一知花を犠牲にしてしまった自分への罪の意識に苛まれ続けると言う物だった。
だが、繰り返すその夢にはケルビムや大黒天、クロノスが最終的に現れ、
「一知花は既に何者かに魅入られて居りその為に確定した運命に既に捕らわれて居たのだ、お前のせいでは無い。」と励まされて居た、そう、何度も何度も。
だがそれでも俺は、娘をあのべリアの魔の手より助け出したかったのだ、どんな手を使っても。
しかし一知花だけ救えても意味はない、俺にもっと力が有れば、何度もそう思って居た。
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そんな夢を幾度繰り返し見ただろうか、ある時その夢の内容が変化した。
ケルビム達が励ましに現れるタイミングで、誰も現れず、代わりに低いが良く響く、神々しさすら覚えるような声が響いたのであった。
『力が欲しいか?』
勿論、俺は縋る様に答えたのだ、「欲しい、全てを救える程の力が欲しい。」と・・・
その声は、俺の思いに答えるように、彼自身の名を名乗った。
『我が名は素戔嗚、その願い、しかと受け取った、お主の覚悟は既に見せて貰った、我が力を使う資質があると認めよう。』
「何故あなた程の方が、俺如きにその大いなる力を貸して下さるのです?」
『お主は自分の魅力に気付いて居らぬようだな、周りを今一度よく見よ、悪魔や天使までもがお主に魅せられ協力して居るでは無いか、そして我もまた、お主に託して見ようと思うのだ、抗うが良い、我が力を存分に振るうが良いぞ。』
そんな事を言われても、自分自身にそんな魅力が有ったら、平成の時代に生きた時にとっくに結婚出来て居てもおかしくなかったのでは無いか?等と思ってしまう。
そんな思考に捕らわれて居ると、七福神となった七悪魔とケルビム、そしてクロノスが、大爆笑する。
その笑われたのが悔しくて飛び起きた。
何処と無く見慣れた天井、そして上から見下ろす男の子、いや、この顔は恐らく我が息子の修輔だ。
「母上!起きたよ!美樹が起きた!」
ん?・・・美樹?って誰だ?
何だか頭が未だぼんやりしている、長い夢を見て居たせいだろうか。
すると、俺に同化して居るケルビムが状況説明を始めた。
『お前が寝ている間、私が代わりに新しい体を使って居た、今のお主は修一でもその前の隆司でも無い、美樹だ。』
もっと詳しく説明して欲しい、大雑把過ぎるよケルビム。
『すまん、詳しくはお主が起きるまでの5年間の記録を我なりに編集した記憶を渡すからそれで理解しろ、とにかく今のお主はもうすぐ満5歳の美樹だ。』
直後、5年間の記憶が流れ込んで来る。
普通これだけの情報量が一機に流れ込んで来たら大混乱であろうが、ケルビムの持つ権能の思考加速のお陰で一瞬に流れ込んでくる記憶を全てうまく整理できていた・・・待て?
おいケルビム、お前の思考加速でもこれ程の処理能力あったっけ?
ケルビムがクスクス笑っている気がしたが答えは帰って来なかった。
それにしてもケルビムよ、受け取った記憶には生後3年目迄の物が無いようだけどそれってどうしたの?
確かに初めて転生した時は生まれた瞬間から意識があったおかげでかなりへこむ結果になったけど・・・
『いや、人として生まれるってこう言う事だったのだな、良い体験をさせて貰ったので3年間の記憶は我が貰っておくよ。』
そこには答えるんかこいつ・・・まぁ良いけど、又そんな記憶見せられるのも痛いしね。
それにしても、俺が起きそうだからって木登りしてわざと落ちたりしたんかいな、その演出必要だったか?
