空母 桜島
日露戦争は史実以上のロシア軍の物量作戦のお陰で物資不足の日本は宣戦を維持するのがやっとであった、そんな中、空軍構想が現実の物となる・・・のだが。
空母 桜島
1903年 6月
国内各所に同時進行で建設中であった空港が次々に完成していた。
と、同時に、吾輩が兼ねてより提唱して居た空軍構想が現実味を帯びて来る。
その反面、日露戦争は現在、日本の弾薬の供給量不足で平行線を辿って居た、だがこれも来月頃には合衆国からの物資供給が始まる為に解消されるだろう。
非常用の石油の採掘場にも目途は付いて来たので、安定した兵站を確立出来るようになって行くと思う。
因みに今日は又、皇居へと招かれていた。
「良く来たな、修一。」
「陛下の呼び出しでは来ない訳に行かないですよ、忙しかったですけどね。」
「まぁそう言うな、今日はお前の夢を叶えてやろうと思って呼び出したのだから。」
「小官の夢、でありますか?」
「そうだ、空軍構想を考えて居ったろう?」
「成程、その事ですか、着実に現実に近づけてますよ、空港も各所に設営が完了しつつありますから。」
「そうなのだがな、空軍と言う概念が今のこの国には無いのだよ、そこで一つ思いついた事が有るのだがな?」
「何でしょうか?」
「お前が空軍提督に成らんか?」
「は? あの、小官には技術開発省が・・・」
「うん、それは良く解ってる、だがな、お主の副官の・・・何と言ったかな・・・」
「井上少佐ですね。」
「おお、そいつだそいつだ、奴がかなり育って来て居るだろう?」
「そうですね、最近では彼が研究中に偶然発見した方法で新しい物を生み出して居たりもします、最近ではグラスファイバーやカーボンファイバー、コレステロール誘導体なんかの新素材が彼によって発見、生み出されてます、小官の理論を基にしては居りますが、彼は偏りが大きいですがある方向に対しては特に強い感じですね。」
特に重要な物がカーボンとグラスファイバー関連で、これの研究が進むと丈夫な糸等に利用出来、漁業の発展につながるので食糧事情も改善出来得る、勿論それだけでは無い、応用して行けば軽量で丈夫な、自転車や航空機のフレーム、ボディー等にも使える夢の新素材なのである。
勿論コレステロール誘導体も重要では有るが、液晶に必要な発見であると言うだけで一足飛ばしに有機ELにまで発展させても良いかと思っている吾輩としては保険的な意味しか持ち合わせてはいない。
有機ELの発光原理迄は既に論文を確立して居るのだ。
未だ周囲が付いて来られないだけで・・・
そう言う意味でも吾輩は未だ後進育成に時間が欲しいのだが。
「陛下、俺よりもベテランテストパイロットでパイロット育成の第一人者で、東京鉄道の創立者の息子、種田尚一とか良い人材が居ると思うのですが。」
「うん、でも種田君は未だ中佐だろう?流石に彼を4階級も特進させる訳にはいくまい、君なら一つ階級を上げるだけだ。」
うう、しまった、そうだった・・・吾輩既に少将だ、一階級上げなくても提督レベルなのだった・・・
「って事で、増田修一少将、貴官を正三位授侯爵中将とし、空軍提督の任を命ずる、官位及び爵位に恥じぬよう責務を全うせよ。」
えぇ~~~?? 今なんつった??? 何だと?正三位? 授侯爵?? 待てって!
「陛下、待ってください!正式な場でも無い上にいきなりその正三位とか授侯爵とか勝手に任命しちゃっていいのかよっ!?」
驚きの余り付い口調が・・・
「良いの良いの、既に軍部には通達済みだから。」
「は? なんでそんなに根回しだけ早いんですか? もしかしてもうかなり前から狙ってませんでした?」
「まぁ良いじゃねぇか修一、お前しかいねーんだ、世界初の兵科たる航空機を借る新しい軍隊だ、他に居ると思うか? それから一応技術開発省にも席は残して置くから、二足の草鞋だが頑張ってくれ、空軍提督としての副官はさっき話題に出た種田君を任命するのであとは任せるぞ。」
すっかりやられた、このジジイやはり食えない、全て計画済みでやがった・・・
「はぁ・・・・仕方ありません、拝命致しました。」
「うん、宜しい。」
これ以上無い満面の笑顔である、この狸じじいめ・・・
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ルーズベルトがどうやら味方として認識して良さそうなので、技術供与とスパコンの納入を開始した。
代わりに資源が我が国に提供される事と成る。
今現在はどうやらスパコンの納入が滞りなく終了した様子で、吾輩の手元に郵送でトーマスエジソンジュニアのサインの入った納入完了証明が届いた。
アイツはすっかり政府に取り込まれているようではあるが頑張って居る様で何よりである。
因みに届いた郵便物にはインターネット環境構築に関する論文が同封されていた、俺の言ったことちゃんと出来るじゃ無いか、前世ではやはり実力出して居なかったんじゃ無いか、真面目にやったらこの位出来る奴なのである。
論文を読み終えて最後の署名の所が連盟になって居て驚いた。
なんだアイツら、上手くやってたんじゃ無いか、結婚式には呼べよ。
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時間は少し遡り1903年 4月 モスクワ
