ロールアウト
今回は開発フェイズですね、遂に航空機が複数同時にラインナップしますが、
まだ量産体制も確立出来ていませんしパイロット育成にも時間が掛かるので、日露戦争中には間に合わないでしょう。
ロールアウト
1903年 2月末
レーニンがいつの時代から来たにせよ未来人である可能性の高さより、戦車の生産に辿り着くと予測し、対戦車用の砲弾の開発を急いで居たのだが、すでに対艦ロケット弾の弾頭に使って居る物を流用する形で、弾頭にステンレスを使い装甲に突き刺さった後に炸裂する鉄鋼弾頭時限信管を完成させた。
これを戦車、自走榴弾砲の各部隊に輸送するべくして、輸送ヘリにて最前線へ運搬すると言う大胆な発想を打ち出したのである。
各隊に60個づつ、の鉄鋼弾頭を配布、どちらの砲弾も弾頭の大きさの規格を統一してあって良かったとつくづく思う。
当然ながら砲弾内部に入る炸薬の量はまるで別次元の量にはなるが、弾頭だけは炸薬に発火させられさえすれば良いので弾頭に関しての大きさはさほど考えずとも良いと思い統一規格にして居たのである。
時限式信管自体はそう難しい物ではない、アナログな単純機構の遅延タイマーで良いのだから。
信管先端部に衝撃を受けてから6秒後に炸裂するようにタイムラグを設定するだけの単純構造の為、素材以外は何とでもなる為に、無理してでもステンレスの材料さえ確保すれば生産も順調に進むと思われる物である。
従って思い立ってから完成迄には大した時間を要しなかった、後は実証実験のみだが、試しに装甲車両の試作第一号を倉庫の奥から引っ張り出して的にして見ると、思いの外効果が得られる事が判った。
装甲を貫通した砲弾が内部で炸裂する為に操縦席、砲手席ともに粉々になって居た、これで生きている人間は居ないだろう。
この時の結果を見て、ふと思った。
戦車に搭載する弾頭は全てこれで良いのでは無いかと。
薬莢の首を窄めて装薬を増やした、アサルトライフルの銃弾をそのまま大きくしたような形状の砲弾で地面に落ちた砲弾でも十分にこの時限信管を作動出来たのである。
何故これが判ったかって?
試験砲撃をした砲撃手がヘッポコだった為に一発目を思いっきり外して少し奥の丘の縁に落ちたからである。
まさに怪我の功名と言う所だろうか。
同じように180㎜自走榴弾砲でも試し射ちをしてみると、砲弾の質量が105㎜ライフル砲の比では無い為、突き刺さった砲弾が炸裂するとエンジンや燃料、塔載砲弾火薬の暴発迄を誘発出来る事が分かった。
榴弾砲にはまぁ元々通常弾頭は必要であろうから通常弾頭もそのまま使用し、装填直前に換装する形で良いだろう、通常弾頭の方が単純構造でしかもステンレスは使わないので安いと言う利点もあるのでこれを完全に無くす手は有り得ない。
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第六艦隊が揚陸艦を伴いカリマンタン島北部海岸へ到着、揚陸艦より施設課大隊5大隊を装甲車両にて発進させ、港と基地の基礎を建築開始する。
これで、油田の開発にも漕ぎ着ける事が出来るだろう。
こうして当面の石油資源が確保出来ている間に海底油田が掘れるような技術の開発も重要な事になるだろう。
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1903年 3月
航空機がついにロールアウトした。
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参式戦闘機
発動機:錦 拾弐型
空冷複列星形18気筒
キャブレター式燃料補給
遠心式スーパーチャージャー過給
排気量:38.95ℓ
圧縮比:8.8
馬力
一速全開 1,850 hp / 2,900 rpm / ブースト+250 mmhg
(高度3.000 m)
二速全開 1,270 hp / 2,900 rpm / ブースト+250 mmhg
(高度8.000 m)
全長:11.3m
全幅:14.5m
全高:3.7m
翼面積:22.5㎡
自量:2.120㎏
最高速度:602km/h
最高高度:8.000m
兵装:翼内臓20mm機銃2門(弾倉140発)
翼内臓14mm機銃2門(弾倉210発)
爆装:90㎏爆弾3個 250㎏爆弾1個 500㎏爆弾1個 10連装50㎜
ロケットランチャ2器の何れかより選択
