6.同じゼミの男子2人
奈織ちゃんたちとお昼を過ごして、午後はゼミを決めなければいけない時間となったので教室へ行くと、マキちゃんはすでに来ていたのは驚いた。
途中で変えることも出来るけど、この4年間に所属するゼミは自分にとっても大切なことだと思うし、そこでの関係がずっと続くかもしれないと思うと、緊張して落ち着くことが難しかった。
「月渚っち、緊張してんの? 大丈夫。別にこれでどうこうなるわけじゃないよ。こういうのは勘で決めればいいと思うよ。いいなと思ったらそこにすればいい。簡単、簡単~」
「マキちゃん。うん、そうだね」
さりげなく来て、こういう声かけしてくれるマキちゃんはやっぱりすごい。厳しいことも言うけど、マキちゃんとはもっと仲良くなりたい。
希望選択で決めたゼミはラインで個人通知されることになっていて、それを見た学生たちはそれぞれの教授室へ移動していく。わたしも通知が来たのを確認してドキドキしながら決まったゼミ室へ移動することにした。
「失礼します」
わたしが希望したゼミにはすでに来ていた人が席に座っていた。その中に、喬子ちゃんの姿があって思わず笑顔をほころばせた。
「月渚、一緒だね」
「う、うん。よ、よろしくね喬子ちゃん」
「……ん」
他の子たちは面識が無い男子が2人と、女子が2人だった。全部で6人なのかな? なんて思っていると、ドアを勢いよく開けて来た彼女が最後の1人みたいで、彼女の姿を見てわたしは最高に嬉しくなった。
「遅れました~! あ、あれ? もしかして私が最後ですか? すみませーん」
では、揃ったようなので軽く自己紹介をしてください。
先生に言われて、みんなで名前を名乗っていく。男子たちから始まり、わたしと他の子たちへ。
「……石動 光輝です」
「宗木 篤人。よろしく」
「宮原月渚です。えと、よ、よろしくお願いします」
な、何だか視線を感じるけど、わたし変なコト言ってないよね。でも視線の先の男子をまともに見ることが出来なかった。
軽くこれからの話をした後、この時間は自由になって帰ってもいいことになった。ここで帰ろうとするみんなに向けて、マキちゃんは悪気ない発言をしてみんなの目を丸くさせた。
「途中で変わる人がいるかもなんですけど、同じゼミになったんでこれからカフェ行きません?」
突然の提案で驚いたけど、マキちゃんの言葉を聞いても帰る人は喬子ちゃんくらいで、他の人は帰らずに行くみたいだった。わたしもそのまま付いて行くことになった。
「月渚、私は帰るけど……男子とか平気?」
「それはあの、たぶん平気。ありがと喬子ちゃん」
「また……」
「うん、またね」
合わないマキちゃんの言葉も含めて、親しい人以外の人と関わらないようにしている喬子ちゃんは、あっさりと帰ってしまった。わたしも本当はそうしたかったけど、マキちゃんがいれば多分大丈夫なんじゃないかな……
行動力のあるマキちゃんを先頭に、同じゼミになった女子のコたちと男子2人は素直に付いて来ていた。もしかしたら男子と話すきっかけと克服を与えてくれているんじゃないかと思い、ここで何とかしなきゃいけない。そう思いながらカフェに向けて歩くわたしだった――