「同志書記長、書記長より提案の有りました新兵器の試作が完了しました。」
僅か3ヶ月ほどでの完成である、付け焼刃も良い所なのだがこの短期間ではこんな物であろう。
6気筒エンジンを単純に直列に繋いだ形に形成された12気筒エンジンを搭載したトラック用のシャシーに厚めの鉄板で形成したボディーを乗せて重機関銃を乗せただけの戦車だった。
「ふん、どんな物が出来たのかと思えばなんですか?これは? 私は言いませんでしたかねぇ? 大砲を載せろと!」
「しかし同志、車にそのような物を乗せても反動で横転するだけでまるで意味が無いのでは。」
「馬鹿者め、それでは横転しないだけの低重心高重量に作れば良いだけでは無いですか? そんな事も判らないで技術開発してたんですか?!」
「それは、そうなのですが口で言う程簡単で単純な物では無いのです。」
「私に口答えですか、要求に応えられなかった上に言い訳、挙句に私に口答えしましたか?」
「いえ、すみません、そんなつもりでは。」
「ふん、お前が居なくなると何も完成しないので今は我慢しますが、本来ならば開拓送りですよ。」
珍しく得意の開拓送りを踏みとどまるレーニンの姿が此処にあった、余程戦車の開発にこだわって居るのだろう。
「同志書記長、今しばらくお待ちください、再度検証し直し、何としてでも砲を積んだ戦車を完成させようと思います。」
「ふん、そんな誓いを立てている暇が有ったらとっとと開発しろと言って居る、行け。」
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2か月後
とうとう、55mm砲とは言え、大砲を塔載し、日本が対馬県再開発に使用していた重機を手本にしたキャタピラーを履いた装甲車、所謂戦車が完成する、砲塔は旋回しないが。
「同志書記長、此方が完成した戦車であります。」
「うむ、旋回する砲塔を付けていないようだが、この短時間で良くここまで作り上げた、褒めてやる、これを直ちに量産するのだ、日本に良い様に戦場をコントロールされてなるものか。」
「は、直ちに量産体制を確立致します。」
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1903年 7月
建造途中だった戦艦を途中で方針転換し、空母へと仕立て直した艦船がついに完成、世界初の航空母艦である。
この航空母艦は第一艦隊に再編される事と成る。
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航空母艦-桜島-
全長 :260.3m
全幅 :33.2m
水線長 :255m
垂線間長 :240m
深さ :25m(飛行甲板迄)
基準排水量 :27,266t
公試排水量 :31,000t
満載排水量 :32,800t
飛行甲板 :長さ250m×幅33m エレベーター2基
吃水 :公試平均10.4m 満載平均11.5m
エンジン :重油ディーゼル8気筒直噴12,000㏄2基
推進 :ウォーターポンプ式ハイドロジェット
最大出力 :76,000hp
最大速度(理論値):46kt
巡航速度 :22kt
搭載機 :参式改艦上偵察機4機(小型軽量化速力型)
参式改艦上戦闘攻撃機40機(マルチプル機)
戦闘攻撃回転翼機八咫烏30機
塔載レーダー :試作第肆号電探(正式配備名参式電探)2基
兵装 :回転塔式40㎜自動装填速射ライフル砲4門
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遂に完成してしまった空母であったが未だパイロットが不足して居た、所謂宙ぶらりんな状態である。
そしてパイロットの育成は空軍管轄となって居た為、設立したばかりの空軍では現在、整備兵及びパイロット要員の徴兵と育成を並行して行って居た為に幾ら人手が有っても足りない、更には海空母への配備を考慮した訓練も必要で、大海原に浮いた一隻の空母に着艦すると言う事は上空から見ると一本のマッチ棒を目掛けて降下して行くようなものであり、余計に訓練に時間が掛かるのだ。
吾輩は此方に掛かりっきりになってしまい、技術開発省へは顔を出す事もままならず、新型スーパーコンピューター用の基盤デザイン等の演算が終了して居た事に気が付かないまま空軍提督としての業務に振り回されて居た。
4か月程家にも帰って居ない・・・
我が娘、息子達は元気なのだろうか。
父や母、妻も息災であろうか、気になって仕方が無い。
こう見えて吾輩は家庭派なのである。
なんでこうなった、これでは忙し過ぎるでは無いか、過労死しちゃうぞ。
後進遅くなってて御免なさい、マジで仕事忙しいんですよ、次のシナリオ考えるのとかが時間がなかなか取れないもので、考えながら少しづつ執筆している現状です。
まぁ、趣味でやってる事なので無理せずに頑張る気では有りますが読んで下さってる方としては次未だかよって思ってる事でしょう、辞めたりする気は無いのでご安心くださいませw
皆さんのご意見、ご感想、ご指摘等常にお待ちしておりますので、言いたい事あったら書いて行って下さいね、私自身の勉強にもなりますので遠慮は無用です。
後、気が向いたら評価もお願いしますね~。