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スパコンによる演算を使った最適化と吾輩の知る中で再現可能技術の粋を集めた最高傑作で有る為、気が付いたら零戦を大幅に超えた性能を手に入れてしまったようである。
つい、本気で開発に携わってしまった為にとんでもない結果をもたらしてしまったようである、やらかしてしまったと自分で認識して居る。
この驚異的な航空機が制空権を完全掌握する訳だ、これをヤラカシと言わず何と言うのだろう。
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参式輸送用航空機 白鷺
発動機:錦 拾弐式 4機
全長:26m
全幅:29.5m
全高:9.85m
翼面積:110㎡
乗員数:3名
最大定員数:40名
最大積載:20t
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参式重爆撃機 大鷹
発動機:錦 拾弐式改(二基を串型連結) 5機
錦拾弐式よりの変更点
過給機:遠心式スーパーチャージャー+排気式タービン
馬力:
一速全開 2,550 hp / 3,000 rpm / ブースト+450 mmhg
(高度3.500 m)
二速全開 1,790 hp / 3,000 rpm / ブースト+450 mmhg
(高度8.000 m)
プロペラ形式:二重反転4翅
全長:20m
全幅:22.4m
全高:10.2m
翼面積:130㎡
乗員数:8名
塔載総重量:22.5t
爆装:250㎏×9個又は60㎏×36個
換装により雷装も可能
雷装:航空魚雷100㎏×22本
尚、基本陸上機であるが水上機への換装も可
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こちらもかなりやらかした感が強い・・・
やらかした感は強いが開発の手は抜かずに引き続きガスタービンエンジンやジェットエンジンの開発は手を止めるつもりは無い。
どのみちロシア戦には量産もパイロットの育成も間に合うとは到底思えないが。
そんなさ中、パイロット志願の候補生の中に、やたらと感の良い者が一人だけ居ると言うので、訓練用モーターハングライダー(航空機開発過程で片手間に作っちゃった)での飛行訓練の様子を見に行くと、確かに素晴らしいセンスだったので彼を呼び出して話して見ると、多分常人には分からぬと思うが、異様にも人外の雰囲気があったので人払いをして話を聞くと、やはり悪魔であった、マモン・・・彼は吾輩を逸早く見つけて保護に貢献した大悪魔の一柱である。
どうもサタン様とベルさんが此方に来てしまったので暇をもてあそんでおり、追って此方に来る事を決めたのだそうだ。
その他、アザゼル殿やアスタロト殿、サルガタナス殿まで来てしまったそうである。
サルガタナス殿は既に陸軍へ入隊、士官学校を飛び級で主席卒業し、機甲部隊で既に頭角を現して居て、後発した第二十三機甲科師団の指揮官付き副長として、昨日出発して対馬県へ向かって居るらしい。
アザゼル殿は良い憑代が見つからぬようでさ迷って居るらしいが、何故か彼は趣味が高じて金庫職人を目指して居るそうだ、悪魔の考えて居る事は良く解らん・・・アザゼル殿は意外と職人肌なのかも知れない。
問題はアスタロト殿なのだが、何故か単身合衆国へ渡ったらしい。
流石にこれは情報も少ない為に何が何だか分からない。
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1903年 4月
合衆国大統領 セオドア・ルーズベルトより、陛下と吾輩を国賓として招待したいとの打診がある。
早速陛下に会いに行く事になった。
「よう、来たな、修一。」
「陛下、相変わらずですね、その口調、何で友達感覚なんです?」
「硬い事言うなって言ってるだろ、以前から。」
「まぁ、それも何度も聞きましたがね、それで、今回の件は一体どういう風の吹き回しなんですかね・・・」
「うむ、それなんだが、儂にもわからん。」
判んねーで俺を呼び出したのか、今日は・・・
「私から説明するわ。」
浩江ちゃんが突然現れたので陛下と一緒にムッチャクチャ驚いた。
「いえ、私と言うよりも私を憑代にしたあの方から説明します。」
ふっと雰囲気が様変わりして、サタンが前面に出て来る。
「この度のルーズベルトの招待だけどな、アイツの中身は、既にアスタロトなのだ・・・」
何だとぉ?何でそんな事になってるんだ?
