戦闘車両
一太郎の発案のおかげでどんどん発展していく東京府、そんな一太郎に勲章を与えようと言う動きが。
戦闘車両
陸軍省からの要望で、車両に機関銃を搭載しろ、等と要求が来たのだ、そんな物機動偵察車両に台座を溶接するだけで良いのになぁ等と思いつつ、実際に台座を付けた物を用意し、其れに軽機関銃を付けるだけで完成した車両を中将閣下に届けると、こんな簡易的な物では無くて等とおっしゃられていたが、十分に他国には未だに存在しない兵器であると説明するとしぶしぶ納得していた。
其の隙に隙に水陸両用の装甲車両を試作する事となった。
海軍には水陸両用装甲車を6両搭載して海上で車両を降ろせる謂わば揚陸艦を提案しつつ、装甲車内部の温度を考慮してのエアコンも研究している状況である。
まぁ、揚陸艦は浅瀬に接近出来ればそれで十分なので設計図が有れば技術的にも海軍に提案だけしておけば問題なく出来上がると思う。
装甲車両に関してはもう少し研究が必要になるだろう、それまでの繋ぎとして機動偵察車に機銃を取り付けた戦闘車両で賄って貰わねばならないのだ。
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大英帝国並びに合衆国との貿易が盛んになり、我が帝国には外貨がどんどん入って来るようになった、お陰でインフラ整備が目まぐるしい勢いで進み、国家規模での産業化が加速する、まさに産業革命と言った感じである。
国は潤い、産業の発展に伴い雇用が増え、民も潤う。
そんな中、小官の発明品である電化冷蔵庫、電気洗濯機、電気掃除機がお目見えした。
物流にも革命が起き、漁業にも革命が起こる。
船上で冷凍してしまう事で楽に新鮮なまま輸送が可能になったのだ。
冷凍、冷蔵技術の発展のおかげで新鮮な魚介類が手に入るようになり東京府は空前の寿司ブームだ。
ここに来て鉄道も進化し始めている。
東京府を環状的に要所を繋ぐ山手線を引き、試験的に世界初の電車を走らせようと言う事となる。
長距離を走る汽車はディーゼル機関車に取って代わり始めていた。
蒸気機関車が走り始めて僅か2年と少しでの改革だった。
だが、炭鉱は閉鎖しないつもりだ。
炭素は今後の新素材として重要な位置を占めている。
炭素繊維こそ最終的に様々な物に転用できる万能の素材なのだ。
試しに石炭から精製した炭素を真空管内で電気結合させて人工ダイヤを作って見せると錬金術かとまで言われたのだが、それはまた別の話で。
ともかく炭素は重要、カーボンナノファイバーにカーボンフレーム、更にはデュアルカーボンバッテリーなんて使い方も期待が出来るのだ。
カーボンナノファイバーのチューブを使った光ケーブルなんてのも直ぐとは行かないが可能であるだろう。
なので兎に角炭鉱は規模縮小はあっても閉鎖は無いと考えている。
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アメリカの土地が購入できたと言う情報が入って来た。
明治15年6月の事だった。
帝国海軍と〇井物産が協力してシリコンバレーを買ったのだ。
小官は急ぎ銀塩フィルムを作らねば成らなくなった訳だ。
何故銀塩フィルムが必要かと言うと、シリコンを半導体として完成させる為には、シリコン表面にサーキットを転写するのだが、その為にフィルムが必要なのだ。
7月には壬午軍乱が起きる筈なので出来れば阻止したい所だが、もし起きても前世の時の様にグダグダに成らず圧倒してしまって終わると思うので、後は海軍大将閣下が誠実に対応して頂けるようなので放っておこう。
そんな中、突然小官たち兵科技研隊員一同で陸軍省に呼ばれた。
全員と言う事で何かの研究が認められて船員纏めて昇格かな?
