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吾輩は神によって殺され悪魔の手によって過去に蘇った  作者: 赤い獅子舞のチャァ(実際の人物及び団体とは一切関係在りません)
明治技術革新編

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MASUDA始動

第二次探索に出向いた修一、工場もどうやら完成したようです。

          MASUDA始動

1897年 4月

再調査の為、吾輩は又朝鮮半島へと出向いて居た。

MASUDAの工場は順調に建設が進み、落成間近となって居た。

陛下よりの勅命を受け、出て来た者達の処遇を任せられた吾輩は、大使としての役割も兼ねていた。

恐らくは朝鮮人であろうと思われる彼等を、清国人であると勝手に定義した上で丸投げするのが吾輩の取った方針だった。

何故ならば、伊藤博文公と考えてとった政策では彼ら自身に身の振り方を2択で決めさせようとしたのだが、ほんの少数だけが清国へと流れただけで、英国へ労働力として移送されたいと言う物はおらず、殆どが無回答で留まって居たのだ、これを何時までも養って居る訳には行かないし、彼らに我々に協力して働くと言う自由意思を見せようとする者も現れなかった、何処までも自分勝手な人種であると言えよう、強引に強制送還と言う形を取り清国へ押し付けてやろう。

手始めに、清国の首都北京市へ使者を出す。

そして交渉の余地があると判断した吾輩は、この対馬県から、装甲車両二個大隊と重歩兵一個師団を引き連れ、北京市入りをする事と成った。

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清国皇帝への謁見が認められた。

「良くぞ参った、日本よりの使者よ、お主は和王の意見番らしいと聞き及んで居る。 面を上げるが良い。」

「皇帝陛下に置かれましては大変御喧噪で在らせられるご様子で何よりと存じ上げます。」

「朕の耳にも届いて居るが、お主が元神童であろう?」

「は、幼少の頃はその様に囃された事も御座いましたが、現在は爵位も賜りまして御座います、皇帝陛下へ、天皇陛下より贈り物を賜って参りました、お納め頂きたく存じ上げます、宮殿内に搬入する訳にはいきませぬので、宮殿警備兵の方の指示に従い中庭へと搬入させて頂いております、不詳私めの発明で有ります自動車で御座います。」

「うむ、先程中庭にて確認致した、燃油で走るとは大変興味深い品であった。」

「有り難き幸せに御座います。」

「今日は何用で参ったのか?」

「は、朝鮮半島にて清国人を保護しお預かりして居りますので、送還させて頂きたく思い、お伺いした次第で御座います、皇帝陛下の寛大な采配を御願い致したく思います。」

「うむ、良かろう、戦勝国であるお主等がその者達を捕虜、奴隷とせず返還すると言うならば人道的な采配と見て受け付けようでは無いか。 変換計画は大臣共と話を詰めて計画的に進めるが良い。」

「有り難き幸せに御座います、寛大なご判断、感謝いたします。」

手土産にと陛下と相談の上、特別に誂えた自動車は相当気に入られた様子であった。

この手土産作戦はうまく行ったようである。

この時代の北京語は少々難しく片言になって居たであろうと思うのだが、寛大な皇帝で良かった。

謁見が終わり、会議室のような所へと案内された吾輩は、清国民送還計画と称し、日本側で半島の国境まで送り其処で清国側の用意した馬車に乗り換えて貰うと言う方法での、3ヶ月で全員を送還する計画を認めさせ、無事に対馬県へと帰って来る事が出来た。

これで晴れて対馬県は完全に日本人の物となった訳である。

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何はともあれこれで外交は終わった訳である。

早速再調査の支度をしている矢先、MASUDAの重機工場が完成したと言う一報が入ったので見に行くことにした。

コンベアー等を使い部品を量産する、所謂ライン生産工場である。

此処で作ったパーツを別棟の工場で組み上げて重機を量産し、植林に、整地に、建築にとあらゆる工事に対応できるユンボやクレーン、そのほか、ダンプやユニッククレーン付きトラックなども生産する予定だ。