「それは一体どういう・・・」
「多少長くなるやも知れんので細かい事は端折るが、ルーズベルトは暗殺されたのだがそれが非公式になって居て隠蔽されているが、実際死んだ、そこにアスタロトが憑代を探して居たので丁度良いと言う事で憑りついたわけだ。」
「で、アスタロト殿の目的は?」
「うむ、日本とのもっと深い関係と言うか、修一、お主の武器をもっと供給して欲しいと言う事、むしろ合衆国に居るお前の教え子のアイツを使ってのライセンス生産を望んでいるようだ。」
「そう言う事でしたか、なんとなく納得しました。」
陛下が此処に口を挟む。
「って言うか、お前サタンなのだな?良くこの部屋まで来られたな、何十にも結界が張られて居る筈なのだけどな。」
「ふははは、我の力を持ってすれば結界など無いに等しい、と言うのは方便でな、この体のもちくしに完全に意識を預けておくとどうも悪魔として認識されない事が判っている、そのお陰でこうして何処にでも入り込めるのだ。」
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1903年 5月
わざわざアスタロト殿が空港を作らせたと言うので、輸送機を飛ばして合衆国へ。
しかし、まだまともな航空機の無い状態で滑走路とか作らせるって、十分にやらかしだったのでは無いかと思ってしまう。
その上で日本からこんなもんが飛んで行って着陸する訳だ、大騒ぎにならねば良いのだが。
何はともあれ
間もなく着陸である。
輸送機の中に自動車を塔載して来て居り、着陸後はその自動車で移動。
一寸した騒ぎにはなってしまったが、すぐに空港も航空機も作られる事になるだろうから今更である。
空港を出る直前に、トーマス・エジソン・ジュニアが出迎えに来ていたので挨拶をする。
「先生、ようこそ合衆国へ。」
「よう、久しぶりだな、元気だったか?」
「お陰様で、しかし凄いですね、まさかペストやチフス、赤痢のワクチン迄も開発出来ているなんて、どんな魔法を使ったんです?」
「俺はそれ相応の環境を作ってやっただけだよ、医療に関しては北里柴三郎と野口英世が俺の作り出してやった平成以降でも通用する程のレベルの環境下で勝手に研究した結果だ。」
「成程~、それだけの施設が有るのならば野口博士がこちらに来ない理由も判りますよ、全く、先生は色々やらかしてくれますよ、僕がこの間日本へ行った時も驚かされましたからね、既に電車が走ってるなんてね。」
「今はもっとすごい事になってるぞ、って言うか君が居ながら何故潜水艦がアレなんだ、報告受けたぞ?」
「ああ、お恥ずかしい限りです、理論だけは論文に出したのですがどうも認められずですね、後、航空機に関しては僕は航空力学に関しては少々苦手にしてまして。」
と頭をかく。
「でも、ちゃんとコルダイトN位は作り上げましたよ? あれも僕の知識外でしたし、先生の論文のお陰でですけどね。」
「そうか、君の専攻は電子物理学だったもんな、でも成績は言う程良くは無かった気がするが・・・」
「そんな前世の話はもう良いじゃ無いですか、一応こっちに来ても独自に勉強してコンピューター開発位はして来たんですよ?」
「そうか、そうであれば出来るだけ早くにインターネットの開発に取り組んで欲しいんだ、手段は光ケーブルでも電波でも良い、光ケーブルに関してもグラスファイバーとカーボン繊維迄はこっちで何とかする。」
「えぇ?先生、やり過ぎですよ、もうそんなとこまで開発進んでるんすか? 既にパソコンもOS搭載してたりするんじゃ無いでしょうね。」
「そのまさかだ、OSは日本語で作っちまったから欲しけりゃ日本語覚えろ、お前の頭脳なら、真面目に勉強さえすればすぐだろう?」
「うわ、勘弁して下さいよ、買いかぶり過ぎですって。」
「いやぁ、お前の理解力は俺が一番良く知ってる、只不真面目が高じて残念知識になってるだけだ。」
「残念って言わないで下さいよぉ、酷いなぁ、はははは。」
「さぁ、後の話は又な。 早速案内係お願いしても良いか?」
「はい、お任せください、天皇陛下も僕がご案内申し上げます、ご同行の許可を下さい。」
「うむ、朕は修一を信頼しておるからその教え子のお主も信用する事とする、案内役を命ずる。」
「は、畏まりました。」
こうして、陛下と吾輩の乗る車両、その前後を警護する2台の車両の他に、案内としてトーマスジュニアの乗る車両と計4台での移動となった。
皆さんのご意見、ご感想等お待ちしております。
特に今回は航空機の主要諸元っぽい物を3つも書きましたが、ちょっと無理がありそうなら、お詳しい方、是非御指摘下さい。
後、気が向いたら評価もお願いします。