等と思いながら陸軍省へ出向すると、大将閣下が直に出て来た。
何事かと思ったのだが、これより皇居へ向かうと言われた、受勲頂けると言う事だ。
小官は前世では既にお亡くなりになられて居た明治天皇なので勿論お会い出来るのは感激の極みである。
ある意味昭和天皇にお会いできるよりも嬉しい気もする。
中佐殿の受勲が終わり、小官の順番で、天皇陛下が小官に話し掛けて来られた。
「かの有名な神童ですね、朕の耳にも聞き覚えが有りますよ、その知識を今以上に国の為に使ってくれることを願います。」
「は、陛下よりのお褒めのお言葉、至極恐縮に御座います、小官に出来る事が有れば何なりとご命令下さい、実現に至るよう努力を惜しまないつもりで有ります。」
「うむ、まだ若いのに本当に聡明で有りますね、頑張って下さい。」
と言って勲章の入った箱を手渡しされた。
全員の受勲が終わると、陛下が辞令を読み上げられる、全員1階級昇進との事だ、中佐殿が大佐に、小官は少佐に、井上山田両曹長が准尉になる、他の者達も階級が一つづつ上がる事となる。
小官の勲章を見て驚いた。
勲一等旭日桐花大綬章だったのだ、この勲章はまだ明治15年には制定されて居なかった筈なのだが、6年程も早く小官の為だけに急遽制定した物らしい、歴史はこんな細部にも変化をもたらし始めた。
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何だろう、前世で確かに好きで良く食べてはいたが、無性にラーメンが食べたい、しかもガラスープのアッサリ系な醤油味の東京ラーメンが食べたい。
だが、未だこの頃は中華料理店と言う括りで横浜に数店舗あるだけで、ラーメン屋、ましてや東京ラーメンの店などは当然存在しない、其れでも食べたくなった小官は作って見ようと言う事に落ち着いた。
小麦粉を買って来て、近所の豆腐屋から苦汁を分けて貰う、何故苦汁かと言うと、中華麺に使う潅水と言うのは、岩塩を水につけて置くと出来上がる塩水の上澄みだ、つまり同じミネラル塩の苦汁とほぼ同じ物なのだ。
これで卵を混ぜて打てば中華のたまご麺になる。
次に焼き鳥屋で捌いた後の廃棄、つまりガラを貰って来る、後はカマボコと、葱、玉葱、大蒜、ほうれん草と言った野菜を買い、豚バラ肉を購入して来て凧糸で巻き、軽く蒸した後、醤油、味醂、酒、酢を混ぜたタレで、ネギの青い部分を一緒に入れて煮込む、チャーシューの完成だ。
ガラは血合いをしっかり取り除いた後、寸胴鍋に入れて水から炊く、こちらにも臭み消しの為に玉葱と葱の青みを一緒に炊く。
その間に醤油を弱火でコトコト煮詰めて煮切り醤油を作って置く。
こんな事を作業場を使ってやっていた小官だったが、なんか良い匂いがすると皆集まってくる。
まぁ初めから一人分を作るなんて愚の骨頂なので全員で食べてもお釣りが来る量を一度に作って居たので、部下にどんぶりとれんげを買って来るように申し付けてあったのだが、タイミング良くそれが到着する。
ただそのまま使うのは衛生的にアレなので良く洗って持って来させる。
そして湯で温めたドンブリに先ず煮切り醤油を一匙入れ、其処にガラのスープを注ぐ、そして湯出た麺を良く水切りをして乗せる、更に灰汁抜きで湯通しし、適当な長さに切ったほうれん草、チャーシュウ、葱の白身を輪切りにしたものを乗せ、念願のラーメンの完成。
先ずは自分がと思ったのだが既に全員集まってしまって居たため、失礼にも毒見役を買って出た伍長に渡し、次々と作る。
30人にもなって居た兵科技研なので小官がラーメンにありつくのは随分後になりそうであるが、作って居るうちに初めに食した伍長が仕上げの盛り付けと配膳を手伝うと言うので多少ペースが上がった。
大佐殿もお喜びの様で良かった、こうしてみんながうまいと言ってくれると小官は早く食べたいのだが、麺の茹で加減は小官がやらねばいけないのでは無いかという先入観に駆られて何時までも食べられずに居る。
そしてついに最後の一つ、つまり小官の分。
念願のラーメンにありついた・・・旨い、12年ぶり?なのかな?ぶりのラーメンは自作だったが、思いの外旨く出来て良かった。
のだが、ン?おかしいな、何だか妙に初めの予定よりも麺の量が少なくなった気がするのだけど・・・
辺りを見回すと、いつの間にか中将閣下が居るでは無いか!
何でぇぇぇぇぇぇ~~~~!?
「ん、益田君、美味いぞ、これ、是非に陸軍の食堂で作れるようにしたい、材料と作り方を細かく書いて提出するように。」
ち・・・中将閣下・・・何時からいらして居たのですか?
でも、どんぶりが全員分しかない筈なのに中将閣下の分も有ると言う事は、初めから居たのか?
道理で途中から麺が足りなくなりそうだと言うので少しづつ減らして行った訳なのだが、中将閣下が起こしになって居たのに気が付かないでラーメン作りに没頭して居たとは…一生の不覚だ。
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後日、今度は海軍大将閣下が是非にと小官宛にスパイスを大量に送って来た、小官にカレーを作れと言って居るのだろう・・・みんな小官の事を何だと思って・・・いや皆迄言わずとしておこう。
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因みに中将閣下が何をしに来たのかと言うと、軍の戦車量に台座を溶接して戦闘車両として使えるようにせよとの命令を、誰か部下か秘書にやらせれば良いものを自分で言いたかったらしい(暇だったらしい)。
仕事が少々忙しくなって来たので執筆に使える時間が減ってしまって居るので、少し更新ペースが落ちています、楽しみにして下さってる方々、ゴメンね。
後、良かったら皆様評価お願いします。
誤字報告数点頂きました、有難う御座います。