この工場の敷地の残り部分でトラクター等の農業用機器も作る予定だが、先ずは重機が必要だった。

現在も治水と植林の為に、吾輩が陛下にお願いして此方へと呼び立てした金原明善(きんぱらめいぜん)殿が既に陣頭指揮を執って推し進めては居たが、此処に重機が使用可能になれば加速度的に開発に繋がって行く事は間違いが無い。

第一陣の移住及びMASUDA就職希望者が輸送艦で間もなく到着すると言うので、工場の隣に仮設住宅を建てる事にした。

こんな事も有ろうかと、プレハブ住宅や2×4住宅の建築法を再現して置いたので、間に合わせのプレハブ住宅に一時住んで頂いて後に2×4で建築した家を提供するつもりである。

何はともあれ、この移民者達にMASUDAで働いて貰う事で重機が登場する事に成れば、植林や治水だけで無く、上下水道や電気、ガスと言ったインフラの整備も進むのだから頑張って貰いたいものである。

プレハブ住宅設置の指示を出した吾輩は、もう一つの重要な仕事、再探索の支度を進め、出発する事と成った。

既に一度探索を行って居るので、最小限の人数での探索となる。

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「さて、この先だったな、皆手渡した計器を確認、この先はその計器の針が目盛りの赤い部分に差し掛かったら調査は終了とする。

それ以上は人体に影響が出る可能性が有るので十分に留意するように。」

「「「「了解しました、逐一確認いたします。」」」」

「宜しい、では行くぞ、出来ればサンプルを回収したい、よろしく頼む。」

やはりライトが当たると青く光る所が、通常以上に多く確認出来る、間違いなくここはウラン鉱山と言っても可笑しく無い濃度でウランが存在して居る。

更に奥へと歩を進めると、かなり広範囲で光る壁を発見した。

「よし、此処の壁を崩して回収箱に入れて持ち帰る。」

「了解しました、作業開始します。」

作業を見守って居ると。

「准将閣下、かなりの比重の高い物質のようです。」

「やはりそうか、これは見つけ物かもしれない、軍事利用だけは避けさせたい所だが、発電等には非常に有用に利用できそうだ。」

恐らくは間違い無くウランであろう、むしろウランで無いとしたら何なのだと言う位の条件がそろった。紫外線が多く照射されるLEDライトの光を当てると青く光る比重の高い物質でさらにこの放射線の総照射量を図る為に作った計器が反応して居る、これ以上の条件が有るだろうか。

「回収しました、箱一杯です。」

「よし、撤収、重量が増えるので一人で運ぼうとしないように。」

帰りの道程は倍程も時間が掛かってしまった、致し方ないとはいえ流石に堪える。

こうして調査を終えた我々であった、やはり出直して正解だったようである。

技術省に戻り次第、正確な成分調査をしなければ成らない。

キャンプに戻った我々は、この糞重い防護服を脱ぎ、休息をする事にした。

吾輩の秘蔵のコーヒー豆を開封させてコーヒーを頂く、非常にすがすがしい一時だ。

タバコを吸う者は一服しながら伸びをしたりして居たが、吾輩は前世から一度もタバコは吸った試しが無いので吸わない。

「閣下はタバコは吸われないのですか?」

一人の喫煙者が聞いて来るが

「うむ、吾輩は一切吸わんよ、健康の為には吸わない方がよい。」

「しかし、吸うとリラックスできますよ。」

「いやいや、リラックスならばコーヒーでも出来る、と言うか、本来タバコはストレスを与えて居るだけなのだが気付かんかね?」

「そんな事無いですよ、むしろストレスの解消で有りますよ。」

「うむ、吸うものはみんなそう言うのだがね、実の所、タバコを吸いたいと言う衝動に陥る事こそがストレスなのだ、タバコには中毒性が有るのでね、増してタバコは脳細胞を死滅させる、吾輩の頭脳を殺す訳にも行かんだろう?」

「そんなもんですかねぇ、私はあまり実感在りませんが・・・」

「とにかく吾輩は吸わない、まぁ吸うなとは言わんがね。」

そのような会話をしつつ食事の準備をし始めると、何やら嫌な予感と共に遠吠えが聞こえてくる・・・熊だ。

戦闘のお陰で食い物に困って居たのだろう、普通ならば野生の動物は余程でないと人の前に姿を出そうとはしない筈なのだが、こいつは現れた。 しかも食事の支度を始めた途端である。