「美樹っ!良かった~!」
元、妻だ。
「お、お母様、御免なさい。」
そして、あの当時まだ腹に居た3人目、それが今の俺、いや、女の子になってしまったので何を一人称にしようか・・・
俺の中では、吾輩であったり俺であったり・・・う~ん、あたしとか私ってちょっとムズガユイぞ・・・
そうだ、僕にしよう。
「もうあんな危ない事をしてはいけません。」
「はい、御免なさい。」
ケルビムから受け取った記憶によれば、一番心配だった一知花は、すっかり引き籠ってしまって居るらしい、可哀そうな事をした・・・
だが、生きてさえ居れば何とかなる、人は様々な事を乗り越えて生きて行くのだから。
事実、僕が1歳2歳の頃の記憶も一部受け取って居たが、それはもう一人心配だった母に関する記憶だったのだが、やはりかなり病んで居た様で、幾度かリストカットや睡眠薬の過剰摂取で病院に担ぎ込まれては居た様だが、修輔が幼いながらも母を支え、励ましてきた結果、今の状況まで回復したようだった。
一知花の心に受けた傷の深さからして何年掛かるかは判らないが、僕が妹として姉を癒し励まして行くしか無いだろう。
そう言えば、夢で素戔嗚尊が僕に力を貸すと言うような事を言って居た気がするんだけど・・・PTSDを治療出来るような力とか無いんだろうか?
しかし恐らく、僕の予測が正しければ、人間の心は神が作り給うた当初よりずっと進化し複雑になって居る筈である、それを完全に治せるかと言えば、恐らくはNOだろうと思う。
自己修復の領域にその修復の大半を任せるしか無いだろう。
今は、僕が木登りをして落ちたからと言って北里柴三郎君がわざわざ診察に来ると言ってヘリで移動中なのだそうだ、何とも過保護な母と元僕の知人達である。
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北里柴三郎氏が到着した。
「寛子ちゃん、お待たせしたね、美樹ちゃんは何処ですか?」
「寛子、美樹は?」
何故か益田寛子の父、村上格一海軍大将までもが出向いて来て居た。
「お爺様、お久しぶりです。」
「おお、しばらく見ない内に又大きくなったな、修輔。 たまたま内閣へ用事があって東京府に来ておった所に連絡が有ったのだ、可愛い孫娘が怪我をしたとあっては来ん訳には行かぬだろう。」
部屋を開けると、思いの外元気そうな美樹に格一も柴三郎もホッと胸を撫で下ろしていた。
「美樹、元気そうで何よりだ、じいじをあまり驚かさんでくれよ。」
「美紀ちゃん、柴三郎おじさんにちょっと診察させて下さいね、すぐ終わるからね~。」
なんともはや、男に生まれて来るのと女に生まれて来るのでこれ程までに待遇が違うものとは思いも寄らなかった。
きっと、良く言われるように蝶よ花よと育てられるのだろうな、僕が一知花にそうしていたように。
それにしてもまさか自分が、三人目の子に生まれ変わるとは思っても居なかったし、しかもそれが男では無かった事にかなりの衝撃を受け、そして大分ショックである。
「ハイ、もう良いよ、診察終わり。」
「先生、どうでした?」
「うむ、一寸タンコブが出来ているけども、首を痛めた感じも無いし、問題は無いよ、木から落ちたって事で下が土だったから大した事に成らなかったんだろうね。」
「良かった良かった、だが一寸お転婆が過ぎた様だね、もう少し女の子らしくするのだぞ、美樹。」
「御免なさい、お爺様、でも僕、剣術もやりたいし、お父様の後を継いで研究者に成りたいの。」
「「「ぼ・・・僕!?」」」
「何か可笑しいですか?」
北里君、寛子、お父上の3人は僕と聞いてぎょっとした。
しまった、ケルビムが代わりに出て居た時はあたしって言ってたんだったな、今まで、だが僕は僕なのだ。
「うぅん、何か心境の変化か何かでしょう、問題は無いと思うよ、それじゃ私はこれで。」
「あ、先生、せめてお夕食を食べて行って下さいな、ご用意させて居ますので、こんな時間に来て頂いたのですし。」
「そうですか、寛子ちゃん、それではご相伴に預かって行きます。」
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とまぁ、意識を取り戻して早速ひと騒動だったが、二回目の転生先は自分の娘・・・か。
さて、これからどうしたものか・・・
皆さんのご意見、ご感想などお待ちしております。
後、良かったら評価もお願いしますね。




