1/3
溢れた
「好きだ。すきだ。世界で一番好きだ。ゆい、すきだ。」
そう切り出した山田 聖那は大して計画があった訳では無いのに溢れ出した気持ちが伝わらないこと理解していた。
「えーと・・・一応好きな人いるから。・・・ごめんね」
そうやって優しくするなよ。
さっきまでの柔らかくも隙間なく絡んだ指も、火傷するような妖艶なキスも、寒い体を包んでくれた優しい抱擁も全て。全てが今の不幸の先延ばしで辛い過去だ。
「そっか・・・また、遊んでね・・・」
こんな時でさえもこんな表情で固める汚い癖が出てしまう。
もう3月下旬で十分に暖かな日和なのに寒くて震えて歯が上と下に振れる。
ベタなデートにベタな展開ベタな童貞にベタな落ち
ベタすぎて頭からつま先までベタベタな俺にはいいオチだ。
いつも大好きな自分の性格を嫌い嫌いと嘘をついてきた子供のようなプライドなんて切り捨てて本当の意味で嫌いになりそうだ。