慌ててテントから自動拳銃を持ち出した、撃退しようと撃つが全く効いて居ない様子である。

そう言えば聞いた事がある気がする、野生の熊に、9㎜弾をいくら撃っても豆鉄砲食らわせている程度にしか相手は感じないと・・・取り急ぎ装甲車に乗り込み、16㎜機関銃で撃ってようやく倒す事に成功した。 

野生動物の強さを思い知らされたのだった。

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港へ戻ると、丁度第1陣の移民者達が到着した所だった。

その移民者に交じって、弟の姿を発見した吾輩は思わず声を掛けてみた。

「兄上、良かった、此方においでになるとは伺って居りましたが、調査の任務の為と伺って居りましたのでお会い出来るとは思って居りませんでした。」

「まさかお主がこちらに来るとは思って居らなかった、どのような経緯だ?」

「はい、話せば長くなるのですが実は・・・」

簡単に言うと、父より、多忙な兄の手助けに出向せよとの命を受けMASUDAの臨時管理をしてくれると言う事だった、父上にしては随分と気を回して下さったことである、有り難い話だ。

此処は帰ったら、父が随分とご執心のようなので新型自動車の設計をして第壱号でも送って差し上げるとしよう、既に5台も所有して居る程の車好きの父はきっと喜んで下さる事だろう。

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人員も建物も整ったので、港の仮設倉庫に格納してあった機材を工場に運び込み、作成工程の説明を行った。

手先の器用な者は優先して細部部品の点検及び組み立てに回し、腕力のある者は大きなパーツの組み立てに駆り出す。

理解力が有り道具の扱いに長ける者は最終の組み立て工程へと配置が決まり、先ずは第一号の試作をすると言う事になった。

ユンボ1台、ブルドーザー1台、クレーン1台、序でにダンプも1台、あくまでも試作なので1台づつである。

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完成した重機を試し運転を始めた。

思いのほか出来が良く、想定以上の性能を見せたブルドーザーに対して、少し物足りなかったのがユンボ、所謂パワーショベルだった。

「兄上、まぁ許容範囲では有ると思う程度では有りますが、少し此方の出力が思った程上がって居ない気がしますが、どうしましょう。」

「うむ、そうだな、細部の微調整をしてみよう、恐らくは油圧アームの出力がしっかり行き届いて居ないだけでは無いかと思う。 最終工程での組み上げの過程で何処か問題が無かったかを確認、問題が無ければ微調整をしながら最適解を出す、これで行こう。」

「はい、流石兄上は判断も早い、見習う所が多くて勉強になります。」

「ふん、そう言うお主は本当は一刻も早く海外の歌舞伎とも言うべき西洋劇とやらをこの日本にて演りたいのであろう?」

「あ、バレましたか、その為にも今は父の手伝いをして、会社を任せられる人材作りに勤しんでるのですけどね。」

「しかしそれならば、既に解決して居ると思うぞ、既に父上も社長は退いて会長職となって居るのだし、現社長は〇井グループの親族である高明(たかあき)殿に移って居るしな、父上の責任で跡目を探す事もあるまい。

この会社が軌道に乗ったらお主を会長職として新しい社長を立ててやる、今のうちに給金を貯蓄して置け、父上は説得してやろう。」

「済まない兄上、俺はやはりこう言った仕事には向いて居ない。」

「そんな事は無いさ、ただ気が向かないだけさ、劇団の運営も企業の運営も大した差など無いのさ。 興味の無い事には得てして力を注ごうとはしない物なのだよ、無意識的にな。」

「そんなモンですかね、何はともあれ、兄上が居て下さって助かってますよ、父上としては底が見えず脅威に感じてる兄上のご機嫌を取って置きたくて私を送り出したんでしょうがね、何を作る会社なのかも知らずにホトホト困って居た所ですからね。」

「ま、お前さんは暫く雇われ社長としてここに居る必要性だけは出てしまったが、悪いようにはしないから暫く頑張って欲しい。」

「勿論ですよ兄上、父上よりも兄上の策に乗る方が遥かに有益ですからね。」

「ほらな、商人向きの良い性格してるよ、お前。」

顔を向き合わせて大笑いしたのだった。

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